北海道の交通関係

LCCと新幹線

2014/05/22
■運航中止相次ぐLCC、なぜパイロットが不足するの?
(THE PAGE - 05月22日 07:10)

この記事でそういえばと思い出したのが、JR東海が総合職を含め新入社員全員に新幹線の運転免許を取らせていること。

もちろん鉄道会社の社員として鉄道の何たるかを理解させる近道は列車を運転できる免許を取らせることに違いないのですが、それ以上に万一乗務員不足が発生した時の社内融通が比較的簡便に行える可能性もあるように思います。不足する数週間だけ新幹線運転士として運転士以外の社員を乗務させられる可能性(もちろんそのハードルは高いと思うが)があることですね。ずぶの素人を1から養成するよりは当然短時間で済むはずですから。

そしてふと考えたのが、LCCと新幹線のコスト差。
新幹線1列車を東京から新大阪まで運行することに必要な乗務員数は運転士1名と車掌3名の合計4名となります。(東北、上越などは運転士1車掌2の3名が基本)
もちろん車内販売員やグリーン車のパーサー的な乗務員も必要ですが、運行にかかわる乗務員は航空機より少なくて済みます。

航空機の運航乗務員はパイロット2名に乗客定員50人ごとに1名の保安員(客室乗務員)が必要ですから、LCCでよく使われる170席クラスのA320なら合計6人が最低の運航乗務員の人数となります。
昔のジャンボでしたら500席クラスにパイロット2名、航空機関士1名、客室乗務員11名(アッパーデッキ分1名)の14人が必要でした。

こう思うと実のところ新幹線はあくまで乗務員のコストで考えるとLCCよりローコストともいえるかもしれません。

もちろん飛行機を飛ばすには空港の使用料が、新幹線を走らせるのは駅や線路の設備の費用が掛かります。そして燃料費や電気代。

空港は航空会社が所持するものではないので、着陸料という形で納めることになります。A320の成田空港の着陸料は117,700円で、ブリッジなどの空港設備の利用料を含めて17万円程度。170人の乗客なら運賃のうち1000円はこの空港に払う費用ということになりましょう。本来は空港の整備コストなどの負担もありましょうがこれは航空機燃料税から支払われていると考えておきます。
そして、燃料代ですが、すごくざっくりと一人当たり12リットル(あくまでB767が東京-札幌を飛ぶときの燃料が1人あたり24リットル程度という試算があった)と仮定して、燃料税18円含め1リットル約85円と仮定(ケロシン=灯油ですのでね)運賃のうち1000円前後になろうかと。(これは異論あろうかと思いますが)

ちなみに上場しているスカイマークの営業費用は年間851億円、1日2.3億円で、1便当たり150万円ってところか。そうすると全便あわせての一席当たり営業費用は9000円くらい。だいたいコスト的には合ってる気がする。
LCCは非上場でそういうデータに乏しいのでもうすこし販管費が抑えられる分コストは低いと考えられる。

新幹線の設備は自前ですので、線路補修やらは当然自社でコストをかけて行います。この保線費用がなかなか算出しずらいんですよねぇ。で、営業費用からもっていくことにします。
JR東海の年間営業費用1兆1591億円ですので、新幹線だけで1兆円と推定。1日28億円、360本で1列車あたり約770万円。座席1席当たり6000円くらいになるんじゃないかと推測。(これも異論あろうかと思いますが)
ちなみに新幹線の電気代ですが
>500系新幹線のぞみ号は新大阪~博多間2時間17分
>の走行時間において2万KWHの電気を消費
という資料があったんで、一応これをもとに、時間と最高速度を考えて東京-大阪もほぼ同等と考えますと1Kwあたり20円としても40万円ですね。一席当たり300円前後となります。

もちろん直接比較できない項目で見ていますが、LCCと新幹線の乗客一人あたりコストって実のところそんなに変わらない可能性が高い。

そう思うと、少なくとも東海道新幹線を有するJR東海に関しては値下げできる余力をリニア開発建設費に回すのと、これから発生する東海道新幹線の大規模な修繕に備えているともいえる。航空会社はインフラを負担しなくていい分価格を還元できるということはいえるのかもね。

