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夕鉄バス「江別市内線」に乗ってきた
2017/09/08
夕鉄バスはサイトに情報は出てきていないものの、10月1日からいろいろ廃止、減便が発生します。9月にはこれらのいくつかに乗っておこうという気持ちがあるのですが、今回改正では無くならないものの、土曜・休日のみ1本運行というなかなかな維持路線も気になっているわけです。
その一つが「江別市内線」です。名前だけ聞けば札幌のベッドタウン江別市内を縦横に走る都市内路線を想像しますが、現実は土曜・休日のみ1本運行という免許維持とも思われる路線です。
この路線、過去には1日数便走っており、中の月-江別駅-4番通-野幌駅の他、あけぼの団地-江別駅-4番通-野幌駅などの便もありまして、鉄東線といわれる線路沿いを通る本線系統とは別に、比較的不便だった江別市の西側を通るルートとして利用されていました。
その後1987年には交通の不便だった住宅地である野幌若葉町地区へ延長。1995年頃は休日運休とはいえ若葉町地区を走る便は15便を数えるほどになります。
2010年代に入り冬期運休なども行われ平日早朝1便だけに減便、ここ数年はさらに「土曜・休日のみ1本運行」まで減便されてしまいました。しかも早朝だけのために乗りに行くのもままならなかったわけです。
昨年の改正では中の月10:49発の1便だけが残ることになりまして「乗りやすく」なったことから、今回これに乗車してみようということになりました。
●南幌行き「始発便」
今回スタートは野幌バスターミナル。便は新札幌9:10の南幌東町行き、これが土曜・休日の南幌行き始発便となります。江別市内のあけぼの団地までも含めても2便目、ここ数年乗務員不足による減便という状況まで発生している夕鉄バスですが、特に需要の少ない休日は大幅な減便になっています。まず、この便で南幌温泉を目指します。
野幌バスターミナルに到着。駅から離れた微妙な位置にバスターミナルがある理由はここが夕張方面からの列車と札幌方面へのバスの接続点だったからです。そのため、駅名も最初は「野幌バス停留所駅」だったはずです。夕鉄の鉄道線廃止後も国鉄末期までは北海鋼機の専用線が残っておりました。北海道でたまに見かけるホーロー看板「雪印カラートタン」は北海鋼機の製品です。
バスはここから線路跡を使っている広域農道「きらら街道」には入らず、高砂駅前を経由し上江別を経由します。きらら街道と交差するあたりが上江別駅跡地ですが、完全に住宅街になっています。
踏切を渡って江別駅前、大きく弧を描きながら線路をアンダーパスして千歳川を渡るとあけぼの団地です。前に中央バスの便も走っており、そちらは細々下車があるようで、夕鉄バスの路線と需要が合っていないのかもしれません。
このあとは田んぼが広がる一本道を進んでいき南幌町に入ります。何も無いところで曲がると南幌温泉に着きます。
南幌温泉は夕鉄バス沿線では気軽に入ることのできる公営温泉で、夕張鉄道の晩翠(ばんすい)駅にほど近い場所になります。10:04到着。
●徒歩で川を越える
さて、バスを降りますときらら街道沿いを歩いて行きましょう。交通量の多い道ですが歩道の無い道路ですのでこちらも気を使います。千歳川の橋には歩道があり安心。ここを渡ると砂利道の河川敷を歩いて行きます。中の月揚水機場が見えたらもう少し。徒歩20分程度ではありますが、でももうあまり歩きたくないなぁ。
●中の月
江別市民だった私としては「中の月」というバスの行き先を不思議に思っていまいした。で、実際ここに立つと、何故こんな場所にバス停があるのか?という不思議さすらある場所です。民家は無い訳ではありませんが、周りは農地です。終点といった感は全く無く、唐突に終わっているという感じです。
江別方面からバスが回送でやってきて、目の前を通り過ぎどこかで転回して、直接バス停から見えない路上で停車中。バス停位置がカーブで見通しが悪いため離れた場所で待機のようです。
●江別市内線 中の月-江別駅-4番通-野幌駅南口
さて、時間になってバスがやってきました。行き先幕が「野幌駅南口-4番通・若葉循環-中の月」となってるのは昔からですね。既に中の月行きは存在しませんが矢印的には両方になっています。これ、LEDだとどう表示するんでしょうね。
10:49一言も発しない運転手さんと2人でスタート。私は「客はこの後も乗ってこない」と思っていましたが、まさかの2つめのバス停「下の月」で1人乗車です。ここは鉄道時代の下の月駅跡地ですが特に痕跡は残っていません。ここからは早苗別経由の新札幌行きもいくつかあるバス停ですので利用客がいるのは不思議ではないのですが、ちょっとした驚きです。当然マニアでは無く一般的な利用者です。
道路工事を縫ってきらら街道から早苗別通へ入ります。きらら街道整備前はこちらがメインのルートでしたが、今では住宅も多いことからこのルートを一般のクルマは使わなくなっています。
ジェイアールバスも走るゆめみ野地区ですが、ジェイアールバスは休日に全便運休しますので、この便が今日2便目。なので早苗別地区も含めて結局江別駅までに5人乗車してるという、1日1本しかも土曜休日しか動かない免許維持路線とは思えない活況となりました。
上江別郵便局からこの便しか止まらない江別駅南口を経由、先ほどと反対にJRを弧を描きながらくぐり抜けて江別駅前です。ここで2名下車。
途中にバス停の無い不思議な区間を抜けて江別市立病院。ここは構内まで入りますが乗降無し。これまた途中停車せずに4番通3丁目まで行きます。
江別4番通りは80年代くらいまではほぼ宅地も無く、町村農場がまだこの付近に存在していました。町村農場バス停は「いずみ野団地」に変わっており、旧町村農場施設は見学可能な施設となっています。
4番通りは中央バスも江別市内線を走らせていますが停留所位置は微妙に異なります。また、さらに元江別方面に向かいますので直接の競合にはならないのですが、こちらは1本ですからどうにもなりません。それでも牧場町で1人乗ってきました。どこへ行くのでしょう?
