北海道の交通関係

貨物新幹線を検討したい

2016/01/04
■「貨物新幹線」の導入、国交省など検討 北海道新幹線
(朝日新聞デジタル - 01月03日 09:14)

本州-北海道はフェリーなどの何らかの輸送機関を経由しなければトラックが直通できないため、どうしても高速性が犠牲になります。今でも宅配便は中1日の時間を要しています。高速性を担保するなら航空積載となりますが、当然それは高額でありますし、航空機に積載できる貨物には制限がありますので、できる限りこれを使いたくないのが本音です。

現在の貨物列車が担う輸送はほとんどが大口の大量輸送で、少なくとも本州-北海道での宅配便輸送では貨物列車はほとんど使用されていません。これは鉄道貨物が高速輸送に難があることです。東京-大阪などに宅配専用の「貨物電車」が運用されていますが、同様のものを東京-札幌で運行するには所要時間の面で難しいものがあるのです。札幌を午前0時頃に出発する貨物列車は東京隅田川には翌日19時頃着です。もしこれが、仮に10時間程度で輸送できれば場合によっては翌日配達が実現できるわけですし、貨物会社にしても機関車や貨車の効率運用が可能になりコストが大幅に下がることになります。しかし、電気方式の異なる東京-札幌で同様の貨物電車を製造するにはコストが大きく、新造費用をペイできず、時間短縮効果が限られることになります。しかも、現在ですら青函トンネルの貨物列車本数は最大50往復あり、増発余地も少ないことがあげられます。

しかし、今後の貨物輸送を考えるとトラックドライバーの数は減り続け、現在の拠点間トラック輸送はだんだん難しい時代になってくるものとおもわれます。そんななか新幹線貨物は大量輸送と高速輸送を両立するものとして期待されます。

新幹線による貨物輸送は旅客列車の限られたスペースに小規模に荷物を運ぶ「レールゴーサービス」が行われていましたが、現在は消滅しています。これ以降は一部のバイク便業者等がハンドキャリーによる荷物輸送(あくまで業者が手荷物として輸送する)以外は行われていないものと思われます。それは新幹線貨物を阻むいくつかの障壁があるためです。

新幹線に貨物列車を運用しにくい問題点は以下の4点でしょう
・軸重の問題
新幹線軌道は基本的に軸重16tで設計されています。例外的に東北新幹線の東京-盛岡、上越新幹線が17tで、これは0系の改良型だった200系新幹線車両が雪対策などで重くなることを想定していたためで、これがあるためにE1系のような重量のかさむ2階建て車両を建設できたこともあります。青函トンネル区間はこの当時の設計なので17t許容となり、この区間を走る貨物列車用の機関車も軸重17tで設計されています。しかし、整備新幹線区間は全線軸重16tでの設計のため、入線できる車両が限られることになります。新幹線貨物列車自体の重量もここで制限されることになります。

・列車密度の問題
東海道新幹線が開業した当時新幹線は1時間おきに「ひかり」と「こだま」を運転する程度の本数しかありませんでした。それが現在は通勤電車並みの本数が運転されていることは承知の通りです。東北新幹線であっても特に首都圏地区では多数の電車が運転されていて、貨物新幹線を運行するだけの運行間隔を確保できないことがあげられます。

・整備時間の問題
新幹線は特殊な状況を除き午前6時から午前0時までの18時間しか運行されません。運行していない時間はさまざまな設備点検と交換整備が行われています。貨物列車は夜間に運行したいわけですからこの制約が大きいと思われます。

・積み替え基地の問題
新幹線だけで拠点間を連絡できればいいのですが、実際には貨物列車ネットワークの中に入るためにはコンテナの積み替えを行う基地が必要です。新幹線と在来線が近く、なおかつ広大な土地が必要です。


これまでに考えられている施策
●トレインオントレイン
青函トンネルを挟む約82kmの区間は新幹線と貨物列車が線路を共用する区間となります。しかも、青函トンネル区間の約60kmは列車の追い抜きができないため、最高速度が110km/hの貨物列車に新幹線が追いつく、また、新幹線通過時の風圧などでの荷崩れの懸念で新幹線の最高速度をわずか140km/hに制限することで暫定的に開業することになります。
この区間の解決策としてJR北海道は「トレインオントレイン」という方式を検討しました。これは新幹線車両の中に貨物列車そのものを乗せてしまうというものです。

