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北海道の交通関係
北海道知事選挙が終わり、北海道の交通体系はどう変わる?
2019/04/08
さて、7日投開票が行われた北海道知事選挙、北海道議会議員選挙は全議席が確定しています。
結果は北海道知事が前夕張市長で無所属新人の鈴木直道氏が当選。
また、北海道議会は定数100のうち51議席を自民党が獲得し36年ぶりとなる過半数を獲得しました。立憲民主24、公明8、共産3と続き、共産党は代表質問ができる4議席を獲得できませんでした。
当ブログですので、あくまでも北海道の交通関係だけでの印象ではありますが、今回の選挙でJR北海道問題は余り重視されなかったのではないかという印象を持ちます。ちょうど選挙期間中に新夕張-夕張の石勝線支線が廃線になったわけですが、夕張市長であった鈴木氏の功罪と結びつけたにしても、あまり有権者に響かなかったという印象があります。
つまり、3月31日の支線最終運行のニュースは大きく取り上げられ、支線を「攻めの廃線」とし、JR北海道と交渉し、代替交通への支援を引き出したことを「鉄道廃止」と批判する記事も比較的多い中、鈴木氏は「実績」としてアピールし続けた。その内容をプラスともマイナスとも有権者が認識しなかったようにも思います。
これはNHKの出口調査の結果でも言えまして、
NHK
北海道知事選
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/touitsu/2019/01/14033/skh44689.html
JRの赤字路線問題について尋ねました。
▽「廃線を含め検討すべき」は51%、▽「路線維持すべき」は49%ときっ抗しました。
▽「廃線を含め検討すべき」を選んだ人のうち、60%台後半が鈴木氏に投票したと答えています。
一方、▽「路線維持すべき」を選んだ人のうち、鈴木氏に投票したのは50%余りでした。路線存続を訴えた石川氏に投票したのは40%台半ばでした。
有権者の半数は「廃線を含め検討すべき」「路線維持すべき」拮抗してるわけです。そして「路線維持すべき」という人も全ての路線が対象かというとNoではないかとも思うわけです。
石川候補は路線存続を訴えながらも鉄道存続を願う人の受け皿になれなかったという面があります。これは先日の日記の通り、石川氏の路線維持の方策が若干期待できない内容であったことがありましょう。
選挙戦の中で2人の候補がJR路線問題にどのような発言をしていたかまとめてみます。
北海道新聞 2019年03月24日
<道知事選>初の週末舌戦熱く
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289375
(石川氏)
北見では演説会に出席し、JRが地元負担を前提に鉄路維持を目指す石北線について、「タマネギ列車が走っている。廃線となれば農産物の価格が高くなってしまう。しっかり守りたい」と強調した。
NHK 2019年03月25日
北海道の課題 JR問題で2人は
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190325/0008940.html
石川氏は、「沿線自治体の市町村長や住民の声を聞くと残せるなら残してほしいという声が多かった。JRにはもう1度、立ち止まってもらい、お互い協力して残せるよう努力したい」と述べました。
一方、鈴木氏は、「北海道の経済や、地域生活を支える鉄道、バス、タクシーなどといった地域の公共交通全体を見据えて、利便性の向上や利用促進など地域交通の確保に向けた道民目線の取り組みが重要だと思っている」と述べました。
北海道新聞 2019年04月03日
<チェンジ 新知事選択 政策どう違う?>(5)JR、IR 石川氏 国の責任で鉄路維持 鈴木氏 他の公共交通と連動
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/292844
石川氏は街頭演説で、廃線は観光や物流面に影響が及ぶとした上で、「一度立ち止まって考える。まだ(存続への)努力が尽くされていない」と強調する。
