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北海道の交通関係
何も決められない日高線沿線で起きていること
2018/11/27
地方の医療現場では既に医師も看護師も不足しており、出張医に頼らなければ多くの専門医療は受けられません。極端言えば内科しかありません手術もできませんという「地方拠点病院」は今後避けられない状態にあります。出張医はただ来てくれるわけではありませんから報酬と交通費、宿泊費を支払うことで病院の経営を悪化させる要因にもなります。
北海道新聞 2018年11月26日
医師不足の現状 浦河日赤が説明 初の住民向け懇談会
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/251661
武岡院長は、常勤医が13人と、最も多かった30年前に比べて半減し、多くの科で出張医に頼らざるを得なくなっている現状を説明。さらに苫小牧などへの緊急搬送は年約100件あり、医師や看護師が付き添っていくため、「限られた人員で24時間365日、患者の対応に必死であたっている」と訴えた。また、1カ月に約60人の出張医を招くことが経営を悪化させる要因とし、医師が根付きやすい「住みよい町づくり」への協力を町や町民に要望した。
浦河日赤病院は地域の拠点病院ではあり、日高管内7町の支援金で病院の増改築が行われるなどは行われていますが、常勤医の退職などで精神神経科の廃止検討など診療科目が減りかねない状況にあります。既に内科ですら常勤医では足りず出張医による診療がおこなわれているのが現状です。結果精神神経科は出張医による週3回の診療、泌尿器科、耳鼻咽喉科は週2回出張医になっています。皮膚科は復活の目処無く休診中です。麻酔科が現在無い状態なので、緊急手術などは対応できません。
さて、日高管内の住民はどこの医療機関を利用するのでしょうか。日高振興局が公開している北海道医療計画では二次医療圏の状況として日高管内での「自給率」と札幌・苫小牧などへの入院・通院のデータがあります。
北海道日高振興局
北海道医療計画【改訂版】日高地域推進方針
http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hgc/hidaka_chiikisuisinhosin.htm
http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hgc/ks/H30-suisinhousin-siryou.pdf
入院
圏域内自給率66.4%
東胆振圏20.8%
札幌圏10.3%
十勝圏2.1%
その他0.4%
通院
圏域内自給率84.5%
東胆振圏9.2%
札幌圏4.4%
十勝圏1.6%
その他0.3%
入院における東胆振圏(苫小牧)とのつながりが大きいことが伺えます。しかし、通院は遠くの苫小牧よりも地元が選ばれていることもわかります。
先の新聞記事では浦河から苫小牧への救急搬送が年100件。これは単純に3~4日に1回という非常に多い数です。これに医師や看護師が乗り合わせ、高速道路の開通で早くなったとはいえ片道2時間以上はかかるわけで、それも日高管内の病院に常勤医が残らない理由の一つかもしれません。また、地域の救急車の体制も「5時間以上の空白」が発生することを前提に配備する必要がありますので、これも行政の負担になります。
しかし、日高の圏域人口は7万人を割り込み、高齢化比率も31.4%(2015年)と全道平均より高くなっています。現実的に苫小牧、札幌に「通院」できるのか?という話にもなるわけです。
この医療自給率ですが、平成22年と平成28年のデータでは差異があります。
この表でわかるのは日高管内の入院施設の減少で入院自給率が減っているという面です。入院可能病院の減少で浦河赤十字病院のある浦河の入院比率が高まっていることを除けば入院を要する重篤患者は他の地域への搬送を余儀なくされているという良い方もできましょう。また、通院比率は苫小牧に近い日高町(旧日高町も含むため他の要因もあろうが)と新冠は国保病院の無床化されたことにより通院患者の減少があったものとは推測しますが、他は通院自給率が高まっているということはJR日高線の不通により苫小牧方面への通院が難しくなったことも理由の一つになるのではないかとも思うのです。
