北海道の交通関係

留萌線は不要だが継続できる「地域交通網」を考えたい(2)

2015/06/30

さて、元のニュース記事はさておき、留萌-増毛に関しては絶望的な留萌線(留萌本線だろう!っておしかりは頂くかもしれませんが、既にJR北海道でも案内は留萌線ですし、面倒なんで留萌線で統一します)ですが、深川-留萌はまだマシかもしれません。

以前の日記で留萌線の利用客数を取り上げていますが、100人単位での利用者数が現れるのがこの区間ですので、この区間を維持できるかを検討してみようじゃありませんか。ワタシは鉄道好きであくまで廃止論者ではありません。でも、「利用されていない鉄路」は嫌いです。鉄道は利用されてこそ存在価値があるのです。

●並行バス路線の現状
留萌線留萌-深川に直接完全併走するバス路線はありません。とはいえ、区間ごとにバスが走っています。
・沿岸バス・道北バス
留萌-碧水-深川-旭川 10往復
留萌-峠下 1往復
留萌線とかぶる駅付近停留所は留萌・大和田・藤山・幌糠・峠下・秩父別・深川となります。全便が旭川へ直行するため地域輸送と都市間輸送の両方を併せ持つ性格となります。1往復は旧羽幌線代行バスとして幌延まで直行しています。峠下-秩父別は鉄道とは並行しません。10往復は伝統的に続いており80年代からほぼ変化がありません。

・空知中央バス
沼田-深川 平日9往復・休日5往復
留萌線とかぶる駅付近停留所は石狩沼田・秩父別・深川となります。
歴史はかなり古く貨物輸送が多く普通列車の本数が少ない留萌線を補完するために80年代は約30分間隔で運行されていました。最近は徐々に減便が進んでいます。

西北星-深川 冬期のみ平日4往復
留萌線とかぶる駅付近停留所は北一已・深川なります。
この路線は以前から不思議なのですが、一応掲載しておきます。なぜに冬のみなのでしょうね。

・沼田町営バス
沼田-恵比島-幌新温泉 平日5往復・休日4往復
留萌線とかぶる駅付近停留所は石狩沼田・恵比島となります。
恵比島から分岐していた旧留萌鉄道の代替バスです。昭和44年の閉山廃止時のゴタゴタで1年程度はは北海道中央バスの路線だったはずですがすぐに町営移管しています。昭和40年代から走る市町村営バスではかなり古い路線と思われます。

・北海道中央バス(高速るもい号)
留萌から札幌直通9往復のうち4往復が深川経由となります。留萌市内と深川市立病院相互間の利用が可能です。(途中停留所下車不可)

駅付近に停留所が無い駅は真布・北秩父別の2駅となります。主要道路からのアクセスに難がありますが元々停車列車の限られる利用客の少ない駅ではあります。
峠下-恵比島は鉄道でもいくつかのトンネルで抜ける難所です。並行道路も道道として維持されていますが夜間の除雪が行わない区間となっています。特に雪深く鉄道でもよく運行停止になる要素のある区間です。逆に比較的緩い美馬牛峠を経由する国道は24時間除雪となっており、並行する無料自動車専用道の深川留萌道(深川西-留萌大和田が無料区間)も含め冬期の路線維持に問題はありません。

バスの問題は深川方のターミナルが複数あること。中央バスの深川ターミナル廃止後の拠点は深川市立病院で、沿岸・道北バスは深川十字街(空知中央バス沼田線も停車)であります。いずれも駅とは少々離れています。
深名線転換バスは深川駅前が始発で、深川は是非交通ターミナルを整備して欲しいと思っています。(歴史的に深川は旧バスターミナルと駅が離れていた)

留萌は駅前バス停と中央バス留萌ターミナルは近接していますが、駅から直接見えないためわかりにくいと思われます。中央バスのターミナルは比較的新しく、沿岸バスの駅前案内所も羽幌線廃止後に新築されたものですが、これも交通ターミナルの必要性はありそうです。


