北海道の交通関係

札沼線北海道医療大学-新十津川の廃線合意

2018/12/21

 

日本経済新聞 2018年12月20日
JR北、札沼線沿線に18億円 20年廃線で4町と合意
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39204630Q8A221C1L41000/
> JR北海道は20日、札沼線(北海道医療大学―新十津川)を2020年5月7日に廃止することで沿線4町と正式に合意した。月形町役場でJR北側と4町とが開いた会合で決めた。
廃線後のバス転換や街づくりにJR北が計18億1600万円を支援するとの覚書に4町長とJR北の島田修社長が同日調印した。 JR北が4町に支払う18億円強の内訳は、バス転換にかかる自治体負担の20年間分として14億8600万円、沿線の街づくりへの支援に3億3000万円。
鉄道とバスの定期運賃の差額分もJR北が保証し、鉄道や関連設備の土地は無償譲渡する。医療大―石狩月形間は片道15本からバス転換後に18本と増便。医療大駅には鉄道とバスの乗り換えターミナルを設ける。

残りは合意、調印だけになっていた札沼線(学園都市線)北海道医療大学-新十津川の廃線が決定しました。各報道媒体からその合意内容を確認してみます。

札沼線廃線合意内容

(あくまで報道されているもの)
・廃線予定日:2020年5月7日
 (2020年5月6日まで鉄道運行。5月6日は振替休日)
・鉄道設備・関連設備の自治体無償譲渡
・設備撤去費用の負担
・北海道医療大学駅にバス-鉄道乗り継ぎターミナル機能・パークアンドライド駐車場整備
・定期券について鉄道運賃とバス運賃の差額補填
・代替バス・既存並行路線バス運行費用の補填20年分(14億8600万円)
・沿線4町のまちづくり支援金として20年3億3000万円
・学園都市線札幌-北海道医療大学の運転本数を11本増加(北海送医療大学駅札幌直通発着本数現行40本、以北を含めた本数55本に加え11本増加し66本に・なお、19年3月改正で北海送医療大学駅札幌直通発着本数は52本に増加予定)
・石狩当別駅付近にJR社員寮兼学生向けのアパートを新設

代替バス・既存並行路線バス運行費用の補填

これについての内訳ですが

 

北海道新聞 2018年12月21日
札沼線廃止、21日にも届け出 JR、沿線4町と覚書調印
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/260631
>浦臼町―月形町―当別町のバス路線新設に伴うバス購入と停留所設置の費用や、既存バス路線の運行経費の町負担分の交付

が盛り込まれているようです。現在鉄道車両2両で運行している区間ですから本来バス2台で運行可能なはずですが、医療大―石狩月形の本数を現行の15本から18本(9往復)に増便。(日経の片道18本は微妙な表現)とのことで複数台の新設費用を見込んでいると思われます。
なお、

 

北海道新聞 2018年12月21日
駐車場1.4倍に/南西側に新改札口/スロープ新設… 北海道医療大駅改修へ 札沼線廃止覚書調印 当別町、バス利用を促進
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/260562
>バスの運行は、特に学生にとって区切りとなる新年度開始に合わせて、20年4月に始めることを検討している。

バスの運行は鉄道廃止前から始める可能性を示唆しています。

石狩当別-北海道医療大学-石狩月形は18往復のバスを新設。今のところ代替バス事業者は発表されていません。この区間は定期券の発売枚数が月27枚ほどあります。月形町は月形高校への通学費用を半額補助しており、これは町外の通学生についても適用となります。しかしながら町民の町外への通学に関しては補助を行っていないようです。神姫バス路線の通学定期に関しては、3年まで(通学期間内)JR北海道から鉄道運賃との差額補助を受けられることになります。月形町が住民説明会で発表した資料では運賃は鉄道の1.3倍程度になるという試算になっていますが、通学定期運賃に関しては場合によっては倍から3倍程度になる可能性があります。町が行う町外通学分の通学定期補助もJRが負担するのかまではわかりません。

