北海道の交通関係

JR北海道平成31年3月改正(プレスリリース)

2019/01/18

JR北海道 2018年12月14日
2019年3月ダイヤ改正について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181214_KO_H31Kaisei.pdf


JR北海道は昨年12月14日に平成31年3月16日ダイヤ改正の概要を発表しました。
これにより北海道の列車がどのように変わっていくのか見てみます。平成最後のダイヤ改正は利用者にとって使いやすくなるのでしょうか。

北海道新幹線

今回の改正で最大のトピックは北海道新幹線のスピードアップです。東京-新函館北斗を最速4時間2分で開業した北海道新幹線ですが、その時間短縮は将来の札幌開業にも大きく影響しますので、1分でも2分でも短縮したいという想いはあるはずです。
ただ、よくマスコミが言う「4時間の壁」はたいして意味を持ちません。4時間の壁なるものは空港と都市部の距離と空港の混雑などで大きく変わります。特に広島空港のような市街地から大きく離れた場所に移転したなど、意味があっての「4時間」ですので、市街地と空港、新幹線駅のアクセス時間が約20分と同じである函館ではあまり意味の無い数字です。そもそもJR北海道は「4時間の壁」のために時間短縮を行うとは一言も言っていないのです。それを勝手に「4時間切ったって客は増えない」などと言っている一部の方の意味がわかりません。
そもそも空港利用客が変わらず鉄道利用客が増えているのが観光客の増加という面ですからどちらかが衰退するのが目的でスピードアップするわけでは無いのです。北海道と本州の利用が「選べる」こと、また、航空では難しい函館と東北地区の利便を考えるという必要があります。
いずれにせよ青函トンネル内のスピードアップが行われることは朗報です。東京-新函館北斗の最速は3時間58分となります。
北海道新幹線は「東北新幹線」の所要時間や停車駅を変えずに延伸していますので、多くの列車が盛岡以北で各駅停車する、盛岡で秋田方面列車との連結・解放の停車時間を取られるなどJR東日本側の協力を得られないことで所要時間が長くなっていることを誰も問題視しないことの方が異常な話です。
なお、JR東日本も盛岡以北の整備新幹線区間のスピードアップを行うことを明言しており、将来の札幌開業時には相応の速度で運行されるものとおもっています。これは人口の少ない函館地区との客よりも人口・需要の多い札幌開業後に力を入れるという意味でもあります。今回の青函トンネル内スピードアップはあくまで札幌開業に向けての一歩です。


特急スーパー北斗の車両変更

スーパー北斗に使用されている2種類の特急車両。うちひとつは1994年から使用しているキハ281系車両です。製造から25年以上を経過しエンジンの換装、座席などの交換も行われていますが、これを使う5往復が3往復に減少します。これにより予備車両を増加させる意味もありますし、増結なども行いやすくなります。キハ281系は全27両で、基本的に7両編成を3本で使用していました。4編成組むには車両が不足し、5往復を3編成で毎日回しているので日常的に予備が少ない状態だったわけです。
これまでキハ281系も含めて一部の車両は札幌-函館を1日2往復していました。1日の走行距離が1200kmオーバーという過酷な運用がされていたことになります。今回の改正でキハ281系による3往復(1.5往復づつ2編成)と新造されたキハ261系による9往復(1.5往復づつ6編成)での運用になると思われますので、1日当たりの走行距離が約1000km以内に抑えられ、これは検査の周期などにも影響します。
なお、キハ281系の予備が増えることで現在グリーン車の無い状態で運行されている臨時列車で運行される特急北斗に使用することも検討しているかもしれません。

また、今回札幌着が深夜となるスーパー北斗23号について、南千歳駅を通過し、千歳駅に停車させるという変更も行われます。これによって千歳駅から普通列車に乗り換え可能になり、恵庭や北広島など千歳線沿線で下車する場合に便利になります。


石勝線特急列車の停車駅拡大

4月1日で新夕張-夕張の支線が廃止となる石勝線では、新夕張駅・追分駅に停車する特急列車が拡大となります。また、冬期間に臨時停車が行われていたスーパーおおぞら4号のトマム駅停車が通年になります。これによりトマム駅は全ての特急列車が停車するようになります。


石勝線普通列車の大幅減便

支線の廃止と合わせ、追分-新夕張の普通列車10本を5本にするとしています。追分駅・新夕張駅への特急列車の停車拡大はこれを補う意味もありますが、この区間の途中駅である川端駅・滝ノ上駅は大幅に停車列車が減ることになります。ただ、両駅とも「極端にご利用の少ない駅」として10名未満となっており、通学以外の需要が少ないとして今回の措置に至ったものと思われます。
なお、3月31日までは臨時運行として石勝線廃止予定区間を中心に列車が増発されることになっています。


