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なぜ札幌市は市電をループ化したのか

2015/12/25

■札幌市電がループ化 出発式にファン殺到「街の象徴に」
(朝日新聞デジタル - 12月19日 19:06)

ってタイトルで書くつもりで暖めていましたが、まぁ、そんなに大げさなものじゃありません。事業費は約29億5千万円かかっておりますので、それに見合った効果があるかという観点は必要なのだと思います。

そもそも札幌市電は地下鉄の延伸で1974年までに西4丁目-山鼻-すすきの以外の区間はすべて廃止になったわけで、本来市電全線が廃止対象だったため、暫定的な形で残っていただけだったわけです。
しかし、残った路線は地下鉄とは直接からまず、バス路線も少なく、効率化で収支がほぼ合っていたこともあって存続し続けることになります。
路線を残す以上老朽化した設備や車両の更新などの多大な費用がかかりますので、2000年代に再度廃止の機運が出たわけですが、当時の上田市長が存続を決定。そして延伸ループ化が決定しました。

少ないとはいえ1日2万人以上の利用客がいることもあって、市電自体の存続は無理もないことです。朝ラッシュ時の運転本数を見る限りバスでの代替は難しく、逆に車両の大型化、連接化が必要に思えさえします。ただ現在の新型車両A1200形の定員は70人で現行車より少なくなっています。(ただ、詰めた時を考えると車体の長さがある分新型の方が多く乗れる印象ではあります)

●ループ化の真の目的は「効率化」
ループ化することで、単純に「折り返し時間」を短縮することが可能です。今回ループ区間であるすすきの電停での停車時間に余裕を持たせた上新設区間を低速で走ることで1周を53分から55分程度としています。昼間の運用本数を内回り外回り7本ずつ14本とすることでだいたい8分間隔を維持しています。(個人的には8運用づつにすれば7.5分間隔となり毎時同じ分がそろうので好きなのですが・・・)
そして、ループ化の効率化はポイント整備にもあります。折り返し運用できる停留所を「すすきの」「西16丁目」に絞ったことで、朝ラッシュ時を過ぎると入庫する車両が発生する時間までポイントを動かす必要すらありません。設備で手間がかかるのはポイントですからこれを絞れるのは大きいことです。貸し切り電車運行時は始発終着をすすきの電停に固定することにしているようです。
今回の改正では若干ですが運行間隔が開いていますので、減便改正ともいえますね。これでの効率化は積み重ねですから大きくなるものと思います。

●増収効果は期待できるか
札幌市は延伸区間の利用者を含めると1日600人乗客が増える試算をしています。これは単純に年間3000万円の増収と考えられます。平成25年度の乗車料収入は11億3000万円ですので約3%の増収が期待できることになります。
しかし、30億円近くの整備費に見合うものではありません。あくまでこのループ化はこれによりどれだけ経費を節減できるかが肝になるはずです。既存区間の設備や車両更新は待ったなしなので、残念ながら市電の営業自体で延伸区間を含め設備を維持していくことはできません。
ちなみに乗車料金を現行の170円からバス並みに値上げした場合年間収益は15億程度となり、ほぼ補助金なしで自主運営できるようになりますが、設備について更新できるだけの体力はなしえません。
ということで、あくまで市電に関しては今回のループ化と新型車導入以外の積極的な延伸などはなかなか難しいものと思います。仮に札幌駅まで延伸したとして、ポイントなどの設備を考えると経費が大きくなると考えられるからです。

●今後市電に期待すること
・電停時刻表の完全表示
札幌市電の時刻表は公式的には「おおむね6分~7分間隔」などと記載されています。これは正直困る。電車の位置情報が現在はwebで見れる
http://www.streetcar.city.sapporo.jp/Densha/PC/Main.aspx
のだが、時刻表はあってもいい。一応ワタシのサイトでは昼間の時刻も提供しているが、そういう公式じゃないサイトで表示するのはワタシは違うと思う。
・わかりやすいダイヤ
今がちゃんと時刻を公開していない以上仕方ないが、日中の運行間隔が10分以上ある場合がある。これは11時台の入庫便等の問題だろうが、運行間隔を調整すればいいだけなので、できるだけ等間隔での運行を期待したい。個人的には7分30秒間隔で各時間帯同じ分にやってくるのが理想。
・本当は札幌駅への延伸
本来そうあるべきだと思うが、なかなか難しいでしょうな。新幹線札幌開業とセットでいいので検討したい。新幹線開業後は大通地区の空洞化が避けられないと私は思っているのでね。
この場合もできるだけポイントを使わない「ラケット型」の終端構造ができれば分岐器を挿入しなくていいのだが、西4丁目電停がかなり複雑になるのが避けられない。

●今回のループ化で変わった制度
・地味なところで市電が全線定期に
いままで市電でも定期券は区間指定となっていました。たとえば西4丁目-中央図書館前とかね。当然その定期ではすすきの-中央図書館を利用することはできませんでした。しかし、ループ化後は全線定期となりましたので逆方向の電車にも乗ることができます。利用機会が2倍になりますので、特に中央図書館などループの端端で利用する場合などに便利になります。定期料金は今までと変わりませんし、地下鉄との乗り継ぎ定期も市電側は全線で発行されます。

・地下鉄乗り継ぎ指定駅の変更
今までも市電から地下鉄への乗り継ぎは降車駅を厳密に判定しておらず、市電に乗った実績があって、当日中に指定駅で地下鉄に乗り継ぐ分には割引になっていましたし、逆に地下鉄からも指定駅を出場している実績があればどこから市電に乗っても割引になりましたので、特に変更になったわけではないのですが、「すすきの・狸小路・西4丁目」をひとまとめに「大通・すすきの・豊水すすきの」の各駅での乗り継ぎが制度上認められるようになります。
ちなみに交通系ICカードではSAPICAもsuicaもkitacaも同様に割引されるのが札幌市太っ腹ですね。ただし10%のポイントはSAPICAのみ付与となります。

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