浦臼-新十津川に関しては浦臼-滝川の中央バス既存路線をそのまま使用(特に増便などは無い模様)この区間を鉄道通学する生徒はいないが、留萌線の先例ではこの区間の定期券も補助対象となると思われる。現行浦臼町民の高校通学生は定期運賃の1万円を補助されている。浦臼-新十津川なら通学バス定期1ヶ月17,280円から1万円補助され7,280円。JR北海道の運賃計算なら6,900円なのでJRが3年間分を毎月10,380円負担するという形になる。(町経由で補填)滝川への通学生も見るのなら鉄道区間分をJRが負担するということになるだろうか?(浦臼-滝川の通学バス1ヶ月定期運賃20,040円)
なお、新十津川町民で浦臼側への通学・通勤実態は無いが、花月地区(下徳富付近)からの通学があると思われるので、同様の補助が発生すると考えられる。
これとは別に浦臼町が負担する中央バス路線補助(額は公表されていない)および新十津川町が負担する路線補助分をJR北海道が負担することになる。

石狩月形-浦臼は既存の浦臼町営バス(浦臼町内のみ運行)を延長すると考えられる。この区間は現状6往復で、月形への通学定期での利用は4名ほど。奈井江商業、砂川・滝川方面への通学の方が多いと思われます。新設されるバスの定期券補助も鉄道並み運賃で行われると考えられます。また、浦臼町に関しては今回JRは浦臼-奈井江の町営バスの土曜・休日運行のほか、浦臼-美唄へのデマンド新設路線も20年支援するとも表明しています。

まちづくり支援金

こちらに関しては北海道医療大駅改修費用は別枠として含んでいないことが発表されています。

 

北海道建設新聞 2018年11月12日
鉄路廃止でバスターミナル機能持つ拠点施設を計画 月形町
https://e-kensin.net/news/110634.html
>まちづくり拠点施設にはこうしたバスの発着場を設けるほか、公共施設との複合化や統合、民間事業者との連携も視野に入れた整備を進める。
 本年度は事業費に約650万円を投じ、基本構想を策定する予定。
>事業費も未定だが、一部は札沼線廃止に伴うJR北海道からの支援を活用する見通し。

この支援金で月形町は複合施設の建設を予定しているようです。これは夕張市の「拠点複合施設」に近いものを想定しているのか、もう少し違ったものを想定しているのかははっきりしませんが、月形は駅と町役場・高校などが比較的近いこともあって、どのような施設を入れるのかは注目されます。
また、月形には道の駅が無いため、偕楽公園等の改修などにも使われる可能性がありましょう。

浦臼町は駅自体が町の持ち物であり、歯科診療所が同居していることからこのままで利用し、踏切撤去で駅裏側からとの行き来をしやすくするように思われます。ここも駅と役場、市街地が比較的近いので、観光など箱以外に使われるのではないかと思われます。

新十津川町も道の駅等の施設がなく、また、国道が町内を折れ曲がっていることから、線路敷きを利用して滝新バイパスと雨竜側を繋ぐなどの検討はされるかもしれません。そのときに道の駅的な整備(これは増毛駅を廃止後拡充した増毛町の例に近いもの)が予想されます。

鉄道が残り、廃止区間の利用がほとんど無い当別町への割り当てがどの程度かはわかりませんが、JRがアパートを建設するなどの支援を行う以外の話は出てきていません。札幌圏にありながら人口が減少傾向にある当別で列車本数を増やしても乗車数も増えず、JRへのじわじわとしたダメージを与えるための要望内容だったのかとも思うところです。

