北海道の交通関係

北海道知事選挙を前に各候補の北海道内交通関係の訴え

2019/04/05

※本記事は熟慮の結果選挙結果が確定するまで表示しないようにしました。

NHK 2019年02月01日
鈴木氏立候補会見 全文
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190201/0007521.html
(抜粋)
・札沼線、石勝線夕張支線の廃止に伴う代替交通の確保の目処は立っておりますけども、それ以外の線区については地域との調整がなおも続いている状況
・総合交通体系の再構築は今回の北海道知事選挙においても大変大きな争点になる
・(夕張支線について)廃線の提案を逆提案したうえで、どのように代替交通を確保していくかということを2年5か月にわたって協議のうえ、方向性を出した経験がございます。
・今はJRを残すか残さないか。ある種、JRと言う手段を残すこと、または廃止をすることが目的化している議論が見受けらる
・本当の目的は、市民、道民の皆さんの足をいかに確保していくかという観点から考えていくべきだろうと思います。
・地域としてJRを残すという答えであるならばそれをどう実現するのか。また、JRに変わる代替交通を確保していくということであればどういった形でそれを実現していくのか。


最初から鈴木氏は「地域として」鉄道を残すのであれば実現可能性を探る、また、廃線を実現した場合に代替交通機関の確保という観点でJR問題を捉えていることがわかります。鉄道そのものを維持したところで地域の交通網を確保できないという状態が続いていくことの方が問題が大きいという理解かと思います。

北海道新聞 2019年02月09日
<道知事選>石川知裕氏の会見全文(2月8日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/275091
(抜粋)
・JR問題はこの北海道知事選挙の大きな争点になる
・廃線にするというのは簡単なこと
・物流の面からも、観光の面からも、そして地域の足、今、(複数の交通手段を効率的に連携させる)『MaaS(マース)』という交通体系が訴えられてますけども、そういう面からも、やはりもういったん踏みとどまって、何とか鉄路を残すということを検討
・欧州にあるように上下分離方式をもう一回、各市町村の方々と相談して検討してみる。
・JR貨物の使用料引き上げ
・JR北海道とJR東日本との連携


石川候補が思うJR問題は「廃線にするというのは簡単」に集約されます。鉄道廃止後の地域交通の確保というのが1980年代の比較的人員に余裕があり、廃止路線の利用者数も現在の廃止提案路線よりかなり多かった時代とは比較にならないほど、代替交通の確保が厳しいことであって、この「廃線にするというのは簡単」の根拠がよくわからないままに路線維持方法、JR北海道の存続方法に進みます。
Maasについては鉄道の維持に関連するような話では無く、バス、鉄道など交通機関の垣根無く情報提供、運賃通算化などの観点であって、鉄道で無ければならないという根拠に乏しい話でもあります。むしろ現在の鉄道駅では地方のバス乗りつぎの案内も乗車券購入もできないのを改善するという話ですから、その先の交通機関が鉄道で無ければならない必要がないのです。
上下分離、JR貨物の線路使用料問題、JR東日本との連携(資金面でも)というのは、その根拠になる法律面の話でもありますし、上下分離に関してはそれを主体的に行うのは北海道庁であるわけですから、最初から市町村の話よりも「北海道」として上下分離を選択すると言い切った方がまだいいように思います。

二人ともJR問題には煮え切らない感があります。鈴木氏は地方の夕張支線以下の路線では夕張支線同様の支援でのバス運行で一定の解決ができるというのは同意ですが、「地域としてJRを残す」路線の残す方法に関しては一切触れていないわけです。石川氏は路線を残す方法を上下分離、JR貨物・JR東日本の金銭負担を上げていますが、上下分離について踏み込めていない以上、絵に描いた餅に近いし、全く関係の無いMaasを盛り込むのは正直勉強していないなという印象を与えます。

いずれも、高橋氏が道筋を付けられなかったJR北海道問題を、速やかに解決する必要があるのが新知事でありますので、もう「数年かけて検討」なんて言っていられないわけです。2人とも国の負担についてどう話を持っていくのかという面も触れていないのも気になるところです。

JR問題は特に地方は客数が倍になっても赤字体質が変わらないところに問題があるわけです。ですので「客数向上のための努力」だけでは解決できない。必ず誰が支援して路線を維持するのかという話がつきまとうわけです。

さて、両候補は選挙公報ではどのように主張したのでしょうか。


北海道選挙管理委員会
選挙公報
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/_/hs/H31touitsu/senkyokouhou/chijiyou.pdf



鈴木氏は
「暮らしの利便性を高める社会資本整備・交通体系の構築」
石川氏は
「道庁がリードし鉄路を活用」
「JRの路線見直し問題は、北海道がイニシアチブを発揮し、市町村などと連携して鉄路を活かす方向で検討を進めます。高齢者・障がい者の買い物・通院、子どもの通学など必要な生活交通を確保し、交通空白地域を解消します。」
としています。

訴える内容が多い石川氏ですが、交通空白地域の解消に触れてるのは素晴らしいことです。これは鉄道維持とは全く関係ありませんが、現実的にデマンド交通にすら見捨てられるような、自分で運転する以外に一切の交通機関を持たない地域は札幌圏ですら存在するわけです。そこに今まで目を向ける候補者は少なかった。鉄道の維持よりも地域の路線バスなどの公共交通が失われている現状があります。

鈴木氏はあえてJR問題に触れなかったようにも見えます。人口減少社会などピンチをチャンスと捉えるという気概は必要なことですが、実例が「ほっかいどう応援団会議」そして企業版ふるさと納税の活用という、結局は「他人の懐」頼みというのは否めません。

さて、北海道議会議員選挙ですが、46選挙区のうち21選挙区35名が無投票で当選しています。
JR北海道問題で「単独維持不可」路線を抱える地域の選挙公報を見てみます。
・根室ブロック(花咲線)
 2候補 JR問題言及なし
・留萌ブロック(留萌線)
 自民党公認候補「JR留萌線については様々な情報を地域全体で共有し、厭戦自治体と連携し、最前の取り組みを進めます。」
 立憲民主党公認候補 言及なし
・空知ブロック(札沼線)
 共産党公認候補「JRを存続させ、道民の足を守ります。」
 他2候補 JR問題言及なし
・名寄市ブロック(宗谷線)
 無所属(立憲民主党推薦)候補「JRをはじめ地域交通網の確保」
 他1候補 JR問題言及なし
・苫小牧市ブロック(室蘭線・日高線)
 共産党公認候補「住民の命綱であるJR日高本線などの鉄路の維持・存続に全力」
 他3候補 JR問題言及なし
・岩見沢市ブロック(室蘭線)
 3候補 JR問題言及なし
・北見市ブロック(石北線)
 自民党公認候補「JR石北線の存続、女満別空港の民営化、高速道路の整備」
 他2候補 JR問題言及なし
・旭川市ブロック(石北線・富良野線)
 自民党公認候補「地域の大切な交通体系を守ってまいります」(JRとは断言していない)
 他6候補 JR問題言及なし
・釧路市ブロック(花咲線・釧網線)
 公明党公認候補「JR釧網線・花咲線の利用促進」
 自民党公認候補「鉄道路を頭上に通す(高架にする)ことは、中心街の避難路を確保するという点において極めて重要です。加えて駅舎には避難施設としての安心機能を持たせることができます。」
 共産党公認候補「JR花咲線・釧網線存続のため、国の支援を強化させます。」
 他3候補 JR問題言及なし

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