北海道の交通関係


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2018年を振り返って

2018/12/28

さて、5月頃から文章量が比較的多くても問題無いことから、活動をブログに移してきたわけですが。よく書いたのがなんのかんのと既に5年近く問題が長引き、その事業主体がSOSを上げる状態になって既に2年経つのに具体的な動きの見えないJR北海道問題。

昨年12月は青函トンネル内の新幹線高速化試験が決定したニュースからはじまりました。この高速化試験は9月の北海道胆振東部地震で一部の試験項目が行えなかったという面はありましたが、無事に現在の最高140キロから160キロへの拡大が2019年3月改正から行われることになりました。「4時間の壁」なるマスコミ用語が飛び交う中、数分の短縮で劇的な効果が無いのは明かではあるのですが、札幌開業を前提にすればスピードアップは当然の条件。これとともにJR東日本東北新幹線区間のスピードアップも実現に入ってきますので、札幌開業時にはざっと東京-札幌の4時間半程度、大宮-札幌という区間前提で4時間程度を視野にしているものとおもわれます。

また、北海道と本州の高速輸送では関西-釧路空港のpeach就航。こちらも道東を中心に大騒ぎしました。8月1日からの就航となり、効果があったと好印象に取られていますが、結果的に1往復満席で180席、それ以上の効果はないわけです。(まぁ、満席の客が宿泊など使えばそれなりに効果はあるとは言え)他の輸送機関などでの客を押しのけてpeach客優遇をする、また、二次交通を整備するなどを行うのは、今まで輸送に尽力してきた既存航空会社等は今まで散々要求してたのに反故にしててLCC就航でこれかよと関係悪化に繋がったのでは無いかと心配なところです。

そして、LCCといえば鳴り物入りで登場した成田-函館のバニラエアが来年3月に撤退することを発表。着陸料補助などの優遇が終了するタイミングでの撤退になります。函館関西線も今年2月に休止後復活は無く。LCCにせよ一時就航撤退を繰り返したスカイマークなども含め、結果的に行政補助が無いと立ちゆかない格安航空の現状を見たようにも思います。

JR北海道問題では昨年12月高橋北海道知事が国土交通省の支援を要請。8線区に関して「国が中心的な役割を担う必要がある」との要請書を出したということですが、元々国交省は北海道の地方路線については「地域交通」であるとしていますから、まず地元自治体が動いてくれと言う立場を取っているわけです。それを無視して「国が中心」などというのは飲めるわけも無く、そして今年12月に単独支援「数億円」を発表するまで北海道と沿線自治体は出し渋った。結果国からの支援も得られずに終わるという、見せしめのような対応を取られたわけです。

新幹線札幌駅位置問題は現駅案、地下案、大東案と揺れに揺れて最終的に大東案に決着。これは批判も多かったものの、実際に現在の駅ホームの構造上ホームの狭さ等を考えてもゆとりがある配置が可能でビルなどの影響の少ない大東案は一定の評価ができましょう。地下案は理想ですが工事が間に合わない可能性が高く、将来の延伸に不安を残します。大東案の最大の懸案は地下鉄との乗り継ぎで、東豊線は比較的簡便でしょうが南北線は札幌駅の大規模な更新、拡張工事などとともに乗り換え導線を構築しなければならないでしょうね。正直なところJR在来線から新幹線利用はそれほど重視しなくてもいいレベルの利用者しか見込めませんので、乗換通路さえしっかり作れば良しです。

函館や札幌での本州資本によるホテル建設が続いているのはこの新幹線による流動増加を見越したものでしょう。札幌で昼間観光していても1時間程度で函館に行ければ夜景観光、温泉など函館で宿泊することもできる。これは逆もまたあるわけです。夜景の時間から札幌に移動も可能というのが新幹線の魅力になる。観光が拠点化から周遊型に変わっていくわけですね。札幌-函館が「半日潰す」距離ですので1泊2日のような行程では観光できないわけです。