ちなみにこの単純な営業費用を日割り、列車本数で割ると
JR北海道の営業費用は1112億円なので、1日約3億円。
列車本数は1300本くらいなので、ざくっと1列車あたり23万4千円の経費が掛かっている。

逆に売上額でもっていくと売り上げは776億円なので1日2.1億円。1列車あたり16万3000円の売り上げとなる。目の前を走る1本の列車が7万円近い赤字を出しながら走っているというくらくらした状態になるわけ。

じつは、これを特急・急行列車137本で考えると、1列車あたり営業費用は222万5千円、売り上げが155万2千円です。

すごくざっくりとしてるけど、JR北海道の年間特急利用客数が809万人。1日当たり2万2千人。1列車あたり161人

1列車に単純に161人乗っていたとして売り上げ上1人当たり9639円になるんだよね。
これって、札幌から函館(8830円)釧路(9370円)に近い数字

売り上げのかなりな額は特急が稼いでると思って間違いないんだよな。

逆に、特急だけで営業黒字にするには一人当たり4000円値上げするか、特急1列車あたり230人程度乗っていれば達成できちゃうっていう部分がある。1.5倍に乗車人員を増やさなきゃならないってこと。

結局地道な営業活動と、安定運行を続けて、利用客の信頼を得ていくしか方法はないんだよね。


ちなみに、営業費はさておいて札幌-函館に新幹線が開業したら、今の年間253万人(これは函館だけでなく室蘭需要も含んでいる)の利用客が道内移動だけで180万人程度増える予想になっている(まぁ、これは話半分にしておくが)これに東北からの航空移転が100万人くらい予想されている。

当然JR北海道も新幹線をリースする費用と施設のメンテナンス費用を負担するので経費も増えるのだが、収支出のバランスは大きく改善するのは間違いないわけだ。


ちなみにJR東海は新幹線を買い取って、今も払い続けている形ですからねぇ。平たくいうとJR東海の利用客は国鉄債務や新幹線債務を返している形ではあるんだよね。

(追記・当時のコメントへの返信)
東海道新幹線はほぼ全列車が満席で運行しているんで、1人当たりのコストをそのまま座席数で考えてもいいはずです。在来線の経費がもっと掛かるはずですので、実際はもう少し安い気がします。
ただ、このコストに国から新幹線施設を買い取った時の返済費用とかが入っていないので、まぁ、こんなもんかなぁと。営業利益の1/3はそういった費用に消えてるんで。

本当はもっとまともな資料や輸送人員なんかを考えて算出しなきゃならないと思いますがね。特に航空と新幹線の競合路線での1席あたりの原価比較なんかすると面白そうではありますが。


実際のところ新幹線と航空機は戦場が違うので直接戦う必要はなかったりするのですが、比較的高速化がたやすい東日本に比較して東海は早いうちから危機感を感じていたのは事実でしょうね。
もし、東京-大阪が3時間程度の運行を続けていたなら羽田の地方路線への割り当ても少なかったでしょうし、今のような国際線就航もなかっただろうと思われます。

そう思うと地方の空港の存在意義はともかく、新幹線のない地域への交通網を考えると新幹線で代替できる空港はできるだけ新幹線に移行してほしいと考えるのは不思議ではありません。

よく東海道新幹線の値引きについて(JR東海は殿様商売とかね)批判がありますが、実のところ現在の輸送力年間1億4千万人、1日38万4000人、1列車あたり1100人くらいになります。早朝夜間やこだまなどの不人気列車を考えても、通常のほとんどの列車が満席で走ってることになるんですよね。
割り引くとそれだけ本数を増やさなきゃならない。そう思うとある程度航空やバスに逃げてもらわないと困るくらいに思っているわけです。

これに対して東北新幹線なら1列車あたり650人となり、特に東北北部には余裕があります。フリーきっぷ系を出すことができるのはここに理由がありそうです。

そういう意味でJR東海が頑なに割引切符でののぞみ利用(フルムーンなども含めてね)を拒否するのは、釈然としないまでも、致し方ないのかなとも思われます。同様にポイントやマイレージなどを他社と行うのも消極的でしょうね。乗客にとってはともかくJR東海としては今の乗車率を今の運賃で輸送できる現状が最もいいと思っているのでしょう。

カテゴリ: LCC 航空 新幹線

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