・メリット
現行の貨物列車車両をそのまま積み込むので、貨物列車車両の広域輸送に影響を与えない。

・デメリット
新幹線軌道に新幹線規格の「ガワ」の重量+貨物列車の車両重量、そしてコンテナ荷重がかかること。青函トンネル区間の軸重は17tですので1車両68t以内に抑える必要があるのですが、貨物列車の荷重25tにコンテナ自体の重量8t、貨車の重量約19tですので52tになります。
1車両3台車6軸なら96tまで許容なので現行の新幹線車両並みの重量の「ガワ」でいけることになりますが、今度は1編成の重量が2000tを超えるわけですね。それは200km/h以上の高速で走行するのです。仮に実用化しても青函トンネルだけの区間しか運用できないでしょうね。

●新幹線型貨物車両
先日の道新に掲載されていたのは完全に新幹線型の貨物車両にコンテナを積み替える方法です。完全に新幹線型ですから速度の問題も重量の問題も解決できます。
・メリット
重量がコンテナ+荷重だけとなり軽量化される。軸重16t以内に抑えられれば運行区間を伸ばすことができる。
新幹線車両であるので高速化が期待できる。
・デメリット
新幹線沿線区間以外は必ずコンテナの積み直しが発生する。そのコストおよび時間によってはメリットが相殺される可能性がある。日本海側等、新幹線貨物に寄与しない地域では逆に所要時間が延びる可能性がある。

これに関しては想定する積み替え場所をどこにするかで様々な問題が発生します。仮に新函館北斗近く(七飯車両基地あたりが想定される)と新青森駅近く(こちらも盛岡新幹線車両センター青森派出あたりか)に設置されれば津軽線および江差線転換後の道南いさりび鉄道の存続問題に発展すると思われます。
札幌開業後に札幌地区での取り扱いができれば貨物列車自体のスピードアップに寄与しますし、東北新幹線側も比較的本数の少ない盛岡、仙台あたりまでの運用ができれば、理想は宇都宮貨物ターミナル付近まで運行できれば新幹線貨物-トラックへの積み替えとなり、特に首都圏-札幌ではコンテナ積み替えの手間が大幅に縮減されることになります。

貨物新幹線車両は軸重から重量30t程度、屋根は付けず、側壁がある程度つくだけになりそうです。機関車は現行のEH800より軽量化が必要で、少なくとも2両が前後から押すスタイルが想定されます。最高速度が200km/h程度を想定してるので、新幹線の足を引っ張ること自体は間違いなく、いっそうの高速化がなければ東北新幹線区間に乗り入れることは難しいと思われます。


・現行の新幹線車両を使う「航空コンテナ輸送」は検討できないか
今までの話は現行のJR5tコンテナを使用することに着目していましたが、軽量化され、国際規格であることで比較的安い航空コンテナでの新幹線輸送を検討してみます。
これは積み卸し設備自体も比較的簡素にでき、停車駅に設備が確保できれば途中駅でも荷扱いができることがあげられます。

コンテナのサイズは1560×1530×1630mmで自重わずか71kgです。積載重量は約1.5tとなります。コンテナ自体が軽いので、ほぼそのまま計算しても良いと思われます。

1両の新幹線客車内に2列で積載可能で11個づつ、22個積載できるはずです。荷重はこれで30tとなり、E5系の空車重量は45tですが、座席、内装、空調などを撤去し軽量化することでほぼ軸重に見合うものと思われます。

このシステムのメリットはなんといっても貨物基地の簡素化が可能なこと。
引退近い新幹線車両を改装することでコストを抑えられること
現行車よりは遅いとはいえ比較的旅客車の足を引っ張らないこと
そしてなにより貨物の高速化に寄与することです。特にいままで手薄だった宅配系の輸送や鮮魚などの時間にシビアな輸送を担うことが可能になります。
また、現行車に「増結」の形が取れるなら、さらに効率的な輸送が可能となります。これは昔の普通列車に荷物車を連結するような形での貨物サービスの復活に他なりません(もちろん当時よりはかなり効率的になろうが)

特に北海道と首都圏の輸送については航空機の小型化で輸送できる貨物量が減少していることもありますので、その代替としても検討に値するものと思います。

いずれにせよこと北海道と本州に関してはこれからどのような形態での貨物輸送がされていくのか興味深いものです。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道 北海道新幹線 貨物輸送

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