さて、昨年1月、あまり記事になりませんでしたがJR北海道社長は強い言葉で今年の決意を言い表しました。

HTBニュース 2018年01月17日
JR島田社長「路線見直しは延命策でなく解決策を」
https://www.htb.co.jp/news/archives_518.html
JR北海道の島田社長は17日、「一時的な延命策ではなく、高校生の通学輸送が中心で今後利用者が減少する中でどう再構築していくのか。メスを入れなければ」と話しました。また、「一時的な資金の手当てであれば資金繰りは解決するものの、今より困難な状況の中で返済の問題が発生する」と懸念を述べました。
 その上で、「本質的な解決を先送りせず『北海道方式の解決策』を相談したいとしました。


結果で見ると夕張支線と札沼線北部の廃線届けを提出、廃線提案5区間のうち2区間を解決したということになります。

北海道庁主催の観光列車モニターツアーは1月に行われましたがその後は結局今年12月の復興クリスマストレインまで何も行われませんでした。北海道庁は「観光列車」と言いながら実質的な予算も取らず放置したということになります。そんななかJR北海道が単独で行ったのが花咲線の「いつもの列車で観光気分」と普通列車の減速、スマートフォンによる観光案内構築などを行う、富良野線、室蘭線、夕張支線などで地域イベント連動の増発列車運転など、過去にあまり行われなかった列車の運行がありました。また、古いキハ40の内外装を装飾した「北海道の恵み」シリーズ車両を新設するなど、予算の乏しい中での施策を行ったのはよかったことだと思います。これは地元も運営に参加する釧網線の「流氷物語号」あたりからの施策と思います。かけ声だけで実体の全く伴わない北海道庁や一部の沿線地域を横目に「動き出した自治体と動かない自治体」の差が現れたのが観光列車の取り組みでしょう。

ファイターズ新球場の北広島決定についても、その後の観客輸送をどのように想定しているのかが見えない1年でした。北広島市議の一人は球場駅では町に金が落ちないから北広島駅まで歩かせるという意味の発言を行っており、本当に観戦客のことを考慮してるのかすら微妙なところであります。

新千歳空港駅のリニューアルに取りかかり、昨日完成お披露目が行われました。インバウンド客の増加に窓口対応が間に合わないような状態。既にJR北海道の鉄道運輸収入の3%程度はインバウンドのフリーパス収入で、その額は地方8路線の運輸収入並みなわけです。(もちろんこのフリーパス収入もこれら区間に案分されていることに注意)
また、新千歳空港駅の苫小牧、道東方面へのスルー化の素案も発表されています。

来年の消費税増税に合わせてJR運賃値上げも発表。

今年も北海道新聞は面白い社説をたくさんこの件では書いていますね。

北海道新聞 2018年06月21日
JR道内路線 「廃止ありき」は通らぬ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/201344
 沿線自治体との十分な議論もなく、鉄路の廃止がなし崩しに進んでしまわないか、心配だ。
 国、道、JR北海道などによる6者協議で、JR単独では維持困難とする10路線13区間のうち、JRが廃線とバス転換を求めていた5区間は、国の財政支援の対象外となることが固まった。
 JRの島田修社長は記者会見で地元負担を求めて維持を図る8区間についても、収支が改善しない場合の廃線の可能性に言及した。
 結局、島田社長は高橋はるみ知事に陳謝したが、当事者が鉄道を含む交通体系のあり方を検討しているさなか、廃線を持ち出すのは信頼関係を損なう行為だ。
 JRと道には、十分な説明と丁寧な議論を重ねるよう求めたい。
 6者協議でJRが示した経営再生の見通し案で、5区間は国に支援を求める対象としなかった。
 5区間のうち石勝線夕張支線は夕張市とバス転換で合意済みだ。
 札沼線北海道医療大学―新十津川間でも、空知管内月形町の上坂隆一町長はバス転換容認を表明、現状より高い利便性が見込めるとしている。地元が納得する形の廃線であれば、やむを得まい。
 残る日高線鵡川―様似間、根室線富良野―新得間、留萌線深川―留萌間のうち、日高線と根室線の一部は台風などの自然災害で不通が続いている。そのまま廃線にするとしたら、無責任ではないか。
 利用拡大や支援によって存続の可能性を探る沿線自治体が反発するのは当然だ。関係者で議論を尽くしてもらいたい。
 島田社長が廃線の可能性にふれた8区間は、道の交通政策総合指針で維持に努めるとされている。
 知事との会談で島田社長は「真意が伝わらなかった」と述べたが、JRは沿線自治体の立場を尊重しなければならない。
 道議会5会派は島田社長の参考人招致で合意した。地域の実情を踏まえた議論を深め、交通体系の将来像に反映させてもらいたい。
 政府は、この夏にもJR北海道の支援策の大枠を示す。
 忘れてならないのは、国の責任の重さである。
 JRの経営危機は、国鉄分割民営化当時の枠組みが通用しなくなった点が大きい。
 低金利政策の下で経営安定基金の運用益は低迷し、JR貨物がJR北海道に払う線路使用料も安く抑えられている。
 廃線を誘導するようなことは避け、政府は、JR発足以来の根本的な問題に向き合うべきだ。


はぁ?