家畜センターで左折します。農業共済組合連合会研修所が近くにあります。中央小学校近くの錦町、市役所通りを過ぎると国道12号線を横断、昭和44年とかなり昔から総合病院として存在する谷藤病院を通過、T字交差点を右折します。この交差点JR高架前は踏切となっていて直接高砂駅に抜けていましたが、公共地下道になり車両通行止めになったため一旦新栄通のアンダーパスから鉄東線に入るようになりました。
せっかくなのでイオン江別店付近にバス停があっても?とは思いますが、1便だけですしね。後で通る夕鉄バス野幌ターミナルでは降りられず高砂駅に行きます。ここで1人下車。
高砂駅を出るとすぐ右折。この先に江別高校があります。学校の前にせっかくバス停があるのですがこんな使えない時間ではどうしようもありません。最も江別高校の生徒は「江別高校入口」バス停や高砂駅を使うのでしょう。T字交差点を右折、運転手さんは2つの停留所放送を流します。「北海鋼機社宅」と「東野幌団地」そして、「北炭団地」の放送を流しました。どうも北海鋼機社宅と東野幌団地を通るルートが道路が狭く、バス停が廃止になった模様です。少なくとも2007年ではこの区間を運行してたはずなのですが。
東野幌の住宅地を見ながら野幌バスターミナルに戻ってきました。乗降無く発車し、野幌駅南口まで来ました。2名が下車。意外なお客さんがいるんですねぇ。11:37の発車です。
本来、ここまでと、若葉循環は系統が別のはずですが、バスとしては直行するようです。運賃も通算されるよう。
●野幌駅南口-若葉循環-野幌駅南口
若葉5丁目までは新札幌方面と同じ停留所を行きます。若葉5丁目の停留所は曲がったところにあって当路線線用。若葉小学校はこの地域の比較的新しい小学校です。少し行って左折。若葉自治会館で1名乗車。このあたりは住宅密集で駅も遠くバス開設が望まれていたのでは無いかと思いますが、平日15便時代はともかく、今ではほぼ使いようがありません。
白樺通に入って伊達屋敷通、2号線はジェイアールバス北広島方面ポールに隣接、かなり情報大学や道央道に近づいて左折すると緑ヶ丘南。このあたりはほとんど住宅が無かったところなのですが、今は住宅が建ち並んでいます。緑ヶ丘緑地を過ぎてまた右折。この通りを1号線、白樺通を2号線と呼ぶのはバス停としては残ってるもののあまりいないかもしれません。
バスは野幌駅に戻ってきました。11:52ほぼ定時刻です。バスのアナウンスは終点とは一切言わず普通に案内。これは他の系統と共用してるからなのでしょう。運転手さんの案内で下車です。バスはすぐに回送で去って行きました。
●おわりに
夕鉄バスの苦境は夕張地区だけではありません。一定の利用客が見込めた江別地区も中央バス、ジェイアールバスがsapicaを導入している中夕鉄バスだけが取り残されている現状、並行区間を中心に利用者が敬遠してるのもあります。定期券も共通ではありませんし。
鉄道跡地のきらら街道が整備されてからは南幌、栗山への需要もクルマの方がずっと早く着くわけで、バスの維持は並大抵ではありません。
夕鉄バスの「撤退戦」がどのようになるのかはいつも気になってみているところです。もちろん全く客がいないわけでは無いので、一定の生き残りは模索するでしょうが、このままでは朝晩だけの運行になりかねないわけです。既に新札幌駅-文京台南町は日中だけの路線になってしまいました。ラッシュ時は本線系に資源を集中させているわけですね。
このバス会社の行く末は、北海道内だけでなく全国の「交通機関の行く末」であることです。どの地域も多かれ少なかれ似たような例が出てきます。そのときに過去を知ることが大事です。夕鉄バスの「歴史」はそういう意味では事例になるかもしれません。