北海道の交通関係

すこしまともな杉山君の記事

2015/10/23

三江線廃止問題は、鉄道事業の「選択と集中」が引き起こした
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1510/23/news024.html

まぁ、彼も本質では悪い人間では無いのだろうし、私の様にこんなしがない場所で好き勝手書いてるよりはよほど立派なのだと思う。ただ、もう少し現地の調査や歴史を調べてほしいとは思う。少なくとも選択と集中というほど三江線と新幹線の関連は薄い。そもそも上場企業であるJR西日本が「ボランティア」として運行するレベルをこの路線が超えているからこその廃止提案な訳で。


さて、JR西日本も統計情報として各路線の平均輸送人員と旅客運輸収入を公開しています。三江線の成績はこんな感じであります。なお、同時に24年度鉄道統計情報も参照しています。

●三江線
区間:三次~江津 108.1km
昭和62年度平均輸送人員 458
平成24年度平均輸送人員 60
平成26年度平均輸送人員 50
平成26年度旅客運輸収入(百万円/年) 23
平成24年度旅客人キロ 2,374000

年間2,300万円の収入で、全線でならすと1日50人しか乗っていないということになります。
旅客人キロは1年間にわたって利用された人数×距離kmですね。これと運行日数×距離で割ると平均輸送人員が出てきます。

さて、ここで注目したいのは昭和62年の値なんですね。1987年つまり国鉄がJRになったときです。この時点で平均輸送人員4000人未満は廃止することにして様々な路線が廃止されていったのはご存じのことと思います。この時点でそれを大幅に割り込んだということは並行道路未整備によるバス転換が難しいという判断だったわけですね。

とはいえ、1987年ですら500人に満たないということは、赤字黒字どころの状況では無かったわけで、本来道路整備が完了時点で廃線にする必要があったはずです。しかしながら形としては黒字企業のJR西日本がこれを廃止するとは言い出しにくいわけで、大きな災害が無ければという形で最小限の本数を運行する状態が長く続いていたわけです。

さて、三江線といえば豪雨で被害を受けこれで廃止できるかと思いきやJR西日本が6億円、県が4億8千万円ほど出して復旧したわけです。これは災害復旧事業費国庫負担って話で、結局国が、回り回って全くこの地域に関係の無い市民から徴収した税金を投入して復旧したわけです。 これは当然北海道の日高線なんかにも適用できる部分です。国、運営会社、地元自治体が各負担するルールですね。

10億円程度の復旧費用は他の寸断路線に比較して軽微であったことが復旧した要因であろうとは思いますが、それでも、路線廃止して道路整備や代行バス整備に当てたほうが結果的に地域のためになっただろうと思うのは私だけではないでしょう。当然国庫補助は受けられないものの、代行バス費用の一部をJR西日本が負担することで、少なくとも鉄道運行時代のコストよりは相当に低減されます。

さすがにJR西日本も各路線の経費に関しては記載がありませんが、JR東日本が只見線の収支状況を
http://www.jreast.co.jp/railway/pdf/20140122tadami.pdf
で公開しています。なんと年間20億円もかかってるっていうことなんですね。
http://www.jreast.co.jp/railway/pdf/iwaizumi_course.pdf
また廃止前の岩泉線も2億円以上かかっているという報告です。

三江線については比較的新しい新線区間もありますので年間約10億円程度営業費がかかっていると想定します。コストはキハ120の使用や減速でかなり落としているとは思いますが。これ以下ということも考えにくいです。ただし、10億円の赤字(あくまで収入は微々たるものなので経費がそのまま赤字と考えて良い)というのは逆に多数の列車を走らす収支的にはギリ赤程度の路線でも出る数字でありますので、これをもって赤字だ廃止だというべきものでもありません。ただ、JR西日本の営業利益1000億円程度、純利益500億円程度から考えるとやはり過大で、先の日記のJR東日本のようにはローカル線を維持できないということも理解しなければなりません。

ただ、やはり災害復旧費用はJRとしての収支よりもザ・税金の無駄遣いという意味での国庫負担の方が気になるところで、これは島原鉄道の普賢岳噴火復旧区間が10年程度で廃線になったのもそうですが、今回はそれより更に短い期間ということもあって、何のための復旧かということもあります。

そもそも税金を使って復旧したのであれば、その後鉄道を動かすという気概が県にも地元自治体もJR西日本にもあってしかるべきです。それもなく、交付が受けられるからと漫然と復旧し廃線するというなら国は交付した補助金の返還要求を行うべきですし、JRが受け入れられないなら第三セクターとして県で動かすしか方法がありません。もちろん私自身は廃線するべきと思いますが、それならばそれまでの国庫負担金は返還するのが当然です。


やはり私の思う結論はもとより運行を躊躇するほどの赤字路線なら災害復旧してまで列車を走らす必要は無いです。現在も日高線や只見線など、誰が金を出すかを揉めている例を見ますが、その解決としての国からの補助金を期待するなら、県や自治体は相当な覚悟を持って拠出するべきですし、JRもせめて10年は運行することを確約できるほどの予算措置(あくまで運行はボランティア精神なわけだから)がなければ復旧するべきではありません。特に日高線はJR北海道自体が既に運行できるような状態ではありませんので廃線にするのが妥当と思われます。

JR西日本 日高線

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