●都市間バス路線の現状
留萌線の都市間輸送は国鉄末期まで運行されていた札幌・旭川直行の急行列車で行われていました。本数は少ないですが、当時の一般的なバスや車移動よりは早く、利用者も多くありました。しかし、1980年代半ばには高速道路開通による都市間バス路線の時間短縮や価格競争で廃止に追い込まれました。JR化後快速列車の新設や割引切符の拡充もありましたが快速列車は廃止されています。

・北海道中央バス(高速るもい号)
留萌-深川・滝川・直行-札幌
1964年に「特急便」として新設されたのが始まりです。当時は札幌-留萌を4時間半程度で走っていました。これが札幌-岩見沢の高速道路開通後1984年に「高速るもい号」として運行を開始し、高速の延伸とともに経由地や所要時間が変わっています。
現在は9往復運行されており深川経由4往復、滝川経由4往復、直行便1往復が運行されています。所要時間は2時間半程度です。

・沿岸バス(特急はぼろ号)
豊富-羽幌-留萌-札幌
1984年に開設された都市間バスで、当時は留萌での乗降はできませんでした。その後1992年に増毛・雄冬経由便が開設されこの便のみ留萌市内での利用が可能になり、高速経由便も1997年から留萌市内元川町での取扱を開始しています。留萌-札幌は2時間程度と特急乗り継ぎの鉄道より早い時間で移動できるようになりました。
高速経由5往復雄冬経由1往復

札幌-留萌だけで14往復もの札幌直行便がある現状です。両社に乗車券などの互換はないもののほぼ1時間おきにバスがある現状で鉄道の利用につなげるのは難しいと思われます。

1984年当時留萌-札幌にはもう1社道北観光バス(現在の銀嶺バス)も参入しており、現在の会員制ツアーバス方式で運行していました。運賃も安く直行のため人気がありましたが、様々な要因で撤退。札幌-留萌と札幌-稚内(旧羽幌線沿線も含め)は訴訟沙汰にまで発展する高速都市間バスの激戦区となった経緯があります。
沿岸バスのはぼろ号も当時道北観光バスが運行する札幌-稚内の「はまなす号」が羽幌などで便宜乗降させていることに反発し21条バスとして運行開始した経緯です。(現在はいずれも路線免許取得)当時は車掌乗務おしぼり、飲み物付きの上自動車電話による呼び出しサービスまでありました。

この状況で多少の時間メリットでは国鉄急行列車が太刀打ちできるわけもなく、撤退していくことになります。

●沿線人口と高校
市町村名 1985年人口 1985年高校生人口 2010年人口 2010年高校生人口の表です。高校生人口は15-19人口から算出しています。(前の日記で記載していない増毛町も加えました)
・増毛町 8000 300  5000 100
・留萌市 35500 1800  24500 560
・沼田町 5600 200  3600 90
・秩父別町 4000 170  2700 70
・深川市 35800 1600  24000 600
(あくまで切り捨てた数字であることに注意)
国鉄がJRに転換された頃と近い1985年との比較ですが、人口が大幅に減っています。減少幅は人口は3割程度減って高校生の数が半分以下になっています。鉄道やバスなどの公共機関の「お得意様」は主に高校生でありますので、これが大幅に減っていることがおわかりいただけるかと思います。

沿線の高校ですが、2015年のクラス数・定員としています。人口と表が異なることをご了承ください。つまり2010年より更に高校生の数が減っています)
・増毛 0 0(2011年閉校)
・留萌 12 448
・留萌千望 6 216(留萌高校商業科と留萌工業の併合校)
・沼田 0 0(2010年閉校)
・深川西 12 423
・深川東 9 192
もちろん滝川等に通学する生徒もいることは念頭に置く必要があります。

