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北海道の交通関係
路線バスの永続的な未来を考えると
2015/09/15
ここ最近新潟市のBRT(というには少々お寒いシステムだが)を取り上げている。
しかし、これってどこの都市でも抱えている課題があって、それをどう解決しようか知恵を絞った結果で、単純に批判したところで何も解決しないのは明らかだったりする。
●いまのままでいいんじゃね?が悲劇を生む
新潟に限らず鉄道はJRだけ、市民の通勤通学にはバスを利用という地域は多い。特に通勤については企業は市内中心部に存在するのだから住宅がある郊外から直通のバスがあるのが一番便利なのは異論が無い。
バス会社にとっては郊外から都心部への直通バスは効率が悪い。片道が1時間かかるならそのバスはもうその日の朝ラッシュに運用できないわけで直通バスの本数分車両と運転手が必要になる。これでは増発しようにも増発できないし、バス1台当たりの収益が極端に悪化する。その収益が赤字になれば路線廃止に繋がるわけだから人口減少社会でこの「都心直通便」は継続できるかの危うさを秘めていることになる。
事実新潟にしてもバス本数はピーク時の半分になっているわけだし、不便になればバスからクルマへのシフトがおき渋滞が悪化、バスは更に収益が悪化するという悪循環になる。
●系統分離(今回の新潟BRT)の考え方
では、バスの本数を増やして便利にしようと思うと、1運用あたりの乗客数が同じか増えるなら可能になる。それが今回新潟で考えた「中継点」で乗り換える方式。
今までが
郊外A-15分-中継点-15分-都心
という路線なら朝ラッシュに2本走らせようとすれば
①07:00-07:15-07:30
②07:30-07:45-08:00
この2本は別々の車両と乗務員が必要
さらに同じ中継点を経由する別路線が存在するなら
郊外B-15分-中継点-15分-都心
③07:00-07:15-07:30
④07:30-07:45-08:00
これまた別々の車両が必要で、各路線2台のバスで2本しか運行できません
これが
郊外A-中継点
①07:00-07:15...回送で郊外Aへ戻る
②07:15-07:30...回送で郊外Aへ戻る
①07:30-07:45
②07:45-08:00
郊外B-中継点
③07:00-07:15...回送で郊外Bへ戻る
④07:15-07:30...回送で郊外Bへ戻る
③07:30-07:45
④07:45-08:00
となると同じ台数で倍の本数運行できます(中継点から各始発点へ戻る時間を含めてね)
そして、中継点から都心は2台車両を確保すれば今までと同じ本数(しかも時刻が偏った団子運転ではなくある程度等間隔で)運行できることになります。最低限の車両と運転手の増備で今までより多い本数が運行できることになります。
この方法のメリットは1台のバスが2回ラッシュでお客を運べれば効率が倍になるということ。1台のバス1人の運転手が運べる人数を増やせばバス会社としても経費を増やさず増発できるという話です。
しかし、デメリットももちろんありますね。あたりまえですが「乗換」が発生すること。そしてこの例だと2台のバスの乗客が中継点から都心までは1台のバスに集まるため混雑が増すことにもなります。だからこそ基幹バスである中継点から都心の間は「連接バス」のような定員の多いバスが必要になるわけですね。
●系統分離を成功させるための最低限の施策
さて、上に書いた「メリット」はうまくいったときのこと。現実にはこううまくいかないのは新潟の例でも明らかです。うまくいかない最大の理由は乗換の抵抗ですね。
中継点のバスターミナルで乗換先のバスが目の前にあれば心理的な抵抗はかなり抑えられるはずです。
これを実現した町があります。たまに経済関係のテレビや雑誌で取り上げられる「ときがわ町路線バス」です。
この街の路線バスは今までは私鉄の駅から構外の観光地や住宅地を直行するバスでしたが地方バスなので本数も少なく乗客も少なく廃止されます。引き継いだ町が運行するバスもコストがかかることで住民に負担がかかっていました。これを「中継点」として「せせらぎバスセンター」という場所を整備してこの場所を中心に駅、観光地、住宅地を結ぶように路線を作り、バスセンターでは各方面のバスが比較的狭いスペースでほぼ目の前で乗り換えできる方式にしました。
http://new-wing.co.jp/rosen/tokigawa/20150314time/6001.pdf
各路線がほぼ1時間に1本を維持し、しかも各路線が乗換できるようになっているのがわかります。本数が少ないながらも最大限に便利にしたことがわかります。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00039/201111_no44/pdf/P35.pdf
とはいえ、これとて実際に乗換しなければならない高齢者にとっては不満が大きいことがわかります。
あくまで過疎地のバスと都会の利用客の多いバスでは異なることが多いのですが、最小のコストで最大限の利便を考えることは大事なことでありましょう。
話を戻して系統分離を成功させるにはまず、中継点と都心間の高速化を図らなければなりません。乗換に抵抗が大きい上に中継点でのバス待ち時間が発生するこの方式は中継点と都心部の安定した運行が鍵になります。
そのためには
1・バス専用通行帯の整備
2・公共車両優先システム(信号制御)の整備
3・停留所の選択(快速・急行など既存停留所をある程度飛ばす)
4・車両の大型化(連接バスなど定員の大きい車両の導入)
5・運賃支払いの簡素化(ICカード化、単一運賃化)
6・「中継点」の整備と情報提供
を導入することが必要になりましょう。特に専用通行帯の恩恵はかなり大きくバスの安定運行に寄与します。
●では新潟に導入したBRTはどうなの?
