北海道の交通関係

JR北海道の「長期経営ビジョン」と「アクションプラン」

2019/04/10

JR北海道は4月9日に「JR北海道グループ長期経営ビジョン」「中期経営計画」「事業計画(アクションプラン)」を発表しました

JR北海道
「JR北海道グループ長期経営ビジョン」等について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190409_KO_plan.pdf


その中身を見る前に、この長期経営ビジョン。昨年まではこういう形では発表していませんでした。今年度の事業計画は先日発表されていますし、これまでも単年度の事業計画を発表していましたが、中長期間の経営計画を(社内的には策定してたにせよ)外部に発表するのは初めてとなります。

これは昨年7月に国土交通省が発表した「JR北海道の経営改善について」そして、国土交通省がJR北海道に出した「監督命令」に基づくものです。この監督命令については当ブログでも取り上げています。

North-ttBlog 2018年7月30日
JR北海道への400億円の支援が意味する「JR北海道への監督命令」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=341


監督命令は以下の内容になります。

国土交通省 2018年7月27日
事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令
http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo05_hh_000085.html


ここにある

監督命令書
http://www.mlit.go.jp/common/001247326.pdf
収支を改善して、経営自立を図る必要がある。その上で、関係者による相互の連携及び協力の下で、将来にわたって持続可能な交通体系を構築するとともに、他の輸送機関とも適切に役割を分担して、必要な輸送力の確保に努め、地域において求められる輸送サービスの提供を的確に行っていく必要がある。


という文言に沿えば、今回の「長期経営ビジョン」は
・収支を改善する具体的な方策・計画
・持続可能な交通体系維持のための方策・計画
を策定せよという意味になります。
監督命令の中に既に「JR北海道が行うべき経営努力」が明記されていますので、それに沿ったものになることも当然でもあります。

JR北海道の経営改善について
http://www.mlit.go.jp/common/001247327.pdf
札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化
新千歳空港アクセスの競争力の一層の強化
インバウンド観光客を取り込む観光列車の充実
北海道新幹線の札幌延伸に向けた対応
JR貨物との連携による貨物列車走行線区における旅客列車の利便性の一層の向上及びコスト削減
経営安定基金の運用方針の不断の見直しを通じた運用益確保
JR北海道グループ全体を挙げてのコスト削減や意識改革
地域の関係者との十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化


ここで触れられる
平成31年度及び平成32年度を「第1期集中改革期間」
とするこの2年、そして
平成33年度から平成35年度までの「第2期集中改革期間」
2023年までの取り組み、そしてさらに

JR北海道の経営改善について
JR北海道は、今年度中に、これらの徹底した経営努力を盛り込んで、第1
期集中改革期間の事業計画を策定するとともに、平成31年度から平成35年
度までの中期経営計画及び平成31年度から平成42年度までの長期経営ビ
ジョンを策定する。


とする一連の「取り組み」を明文化して国土交通大臣に提出せよというのが監督命令なわけです。その内容から国(国土交通省)がJR北海道に対して必要な支援をするという形になります。

ですので、今回の「長期経営ビジョン」と「アクションプラン」はあくまで北海道民に対してというよりも、国土交通省への報告であるということを念頭にして見なければいけないのだと思います。

内容に入る前に、今回の「長期経営ビジョン」等をJR北海道社長は北海道知事に報告に行ったわけですが

NHK 2019年04月09日
JR 中長期の経営計画を発表
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190409/0009376.html
【知事に報告】
JR北海道の島田社長は9日夕方、道庁を訪れ、高橋知事に計画の内容を報告しました。
これに対し高橋知事は、「国の支援なしでこれだけの金額の一部を負担するのは限界がある。国も巻き込んで議論し、内容を道民や関係者に丁寧に説明してほしい」と述べました。