石北線・宗谷線の時刻変更

●宗谷線
旭川発朝の07:52比布行きと08:08名寄行きを入れ替えます。これは08:08名寄行きが途中剣淵駅で27分もの長時間停車を余儀なくされ、後続の特急を待避しているのを、名寄駅まで先行に変更するというのが理由と考えられます。

●石北線
札幌-旭川の特急列車との接続を重視する設定になります。特に現行旭川15:37の特別快速きたみは1時間程度繰り上がります。これによって旭川-北見の特急を含めた運転間隔がある程度一定になります。
(この特別快速きたみについては特急料金が不要な快速列車で、旭川-北見が特急で6,670円であるところ3,990円で乗車可能なのですが、現在ネットで購入できる「えきねっとトクだ値」では同じ区間の特急大雪の旭川-北見が2,990円となっており、逆転しています。これなら「快速」よりも車両面で快適で割引も指定席も使える「特急」の方がよほどマシなのです。車両面で不足があるなどの問題はわかりますが特別快速きたみは発展的に特急にした方がよいと思います)


札幌圏の普通列車増発

札幌圏では記事では大きな変更が無いように見えますが、普通列車の延長、増発が行われます。
●函館線
新千歳空港7:34-札幌8:35-手稲8:51の普通列車が小樽へ延長運行されます。この時間帯手稲8:35から8:59まで小樽方面への列車が無く、非常に運転間隔が開いていることから行われると思われます。なお、元々この車両は手稲から回送列車として小樽へ行き折返し快速エアポート100号として運行されていますので、この回送を客扱いするものと思われます。運転間隔の関係でもう少し時刻変更があるかもしれません。個人的にはこのあとも30分程度運転間隔が開く時間帯があるのでなんとかして欲しいところではあります。

●学園都市線
北海道医療大学以北が2020年5月に廃止になることが決まり、沿線町との協議の結果北海道医療大学駅への列車本数を増やすことが約束された学園都市線ですが、今回12本の列車を延長運転するとしています。この結果昼間を中心に多少の時刻変更はあるものと思われます。札幌方の基本的な本数は変わらないので、現在の日中20分間隔、夕方15分間隔などは維持されるものと思われます。
また、夜間に石狩当別発1本、あいの里公園発2本の札幌行きを増発するとのことですが、こちらも夜間に走る回送列車を客扱いする形となりそうです。

札幌圏は回送列車を活用するとまだ増発できる列車はありそうに思えますので、今後も検討して欲しいと思うところです。


駅廃止

今回の改正では次の駅が廃止になります
●根室線
直別駅(釧路市・旧音別町)
尺別駅(釧路市・旧音別町)
●根室線(花咲線)
初田牛駅(根室市)


全体的に

今回は比較的小幅な改正と言えると思います。特急列車の減速傾向は続いており、
スーパー北斗によるキハ281系からキハ261系への変更は振り子機構が無くなることから所要時間が延びています。
今回改正での札幌-函館の所要時間は最速下り3時間41分、上り3時間29分です。もちろん2時間59分といってた時代を懐かしんでもしょうがないのですが、3時間30分程度を目安に(現在の最高速度、仕様でも可能な)高速化は検討して欲しいところです。

スーパーおおぞら、スーパーとかちについても小幅に遅くなっています。
今回改正での札幌-釧路の所要時間は最速下り4時間02分、上り3時間58分です。ついにこちらは「4時間の壁」オーバーです。4時間以上だから他の交通機関と競合するわけではありませんが、高速道路の延伸で自家用車では札幌釧路は5時間を大幅に下回り4時間40分程度、条件がよければ4時間半を切る事が可能です。高速バスが5時間から5時間半程度で運行していることを考えても、もう少し高速化は必要です。こちらも3時間32分を思い出してもしょうがないですが、4時間をコンスタントに切る努力は必要でしょう。
同様に札幌-帯広も2時間台前半、そして、もう1往復程度増発し、一定の間隔やわかりやすい時間での運行を考えた方が良さそうです。停車駅も「おおぞら」を含め同じにして、朝夕は1時間、日中は2時間という間隔を設定することも可能とみています。

現在JR東日本からJR北海道会長として白川保友氏が来られ、大幅なダイヤ改正等を示唆していましたが、今回はそこに至らず、来年のエアポート増発などの改正まで持ち越しとなりました。


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