今回新潟BRTでは1のバス専用通行帯は実施されませんでした。
現在は新潟駅-市役所を優先通行帯で、青山-関屋付近が新潟駅方面のみ専用通行帯いずれも朝のみで、一般路線バスと何ら変わりません。また、2の公共車両優先システムによる信号制御も青山-関屋付近しか入っていません。さらに3のバス停の統廃合も1カ所のみで、ほぼ既存バス停に全停車となります。
さらに今まで入っていなかった白山駅前への立ち寄りで所要時間は増加してしまったというのが最大の問題です。この白山駅前ですが、元々JRとの乗り継ぎ需要などほぼあるはずもなく、元々のBRT計画が新潟駅-白山駅の間であったことの名残と思われます。これが青山に延長になった以上白山駅前にわざわざ右左折させて入る意味は無いと思われます。
これではバスのスピードアップは全く望めませんし、今までより遅くなったというのが利用者の感想ではないでしょうか。
予算の都合とは言え、これでは乗換を嫌い、更に時間もかかるのなら多少の増便があってもバスに人は戻りません。
4の車両は連接バスを4台導入しましたが必要台数20台には大きく届かず、一般路線車を多く運行することになします。定員が少ないので混雑が多くなる問題があります。
そして、5の問題が多分今回のBRTでは最大の問題です。運賃が3区間に別れており、現金なら両替が必要な上乗り継ぎには「現金乗り継ぎカード」を利用など手間のかかることが多すぎます。
特に連接バスの後扉・2車目の扉を乗車用、前扉を降車用としたことでは、残念ながら降車だけで相当な時間がかかってしまいます。少なくとも基終点と市役所など整備された停留所だけでも係員を置いての後扉降車を取り扱う必要はありそうです。
最後に6の中継点。青山中継点はイオン青山隣接の歩道を使用したバス停となります。わずかな幅員にわずかな屋根という正直なんだこれというのが感想です。待合所とインフォメーション表示ははイオンの中にあるので営業時間中しか使用できず、しかも、その待合所からバス停までが遠いという、正直何考えてるんだろうという中継点です。しかも、接続バスはBRT遅れに対しての接続を取らないとのことで、特に終車時間は利用客にとってはひやひやものでしょう。この青山中継点のデキが悪いことが最大の批判であると思われます。対して市役所前のバスターミナルは屋内であり、インフォメーション完備とほぼ問題無い出來であることを考えても、少々今回の施設は金のかけ方がおかしく感じます。青山案は新潟交通の案だったようで、急ごしらえの感が否めません。
●でも、きっとバスはよくなるよ
あくまで見ていない中での記載なので、誤りや解釈の違いがあるかもしれないが、これだけ問題のある新潟BRTではありますが、個人的には「実験」として他の地域はこれを他山の石にでき、失敗を回避できると思われます。
新潟にしても予算の問題でできなかった専用レーンの設置とダイヤの正規化(あくまで今のダイヤは定時で走れそうなダイヤでは無い)を行うことで定時性が上がっていくだろうし、利用者の慣れもある。
実際に増便も行われ、朝夕を中心にダイレクト便(ただ駅に入らず市役所に行くのは役人用と言われても反論できなさそうだが)も残ったわけで、それなりに考慮された結果であるとは思っています。今後何度かのダイヤ変更や設備の変更で徐々によいシステムになっていけば良いなと思うのです。
(コメント追記)
ところで、新潟BRTを札幌に当てはめるとどんな感じだろう。
たとえば札幌から南区方面のバスだとこんな感じだろう。
「BRT」のルートは札幌駅-すすきの-国道230号線-イオン川沿ショッピングセンターとなる。(約9km)
バス停としては川沿1-1・藻岩高校前となり、ちょうどじょうてつバスの待機所やサービスセンターもあり、他方面への接続拠点となり得る場所でしょうね。
現行札幌駅-川沿1-1・または藻岩高校前へのバスは
快速便4本
普通便3本
となりますね。
まぁ、ここを拠点に定山渓、石山・藤野方面と乗り継ぎ・・・素直に真駒内駅を拠点にする方がマシな感じですね。
実際には直通バスに関しては直通であることに意味がある政策をやっている部分もあります。これは札幌市内でも市内特殊運賃区間が短く、市内で有りながら比較的高い運賃を課しているため都心直通に関してもある程度コストがあっているというのもあるのでしょう。
じょうてつバスに関しては最近は運賃倍額の通勤ライナーも運行していることから直通需要という意味を考えているように思えます。
ただ、札幌都心側の拠点が札幌駅だけでなく大通と市立病院(桑園)に別れていることや、旧市営バスと元のじょうてつバスの系統が入り組んでいて非効率になっていることも否めません。市営バス廃止から既に10年以上経っており、再編は必要とは思いますね。
結局連接バスは急行運転にするみたいね。あくまで検索したかぎりだが白山駅前ロータリーは連接バスには辛そうだったしね。
急行運転は青山-新潟市役所-古町-万代-新潟駅となるようなので、運賃収受はかなり楽になりそう。今回から210円均一だしね。一応新潟駅-万代は100円だろうけど、それは乗り継ぎからまんだろうし。
これでうまくいくようだと、やっぱりBRTは「R」が大事って事なんだよねぇ。