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この問題の本質は誰が「監督者」かという話
2016/03/02
もちろん簡単に今回家族は賠償金負担しなくて良かったね!なんて話にはならない。
今回の裁判の争点は実は「監督者は誰なのか」という話だからだ。
判決文を読むと報道とは違った視点が浮かび上がる。
この裁判
徘徊した夫を看護監督すべき妻が注意をしていなかったから発生したことを認めなかったから免責されたわけではない
ということに注意しなければならない。
・妻や子は「監督義務者」に該当しない
と判断されたから。賠償義務は無いという判断になった。では監督義務者は誰なの?
今回家族は賠償金負担しなくて良かったねって思ってる方は判決全文を読んだ方がいい。
http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/rinji_hanrei_280301.pdf
以下抜粋
精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないというべきである。
したがって,第1審被告Y1(妻)は,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。
Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず,その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。
したがって,第1審被告Y2(子)も,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。
つまりは、被告となった妻と子は「監督義務者」じゃないからその人に支払い義務が無かったというだけの判決なんだね。
これは、逆をいうと監督義務者であればその責任を問われるということ。この場合子が別居であったし、認知症が相当進んだことが認識されているにもかかわらず成年後見人が選任されていなかった。もし、その成年後見人が制定されていれば法定の監督義務者だからその人に賠償請求される可能性が高い。
これは、親の介護をする者にとっては、相当に厄介な判決と思われる。通常であれば認知症の親を持てばその介護や病院への措置入院のためには成年後見人の制定をする。であれば、当然監督義務者は息子なり家族になる。その場合今回のような免責は取れないのだよ。
ついでに、子が離れて支援だから監督義務者にはならないという判断は、子が同居して介護すると確実に監督義務者になる。
つまり、子は親の認知症を発症したことを確認したときにどうすればいいか。それをよく考えないとならない。同居にせよ別居にせよ何らかの義務を負うことが逆に決定された判決なんだよ。「子」にだよ。
逆に老いた妻は同居する配偶者であるからといって監督義務者に当たるとすることはできないということだから、基本的に免責されるということだ。
決して手放しで良かったねなんて判決じゃない。別居の親が電車に飛び込んだ責任を負う可能性は逆に高まったといえる。じゃあ子はどうすればいいんだ?親なんか知らんと判子つかない態度を取っていれば免責なんて非道ではないか。もちろん裁判は人情じゃないが、これは私にはあんまりな判決と感じた。年老いていく親を持つ以上、そのリスクにどう備えるのか。
にこにこ年数回来てるが、後見人にもならないし、同居もしないよ!と言っていれば免責なんだぜ。逆に親を手厚くサポートすればするだけ親の起こした事故リスクは高まる。
こんななら普通に賠償を(減額させて)認めた方がよっぽど良かった。こんな普通じゃ無い家族の特殊な事例をもって、勝っただ負けただ判断されちゃかなわない。
やっぱり新聞なんかで判断するべきじゃないな。本当に大事なこと全然報道してないじゃないか!
認知症JR事故死 家族側が勝訴
(記事)
(コメント追記)
この成年後見人についても「成年後見人」だから賠償されるというわけではありません。ただし、これは民法でいう「責任無能力者」であるということが肝になります。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
民法第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
結局これって「家族」の問題。だって家族がいない人は誰にも賠償請求できないって話になる。列車にぶつかった人に「家族がいるか」「家族がいないか」で変わる話。
しかも今回被害者に一銭も支払われないのに、死亡した夫の相続財産はそのまま妻、子など相続人に相続できるわけで、やっぱり腑に落ちない判決と言わざるを得ません。
結局相手が大企業だからというよくわからない理論がまかり通った判決ということになりましょう。
今回の裁判は被害者保護という意味でも良くない前例となりました。これ、相手が中小私鉄だったり、高速道路での飛び込みでクルマ側に死傷者が出たりとか、失火など、いろんな例で考えても、やはり、被害者保護という観点では異常な判決であり、減額してでも家族に負担させる必要があったと考えます。
