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北海道の交通関係
留萌線は不要だが継続できる「地域交通網」を考えたい
2015/06/29
■JR北海道、留萌線の廃止検討
(時事通信社 - 06月29日 11:01)
やっとニュースに出てきたのでちょっと記載。
今回廃止を検討している留萌線の留萌-増毛には廃止になるだけの理由がありとても廃止反対を叫ぶような真似はできないのですが、それと同時に継続的にこの地域に交通網を残すためにはどうすればよいかを考えなければなりません。
そもそもなぜこの区間を廃止しようと考えたのでしょう。
●並行バス路線の現状
留萌-増毛にはほぼ並行する国道231号線に沿岸バスの路線バスが走っています。元々増毛地区は増毛町としては中心地ではありますが南北に細長く海沿いに集落が形成されており、特に道路改良前に交通不便であったな雄冬地区を除けば最南端の別苅地区まで路線バスが通っていることで以前よりバスの方が利用客の多い区間でありました。もちろん別苅地区から増毛まで来て列車に乗り換えるなんて言う需要は全くありません。
しかしバスも安泰では無く、減便が続いているのが現状です。80年代はほぼ30分おきだったこの区間のバスは現在1時間から2時間間隔となり、以前は複数の経由便がありましたが再編で全ての便がほぼ鉄道と並行することになります。つまりは駅と集落は一致していますが列車よりバスが便利なため鉄道利用客が少ないのです。
留萌市立病院が瀬越駅徒歩圏から現在は鉄道の駅と全く合致しない場所に移転したため、ほぼ全ての便が留萌市立病院発着となりました。都合の良いことに留萌市立病院と留萌高校は近接の上職業科である留萌千望高校もそれほど離れていませんので、通学客の利便も図れることとなりました。バスはバスの機動力を生かして需要に寄り添った形です。
●沿線人口と高校
増毛町の人口は4700人。国鉄からJRへの転換期に近い1985年には8000人程度の人口がありましたので約半分になっていることがわかります。この間増毛高校は2011年に閉校しており通学生は本来留萌に通学することになり、人口統計から引けば100人程度が通学していますが、この需要は先の通りバスが請け負っています。同様に通院、用務客も半減しており、JRの利用客数に影響しています。
●ダイヤ
増毛-留萌のダイヤを見てみましょう。B・沿岸バス/J・JR留萌線です
増毛駅 留萌駅 市立病院
J06:11 06:41
B07:23 07:55 08:10
J07:35 08:05
B07:43 08:10十字街止まり
B08:15 08:50 09:05
B08:45 09:20 09:35
B09:45 10:20 10:35
B11:13 11:45 12:00
J12:54 13:24
B12:58 13:30 13:45
B13:58 14:30 14:45
B15:13 15:45 16:00
J15:41 16:11
B16:48 17:20 17:35(休日運休)
J17:47 18:17
B18:43 19:15 19:30
B19:23 19:55 20:10(休日運休)
J19:48 20:18
J21:49 22:12(休日運休)
朝の通学時間帯の便(増毛07:35)って良さそうな時間に見えますよね。
しかし、各学校の登校時間に間に合いません。(市内バスの通学便は高校着8:15。JRからは接続不可です)
市立病院 留萌駅 増毛駅
J 06:50 07:20
B07:20 07:30 08:00(休日運休)
B08:20 08:30 09:00
B09:50 10:00 10:30
B10:50 11:00 11:34
J 12:14 12:44
B12:20 12:30 13:04
B13:50 14:00 14:30
J 14:21 14:51
B15:20 15:30 16:04
B16:35 16:45 17:19
J 17:08 17:39
B17:50 18:00 18:34
J 19:10 19:40
B19:20 19:30 20:00
J 21:10 21:41(休日運休)
JRの使い勝手は早朝・深夜移動があるかだけです。留萌線は今回改正で減速となり遅くなったこともありますが、所要時間も大差ありません。
●留萌線を守るのか地域の足を守るのか
間違ってはいけないのが鉄道を残す選択をしたいならバスとともに地域交通が共倒れになる危険があるということ。既にバスは生活交通路線維持費補助金を受け取っています。留萌-増毛-大別苅は道と市町村の、大別苅-雄冬は増毛町の単独補助です。沿岸バス全体ではありますが7000万円もの補助金が既につぎ込まれているのが現状です。
この補助をいつまで続けるのでしょうか。逆にJRがあることでこのバスを廃止する算段もできるのです。しかし、それは現実的ではありません。なぜならこの路線は先の通り増毛から先大別苅地区への生活路線を兼ねているからです。残すなら「バス」なのです。
国道231号線は幹線道路ですので基本24時間開通区間です。鉄道と違い自前で除雪は不要です。この道路は将来にわたっても維持されます。ここを走るバスをいかに維持するかを地元自治体は考えなければならないのです。もうバスと鉄道で客を取り合う時代は終わったのです。
●観光振興
鉄道の役割の一つに観光振興があります。鉄道が走っているだけで乗りに来る客を含め、既にこの区間の利用客の大部分は観光客です。しかしながら増毛町の観光地はほぼバスで無ければ行けない場所が多く、増毛町も駅接続の観光バスを運行するでもなく最初から鉄道での観光客に諦めていました。
国道231号線が全線開通し、札幌から日本海側を通って稚内まで1本の道で繋がっています。この区間を使って札幌から直行する路線バスは特急はぼろ号1往復のみで、札幌からの観光客が使うことができないダイヤです。これをもう1往復札幌午前発、夜着を新設する(かつての中央バス日本海るもい号)ことでの個人客輸送を代替する必要があると思われます。
●JR留萌線の輸送密度
最後に現状の留萌線の輸送密度ですが、既に留萌-増毛は1日当たり40人程度の利用客となります。片道20人です。留萌線全線でもわずか140人程度となります。当然全線鉄道で維持できる範囲ではありません。
国鉄時代の留萌線の輸送密度も決して多かったわけではありません。1985年ですら700人程度で廃止されてもおかしくないレベルでした。
しかもこの1985年を境に輸送密度が急落します。この大きな要因が「札幌-留萌都市間バス問題」で、1984年に留萌-札幌の都市間バスを中央バスが開設。その後道北観光バス(現在の銀嶺バス)が乗り合い免許を持たずに参入、沿岸バスを含めた各社が客を取り合う事態になります。結局政治的な決着を見て現在の中央バス「高速るもい号」と沿岸バスの「はぼろ号」が留萌-札幌の都市間輸送を担っています。バスより高く本数の少ないJRが劣勢なのは否めません。
●最後に
今回の廃止区間に関わる留萌市と増毛町には是非鉄道が過去に果たした役割に感謝して、その最後を安らかに見届けて欲しいのです。反対とごねるべきではありません。既に時代は変わりました。しかも誰も鉄道を使っていないことはわかっているのです。今ごねても数字を出されたらぐうの音も出ませんでしょう。印象が悪くなるだけです。
そして既得権にしがみつくことはあってはなりません。もうそんな時代では無いのです。
そしてマニアの皆様も、この路線の廃止と新幹線やJRの体質を引き合いにするべきではありません。企画乗車券でのこの区間の利用はJRにとって何のメリットも無いのです。本気で残そうとするなら乗車券を買うべきですし、乗らなくても定期券を買うべきなんです。金も出さずに文句を言うのは正しい鉄道好きの姿では無いのです。現実にそれは無理でしょう。
地域が残って、地域の足が残る最良を考えるのが自治体でありファンの姿なのではないでしょうか。
地名に誤りがありましたので修正いたしました(別狩->別苅)最近どうも誤字脱字が多くて気をつけないと・・・