国が国鉄分割民営時に設けた経営安定基金の運用益減少がJRの経営難を招いたとし、「国に路線を守ってもらわないと困る」と訴える。公約では、国が線路を所有し、JRが運営する「上下分離方式」の導入や、JR東日本などグループ会社の利益を道内の路線維持に充てる構想を示す。
鈴木氏は夕張市長時代、1日から代替バスに切り替わったJR石勝線夕張支線の廃止をJR側に逆提案し、10路線13区間で最初に廃線を決めた。予約を受け付ける乗り合いワゴン車とタクシー料金補助制度を導入し、JRから代替交通への支援を引き出した実績をアピールする。
鈴木氏は必要な財源を確保した上で、「バスやタクシーなど他の公共交通と連動し、移動や物流の手段を持続可能なものにつくりあげる」との考えを示す。
石川氏は自治の充実を目指す「北海道独立宣言」を掲げたものの、JR問題については「国に路線を守ってもらわないと困る」としたことで、二枚舌に写った面もありましょう。
敗戦の弁で「JR北海道の路線見直し問題など争点の是非を明確にして訴えたが、伝える力が不足していた」としていますが、JR問題そのものが争点だったのか?ということを考えると、票数の多い札幌圏では鉄道は安泰であるという意識があるでしょうし、札幌圏の人は多くは地方に行くのに鉄道を利用しない以上あまり響かない結果となったように思えます。
また、地方部でも現実に地元の人が鉄道を利用していないからこそ現状の輸送密度であり、郷愁以外の鉄道への思いは無いわけで、正直無くなっても誰が困るの?という意識の方は少なくない。そんななか争点となりにくいものであったと思います。
北海道の交通網はどうなる?
さて、選挙が終わって鈴木知事の力量がすぐに問われるのがJR問題と思われます。しかし、少なくともJRが廃線を打ち出す留萌・日高と根室線富良野-新得に関しては、知事の現地首長との直接対話で一定の解決を図ろうとするものと思われます。JR側は代替交通網の構築策を作成しているでしょうし、議論が公開されていないだけで話し合いは行われているからです。問題は維持困難路線である宗谷北線、石北線、釧網線、花咲線、富良野線、根室線滝川-富良野、室蘭線沼ノ端-岩見沢、日高線苫小牧-鵡川です。必要性を国に訴えるにせよ、これらを全て残せるか?というあたりを協議することになります。要は優先順位を決めるトリアージ的なことを北海道庁が泥を被ってやるのかということに尽きるわけです。
鈴木氏が1期、または2期の比較的短期で問題を解決した上でその後国政など別なステージに上がる野望があるならば、これは失敗できない大勝負でもあります。道議会議員も党としては過半数があれど、彼らも地域の代表者であるわけですから簡単に廃線を飲むとも思えません。しかし、今のまま時間の経過を待っても国は色よい返事をせず、場合によっては札幌圏へも影響が出かねない。鈴木知事の決断が必要だと思います。先の話通り1期で解決するのだと思えば、そういう大胆なやり方もあることでしょう。批判されてもリコールされても誰かがやらなければならなかったことです。
日本経済新聞 2019年04月08日
北海道知事当選の鈴木氏、迅速な決断と実行を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43458820Y9A400C1CD8000/
いずれの問題ももはや放置できない水準にまで来ている。JR問題はJRだけで解決することは不可能で、沿線自治体や住民、道庁を含む「オール道民」が当事者として捉え、関与していくべきだ。新知事にはそのまとめ役と、国との交渉・仲介を強力に推し進める役目が求められる。
朝日新聞 2019年04月08日
厳しい現実、隠さず示せ
https://www.asahi.com/articles/CMTW1904080100011.html
「これから誰も経験したことがない時代に突入する。必要なのは、誰もしたことがない経験だ」。鈴木氏と同世代の自民党の小泉進次郎衆院議員(37)は先月、札幌市での応援演説で「若さ」や「経験不足」といった批判に反論した。人口が右肩上がりだった時代の成功体験は必ずしも役に立たない、日本で唯一の財政再生団体トップの経験が重要だ――。鈴木氏の勝利は、こうした考えが受け入れられた結果とも言える。