私の祖父祖母は4人とも先日までに他界していますが、認知症を発症したものの徘徊には至らず、すぐに身体が動かなくなったことからこのような事態は発生しなかったわけですが、それでも介護の苦労というのは大変なのは誰も責めることはできません。
しかしそれとこれは別の話ですね。現実に被害を受けた者がいて、その被害に全く補償されない世の中では困ります。人身的なものであれば犯罪被害給付制度は心神喪失者等の刑法上加害者が罰せられない場合も対象となりますので、まだ救いはあるのですが、今回のような結果的には物損だったり、原因は当人にあっても直接の被害では無い場合(認知症者が道路を飛び出し、それが原因でクルマ側が事故を起こし死傷など)は補償されるわけではないので、要は被害者泣き寝入りになるというのは問題でしょう。
鉄道会社が取れるリスク回避はあまりなく、柵が駅員が等とJR側を責める論調はうんざりですが、現実にそれを対策し運賃を上げますという必要性は発生する可能性はあるでしょうね。
ただ、個人的にはホーム柵やエレベータなどバリアフリー推進のために、設備投資加算運賃を各社制定するのは必要だと思っています。1乗車あたり10円程度であっても利用客の数に乗じて投資金額が増える(緊急度の高い利用客の多い線区は早く工事でき、逆に利用客が少ない線区は緊急性が少ないのでその金額が貯まるまでは工事をしなくていい)ため首都圏、中京圏、関西圏では早く工事でき、このようなリスクに対しての対策にもなります。
現在、認知症の家族を対象にしていることを謳う保険は無いはずで、個人賠償責任保険の中で今まで賠償されていたことは想像に難くありません。通常生命保険で70歳以降も死亡保険金の出るものはまれですし、結果的に家族がリスクを負う形になっていたはずです。
今までも完全に孤立無援な独居老人の鉄道自殺などでも鉄道会社は完全に泣き寝入りであったとは思いますが、かなり限られた状況とはいえ家族からも賠償金を受け取れないというのは逃げ場の無い鉄道としては相当なリスクになることは想像に難くありません。
そして、今回同居介護など手厚くなればなるほど賠償リスクが増えるという逆進性のある判決な訳ですから、兄弟が多ければ「ババ抜き」状態になりますね。元々なら皆でちゃんと自動車保険や自宅の火災保険の個人賠償部分を確認しておきましょうねと言う話(これは今回の件の前に家族で話したことがある)だったのが、今回のような例外規定を作ると別居の場合、同居の兄弟だけが責任を負うという結構シビアな現実を突きつけられたような気がいたします。
今回は加害家族側に資産があった上JR側に賠償請求したという事実でこのような形になったわけですが、それには一切触れずに「認知症の家族は賠償責任を負わなくてもいい」という全く誤った印象を感じさせる報道をしている報道各社の姿勢も問題がありますね。
あくまで裁判の結果ではありますし、私も法律に必ずしも精通してるわけではないのですが、
民法644条受任者の注意義務や同869条後見人制度の644条準用規定などからすれば
被後見人が第三者に損害を発生させた場合、成年後見人が被後見人の身上監護義務や身上配慮義務を尽くしていたか?また、本人に対して見守り活動を十分に行っていたか?など
「後見人の義務」
を怠っていたと判断されれば賠償請求がなされる可能性はあると思われます。
責任無能力者と成年後見人の関係というのは幼児、児童と親の関係で例えるとわかりやすいかもしれません。(必ずしも同一では無いですが)
子供が起こした事件、事故に対しての親の責任は監護義務を果たしていたかによって変わるわけです。実際に未成年後見人は親でも実際に育てるわけでもありませんが、未成年者の行為について親と同等の責任を負っていることになります。つまり損害賠償の可能性があるということです。これは同様の後見人制度である責任無能力者の成年後見人でも同じです。
法律の観点は解釈がいろいろできますし、疑問点がありましたら成年後見人を決めたときの立会人(弁護士や行政書士さんがおられたと思います)と相談なさってはいかがでしょうか。
なお、今回の事故は成年後見人の申し立てをしていない、つまり認知症を発症し列車にぶつかった本人の責任能力を「責任無能力者」と確実に認定できる成年後見人制度を使っていないにもかかわらず認定していますし、なおかつ妻や子がその監護者では無いという判断で、賠償すべき人がいないという、被害者泣き寝入りという判断でしたが、過去の判例ではそうではないものも多数ありますので、ケースバイケースになってしまうのでしょうね。
私も親と同居する身ですが、今後認知症を発症した場合のことは考えておかないとと、本気で不安になった案件です。
自動車保険や住宅火災保険などに付与されている個人賠償保険では、子供の起こした事故などについての規定はあるものの、同居の認知症の家族について記載されているものはないですね。そういう保険がサポートできるとなると心強いのですが、当然に明記できない部分なのでしょう。
逆に故人が故意に起こした事故と認定された場合等は保険の適用にならないわけで、さまざまなパターンを考えると制度面でもっと社会的にサポートしてほしいなと思うところです。