北海道の交通関係

なぜか「余裕を削る」ことを美徳とする人たち

2014/06/09
■リニア、絶対にペイしない?“あるはず”の需要想定で赤字必至、新幹線と共倒れの懸念も
(Business Journal - 06月08日 14:00)

日本の都市間交通を考えるときに新幹線のになった役割はものすごく大きいものがある。

仮に新幹線がなかったら、東日本と西日本のすべての移動はクルマと飛行機。今の東海道新幹線の輸送量年間1億4000万人、1日あたり38万人以上を、仮に飛行機だけで輸送したら引退したジャンボ機ですら760往復と今の新幹線の倍以上が必要です。
(もちろんこの数字は東京-大阪だけでなく静岡や愛知などの需要があるから単純にこういう計算はできないが)
これはとても今の航空設備では無理で、この需要を賄えなかった部分は「発生しなかった需要」つまりは日本がそれだけ経済成長できなかったということになる。

そして、その38万人を新幹線の運行本数で割ると1列車あたり約1000人が乗ってることになる。これは人気のある列車もない列車も等しくなのだ。平均でも77%の乗車率。
つまりは「のぞみ」を中心にした人気列車はほぼ満席で走っていると考えていい。

さて、その東海道新幹線は耐震補強工事や俗にリフレッシュ工事などを行っています。1976年のリフレッシュ工事では数多くの列車が運休して社会生活に重大な影響が出ました。
昨年から始まったリフレッシュ工事では列車の運休は発生していませんが、これは現在の需要を考えるととても「止められない」というのが真相でしょう。本来であれば列車を止めて大規模に行ったほうが安全で工期も早いことなど火を見るより明らかです。

新幹線開業からすでに50年。カーブの規格を考えてもこれ以上の高速化はできませんし、いざこの路線が停止すると羽田国際化はおろか、地方空港便を休止してもこの区間を運行しなければならないほどの緊迫した事態に陥ることになります。

それならば海沿いで人口密集地を走り地震リスクの高い東海道新幹線に対して、比較的リスクの低い中央新幹線を作ることは利にかなったことです。

リニアができた後の東海道新幹線は「のぞみ」に相当する列車はほぼ運行の必要性がありません。保守時間帯の増加もできますし、場合によっては数時間停止のような保守のしやすい状況になりましょう。
そして、「のぞみ」の分「ひかり」「こだま」相当の列車を増発することが可能です。いままでそれなりに需要があるのに力を入れようがなかった東京-静岡などの比較的近距離なのに本数が少ない駅の停車本数が増加します。当然「通勤新幹線」列車も増発されるでしょう。場合によっては九州新幹線、北陸新幹線の乗り入れも可能になります。
そして何より、新幹線貨物の実現も可能ではないかと思っています。比較的軽量な書類などの輸送に新幹線を使うことで航空貨物の移転ができ、航空会社としては旅客以上に東京-大阪を運行する必要がなくなります。空いた首都圏、関西圏空港は今以上に国際線を飛ばすことができ、さらに地方空港への便も飛ばせます。これは長い目で見ると羽田・成田のハブ空港化という目的にもつながります。

リニアは基本的に「のぞみ」のみが走るわけですから、これまた利用者の減少を考える必要はあまりないでしょう。そして重要なのは列車の走行時間が約半分になるということは、車両の導入本数や人員も大幅に削減できます。

とても単純ですが、2時間半運転の新幹線が早朝から夜間まで走り続けても1日に3往復ちょっとしかできません。(6時から24時までの運行時間で片道2時間半、折り返し時間15分としてもです)
リニアが1時間15分折り返し15分と考えますと倍の6往復できることがわかります。つまりそれだけ使用列車の本数が減る、そして乗務員数も減らせる(というか運転士が乗ることすらないらしいし)電力コストが3倍としても、運行効率でコストを下げれる算段があるからこそ、運賃をほとんど上げずに運行できるという目算ができているのでしょう。東京-大阪の予想運賃は現行の新幹線に1000円程度の値上げにとどまるという報道がなされています。
(私のような素人の計算より正確な試算があることは想像できますよね)

そして、東京-大阪という絶対に人の行き来が絶えることのない場所で今その80%のシェアが新幹線なんです。この幹線を二重化することにどうして反対するのかが理解に苦しむんですよね。
ここに高速道路も新東名ができて2重化が進む中、新幹線の余裕は今ほとんどない。JR東海もある一定以上新幹線を使わなくてもいいという割り切りを見せています。これ以上の乗客増を必ずしも「是」とはしていないんです。国民の移動の権利を賄うには少なくとも東京-大阪には複数の空港と複数の新幹線、複数の高速道路が必要です。
そしてその他100万都市圏には航空と新幹線という二重化が必要です(これは札幌以外は実現している)