これ、記事はこうですが、テレビで報じられた知事の発言自体は「もはや他人事」というもので、報告だけは受け取ってやる(コメントはしない)的な態度が見え隠れしますので、非常に憤りを感じる次第です。本当にJR北海道問題に関しては高橋知事は何の役にも立たなかったんだという思いを強くします。

さて、では、個別の内容を見てみます。

JR北海道の「経営自立」をめざした取り組み

分割民営化以降の「経緯」そして「監督命令」の内容、「長期経営ビジョンと中期経営計画の位置づけ」「経営自立の考え方」「収支改善」をまとめています。
経緯に関しては、結果的に収支均衡のための経営努力の方向性を設備投資・修繕費・要員の削減で行ったこと、結果的に事故を多発させ「安全投資と修繕に関する5年間の計画」を策定し国から支援を受け事業範囲の見直しの必要性に迫られ「当社単独では維持することが困難な線区」を公表という一連の経緯を並べています。

長期経営ビジョンと中期経営計画の位置づけでは「2031年度の連結最終利益黒字化」を宣言しています。そのために3つの変革、PDCA、そして「3つの赤字」として「当社単独で維持困難な線区」「当社単独で維持可能な線区」「北海道新幹線」を分け、経営再生を図ることを記載しています。この3つの分け方は大事なキーになると思います。

経営自立の考え方としては【今後の経営環境】【経営自立を果たすための取り組み】【当社単独では解決が困難な課題の解決】という3つの要素での減収要素、収益改善要素を挙げます。
グループを挙げて徹底的にやり遂げる収支改善として
■増収要素
●鉄道事業
・インバウンド向けレールパスの販売拡大
・新千歳空港アクセス輸送の強化
・新規観光列車による道内輸送需要の拡大
・札幌圏の利便性向上
・北広島ボールパークアクセスの整備等
●開発・関連事業
・札幌駅新幹線口の新タワービルの開発
・JRタワーの魅力維持・向上(再開発連動)
・ホテル事業の拡大(道内No.1をめざす)
・マンション事業(分譲、シニア)の推進
・小売店舗の出店拡大等
■コスト削減要素
●資材調達コスト、工事費の低減
・H100形導入による検査費の節減
・⾞両部品の解体検査周期延伸による経費節減
・設備等の仕様の見直しによる経費節減
・マクラギ等工事材料の相見積による競争徹底
・詳細な見積とデータに基づく厳格な価格協議
・保線用機械の導入による工事の効率化等
●業務の効率化
・話せる券売機の導入箇所拡大
・ワンマン運転の拡大
・管理部門における業務の見直し
・労働集約型業務の軽減、自動化・省力化等
●路線の見直しによるコスト削減
・赤・茶線区のバス転換
・ご利用の少ない駅や踏切の見直し等
●グループの意識改革・コスト削減
・グループ会社の再編、赤字事業の見直し
・グループ内取引価額のトレースと見直し
・収支進捗管理の徹底等
●日々のコスト削減の積み上げ
・PC台数、固定・携帯電話契約の見直し
・出張費(人数、回数、航空券)の削減
・清掃・産廃処理頻度の見直し等
を挙げています。

○JR北海道グループ長期経営ビジョン 未来 2031

2031年は北海道新幹線札幌開業の翌年、新幹線開業で一定の黒字化を目指すという意気込みになります。
最初に2つの「ありたい姿」、3つの戦略、4つの基礎を挙げ、さらに3つの赤字の解消、4つの経営努力、3つの経営課題と、的を絞った取り上げ方で、1枚のスライド内に目指すものをまとめています。

3つの戦略で目を引くのは関連事業の拡大で、現状の約800億円から約1200億円へ1.5倍の拡大を謳います。この中ではホテル事業、駅ナカ的事業、不動産事業、札幌駅新幹線口の再開発事業を挙げています。