これを元に次に留萌線の現状を見てみましょう。

●留萌線の利用客数
以前の日記でも紹介したものです。乗降客数ですから実際の利用客は半分になります。
北一已 0
秩父別 118
北秩父別 4
石狩沼田 162
真布 2
恵比島 2
峠下 0
幌糠 0
藤山 0
大和田 0
留萌 142
瀬越 0
礼受 0
阿分 0
信砂 0
舎熊 0
朱文別 0
箸別 0
増毛 0

まず、ここから見て取れるのは沼田高校廃校後の沼田町と秩父別町の高校生はほぼ留萌線を使用して深川方面に通っているのではないかという推測です。もちろんバス利用もありますが、この高校生輸送が留萌線の肝になりましょう。秩父別での積み残し事件を契機に北一已利用者など比較的近い駅からは自転車などの通学に切り替えた可能性もあります。「冬期のみ運行」のバスはこういう需要を考慮しているのでしょう。

高校の通学区域が恵比島-峠下で変わりますので、留萌の高校に通うのは沿線では留萌市と増毛町の生徒になりますが、留萌市内・増毛町内の駅は留萌駅以外に利用客が「0」です。この意味は留萌の高校に通学する留萌線利用の高校生はいないということです。
先の発言通り増毛からの通学列車は残念ながら留萌の高校に通えるダイヤでは無く、逆の峠下方面からも全く通学に使えないダイヤになっています。


●留萌線を残すには
さて、ネガティブな要因が多い留萌線をどうしていくのが最適なのでしょうか。
正直な意見は「全てバスで代替可能」ということにつきます。必要なのは既存バスの走らない区間である峠下-恵比島-石狩沼田を経由する便の新設だけです。駅が基幹道路と離れる区間に関しては、乗り合いタクシーで問題無い程度の利用客しかありません。
最大の難点である通学輸送に関しても既に150名程度で、路線バス・スクールバスで対処可能と考えられます。

既に高速都市間バス以外は補助金による運行を強いられている以上、鉄道が逆にバスの客を奪うことで補助金額が増えているという見方もできます。地域の足を支えるにはできる限り足を引っ張らない体質が必要です。

留萌線を残すためには利用客を増やさなければなりません。朝のラッシュ利用客が500人程度、3両編成での走行が必要というレベルならなかなか廃線しにくいと思われます。しかし、通学客はともかく通勤客が全くというほど見込めない以上これは厳しい現実です。

もう一つ観光需要です。JR化後留萌駅は市内の数少ない旅行取扱業者として団体旅行を数多く手がけました。団体列車が留萌駅を利用する事も多く、90年代は何度となくフラノエクスプレス車やお座敷車を見たものです。しかし沿線の高齢化による団体旅行の縮小で主催旅行は最近無く、旭川支社の主催旅行しか無いようですね。

域外からの旅行にしてもここ数年留萌線は5月連休中のノロッコ号くらいしか臨時も出しておらず、これも時刻表にすら掲載されない有様です。留萌線を使っての旅行を検討する人はかなり限られていると言わざるを得ません。

留萌線を残すには完全に「補助金」に頼るほかありません。新幹線で切り離される五稜郭-木古内を引き継ぐ第三セクターには10年で23億円、単年で2.3億円の補助金にJR北海道も年1.6億円補助する。運行経費15.7億円、収入が14.8億円という予定です。留萌線の約半分37kmの転換試算です。留萌線は収入が運賃しかなく、せいぜい年1億円程度の収入しか無いはずで、ちょっとやそっと乗車人員が増えたところでどうにもならないのです。

なお、江差線木古内-江差の廃止時にJR北海道は年3億円を3年(9億円)地元バス運行補助として拠出するということにしていますので、それを考えても「廃止したほうが寄与する」のです。


結局留萌線を残すためのきっかけすら見えません。逆にここまでなるまで放置したJRも自治体も道もどうしようもないと思ってしまいます。

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