リニアや北海道新幹線で「余裕」がなくなると嘆いている人は、逆に「移動できなくなる可能性」としての「余裕」を否定している人です。
高齢化社会が進む中、運行乗務員を少なくするという「余裕」も少なくなっています。LCCのパイロット不足は対岸の火事ではありません。近々大手エアラインにも波及してきます。今作らないと、この先50年後「移動できない」事態が訪れることすら私は危惧しています。

(コメント追記)
東海道新幹線の問題はその需要の多さをわずか1複線で賄わなければいけないため、運行障害が大規模になることが挙げられます。
記憶に新しい有楽町付近の火災や毎年必ず発生する関ヶ原の雪害などに対する脆弱性があります。
リニアルートのほとんどがトンネルであることで運行障害は最小限に抑えられることや、万一のリニア障害時は当然今までの東海道新幹線が代替ルートになります。

おっしゃる通り東海道新幹線の現行「のぞみ」相当の列車を山陽新幹線直通分の時間3本程度に抑えられた場合、現行1時間に2本の「ひかり」「こだま」をほぼ倍に増発できます。特に静岡停車の「ひかり」が増発され退避が減ることでの時間短縮効果は大きいです。

東海道新幹線が東名阪の輸送事情を大きく変えたのと同じように、リニア開業後は静岡・岐阜・滋賀に大きな影響が発生するでしょう。それは東海道新幹線第二の開業といわれるほどドラスティックに変わらざるを得ません。これら都市にとっては、目の前の高架橋をただ騒音あげて通過する列車が「自分たちのもの」になるのです。これほど大きい変化がありますでしょうか。

そして、それこそ新幹線初の「クルーズトレイン」的な列車だって運行可能なのです。個人的にはわくわくしますよ。朝東京を出て東海道、山陽の各名産品を食堂車で食しながら1日かけて鹿児島まで。(もちろんある程度の速度で運行しなければなりませんが。東京を10時に出ても、日が落ちるまでに鹿児島に着けるのが新幹線の実力なんですから)そんな列車が可能になりましょう。

それは前時代的な在来線ネットワークを使用するよりも首都圏、関西圏の経済効果を地方に行き渡させるという意味でこのような列車は地方独自で走らすより、新幹線ネットワークで走らせるべきなんです。新幹線を使うからこそ宿泊が「地方」でできるんです。車中で寝るのもそれは貴重な体験ですが、車中で寝るから地方に金が落ちないんです。夜行列車擁護派はこの観点が欠けています。だからこそ地方経済界は夜行列車の削減にそれほど反対しないはずです。

もっと言えば、東海道新幹線と東北新幹線を東京で繋ぐのは非常に難しいですが、北陸新幹線を経由して接続することは可能です。もちろん運行システムが大きく異なることは承知していますが、これで「在来線に代わる国内の鉄道ネットワークを作成する事にもつながります。

100年以上前に作られ、自然災害に脆弱な在来線から、高架橋やトンネルに守られ、比較的災害に強い新幹線ネットワークこそが新しい国内の「在来線」になるのではないかと私は思っています。そのくらい今の在来線は「都市内交通」としての魅力はありますが「都市間交通」としての魅力に欠けています。

ともかく今の東海道新幹線は全く運行に余裕がなく、すべてを同じ定員の面白みのない車両を使わざるを得ません。しかしそれはJR東海が面白くなくするために決めたものではありません。すべては社会の要請が大量に高速に快適にを追及していったことで行われたことです。

リニアはその「面白くない」部分をすべて引き受けることでしょう。そして東海道新幹線が東海道線区間の通勤事情を大きく変え、本当の意味でのJR東海JR東日本の対決が始まります。




JR北海道に関しては新幹線でやっと「普通の」鉄道会社になれるだけの収入を得られることになります。今までJR北海道が航空チケットや航空ツアーを売らざるを得ない実態をあまりにも無視しすぎです。

何度も書いておりますが「赤字」「黒字」の本質が全く見えていないのが「識者」と言われる方にもあるのが不可解です。わかっていて言っているのかもしれませんが、空港設備の建設、整備費を組み入れて航空会社に黒字だ赤字だ言ってる方はいません。であればあたりまえのように鉄道事業も整備費を含めず黒字赤字を出さなければ意味がありません。こういう根本的なところをわざとはぐらかすマスコミや識者にはうんざりします。

カテゴリ: 新幹線

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