輸送サービスでは新幹線事業への期待を伺わせます。札幌-東京4時間半が命題となることで、解決が必要なことを列挙します。これが一定の目処があるという意識があるものと思われます。
また、新千歳空港アクセス拡大を挙げます。2020年春のエアポート毎時5本化は決定事項、その後2023・2024年度でエアポート仕様車両の全733系化、さらに利用客数が伸びると想定し、2020年度比1.5倍を想定するインバウンド客招致のための輸送力強化。ここでは課題として増発余力の少ない千歳線の輸送力強化、編成両数増加、新千歳空港駅スルー化の検討を行い、これもまた、一定の目処がついているのではないかと思わせるものです。
維持困難線区に対しての取り組みに関しては後から取り上げます。

鉄道オペレーションの変革として、GPS(準天頂衛星)による列車制御システム挙げています。また、スマートフォンによるシームレス交通(キャッシュレス・チケットレス)にも言及しています。

4つの基盤については安全面での在来線駅ホームドア設置に初めて言及。また、退職社員の多い現状を踏まえての社員の幸福の実現も盛り込んでいます。

○JR北海道グループ中期経営計画2023

さて、先日の2019年度の経営計画と重なりますが、もうすこし長期、2023年までの計画についてです。監督命令は四半期毎に計画の達成を国土交通省に報告する義務がありますので、この計画は「必達事項」であることを意識する必要があります。
◇札幌駅「エキナカ」開発
◇パセオリニューアル
◇JRインの出店(函館、札幌北2条、苫小牧)
◇分譲マンション進出(苗穂等)
◇ブランJR(桑園、北12条東)の開発など
◇青函トンネル内160km/h運転
◇インバウンド受け入れ体制の整備
◇快速エアポートの5本/h化
◇北海道ボールパーク(仮称)アクセスの構築
◇事業計画(アクションプラン)の推進など
◇アシストマルス(話せる券売機)の拡大
◇線路設備モニタリング装置の導入の検討
◇ロングレール運搬車の導入
◇検査業務の機械化(トンネル検査車等)
◇チケットレスサービスの検討など

収支計画については国、自治体支援の額が明確ではないものの、180億円程度の支援があれば黒字化されるという前提での金額となります。既にバス転換等費用を年60億円程度見込んでいる収支計画です。しかし、これがなければ、営業費用が増えるわけですし、路線維持となれば鉄道施設の維持、更新費用をそれだけ見る必要があるということは意識しなければなりません。

投資計画では車両投資を2023年までに740億円見ています。1両2億と想定しても37両程度の導入となります。うち15から20両程度は特急車両・多目的車両でしょうから普通列車用車両は多くても20両程度かなと思われます。快速エアポート輸送力増強が別枠なため、5編成程度の733系導入は検討されていると思われます。(721系代替)また、省力化投資としてアシストマルス等に5年で60億円見ています。これはアシストマルスをかなり広範囲に導入することを示唆していますし、JR西日本が先例を走る駅無人化の拡大、営業時間短縮は当然視野に入っているものと思われます。
副本線、ローカル線の部分PCマクラギ化、レールの重軌条化やトンネル、橋梁等の保全工事にも一定の額が振られています。これは当然使用頻度の少ない設備の使用停止・撤去の推進にも含まれましょう。

北海道新幹線については時間帯区分方式による高速化(青函トンネル内下り線を遅くとも2020年度まで)と具体的な計画が出ました。来年の多客期には高速化される一部の列車が走りそうです。ただし、ここでいくら高速化しても東北新幹線区間が各駅停車では意味が無いわけですから、JR東日本の考えも重要になります。南東北、関東からの利用者落ち込みが激しいというのは時間メリットの問題ですからその改善はJR東日本側の責任も大きいのです。

千歳線輸送力については北広島ボールパーク対応も2段階で行うような形が出てきました。北広島駅改修と新駅検討で、ある程度新駅には含みを持たせています。

インバウンドはレールパスの販路拡大で売上高1.4倍程度の拡大を目指すとしています。現状でもレールパスは20億円以上の売上で、30億円を目標ですから、無視できない数字です。

