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家から「街」への移動の担保
2018/11/26
JR北海道の路線問題で、駅の維持、路線維持を叫ぶ方は、よく「地域住民の足が奪われる」と書きます。
しかし、現実的に駅周辺に住む人は限られますから「駅までどのような交通機関で移動するのか」という観点がすっかり抜け落ちてるのでは?と思うわけです。
集落から駅まで路線バスが走るなんて恵まれた地域は今となってはそう多くはありません。自治体が走らせる循環バスやデマンドバスがあれば御の字、多くの地域は駅までの交通機関が用意されていません。これは反対に駅に訪れた方が駅で途方に暮れるということでもあるわけです。
歩行能力の衰えがある場合、充電式の「ハンドル形電動車いす」を使う方は多いかと思います。たとえばスズキ自動車のセニアカーが代表例です。6km/h程度で走行でき運転免許は不要です。国土交通省はこの「ハンドル形電動車いす」で鉄道を利用する際の利用要件を今年から緩和しています。多くの鉄道会社がハンドル形電動車いすで電車に乗ることが可能です。しかし、ハンドル形電動車いす自体の重量が100kg程度ありますので、大人2人でも列車に載せるのは難儀でしょう。もちろん駅にハンドル形電動車いすを置いて列車に乗ることができますが、目的地での足が制約されることになりますね。
集落からその町の中心部までとなると、仮に循環バスがあれば多くの場合その町の中心部まで乗換無しで行けるはずです。列車に乗るでしょうか?乗らないですよね。「地域の足」として鉄道が使われていたのは免許も持たない、駅まで歩ける、自分で列車に乗ることができるという「恵まれた方だけ」のものでしかないわけです。
歩行能力が衰えて、ハンドル形電動車いすで集落の中心に行けて、そこからデマンドバスに乗って買い物、通院という形、今地方の集落で起きている現状でしょう。ここには鉄道利用の姿は全く出てきません。まして降雪凍結路面ではハンドル形電動車いすすら使い物にならないわけで、介護タクシーなど自宅前まで行けるものが求められている足なわけです。
もちろん高齢者以外の利用者もいるでしょう。自転車などで駅に集まる高校生などもあります。しかし、一般的な利用者が居ることはまれです。車を運転できる人はそのまま車を運転していくのが全てに勝るわけですから。
しかし、その車しか使えないという状態が続くことで、高齢者が免許を手放せない状況になっていることでもありますし、自治体にしてみれば中心地から遠く離れ、人数も少ない集落にそれなりのコストを掛けて維持せざるをえません。もちろん集落を潰せとは言いませんが、現実にあと何年この集落は世帯を維持できるんだろうという地域は少なくないのです。北海道の利用者数が皆無なローカル線の駅は多くがそういう集落の撤退の結果でもあるわけです。駅を無くすな、路線を無くすなは気持ち的に理解できても、その維持コストを鉄道会社だけに負わせる方法ではどのみち維持できないのです。
「限界集落」などという言葉は1970年代から存在し、いくつもの集落が離散し、住民0で放置されているのが現状です。そのなかで、駅だけが残ったような地域を「秘境駅」などと崇めている鉄道マニアも含めた「識者」は、なぜそれを維持しなければならないかという問いに答えてはくれない。限界集落であっても砂防工事、道路工事など公共工事で仕事が回っていた頃はまだしも、今や公共工事を「無駄の象徴」として地方への投資をせず、結果その集落民の仕事は無くなる。いや、仮に公共工事があったにせよ既に住民の高齢化は進み子世帯はもう集落には戻らない。そんな風見鶏の意見がまかり通るような公共事業なんかに頼れない。ここ10年20年スパンでこのような状況が各所で発生した。20年前は利用客がいた駅も今や利用0、マニアが時たま降りるだけではやはり存在意義は無いのです。まして維持・管理は行わなければなりません。利用0だから除雪しなくていい、放置でいいとはなりません。
では、限界集落や秘境駅を何故維持しなければならないのか?維持する理由があるのか?徒歩圏内に集落があるとして、その集落民が一切使わない駅を将来高校生が通学するかもしれないからと維持することを是とするなら、その集落が必要であると訴えなければならないとも思うのです。
喫緊の課題は「限界集落」から買い物であったり、病院、公共施設へのアクセス手段の提供。温暖で高低差の少ないところなら個人任せの「ハンドル形電動車いす」でもいいかもしれません。しかし、北海道ではそれを許す環境では無い。しかもそれを実現する方法は鉄道ではあり得ません。
「その後」はどうなるんでしょう。1960年代(家業を継がない、農家や漁師を継がない)次男三男四男の働き口が必要であるという観点から行われた集団就職の時代、それを行わざるを得ない状況があったにせよ、今彼らが高齢になり限界集落に戻っても生きていくことは難しい。また、限界集落でもコミュニティはあるわけですから、彼らがバラバラになるのもまた嫌がられる。限界集落がいつまでも残ってしまう理由の一つです。強制的に移住させることは難しい。
団塊ジュニア世代は人数が多いものの、ロストジェネレーションといわれ、蓄えも少なく、自分とその家族が生きていくだけで手一杯。これに親の面倒は無理ですし、限界集落に移住なんてできない。そのコミュニティに浮いた存在になりますしね。しかし、その世代が一定移住してくれないとデマンドバスの運転手すら確保できないわけです。
外国人の移住促進とはいっても、彼らがこんなローカルコミュニティで活躍できる状態が見えない。森林資源は適切に整備しないと災害を引き起こす。現在発生している鉄道や道路の山崩れ、雪崩などによる災害はこれも要因の一つでしょう。とはいえ、その山林を維持する予算を国は既に割けない。
集落を放置したら「原野に戻る」も幻想だということも含め、もう遅いとは思うところです。特に高齢化比率、人口減少比率の高い北海道は先に問題が表面化しますが、それでも何の対処も無い。結果的に無人の「集落跡」と「耕作跡」が続く風景を見るのです。
妙案はありません。どこかで強権を発動してでも地域は「集落」を捨てるしか無い時期がやってきます。その前に、集落同士、集落から街、駅、公共施設への足を考えなければなりません。