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北海道の交通関係
国からの地元支援見送り報道から見る今後の鉄道路線支援
2018/12/04
まず最初は北海道新聞とNHKから
北海道新聞 2018年12月03日
国、地元支援見送り JR赤字8区間、来年度以降
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/254023
JR北海道が単独での維持困難とする宗谷線(名寄―稚内)など8区間の地元支援を巡り、国は2日、沿線自治体などの負担を軽減するために検討してきた地方財政措置の見送り方針を固めた。国、道、沿線自治体による負担割合の調整が難航し、2019年度の予算編成に向けた年内の制度設計が困難と判断した。当てにする大きな財源がなくなることで、19、20年度で計数十億円とみられていた8区間への財政支援は、道が主体的に行うことになり、数億円規模に縮小される見通しになった。
道や沿線自治体は地元負担軽減のため、負担の一部を国からの交付税等で穴埋めできるように、特例的な枠組みの地方財政措置を新設するよう国交省に要請。同省と担当の総務省で調整を図ったが、3者の負担額がまとまらない中で調整は進まず、年内の制度設計を見送る方針を固めた。
NHK 2018年12月03日
赤字路線で地方財政支援困難に
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20181203/0006077.html
JR北海道の赤字路線見直し問題で、路線の維持に向けて財政負担を検討している沿線の自治体に対して、国は、交付税などを使った支援を見送る方針です。道と沿線自治体は年間数十億円の維持費用のうち、負担は2億円程度にとどめる方向で調整していて赤字路線の収支改善はいっそう難しくなりそうです。
道と沿線自治体は財政事情を踏まえ、年間数十億円にのぼるとされる8区間の維持費用のうち、負担は2億円程度にとどめる方向で調整に入りました。
国はJRを長期的に支援するには8区間の収支改善を強く求めていますが、国と地方自治体の負担が限られる形となり、実現はいっそう困難となりそうです。
どのような記事なのかと言いますと、鉄道路線維持について地方自治体から鉄道会社への財政支援を行った場合、その負担額の一部を国が交付金という形で支援するという制度があります。今回はJR北海道が単独維持ができないとした13区間のうち、利用が少なく廃止し他の交通モードへの転換が必要とした5区間を除く8区間(宗谷線名寄-稚内・石北・釧網・花咲線釧路-根室・富良野・室蘭線苫小牧-岩見沢・根室線滝川-富良野・日高線苫小牧-鵡川)の維持についての話です。
つまり、以前あった国からの400億円の支援とは別の話であることに留意する必要があります。
日本経済新聞 2018年08月20日
JR北、改革待ったなし 2年で400億円台支援 国、長期援助拒み覚悟問う
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34284720X10C18A8ML0000/
経営再建中のJR北海道に対し国土交通省は7月、2019~20年度に400億円台の財政支援を実施すると表明した。期限を設けてさらに身を切る改革を求め、同社への監視を強める新たな体制を敷く。過去に何度も国から支援を受け、待ったなしの状況にあるJR北は、この2年間で収益改善への覚悟が問われる。
この400億円はJR北海道が単独維持可能とした路線、また本州から北海道を訪れる際、北海道の物品を本州へ移動させる際に使われている路線。要は本州にとって必要だと思える路線に対して支援しましょうという話です。この件は以前ブログでも記載しましたが、国がJR北海道に求めた経営努力の部分で、北海道だけが利用する路線ではなく「本州で必要とされる」部分に関しては面倒を見てやるという内容になるわけです。さいしょから「事業範囲の見直し」をおこななわなければならないと明記しているのです。
North-tt
JR北海道への400億円の支援が意味する「JR北海道への監督命令」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=341
で、このときに
毎日新聞 2018年07月27日
8線区支援 国、年最大50億円検討 自治体も同額負担
https://mainichi.jp/articles/20180727/ddr/041/020/004000c
経営難のJR北海道が維持困難と表明した13路線・区間(線区)のうち、国が8線区を対象に毎年40億~50億円程度を支援して維持する枠組みを検討していることが26日、明らかになった。北海道と沿線市町村にも同額の負担を求める方向で、年間の支出は計80億~100億円程度になる見込み。
このように表明された国も8区間の維持に支援するが「北海道と沿線市町村にも同額の負担を求める」(このとき負担した自治体への財政支援も行う)という表明だったわけです。
この件は各自治体が「負担できない」「法的根拠が明確でない」などと反発していたわけで、この調整がつかず、今回支援の先送りという結果となったわけです。
まず、そのあたりを混同しないようにしましょう。国はJR北海道を見限ったとか、地方を捨てたというのは早合点です。国は最初から「国として(本州として)必要な路線に対しては最初から支援する」というスタンスであり、8区間を含め別に要らないでしょというのが根底にあるわけです。
これについては私のブログでいくつか取り上げています。
North-tt
JR北海道への400億円の支援で北海道は「国の言いなり」で良いのか?