観光列車は既出の東急・JR東日本関連、多目的車、キハ40によるイベント車の他特急ニセコ号の運行期間拡大検討が盛り込まれました。

また、特急スーパー北斗の全261系気動車化、携帯電話・PC充電コーナー設置、ワンマン車両の多言語化、QRコードによる乗車券類販売、チケットレスサービスの検討を挙げています。北見・網走地区で導入しているスマホ定期券の拡大があるのかは気になるところです。

運賃改定は2019年10月の消費税改定とともに行う予定で、利用客への一定の負担で40億円程度の増収を見込みます。ここでは他の交通機関との運賃比較を掲載しています。この比較相手並みの金額を検討しているのかは明記がありません。現状の鉄道運輸収入からすれば40億円は5.5%程度ですので、消費税造成額と合わせて8.5%程度の値上げを検討していると考えられます。たとえば210円区間なら230円程度になりますので、それでも並行区間は地下鉄よりは若干安いという感じになりましょうか。

ホテル事業は3館増加、不動産事業は駅付近用地開発、マンション事業への進出、キヨスク店舗のセブンイレブンへの転換、食品スーパー出店を計画、いままで地域地場企業との軋轢を恐れ、批判されたことで踏み込めなかった分野を拡張しますので、今後もマスコミを中心に「民業圧迫」の批判は多いものと思いますが、もうそういう配慮は難しいという観点もありましょう。

省力化投資としてのアシストマルス導入は数値目標なし、ワンマン運転拡大で2両編成電車新製の検討を行っています。これは岩見沢-旭川、苫小牧-室蘭の車両置き換えもありますが、札幌圏の一部列車のワンマン運転(車内での運賃収受を行わない都市型ワンマン運転)も視野に入っているものと思われます。さすがにJR九州のような特急のワンマン運転、4両など長編成のワンマン運転には踏み切らなかった模様です。これは安全側にあることを至上命題された部分がありましょう。(もちろん九州のワンマン運行が危険という話では無い)

さて、客側との接点であるCS推進では、多言語化、バリアフリー化の推進が盛り込まれています。乗降3000人以上の駅のバリアフリー化ですが、小樽などエレベータ設置が難しく車椅子対応エスカレータなどで対応中の駅を除けば、苗穂が新築解決済み、篠路は駅高架検討で、上野幌、拓北、市の財政負担問題で白紙撤回になった島松、建て替え検討の南小樽、工事中のあいの里公園、札沼線がらみでの対応(跨線橋無し)の北海道医療大学くらいかと思います。また、観光駅では富良野、登別などが望まれますが、沿線自治体の協力が得られていないのが現状です。
多言語による運行案内も盛り込まれていますが、アプリなどには言及はありませんでした。

維持困難な地方線区に対する代替バスサービスについては転換済の石勝線支線の他札沼線医療大学以北、日高線鵡川以南のバス代替サービスの概要を掲載。

○事業計画(アクションプラン)

維持困難路線各路線の「地域の皆様が利用促進や経費節減に⼀体となって取り組む気運を醸成」を目的に策定されたアクションプランも監督命令によるものです。策定は8路線・区間で
・利用促進や経費節減の取組が反映される「線区別収支」を基本指標とします。
・計画終了後の2020年度において計画開始前の2017年度と同水準を目指します。
・増収要素、減収要素を分解して把握し、「輸送密度」や関連指標とあわせて次の取組を検討する材料とします。
という基本指標としています。つまり、これが沿線に突きつけられた必達目標ということになります。もちろん、JR側が無理に費用を水増しすることは許されませんが「運行経費をかければ客が増える」なんてことを決して言わせることがないのが「線区別収支」を指標にするということです。客が増えましたが収益が上がりませんでしたでは目標達成とは言えないわけです。
逆に費用を抑える対策(駅見直し、駅・踏切除雪、清掃などの自治体負担化)も有効になるという意味にもなります。