再掲:札沼線沿線自治体の廃止への対応年表

2016年3月 札沼線の一部列車を減便。これによって浦臼-新十津川は朝の1便のみの運行となる。(逆に言うと民営化後30年変わらずダイヤは維持されていた)
2016年11月 JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」として上げた13線区、区間のうち「鉄道よりも他の交通機関の方が適している」とした3線区のうちの一つとして発表
2017年1月 新十津川町での住民説明会
2017年2月 浦臼町での住民説明会
2017年7月 沿線4町意見交換会。当別町長が新十津川-滝川延伸に言及(ただし他の町の理解得られず)
2017年8月 月形町が月ケ岡駅の改修を表明。(国道沿いのため観光拠点化するのが名目)
2017年8月 沿線4町意見交換会。北海道の鉄道ネットワーク・ワーキングチームフォローアップ会議の岸邦宏座長を招くが「利用促進を図ると言うことだけでは難しい」ことを聞く。
2017年10月 「札沼線存続」を銘打った各町長が案内するバスツアー開催。中央バス子会社に委託し1万5000円あまりの参加費を徴収。鉄道には浦臼-新十津川の260円区間のみ乗車する「存続企画」。
2017年11月  沿線4町意見交換会。新十津川町の熊田義信町長は「札沼線の現状維持は非常に厳しいという認識。浦臼町・月形町までの存続が可能かどうかについてJR北海道の考え方を聞きたい」
2017年11月 北海道新聞にいすみ鉄道社長鳥塚氏のインタビュー記事掲載。「1日1往復しかない札沼線の新十津川駅なら、駅前に全3室のホテルを造って地元が運営したらいい。「列車がないから泊まって」と地産地消の料理でもてなすだけで全国区になる。」などと無責任な放言。
2017年11月 沿線4町意見交換会。JR北海道西野副社長を迎え、浦臼町 斉藤純雄町長:「浦臼まで残れるか、月形までならどうなのか、という思いが少しあったが、この数字を見たら、希望も吹き飛びました」とのコメント。
このときはJR北海道側も踏み込んだ「高校生の利用が多い石狩月形駅など途中駅までの運行費用の試算についても、利便性を落とさずに、車両や乗務員のやりくりなどでできるだけ費用を減らせるダイヤを「白紙から考えた」と踏み込んだ。ただ、大幅削減にはつながらず、月形、同管内浦臼の両町長が「厳しい」との言葉を漏らしたほどだ。」という地元にかなり配慮した試算も行っているが、その試算すら「厳しい」とのコメントだった。
2017年12月 「札沼線沿線の自治体は、JRの路線維持について協議を深める検討会議を立ち上げることにしました。」との報道。あくまで「意見交換会」だったものを「路線維持を要望」とするとの意思。いすみ鉄道視察を発表。
2018年1月 「鉄道ネットワーク・ワーキングチーム」にて「宗谷、石北線維持」を盛り込むとの報道。月形町反発を表明。
2018年1月 沿線首長いすみ鉄道視察。新十津川の熊田義信町長は「地域事情に大きな相違があり、同様の(いすみ鉄道と)運営は当てはまらない」という考え。
2018年2月 JR北海道「札沼線(北海道医療大学・新十津川間)の新しい交通体系の提案内容について」資料発表。バス転換時のおもな路線網などの提案内容を公開。
2018年3月 JRと各町が個別に協議することを「検討会議」で発表。新十津川は「存続困難」と住民に説明。
2018年4月 JRと当別町個別協議を開始。報道は無かったが浦臼、月形も協議を行っていると報告。
2018年4月 北海道知事札沼線沿線の4町との意見交換会に初めて参加「廃線になっても協力を」との報道。
2018年5月 月形町での住民説明会(月形町最初の説明会)
2018年6月 月形町長「廃止受け入れ」判断
2018年7月 浦臼町長「万策尽きた」廃線容認を表明
2018年10月 当別町廃止容認
2018年12月 JRと4つの町は、再来年5月に廃止する方針で一致・調印

カテゴリ: 北海道の交通関係 札沼線 留萌線 石北線 路線バス

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