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=342
North-tt
JR北海道路線問題と財務省財政制度等審議会
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=296
特に財務省財政制度等審議会の報告では北海道新幹線の赤字と維持困難な線区の営業損失が無ければ経常利益の黒字化が見通せると書いていますが、これは北海道新幹線だけではなく、北海道内の「維持困難線区」全てを廃止するという前提になります。
言ってることはわかりますが「赤字路線廃止すれば黒字化できるじゃねぇか」と財務省(と有識者である委員)が机上でソロバンはじいただけの北海道民をバカにした報告を出していることにもっと北海道民は怒らなければならないし、この点から今回の支援見送りになったということは「今後復活しないかもしれない」ということでもあるわけです。
ならば、北海道知事にせよ沿線自治体にせよ報道機関にせよ「ふざけるなまず国が8線区維持に金を出せ」と表明したっていいのです。しかし、報道はこのあたりをふわっとした論説で終わらせているように見えます。
北海道新聞 2018年12月04日
維持困難8区間に国支援見送り 道単独で数億円規模に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/254362
道や沿線自治体は、8区間の路線維持に向けた地元の財政負担に対し、国が地方交付税で穴埋めする地方財政措置を要求。さらに、地域鉄道だけ認めている地方交付税に基づく支援について、JRも対象に加え、国の負担割合を現状の3割から上積みするよう求めていた。これらが認められれば、道と沿線自治体で数十億円規模を支援に充てる見通しだった。
しかし、総務省は「地域鉄道でさえ3割なのにJRで5、6割にするのは難しい」(幹部)として国の負担割合の上積みを認めなかった。道幹部は「国の負担割合が3割のままでは、自治体が毎年度、自腹で数十億円を支援するのは難しい」とし、道単独の数億円規模の支援が限界とみる。
と国側の観点だけが報じられるわけです。
そして
北海道新聞 2018年12月04日
沿線自治体、路線維持を危惧
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/254361
JR石北線沿線の辻直孝北見市長は「厳しい財政状況にある地方自治体が支援するには、地方財政措置は欠かせない」と強調。ただ、同市幹部は「北海道だけを特別扱いする地方財政措置のハードルは高く、年内に制度設計するのは無理だと思っていた」と冷静に受け止めつつ、「2019、20年度に新たな仕組みができなければ、JRが8区間の存廃議論を再び持ち出しかねない」と気をもむ。
一方、JR幹部は、19、20年度の支援額が数億円程度にとどまる見通しになったことについて「想定よりも少ない支援額になれば、車両の更新をいったん取りやめるなどの対応が必要だ」と落胆した。
と、なにやらJR北海道が車両更新等を我慢すればいいレベルであるようないい加減な記事も掲載。起きてることはそんな生やさしいことではないのです。「8区間の存廃議論を再び持ち出しかねない」って当たり前でしょ。
8路線はどうなる?
何度も書くように、最初から利用が多くない区間であり、しかも広域観光客が使うと良いながらもその実数は多くない路線です。全ては残せない可能性が高い。しかし、これらを地元拠出で残すというのも非常にハードルが高い。一定の国の支援が無いと維持できないことははっきりしているわけです。
ならば、地元はこの路線が何故必要なのか、そして、維持できたならどうしたいのかを国にアピールする必要がありました。そのなかで、支援できる幅を伝えていくことも必要だった。しかし、国は「御用聞き」はしてくれないので、北海道知事を中心にした「アピール隊」として活動する必要はあったと思います。何か勝手に維持されるはずとタカをくくっていたのではないかという印象があるわけです。
たとえば石北線がいくら道外へのタマネギ列車が云々といっても、今や貨物列車は1往復、残りはトラックで旭川に運んでいる以上全て旭川に運べばいいのでは?という疑念にどれだけ答えられていたのか?という話です。
とはいえ、今回の話はJR北海道にとっては地域に「選ばれない鉄道」であったとも言えるわけで、この先10年8区間の維持が全てできるかはかなり難しくなったとも言えましょう。それ以前に5路線は今すぐにでも廃線するような状況にならざるを得ません。
幾らマニアや一部自治体が北海道新幹線が要らなかったんだ!と叫んだところで代わりに地方の路線維持されるわけでもなく、国は400億円でとりあえず青函トンネルや快速エアポートなど本州が使う路線だけは死守するんだという形にシフトしてしまっている以上、私がふざけるなと書いた財政制度等審議会の目論見通りになるはずです。
それを止めて、JR北海道を北海道民のための鉄道会社に呼び戻せるか、それはちょっとやそっとの利用促進でももう無理です。国交省に座り込んでも必要性を訴えるくらいの鋼の意思と応分の負担は必要になりましょう。
何度も書いていますが、カネが無いのはどこも一緒です。しかし、稚内にも根室にも網走にも行かないような鉄道が「JR北海道」を名乗ってはならないわけですよ。本気で残すなら知恵と行動が必要なのです。そして、今の各自治体の動きは残念ながらその行動が見えない。「本当は要らないんでしょ?」と国にもJRにも地元民にも思われているってことです。