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北海道の交通関係
JR東日本の「本気度」が試される
2015/12/04
■北海道新幹線、東京から最速4時間2分 3時間台見送り
(朝日新聞デジタル - 12月03日 20:30)
北海道新幹線の批判ってある程度折り込み済だし、まして朝日新聞だからね、無駄だ無駄だと騒ぐのは「社贅」なのは仕方がありません。
大事なのは北海道まで在来線軌道の関与がないこと。まぁ、貨物列車と線路を共用するのはある程度致し方ないわけですが、それでも東京から北海道の入口函館までただの一カ所の踏切が無く、ほぼコンクリートで固められることで安全が確保されることが大事なことです。大地震などの大規模な自然災害やJR側のチョンボが無い限り基本的に新幹線は定刻に走り続けます。
在来線鉄道の問題は、カーブが多く、軌道も基本は明治大正時代のもの。当時の技術では長大トンネルは掘れず、カーブで高度を稼ぐしかなく、少ない平地を求め海岸線近くを通り、逆に山側は崖になってるなど自然災害における脆弱性が大きい。ちょっとした自然災害(特に大雨や大雪)の運休リスクは新幹線より大幅に高いのです。その改善は現在の在来線改善では難しく別線新線、つまりは「新幹線」を作ることが唯一の解決策です。
昨今の新幹線が当たり前のようにトンネルを多用してるのは青函トンネルや中山トンネル等過去の日本人が技術的に困難なトンネルを貫通させたことによるものです。トンネルを比較的安価に掘ることが可能になったことが整備新幹線の建設に有利に働いたことは間違いありません。もちろん道路トンネルや下水管など身近なところでもそれは活かされています。
「高速」はもちろん大事なことですが、新幹線の一番の目的は「安全」に「安定」した輸送なのです。
それを踏まえて、今回の東京-新函館北斗最速4時間2分に関しては、現在の東京-新青森の最速が2時間59分である以上新青森-新函館北斗を60分で走ることは不可能では無いが余裕を3分加えたということであります。先の日記での試算でも、この区間は全駅通過ならほぼ60分で余裕を持って走行可能であるので、特に余裕を持たせたということになります。
ただ、日本では新幹線開業時から最速を目指すことはまれで、東京-新青森も開業時は最速3時間20分でありましたので(これは宇都宮-盛岡の320km/h運転が行われていなかったこともあるが)徐々にスピードアップしていくはずです。大事なのは「安全」と「安定」なのです。
ここでタイトルの「JR東日本」の本気を試すことになります。残念ながら北海道新幹線は新函館北斗開業の段階では「北海道の人が移動すること」のメリットはそれほど大きくありません。しかし、関東、東北の人が北海道に移動するメリットは計り知れず大きいものになります。それを司るのはJR東日本の領域です。
つまりはどれほど北海道の自治体が東京でキャンペーンをやろうがJR東日本の首都圏での販売活動の方が影響力が大きいのです。これに北海道は気がつかなければなりません。
JR東日本が本気になるのは北海道新幹線の利用者はほとんどが東北新幹線のほぼ全線を利用することにあります。今1日1万人の利用がある八戸-新青森の利用者数が新函館北斗開業ですら約1.5倍になるのです。そしてその人数はほぼ全線に対して上乗せされる。しかも、今まで在来線乗り換えか定員の少ない夜行列車しか持たなかった北海道連絡を伸ばせば伸ばすだけ自社に入る収入が増える。
しかも東北新幹線は首都圏区間以外は輸送力には余裕があるのです。つまり、鉄道設備に大きな投資なく、収入が増える可能性が高い。いままで東北の観光需要を伸ばすためにフリー切符などで行っていた施策が「東北と北海道」という両方で展開できるようになる「伸びしろの大きさ」は計り知れません。
北海道新幹線とは直接関係ありませんが、東京駅にビューカード上位顧客向けのラウンジが登場します。それと、整備新幹線区間のスピードアップに関しても走行試験を始めています。様子を見て様子を見て徐々に設備を改修し、最後は新幹線札幌開業時を考えているのでしょう。
JR東日本としては首都圏の通勤需要が今後人口減少で少なくなり、さらにお荷物のローカル線を多数抱え、これから伸びが期待できるのは新幹線しかないのであります。その新幹線からどう収益を得るのか、今後10年程度の施策は注目しておくべきでしょうね。特に今回北海道新幹線開業で、ダイヤ改正ごとにどう改良されるのか、どう客を増やす努力を始めるのか、大変興味深く思っています。そして、これが実現できなければ首都圏の路線網を持つとはいえJR東日本はじり貧に陥ります。
これは裏を返すと
JR東日本のローカル線を守りたいなら新幹線に乗れ
ということです。
さて、ではJR北海道は本気なのかというところ。残念ながら今回の開業区間ではJR北海道のメリットはそう多くはありません。しかしながら単線でありながら分岐器が多く手間のかかる江差線を分離できたことは大きく、また、今回の新函館北斗開業でも東京-札幌は7時間程度になるわけで、これは山陽新幹線全通時の東京-博多に匹敵する所要時間です。
つまりは東京-札幌は現行シェアが約3%ありますので(現時点でそんなにあるんだねぇ・・・)これが2%程度改善するだけで函館-札幌間すら1日500人程度の増加になるということです。これは元々1日3000人程度のこの区間の輸送量から比較すると大きなものです。
50億円以上の赤字新幹線といわれようと、現行の在来線も「赤字だった」ことを無視した論調では意味はありません。現在年間700億円程度の収入しかないJR北海道の鉄道運輸収入に新幹線の収入を108億円見てるのですからどれだけ新幹線の収入比率が大きいのか。それを考えた方がいい。数字は雄弁に語ってくれます。JR北海道が新幹線に力を入れるのはあたりまえのことです。