各路線の具体的な取り組みで特記すべきものは「官公庁、事業所等による出張時の鉄道利用促進」を加えている釧網線、石北線、宗谷線。スクールバスから列車通学のシフト(決定済)を行う日高線。貨客混載検討の宗谷線などでしょう。正直、花咲線のような「地域交通網形成計画の実施」なんて今さら何言ってるの?って話なんですよね。多くの路線が「何もしないけど、言われたから書いてきました」みたいなぎりぎりにやった夏休みの宿題のような内容を恥ずかしくも無く書いてきているところに、このアクションプランがどういうものなのか理解して取り組んでいないように思えるのです。

このアクションプランの内容、国土交通省でジャッジされるんですよ。何もやってない路線、自治体がこんなんじゃ要らないよねぇって思われたら「終わり」ですよ。なにやってるんですか?

道内マスコミの反応

さて、ここまで内容を見て、北海道内マスコミはどう報道したのでしょう?

北海道新聞 2019年04月10日
31年度に黒字化 JR長期計画 年280億円支援が前提
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294899
会見で島田社長は8区間維持に必要な支援額は明言しなかったものの、年80億円の公的支援を想定しているとみられる。国は8区間維持へは「地元自治体と同水準の負担」とする方針で、単純計算では道、沿線自治体の負担は半分の年40億円になる。


北海道新聞 2019年04月10日
JR「自立」ハードル高く 中期計画・長期ビジョン 公的支援、新幹線高速化が前提
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294923
名寄市の加藤剛士市長は、「何のための支援か、中身が見えない。赤字を埋めるためなら到底受け入れられない」と困惑。
石北線沿線の中核都市、北見市の辻直孝市長は「市の財政は厳しく、国の支援がない中ではJRへの過大な負担は困難だ」と強調、協議入りには慎重姿勢を示す。


北海道新聞 2019年04月10日
沿線住民「値上げ困る」 JR長期計画に不安次々
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294926
「消費増税と同時に値上げされると一気に出費が増える。JRは、道民が納得できる理由をきちんと説明するべきだ」と求めた。


北海道新聞 2019年04月10日
非鉄道事業を拡大 JR北海道中期計画 ホテル10棟に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294930


北海道新聞 2019年04月10日
利用促進へ行動計画発表 釧網線など8区間 17年度水準目標
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294931
8区間のうち、釧網線など5区間は沿線自治体を巻き込み、効果的に利用促進を進める考え。区間ごとの取り組みを期間内も随時見直し、21~23年度の第2期集中改革期間の施策につなげる。


北海道新聞 2019年04月10日
共用走行問題「物流考慮を」 JR北海道計画にJR貨物
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294932
JR貨物はコメントで「北海道新幹線の札幌延伸後も、物流を担う鉄道事業者として北海道の経済を支えていく方針」と表明。「北海道の経済や暮らしに貢献する使命、思いはJR北海道もJR貨物も同じ。JR北海道としっかり連携し、両社の経営に資する解決策を考えたい」とした。


北海道建設新聞 2019年04月10日
札幌駅前に新タワービル JR北海道が不動産事業を強化
https://e-kensin.net/news/115820.html


毎日新聞 2019年04月10日
JR北の長期ビジョン 増収へ課題多く、改善の先行き不透明
https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/020/014000c
JR北海道が2031年度の経営自立を目指して9日に発表した中期経営計画と長期経営ビジョンは、北海道新幹線や札幌圏の輸送力強化、不動産事業の拡大などを掲げた。ただ新幹線の高速化や輸送力増強には解決すべき課題も多く、路線見直しや負担を巡って自治体の協力を得られるかも未知数。プラン通りに経営改善が進むかは不透明だ。


