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北海道の交通関係
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あまりにも道民をバカにした「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」
2018/12/24
12月22日は「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」を聞きに行きました。
北海道
「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」を開催します
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/forum301222.htm
・基調講演 「みんなで乗って、未来を変えよう」~道民自らが創る、まちと公共交通の未来~
北海道大学大学院 工学研究科 准教授 岸 邦宏 氏
・特別講演 「おいしいローカル線のつくり方」
NPO法人おいしいローカル線をつくる会 理事長 鳥塚 亮 氏
・パネルディスカッション
北海道知事 高橋 はるみ
北海道大学大学院経済学研究員教授 吉見 宏 氏
JR北海道 代表取締役社長 島田 修 氏
北海道鉄道観光資源研究会代表 永山 茂 氏
・行動宣言
定員800名という触れ込みですが、実際の聴衆は600名ほど。それも多くは動員のかかった自治体、道庁関係者であることは、来られた方の服装などを見ると明らかに見えます。
昨年の「公共交通ネットワークフォーラム」
北海道庁主催での公共交通系フォーラムは昨年12月17日に開かれた「道民みんなで創る! 公共交通ネットワークフォーラム」も聞いてきているのですが、まず、昨年のフォーラムでどのような議論があったのかを確認しておきましょう。昨年は市長会会長菊谷伊達市長、北海道観光振興機構会長堰八氏が参加されていて、市町村の立場、観光系の立場からの公共交通問題についての発言がありました。
たとえば
・市長会
住民にJRへの「乗り癖」がついていない。そういう意味では自治体は公共交通を使う方策をやってこなかった。
2次交通、3次交通が整備されていくことによって、沿線では無い自治体にも観光面でワンチャンスあるのでは無いか。
駅前は生活がしずらくなっている。地方では民間の投資が無いので自治体自らが投資して整備を行わなければならない。
・観光振興機構
道外からの観光客は600万人、海外からが230万人。交流人口は右肩上がりで増え続けている。鉄道そのものが観光資源である。
インバウンドの個人旅行化が進んでいる。道外客の3割、海外客の5割が何らかの区間で鉄道を使っている。
自治体にしてみれば道路等に比較して公共交通に関わる部署への予算は少なく、それを使うというような誘導策は乏しい。しかし、駅から観光施設への二次交通アクセスがなければインバウンド客を取り込めない。(裏を返すと今まで道内観光客しか相手にしない、勝手にクルマで来るのが前提だから力を入れる必要は無かった)
そして、観光振興側からはこれだけ鉄道利用のインバウンド客がいる。現実にJRのパス利用が10万人以上、単純にJRの運輸収入のうち20億円以上はインバウンドであり、自治体はこれを軽視していると思っている節があります。
・JR北海道島田社長
自助努力について車両投資は1両3億かかる。安全コストもかかる。とし、リゾート車両は寿命であり、安全投資優先の中観光車両投資は難しい。とも発言しています。
高橋知事はこの席で
四季島のような豪華列車はあとの楽しみにしている。
道南いさりび鉄道のながまれ号、沿線でおもてなしをしており賞も取った。
モニターツアーもやっている。来年度以降も行う。
道の基本的な考え方として
・JRの自助努力、JR九州のような不動産開発
・国の実行ある支援
・地域の実情に応じた方策
このような発言をしています。
会見などでも言う「JR北海道の自助努力」ですが、決算書上赤字路線の黒字転換はどう足掻いても無理で、かといって収益路線があるわけではないJR北海道が一定の経営安定基金の運用益で赤字を相殺して運営する会社であることを考えると「自助努力」でどうにかなるような状態はとっくの昔に終了しているのは明らかなわけです。
このときも北海道大学大学院工学研究院准教授岸邦宏氏の講演があり、道民540万人が年4000円使えばJR北海道の赤字は無くなると発言しています。それを踏まえても、現実的では無い数字なわけです。その上でJR九州のようなとJR九州がどれほど素晴らしい会社とみているかはわかりませんが、現実的に上場時に経営安定基金で鉄道施設の減価償却を行い名目上黒字化させたJR九州の鉄道事業は今後の後ろ盾も無く、何かを投資すれば今後は償却資産の計上で赤字化する可能性があるため、極端な駅無人化、特急すらワンマン運行のような状態になっていることを理解していない発言な訳です。
なお、このときの聴衆は約300人。会場は満席になりました。
今年の「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」
