北海道の交通関係

鉄道車両を「保存」するということ

2016/02/23
■【関西の議論】「いつ公開されるのか!」〝野ざらし〟「最後の0系」に渦巻く批判 逆に「変な新幹線」人気の珍現象
(産経新聞 - 02月23日 11:38)

産業遺産として様々な現役当時のモノを保存するときに、鉄道車両くらい置き場に悩む商品は無いと思われます。在来線車両で20m、新幹線車両で25mもの長さを持ち、幅も3.5m、高さ4mにもなるサイズを屋内に入れるというのは、体育館サイズの建物ですら何両置けますかという話になります。

しかも、その車両を置いてしまえば、その空間は他の用途には使えないわけです。車内を開放して座席などを取り払った状態は「保存」ではありませんね。

設置する土地面積だけではありません。重量が30t以上ありますので、そのまま地べたに置くことはままならず、地下の構造なども左右されます。比較的特殊な電圧の仕様もあるので、車内の電灯を点灯させるだけでもそれなりの設備が必要にもなります。

個人所有が一般的にあり得ない鉄道車両を保存するハードルがどれほど高いかおわかりになるかと思います。車両自体は無償で譲渡されても、運搬設置費もかかりますし、屋外展示なら簡単に錆びて、塗装もそれなりの年数で塗り直す必要があります。車両には細かい表記が記載されていますので、これを復元するだけでも容易なことではありません。

では、逆にどうしたら保存していけるのでしょうか。

まず考えられるのは維持費用を入場料収入で観客に負担させる方法です。鉄道博物館では年間の収入が約11億円あります。しかし支出も20億円ありますので入場料では不足しています。寄付金や賛助会員の収入があってはじめて博物館が運営できるのです。

自治体で展示しているものに関してはほぼそれは「税金」です。今回の吹田市も展示していない車両に移送費を含め既に4000億円もの費用をかけているわけですが、展示すればあたりまえですがさらに費用が増えることになります。それが吹田市への来訪者を増やし、市へにとってプラスになるなら問題ありませんが、たいていの場合その税金はただの持ち出しになります。

クラウドファンディングでの保存で400万円ほど集めて実現した北海道の711系電車は素直に素敵だとは思うけれど、これとて長年維持していけるかということについては疑問は捨てきれません。
こういう車両は本来なら小樽の旧鉄道記念館で保存してほしかったとは思いますが、小樽もスペースに余裕があるわけではないし、財源に余裕があるわけではないので、保存を決めたからにはせめて末永く保存できることを願うだけです。


●普通の車両を保存しなければ意味が無い
三笠鉄道村で聞いたのは、こんな普通の汽車いらないんだよなぁなんて嘆き。
でも、その普通の汽車が利用客には毎日通勤通学で乗っていた最も思い入れのある車両だったりします。そういう車両は日の目が当たらないけど、その技術が先々の技術になった部分があるわけで、本来そういう車両を少しでも残してほしいものと考えます。

それでもバブル期や比較的経済が良かった時代に保存された車両はまだ恵まれています。北海道であれば小樽市資料館(旧鉄道記念館)や三笠鉄道村にまとまった数の車両が展示されています。今のところこれらの車両が解体されるという話は聞いていません。

しかし、毎日乗っていた通勤電車711系をわざわざ保存するために費用を捻出しようとする人は少ないでしょうね。新幹線0系ですらこんな有様ですよ。

もう多くの「国鉄型」と呼ばれる車両が姿を消しまして、もうあと10年程度ではほぼ全国で見られなくなります。ほとんどの車両はスクラップになることでしょう。まだ本州JR3社の車両は恵まれているかもしれませんね。現在走らせることすらままならなくなっているJR北海道が保存できる可能性は低く、苗穂にそれなりに保存されていた車両も残念ながら多くがスクラップとなりました。JRとて好き好んで解体するわけじゃないわけで。やはり「金」はどうしても避けられない話です。

それ自体が何か生産するわけではない保存車でどう金を集めるのかが大変なんですよね。

カテゴリ: 保存鉄道

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