朝日新聞 2019年04月10日
10年間で2800億円の支援必要 JR北が認識示す
https://www.asahi.com/articles/ASM495FLNM49IIPE00Z.html
JR北は16年11月、営業路線の約半分に当たる10路線13線区を「単独では維持困難」と発表。このうち5線区は廃止してバス路線に転換し、8線区は国や自治体の支援を受けて存続させる方針を打ち出し、政府は19、20年度で年200億円の支援を決めた。JR北は、ビジョンを実行しても21年度以降は年280億円と、20年度までより80億円の支援上積みが必要だと求めた。


日本経済新聞 2019年04月09日
JR北海道再建に2つの壁、悲願の黒字化へ正念場
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43523930Z00C19A4L41000/
焦点となっている赤字ローカル路線をめぐる議論の最大の難関は、JR北が地元自治体との信頼関係をきちんと築くことができるかにある。JRが「単独では維持困難」としてきた13区間の一部で自治体との廃線合意にこぎ着けた一方、議論のテーブルにすらつけていない区間もまだ残る。「協議の場につくと、なし崩し的に廃線が決まることへの警戒感がある」(北大の石井客員教授)
JR北は廃線に伴うバスへの転換は公共交通の増発につながり長い目でみれば地域の利益になると説明するが、地元は「地域の切り捨てにつながる」と反発する。不信感が高まった背景には「これまで安全の再構築を優先するあまり、地域の自発的な観光振興策への協力姿勢に乏しかった」(元釧路公立大学長の小磯修二氏)こともある。
JR北の危機的状況を国や道、地元市町村が共有し、同じ方向を向いて目の前の壁をひとつひとつ乗り越えていかなければ、400億円の収支改善計画も絵に描いた餅に終わる危うさをはらむ。

JR北海道の島田修社長は9日の記者会見で、収支改善への意欲を強くにじませた。主な一問一答は次のとおり。
――新幹線の高速化に向けた課題をいつまでに、どう解決しますか。
 「相手もあるため必ずしも明示できないが、貨物列車の共用走行はある程度時間をかけて議論する。札幌延伸の開業までには間に合わせたい」
 ――黒字の規模感は頭の中にありますか。
 「グループの利益は一定程度計画できるが、新タワービルやホテルなど不動産事業も含めて、総額で50億円の純増をはかりたい。自助努力以外の収支改善で200億円を確保できれば、10億円程度の黒字となる」
--2031年度の運輸収入1160億円のうち、新幹線収入はどの程度を見込んでいますか。
 「新幹線の収入は500億円程度増えると見込んでおり、開業時の2031年にどんと上がる。(現在の赤字100億円を)収支トントンにはしたいと考えている」
――アクションプランについてもう少し収支改善につながるものはできないのか。抜本的な取り組みは難しいのか。
「まずは現状維持を掲げており、数値計画ありきではなく取り組み内容を地域とともに実行することに重きを置く」
 ――知事選に当選した鈴木直道・次期知事とどう議論を進めますか。
 「保守的な土壌の強い地域が多い北海道で最年少知事を誕生させたのは大きなこと。若い力で新時代にふさわしい攻めの道政に期待している」
 ――線区の見直しで道に期待することは。
 「線区ごとのアクションプランを実行しなければならない。その橋渡し役になるのが新知事。夕張での成果を北海道全体でも実行してほしい」


日経の記事は詳しいけど、小磯修二氏の認識は誤りだなぁ。JR北海道が観光列車を次々企画していた90年代に協力しなかったのは地元自治体ですからねぇ。そういう近視眼的な見方しかできなくて識者となるのは恥ずかしいことです。もう少し勉強しましょう。

全体的には淡々として、北海道新聞は値上げやアクションプランの一部だけを注目して記事内にほとんど内容を掲載していません。これでは読者はJR北海道が中長期計画で何をやろうとしているのか理解できないでしょう。もちろん叩く側はそんなの書きたくない内容なのでしょうが。だから北海道新聞はダメな新聞なのです。

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