どアタマに持ってきたのは「北海道150年若者映像コンテスト」の「10代部門 グランプリ」であった作品の上映と作者紹介。彼らに罪はないけれど、申し訳ないがただ電車を撮りました、盗撮的な通学風景の撮影なんかも含めて、どこに主眼があるのか全く見えない作品に写りました。これ、北海道側が意図してこの作品をグランプリにしたんでしょ。youtubeの再生回数見ても話題にすらならなかった作品ですね。北海道150年事業
「北海道150年若者映像コンテスト」
https://hokkaido150.jp/project/recommended/2018/08/24/post-4158/
高橋知事の主催者挨拶、国土交通省北海道運輸局長大高氏の来賓挨拶も含め、政治的な意図があってこの会が行われていることを色濃く感じる挨拶でした。聴衆は北海道民でなければならなかったはずです。あくまで国、国会議員に北海道はやっていますよアピールの場としてこの会を使ったというのが見えた挨拶でした。
・基調講演「みんなで乗って、未来を変えよう」~道民自らが創る、まちと公共交通の未来~
北海道大学大学院 工学研究科 准教授 岸 邦宏 氏
昨年に引き続き登壇した岸教授。鉄道ネットワーク・ワーキングチーム座長という点で維持困難線区のあり方をまとめた方。
内容的には北海道民500万人が年4000円使えば200億円。JR北海道の赤字が無くなる。もう一つはJR北海道の特急運行区間の「市」で、OD調査を用いた自動車での移動(平均1台1.3人乗っている)の一部が鉄道に切り換える試算。どちらかといえば道民全員よりこちらの方がまだ実現性が高く、この試算を出したのは評価したいところです。報道ではこちらを取り上げる方がよかったと思う。
ただ、その中でもやはりJR北海道の「自助努力」なわけです。JRが不便だから、便所が汚いから、えきねっとが使いにくいから。わかりますけど、そんなレベルの話なの?という疑念があります。既に乗るか乗らないかのレベルでは無い。乗るとすれば強権的に乗せるくらいな状況で無ければならないのに、JRがちょっとやそっと努力したかどうかの話では既に無いわけです。特に石北線や宗谷線のような収入が倍になっても赤字解消にはほど遠く、その経費部分にメスを入れる、また、設備の更新等支出がかかる状況を目前にちょっとやそっと乗ったからどうかなるような状況じゃ無い。それが含まれなかったのは残念です。
また、札幌からの距離が300kmを越える、東京-名古屋より遠い区間を「地域交通」とするのは疑問という話も、個別に見れば「地域交通の連続」なわけです。幹線交通として見て欲しいのなら普通列車は全廃止、全て特急にするという話でなければなりません。それを求めているのか?という疑問があります。
本当に地域にとって必要な交通機関は何か?それは鉄道なのかという根本のところがいつも誰も手を着けないのはなぜなのでしょう。
・特別講演 「おいしいローカル線のつくり方」
NPO法人おいしいローカル線をつくる会 理事長 鳥塚 亮 氏
いすみ鉄道前社長鳥塚氏はブログでJR北海道批判を繰り返し、地域的な特性なども理解しないままに都合のいいデータだけで書いている印象です。
今回の講演ではいすみ鉄道の沿線の取り組みを写真で紹介していきます。
・金が無い
・地域の人がボランティアで動き
・鉄道会社はどう答えたか
これは非常によく練られた、この取り組みを面白おかしく紹介していく、さすがの話術と思います。これは裏側に「北海道の沿線地域がなにもしていない」を言っているわけです。駅の清掃は巡回してくるJR職員任せ、沿線の草刈りもJRが行い、草刈りが悪いとクレームを入れる地域、イベント列車をやっても集まって歓迎するのは最初の1本だけ。あとは駅で観光客を放置。私が知る限りでもこのような自治体、地域は少なくありません。ノロッコ号など観光列車が走る区間ですらこんな状態なんです。
そしていすみ鉄道が第三セクターであるということを強調しています。千葉県、沿線自治体が株主であり、その支援無くては運営できない。沿線自治体の鉄道な訳ですから駅や設備を自分達で維持するのは当然と地域や地元の学校が動いていること。そして観光客が来たところで「鉄道事業は赤字」であること。(この部分のどよめきが大きいのが、いすみ鉄道を「赤字の鉄道会社を復活させた」と報道され刷り込まれたことの裏返しな訳です。現実は鉄道の赤字を県と沿線自治体が補助して何とか維持してる鉄道です)
・パネルディスカッション
北海道知事 高橋 はるみ
北海道大学大学院経済学研究員教授 吉見 宏 氏
JR北海道 代表取締役社長 島田 修 氏
北海道鉄道観光資源研究会代表 永山 茂 氏
正直言うと昨年より中身が乏しいと言わざるを得ません。議論と言うより各自がこれまでの取り組みを話すだけ、そしてこれからどうするかを「乗る」という視点で話すことになります。
吉見氏は国内・海外事例を紹介し、乗りやすくする必要性を発表。
島田氏はこれまでのJRの取り組みなどを。
永山氏は鉄道観光についての理想論を。
発表する場としてはそれでいいんだけど、じゃ、誰がどのようにやるのかという実行面の主体が見えないわけです。そうすればその実行を司るのは北海道庁のトップ高橋知事であるわけですが、これまた私の心に残る内容が無いわけです。「オール北海道で考え行動する」オール北海道のトップは知事、あなたではないのですか?