新聞各紙もこのように、これからの4年の任期は誰も経験しない状況から迅速に解決していく必要性を言います。その期待に応えられるか、そして批判にも耐えることが求められる、非常に辛い時期の知事を引き受けてくれたと思っています。
そしてそんな中、投票日にこんな記事で前時代的に鈴木候補を暗に批判した北海道新聞ですが、このような記事は映画作品そのものを冒涜するものですし、今さら周回遅れも良いところのJR北海道批判、国批判で物事が解決するわけではありません。意中の候補をこういう形で援護しようとしたのかもしれませんが、残念ながら読者には響かなかったようです。もう少し勉強しましょうね。
北海道新聞 2019年04月07日
「鉄道員」20年後の風景 浜中淳
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294100
> ちょうど1週間前、JR石勝線夕張支線(新夕張―夕張)が最後の運行を終え、127年の歴史の幕を閉じた。
夕張駅で最終列車を見送る市民らの手には黄色いハンカチが握られていた。
黄色いハンカチは、高倉健さん主演の映画「幸福の黄色いハンカチ」にちなんだ夕張のシンボルだが、今回の最終運行の光景を目にして、高倉さんのもう一つの主演映画に思いをはせた人も多かったのではないか。
北海道の小さな駅を1人で守る定年間近の駅長を主人公にした作品「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)である。
この映画で高倉さんは、架空の赤字ローカル線「幌舞線」の終着駅「幌舞」の駅長佐藤乙松を演じた。
幌舞はかつて炭鉱のまちとして栄え、その石炭を運び出すために鉄道が活躍したという設定で、夕張と夕張支線の関係を思い起こさせる。
夕張と同様、炭鉱閉山とともに幌舞の人口は激減。幌舞線もすでに1両編成の気動車が1日数往復するだけで、利用者はほとんどいない。乙松の定年退職と同時に幌舞線も廃止される運命にあるのだ。
作品を貫いているのは、そんな寂れた鉄路であっても手を抜くことなく日々の運行を支えていこうとする鉄道員の気概である。
乙松は生まれたばかりの娘を病気で亡くし、さらに妻にも先立たれるが、2人を病院でみとるよりも駅に残って職務を続けることを選ぶ。
「鉄道員は身内のために涙を流すわけにはいかない」と強がりながら、娘が亡くなるまさにその時、駅で雪はねをし、日報に「本日異状なし」と書いていたと自らを責める場面は胸に迫るものがある。
映画は一方で、駅を1人で守り抜いてきた乙松が地域の人たちに慕われ、深い信頼の絆で結ばれていることを、さりげないエピソードの積み重ねによって描き出す。
鉄道がいかに地域に根ざした存在であるかを再認識させてくれる作品である。
「鉄道員」が1999年6月に公開されてから20年。あの作品と比べ、北海道の鉄道をとりまく風景がずいぶん寒々としたものになったと感じるのは筆者だけだろうか。
JR北海道は2年半前、単独では維持困難とする13区間を発表した。
映画で「幌舞駅」のロケ撮影が行われた幾寅駅(上川管内南富良野町)を含む根室線富良野―新得間が対象路線に含まれたのは皮肉だ。
それ以上に気になるのが、JRと沿線自治体の関係があまりにもぎくしゃくしてしまったことである。
いかにJRが経営難にあるとはいえ、「バス転換するか」「路線維持のために財政支援するか」の二者択一をいきなり迫られた自治体の困惑と不満は理解できる。
一方で、鉄道の現場で働くJRグループの社員の多くは、乙松がそうであったように、たとえ利用がない場合でも、早朝から除雪作業を行うなどして日々の列車の運行を支えている。その「疲労感」に目を向けることも必要ではないかと思う。
本来ならば支え合うべき沿線自治体とJRを対立させているものは何か。32年前に国鉄改革を行った国が、その失敗のつけを地域に回しているようにしか見えない。この根本に立ち返らない限り、路線見直し問題は解決しない。