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そもそもマニュアルがどうなっていたのか不明な事象

2015/04/04

「北斗星」も遅延 - JR北海道、青函トンネルで車両から煙が出た事象を説明
(新聞記事)

トンネル内の火災が発生したときは、トンネル内で停車させないというのが北陸トンネル火災事故以来の教訓。トンネル内の火災は乗客死亡に結びつく。

54キロという非常に長いトンネルであり、なおかつ地上への脱出口が限られる青函トンネルには、火災事故発生を考えて作られた竜飛と吉岡の両定点(以前は海底駅として見学できたが廃止後緊急時の「定点」と機能のみ有する)がある。トンネル入口から勾配で海底区間へ下る途中の位置に設置されている。両定点間は本線とは別のトンネルの避難通路も設置されている。これは万が一全ての動力を失ってトンネル最深部にいても避難できるためである。

しかし、定点から地上までの区間は基本的に本線トンネルしか存在しない。これは万一動力が失われても、最悪定点までは下り勾配を生かして走行できるということ。定点まで走れば火災消火のためのスプリンクラーも本線から遮断された避難通路や地上への移動手段も提供されている。

今回はその定点を超えて1.2km青森方であり、運転士の判断で非常停止している。もちろん現地で起きたことが完全にわからないうちは批判できないことではあるが、これはマニュアルに想定されている事象ではないだろうか。本来は地上まで走るか定点まで戻るかの判断をする場所である。1.2kmという微妙な距離だから乗客を歩かせたのかもしれないが、常識的に考えられない。

そもそも当該の789系車両には今回モーター付き車両が3両ある。うち2両はユニットを組んでいて、1両は単独で走行できる機器を持つ。いずれかのユニットが故障しても、切り離して1ユニットだけでトンネル外に走行できる仕組みを持っている。決してトンネル内で停車させないことを優先した設計がなされているのだ。そもそもがこの区間を、青函トンネルを安全に越えられるために設計された車両。今回なら乗客を当該車両から避難させユニットカットを行い、地上まで、もしくは定点まで走行するのが正しいと思われる。ディーゼル車と違って可燃物の積載をしていないため、炎上の危険はほぼ無い。

竜飛定点から地上までは13km、吉岡定点から地上までは18kmを要する。その中間地点で列車を停車させていたらどうなっていただろうか?もはや徒歩での避難はできない。当然地上へ走り抜けるか、停車し後退して定点まで向かうかいずれかの選択をしなければならない。

そのあたりのマニュアルはどうなっていたのか?今回車両停止から降車開始まで40分だが、その間にどのような指令とのやりとりがあったのか。そして、トンネル内停止という選択をしたのはなぜか?

ちなみに今回の事例は竜飛定点の発熱検知が異常を検知していて、当該編成の5軸目(2両目前位、発煙当該車両)に発熱を検知していた。つまりは定点付近で既に火災が発生していたのに点検させなかったことが今回の被害を大きくしていた。発熱値が小さかったので火災と判断しなかったという見解だが、少々疑問がある。既にその時点で煙が車内にあったと考えられるから。140km/hで走行している車両が、竜飛定点の先1.2kmで停車ということは、ほぼ竜飛定点付近で停止手配をかけた。もし、定点手前の検知で異常感知していたらほぼ定点内で停車できていたはずだ(定点は500m以上ある)

そして、そもそも今回の事故要因がモーターへの過剰な電流による被覆破損であるならば、通常考えられない事象。この編成は既に午前中に1往復しているわけで、既にその頃から異常が発生していたと考えるのが自然だ。その異常を早めに検知するために定点施設の発熱検知器があるのだから、これを有効に活用しなければならない。少しでも他軸より発熱を検知していたら点検することが必要だ。閾値が低いのではないか。


ともかく、今回の事故は個人的にはあまりにも衝撃が大きい。起きた事象より、トンネル本線での停車徒歩避難など、通常考えられない「マニュアル」や異常時対応のいい加減さが見て取れる。これへは安心して利用できないし、新幹線に対する不安も大きくなる。青函トンネル自体は在来線も新幹線もないのだ。同じ事象は新幹線でも発生する可能性がある。そのとき帰省時などの満員の乗客(まぁ、それは考えられないにしろさ)がいたとしたら、どう対処するか?

もう一度トンネル開通時の原点にかえって、北陸トンネルからどのようにトンネル火災を避ける努力をしたのか考えた対処をして欲しい。


(コメント追記)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0119677.html
停車30分前から異臭ってことで、トンネル内の上り勾配での問題では無く、その前からということで、遅くとも知内信号場で停止できた可能性がありますね。異臭がしていたのにトンネルに入ってしまう、トンネル内で問題が発生していたのに定点で停車せずという全く危機管理ができていないことの方が起きた事象より怖いです。
乗務員の訓練がろくに行われていないこと(訓練しましたっていうのは時々テレビで流れるが、結局乗務員はそれをのんべんだらりやってるだけ)が露見したように思えます。

やっぱりJR北海道は変わっていません。社員は全く安全意識を持っていない。

本当にクラクラします。

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