最後に「行動宣言」として全員起立で「みんなで乗れば、未来が変わる」ですって。
ふざけるのも大概にせい
さて、今回のフォーラムは昨年に引き続いて北海道庁が何もしていないという批判に対して、あれもやってるこれもやってるというアリバイ程度の内容であると言ってもいいと思います。そして昨年も岸教授が言っていた「道民500万人が4000円使えばJRの赤字は解消する」という言葉を取り上げて「道民が乗っていないのが悪いの、私たちは悪くない」という意識を出そうとしたように思うのです。鳥塚氏とどのような打ち合わせを行ったかはわかりませんが、氏の講演も「沿線地域住民は何もしていない」の裏返しとしてのいすみ鉄道の沿線住民の努力を言うわけです。鉄道の利用促進が必要なんてのは今言い始めたことではなく、JRは早くから地域の利用促進が必要としました。それを2年放置して今やっと知事が「道民一人一人がそれぞれの立場で考えて、何をすべきか行動する」と言いますか?要するに北海道庁への批判をそのまま道民が乗らない、道民の理解が足りない、道民のやる気が無いと北海道民に転化しているわけです。
ここ2年の話をすればJRは地方線区の減便を続けたこともあって「乗せる努力」を怠ってきたという批判は当然です。しかし、その理由は車両面の不足であることも明らかなわけです。北海道はJR北海道への直接的な車両面を含めた補助を行うどころか、観光列車を仕立てて運行するという方法を取りました。そんな数本の観光列車で何が変わるのですか?そして沿線も道の事業の観光列車には協力し、各駅で乗客に振る舞い歓迎イベントを行いました。なぜそのイベントを今まで一度も行っていなかったのですか?
つまり、北海道がリーダーシップを取って観光列車の歓迎を行いましょう、職員の出張はJRを使いましょう、乗客数の数値目標を出しましょうとやれば渋渋でも沿線自治体はついてきたはずなのです。しかし、やったことは観光列車。観光用リゾート車も寿命ですと昨年JR北海道に言われたわけです。それでも観光列車。物事の本質が全く理解できていないのですよ。観光列車は必要ですが車が無いじゃないですか。
その上で、今度は道民が使わないのが悪いだぁ。ふざけるのも大概にせい。
そんな奇声を上げさせるくらいなら、このイベントの後ろの展示スペースで各自治体が切符売ればよかったんですよ。JRにはできないことですよ。自治体が地元の駅で1000円分でも切符買って600人に売りつければいいんですよ。もしくは札幌駅まで行って今日は一人1000円買いましょう!とやればいいんですよ。あの600人でこの週末にJR乗った人何人いますかね。知事も含めて何人もいないでしょ。Twitterとかで書いた人すら皆無。つまり、あの場は「国会議員候補の現知事の為に集まった動員」なんですよ。誰も公共交通のこともJR北海道のこともどうでもいい。ただ知事の失点にならないように「やるべきことをやった」という実績のためだけに集められたわけです。そこで岸教授が鳥越氏がいくら講演しても誰の心にも響いてない。みんな「どうでもいい」じゃないですか。
本当に「公共交通に乗せる」気があるなら、少なくとも道の出先機関の出張はすべて公共交通で。車で移動なら別に切符買って倍の経費で移動させる。自分達でまずお手本を見せなければダメです。ノーマイカーデーで通勤させるのもあたりまえ、クルマ通勤者も定期買わせてくらいしなければだめでしょ。それで増えたところで維持できないんですよ。
石北線・宗谷線等はどう考えても地元自治体だけで維持なんかできない。絶対的に国の手助けが必要。その国からの「誠意を見せろ」に答えられないから結局財源の補償ないままに道が少なくない金を拠出しなければならない。昨年のうちに国と根回ししておかなければならなかったことじゃないですか。いつまでもJRの自助努力とか言って議論を先送りしてあわよくば自分の任期切れで逃げればいい的な考えだから道民の負担が増えたって事ですよ。それを道内マスコミはろくに報じない。その上道民が乗らないのが悪いんですだと?
「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」録音
しばらくの間当サイトでこのフォーラムの録音をおいておきます。報道では一切振れられなかった中身を是非ご確認ください。・北海道150年若者映像コンテスト作品発表
・主催者挨拶
・来賓挨拶
・基調講演
北海道大学大学院 工学研究科 准教授 岸 邦宏 氏
・特別講演
NPO法人おいしいローカル線をつくる会 理事長 鳥塚 亮 氏
https://traffic.north-tt.com/txt/20181222_01.aac
・パネルディスカッション
北海道知事 高橋 はるみ
北海道大学大学院経済学研究員教授 吉見 宏 氏
JR北海道 代表取締役社長 島田 修 氏
北海道鉄道観光資源研究会代表 永山 茂 氏
・行動宣言
https://traffic.north-tt.com/txt/20181222_02.aac
録音公開は期間限定とします。