北海道新聞 2018年06月29日
社説)JR社長招致 沿線の不信拭う努力を
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/203995
 JR北海道の路線見直し問題で、島田修社長がきのう、道議会北海道地方路線問題調査特別委員会に参考人として出席した。
 島田社長が先の記者会見で、路線維持が前提となっている8区間について、収支が改善しなければ廃線となる可能性に言及したことが最大の焦点となった。
 島田社長は「真意を伝えることができず、深くおわび申し上げる」と繰り返し陳謝した上で、発言を訂正したことを強調した。
 だが、沿線自治体に生じた「JRの本音が漏れた」との疑念を払拭(ふっしょく)できたとは言い難い。
 今後、JRは地域に対し、一層丁寧な説明を尽くして、信頼回復に努めるべきだ。
 島田社長は「(8区間は)地域と一体となり、全力で鉄道維持を目指す方針に何ら変わりはない」とも述べたが、喜多龍一委員長は「言葉だけでは信じられない」と不信感をあらわにした。
 8区間は、道の交通政策総合指針で「維持に努める」とされた路線だ。沿線自治体は存続を前提にJRと協議を続けてきただけに、発言に対する衝撃は大きい。
 路線存続に向け、JRは沿線自治体にも財政支援や無人駅の管理といった負担を求めている。
 信頼関係がなければ、負担に踏み込む議論などできないことを、JRは忘れてはならない。
 JRが廃線とバス転換を求めている5区間の協議の進め方については、島田社長は「期限を設けていない」と説明した。
 5区間の中には存続の可能性を探っている路線もある。社長の言葉通り、地元が納得するまで協議を重ねる必要がある。
 JRが単独で維持が困難とする路線は、道内全域にまたがる。
 道内各地の選挙区から選ばれた道議が、地域の実情を吸い上げ、まさに正面から論議すべきテーマと言えよう。
 昨年末、路線問題のために特別委員会を設置したにもかかわらず、これまで期待に応えるような審議をしてきただろうか。
 今回の島田社長の招致についても、聞きっ放し、言いっ放しで終わるようでは困る。
 議論を踏まえて、道内の公共交通体系の将来像を描き、必要な国や道の施策を提言していく姿勢こそが求められる。
 特別委員会だけでなく、本会議の代表質問や予算委員会などを通じて知事部局とも意見を交わし、道議会としての意思を積極的に示してもらいたい。


はぇ?

北海道新聞 2018年10月15日
社説)札沼線廃止へ 地域支援の履行着実に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/237943
 地域で十分な検討を重ねた上での決断を尊重したい。
 JR札沼線北海道医療大学―新十津川間の沿線4町は、JR北海道の提案を受け入れ、バス転換に同意することを決めた。
 空知管内月形、新十津川、浦臼、石狩管内当別の各町は昨年から、意見交換会や検討会議の場で鉄路のあり方を話し合ってきた。
 さらにJRと町ごとの個別協議を経て、当別以外の3町はそれぞれの住民説明会などで廃線を容認する考えを表明していた。
 JRは地元に対し、バスへの転換で「現状よりも便利な交通機関をつくる」と強調してきた。4町が同意する決め手となったこの約束を着実に履行してほしい。
 北海道医療大学―新十津川間は、2015年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均輸送人員)が79人で、100円の収入を得るためにかかる費用が2213円に達する大幅な赤字区間だ。
 その一方で、沿線地域では、特に月形高の生徒の通学手段として重要な役割を担っている。
 廃止後の方針についてJRは、生徒らが使う区間のバスの本数を現在の列車本数よりも増やしたいと提案。バスと接続する札幌―北海道医療大学間の列車を増便する考えも示した。
 札沼線はダイヤの便が悪く、地元には「最初から切り捨て前提なのでは」との不満もあった。
 JRには、住民の意向を十分くんで、利便性の高い地域交通体系につくり直す責任がある。
 新十津川町は廃線を機に、線路による水田地帯の分断を解消し、基幹産業の稲作を強化する構想を持つ。鉄道用地の無償譲渡など、4町の新たなまちづくりへの協力も求められよう。
 JRが見直し対象とする赤字13区間のうち、沿線自治体が廃止に同意したのは石勝線夕張支線新夕張―夕張間に次ぐ2区間目だ。
 両区間を含む輸送密度200人未満の5区間については、JRへの2年間の財政支援を決めた国も原則、バス転換を求めている。
 気になるのは、国がJRへの支援をさらに続ける条件として「目に見える経営改善の成果」を要求していることである。
 他の3区間の沿線自治体と意思疎通を欠いたまま廃止を急ぎ、「成果」とすることは許されない。
 上坂隆一月形町長は今回の同意の理由の一つに、JRと信頼関係が築けたことを挙げている。まず地域に寄り添い、納得いくまで話し合うことがすべての基本だ。