裏返すと交通機関の利便性をよくして他の地域への通院を便利にすれば、地元病院の通院患者の減少を発生させて地域医療の衰退を起こすとも考えている自治体があってもおかしくはありません。
日高線の鉄道時代、様似06:02-浦河06:25-静内07:35-苫小牧09:05という便が存在しました。この便は少々苫小牧着が遅いとはいえ通院に利用可能な便でした。現在鉄道代行バスでは様似を6時台(平日)に出ても苫小牧着は昼前でとても通院には使い物になりません。
もとよりこの地域には「特急うらかわ号」というバスがあり、浦河6:50-静内7:50-苫小牧9:45というダイヤでした。途中苫小牧市内の苫小牧市立病院付近、王子病院前なども経由しました。しかし、この便は「地元要求により道南バスとJR北海道の協力」により「特急ひだか優駿号」として苫小牧市内を通過しない便に改められました。
これにより浦河町など静内以南の地域から苫小牧への直行便が失われたわけです。
本来で言えば、苫小牧直通の必要性があるのなら、鵡川駅経由により鉄道へ接続させるなど、乗り継ぎを最小限にする努力が必要だったと思います。しかし、取られた対策はウトナイ湖バス停で接続させるということでここは上下バス停が離れていることもあって非常に乗り換えしにくいバス停です。健常者で徒歩3分、高齢者なら5分はかかるでしょう。乗り換え時間は少なく、しかも浦河の出発時間を早めていますので、苫小牧への利便は相当に落ちたはずです。鵡川駅経由または、仮に沼ノ端東IC・沼ノ端駅経由だと多少所要時間は延びても苫小牧方面への利便も確保しつつ利便の高い運行方法が取れたとも思うのです。
つまり、浦河は苫小牧への「通院を制限してでも地元病院の維持に動いた」という言い方もできるわけです。浦河町議会では苫小牧への通院の件についての質問が出ていますが、議員氏自体がバスも鉄道も使ったことがないせいか議論が全く頓珍漢で、例えば、ペガサス号も含めた鵡川駅停車が提案されていますが(現状ペガサス号は日高管内-鵡川の区間乗車不可)それも含め議員氏不勉強すぎます。
浦河町議会
平成30年第3回浦河町議会定例会議事録
https://www.town.urakawa.hokkaido.jp/gikai/shinginokekka/files/H30.06.19tei.pdf
こういう面も含めて「地域がどのような公共交通を必要としているのか」が全く議論されていないなというのが印象です。場当たり的に「不便になった不便になった」と叫ぶだけで、ではどうしたらいいのか?どうするのが町民の利便につながるのかが見えない。日高線の廃線に合意しても、その先よりよいバス運行を行うにはどうしたらいいのか真剣に考えなければなりません。各社限られたリソースで運行しているわけで、しっかり考えないで明後日な方向なバスを運行する余力は無いのです。まして「北海道新幹線が赤字だから」云々はお前達に全く関係ないし、自分達のダメさを免罪するネタにはなりはしないのです。
個人的に、本当に日高門別まで鉄道路線として復旧させるならば日高門別駅を中心にした日高管内全域への便、そして札幌・新千歳空港・苫小牧への乗り継ぎが可能とする方法を取れるなら、少なくとも現在より利便高く並行する路線を減らし効率も上げられる。少なくともウトナイ湖のふきっさらしの中を200m以上歩いて乗り継ぐなんて酔狂な状況を考える必要が無いのです。
そもそもの問題は沿線首長も議員も鉄道もバスにも全く興味が無く明後日な「提案」なる下らない議論をし、結論を先延ばしにして住民の「足」に全く向き合ってこなかったことです。自分達が全く勉強しないで乗りもしないでいくら議論したって碌な内容になるわけが無い。少しは「本気」で参加してほしい。そして本当に困っている沿線住民の声に耳を傾け、本気で地域を良くするんだ、医療も足も守るんだという議論をして欲しい。沿線住民じゃ無い私から見てもあまりにも沿線町はお粗末で情けなく、恥ずかしいとすら思っているのです。そして、議論の内容は私のような検索をする人にしか提供されません。町民のほとんどは何が議論されているかすら知らないでしょう。
赤字が、国が、JRがじゃないんです。地域の住民のために汗を流せるのか?それが問われているのです。