北海道の交通関係

新幹線反対なのはいいんだけどさ。

2016/02/08
■新幹線高架にラジコン落下=訓練走行が一時中断―北海道
(時事通信社 - 02月07日 21:01)


先日たまたま書店で見つけた「新幹線エクスプローラ Vol.38」を購入。北海道新幹線区間のき電区分とか少々細かいマニアックな部分が掲載されているようだったんでね。

中身はまだぱらぱらっとしか見ていないんだけど、本はあとがきだったり「編集後記」みたいなところを読むのが楽しみだったりする。それが雑誌社のスタンスを表すものだからね。

この雑誌、北海道新幹線をあれほど特集しておいて、編集後記は驚きの内容だった。かいつまむとこんな内容。

・北海道新幹線は盛り上がっていない
・航空に比較して利点も無い
・寝台特急は廃止するべきでは無い
・急行はまなすは札幌函館で運転するべき
・青函トンネル区間の保守間合いは4時間でいいだから寝台特急は通せる
・機関車は貨物会社がこの時間走行していないから借りればいい
・そもそも新幹線のためにこの区間を25kv電化にしたのが誤り、新幹線車両側で対応させるべき

こんなスタンス。
あまりに無知なマニアの言いぐさに近くてビックリする。

最初の2点はまず置いておいて、寝台特急や急行をなぜ廃止しなければならないのかという部分は、逆になぜ存続できないのか?から考えた方がしっくりすると思う。なぜなら今まで動いていた列車を廃止するというのは簡単にやりたいわけではないから。廃止しなくてはいけない特段の事情があるから廃止すると考えるのが自然なんだよね。

一つは北海道内の機関車の老朽化。JR北海道が所有するディーゼル機関車は最も新しくて1978年製。軽く40年選手ですよ。そしてこれが牽引する列車は現在「カシオペア」と「はまなす」だけ。この列車のためだけに機関車を保有することがどれほど非効率か考えればすぐに結論が出ます。
仮に北海道新幹線が開業しなくてもこれらの列車は比較的早いうちに姿を消したことは想像に難くありません。

急行「はまなす」に関してはまだ気動車で運行するという選択もありましょう。しかし、快速ミッドナイトが2002年に廃止したことを考えると、東室蘭-函館の全区間の夜間営業を廃止でき、函館駅の閉鎖時間も増やせる夜行列車の廃止は大幅なコスト削減になりましょう。夜勤の運転士を減らせる意味でもそれは理にかなっています。なお、よく出現する貨物会社委託についても貨物会社自体が余裕のある設備を抱えているわけでは無い上、既に貨物繁忙期にほぼフル能力で貨物列車を運転している以上難しいことです。これは青函区間も同じです。

青函トンネル区間の保守間合いについても、現時点でほぼ1時-4時までの3時間取られています。貨物列車のダイヤを修正することでこれを4時間程度に拡大する可能性がありますが、新幹線区間のようにきっちり6時間取られることはないと思われます。この6時間というのは基本的にフル規格新幹線の保守間合いだけど、法律で決められてるわけじゃ無い自主規制で、これは騒音問題にも関与する部分で決められたこと。ミニ新幹線区間はこれより短い例もあるし、青函区間は少なくとも現行の140km/h制限が行われているうちは拡大しないものと思われます。
逆に何らかの形で青函区間の200km/h超の運転が行われるときには保守間合いが6時間に拡大されるものと思われます。

そして、なぜ新幹線区間では2.5kvの電化にしなければならないのか。これは単純に他の区間が2.5kv電化だからというほか無いわけで、基本的にJR東日本の新幹線は周波数が50hzの2.5kv電化で共通になっている。そして例外になるのが60hz区間を要する北陸新幹線と20kv区間を要する山形、秋田のミニ新幹線区間。
北陸新幹線には専用の2周波数に対応した車両を設計、そしてミニ新幹線区間は複電圧車を使用している。ただし、ミニ新幹線の複電圧車は在来線速度の130km/hが最高だから落ちた電圧で出力が減じることが前提での設計になっている。
北海道新幹線を仮に複電圧にするなら現行の東北新幹線E5系をすべて複電圧改造する必要がある。既に31編成310両も存在するE5系車両を改造するのがどれほど非効率かは考えればわかる話だ。青函専用の複電圧機関車EH800の製造両数がわずか16両にとどまることを考えてもどちらが得策かは明らかなんだよね。

そして、予定数よりEH800の製造数が少ないことから、この区間に貨物列車以外の機関車牽引列車を運行することは無いということに決定したものと思われます。

青函区間に関してはもう少し考える余地はあるだろうと私も思いますが、函館-東室蘭が電化されていない以上貨物列車にしても機関車交換が必須で、それならば手間は同じだから青函区間を専用機関車とするのは理にかなっている話で、もし、青函トンネル開業前の時代で札幌まで電化されていたなら、今のEH500が東京-札幌1000km以上を牽引していたかもしれませんので、逆に新幹線側を2kv減圧することも検討されたかもしれませんし、寝台列車だって残った可能性があります。当然JR北海道とJR東日本で同様の機関車を製造したであろう事は想像に難くないからです。
ついでに言えば札幌と新青森が電車特急で繋がっていたなら、北海道新幹線自体の必要性も議論があった可能性だってあるのですよ。

元々客は減っていたけれど、寝台特急は廃止したくなかった。それは編集後記が言うとおり新幹線と寝台特急の客層が異なり、直接ライバルになり得ないからです。それでも廃止せざるを得なかった。それは歴史的な事情です。今のJR北海道に新型ディーゼル機関車を購入し維持する余裕は全くありません。それはカシオペアの客車をJR北海道側で新製しなかったことにも現れています。

未だに九州と電化事業を引っ張り合って、負けた結果がここには現れてるわけですね。

はっきりしていることは北海道新幹線に反対するのは勝手だけど、その理由が幼稚すぎるということです。東京視点で盛り上がっていない、飛行機の方がいいというのは勝手なことです。しかしそう思っているのは自分だけかもしれないという視点も大事です。私は新幹線反対の方の意見は最大限に尊重するつもりですが、あまりにも現実を見ない幼稚な意見は聞くに値しません。何年も同じような意見を聞いているからです。その誤認が未だに続くところにマニアの闇を感じるのです。


ああ、記事と関係なかったな。本当に新幹線を妨害する意図が無かったのかもしれないけど、あまりにも浅はかなこの方にはもうラジコン飛ばしは引退していただかなければなりません。近くに何らかの建造物があってその妨害をすると見込まれるもののそばで、己の欲望のままに飛ばすというのは趣味ではなくテロです。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道 北海道新幹線

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