ほぉ?

北海道新聞 2018年12月27日
社説)JR8線区維持 国主体の支援欠かせぬ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/262345
 やはり国を主体とする新たな財政負担の枠組みを早急に取りまとめる必要がある。
 JR北海道が存続を目指す輸送密度(1キロ当たりの1日平均輸送人数)200人以上2千人未満の8線区に、道と沿線自治体は2019年度から2年間、緊急的で臨時的な支援の実施を決めた。
 財政事情の厳しい道や沿線自治体が出せる額は数億円とみられるが、具体的な支援を決断した意味は重い。JRは貴重な財源を生かし、8線区の活性化につなげなければならない。
 とはいえ、数億円規模では根本的な解決には足りず、この状態のままでは、8線区の将来は見通せない。国も一体となった本格的な支援が不可欠だ。
 国はJRに対して19、20年度の2年間に400億円の財政支援を行い、会社の経営改善に充てることを決めている。
 しかし、8線区への支援については具体的な金額を決めずに「国と自治体が同じ水準で支援する」方針を示したのみだった。
 さらに、地方交付税などで自治体の負担軽減を図る地方財政措置も見送ったため、道と沿線自治体は苦渋の決断を迫られた。
 JRは今後5年間の収支見通しで、8線区の営業赤字が毎年110億円を超えると試算している。
 国と自治体による同水準の支援方式で、これを穴埋めすると仮定した場合、道と沿線自治体の負担は毎年55億円に上る。
 地方財政措置があっても事情は変わらない。自治体が地域鉄道を支援する際、地方交付税で3割を賄う制度があるが、これを活用しても地元負担は38億円に及ぶ。
 現状の数億円でも地元にとっては限界だろう。これでは長期的な路線維持は厳しい。
 地方路線の不振と自治体の財政難は、過疎化や少子高齢化という共通の背景を持つにもかかわらず、国が自治体に同水準の支援を求めたこと自体に無理がある。
 既存制度では対応できない以上、国は地元が受け入れられるJR支援の方策を具体化すべきだ。
 JR地方路線の収支悪化は北海道だけの問題ではない。JR四国は全路線の2割で輸送密度が千人を下回っている。
 国鉄民営化で北海道、四国、九州の3社には経営安定基金が設けられたが、低金利の影響で運用益は当初想定を大幅に下回った。
 国には、国鉄改革の負の側面を直視し、地方路線を守る仕組みをつくる責務がある。


今年もお笑いのような社説をたくさん読ませて頂きました。お正月休みに少しは勉強して欲しいものですが、今の主筆さんには無理でしょうねぇ。完全に凝り固まった鉄道論があるご様子ですから。これがJR北海道問題をいろいろややこしくしている主因とも思います。残念なことです。

さて、北海道知事が「道民が乗る」(乗ってないのが悪い)と言ってしまった以上、来年は北海道庁がパフォーマンスだけでも道民を乗せる努力をするかを注目したいところです。次の知事も含めて単年度だけでなく、10年20年先にあの決断はよかったと思える一年にして欲しいなと思うのです。

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