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列車が緊急停止した事による怪我の場合は「事故」になるのか
2016/04/06
さて、今回の事案についてちょっと整理してみましょう。JR側が事故を隠匿しているとおっしゃる方もいますが、当然国は鉄道会社にどの程度の事故なら報告させるかという資料があるはずで、
それを逸脱していなければ隠匿ではありません。もしかすると今回の事象も「事故隠し」の可能性もありますからね。
今回の事象は
●列車は時速140km/hで青函トンネルを通過中であった
●北海道新幹線は東北新幹線同様のデジタルATCで制御されていた
●線路内の金属片が線路間で何らかの原因で接触し、0信号を受信(この時点で列車は非常ブレーキとして制御される)
●列車が停止したが、1分後に正常な信号が出て運行を再開した
●原因は新幹線か貨物列車からの落下物
国土交通省が定める「事故」は以下の通り
・列車衝突
・列車脱線
・列車火災
・踏切障害
・道路障害
・人身障害
・鉄道物損
となります。これは「鉄道事故等報告規則」という鉄道事業法に基づいた規則に則ったものです。監督官庁への報告義務があるのもこの「事故」と認定されるものとなります。
このほかに「インシデント」という「鉄道運転事故が発生するおそれがあると認められる事態」についても監督官庁への報告が求められます。
たとえば列車が停止信号を過ぎて他の列車の運行を妨げたとか、停車駅を行き過ぎたとか、なんていうのはこの例ですね。
では、今回の事例は「事故」であったかを確認しましょう。
・列車衝突
・列車脱線
・列車火災
ではありませんね。その他の事故として
・乗客、乗務員等に死亡者を生じたもの
・5人以上の死傷を生じたもの
・鉄道係員の取扱い誤り又は車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があるおそれがあると認められるもの
・3時間以上本線における運転を支障すると認められるもの
にもあてはまりません。
なお、運転支障が3時間以内であっても旅客列車は30分以上の遅延は報告する必要があります。先の記事にある「発表基準の30分以上の輸送障害に当たらない」はこのことですね。
では「インシデント」ではどうでしょう
これは事故にはならなかったが、事故が発生する恐れがあった場合はインシデントとされます。
これも、当該列車は問題無く停止し、問題無く運行を再開できているために、インシデントとは認定されません。
ただし、落下物が列車の重要部品に起因するものなら当然インシデントとして報告されます。
しかし、これも重要な装置ではない場合は軽微なインシデントとなりますので、報告間隔は月の全てをまとめてとなり、報道発表も5月になってからだったと思われます。
怪我人1名については、列車の緊急停止時には車内に自動で「急停車します」のアナウンスが流れ、これをもって警告されていることで(あくまで保険的な話しで)免責されます。
緊急停車での車内での転倒は鉄道会社的には「事故」にならないんです。
ここは利用者側が知っていた方がいいと思われる話しなのですが、列車の急停止での(衝突などを伴わない)車内での怪我については基本的に鉄道側に責任はありません。これは鉄道の減速度が鉄車輪の特性上車などよりも緩やかであることから、このような認定になっています。あくまで法律的な話しですからね。ですので、急停車のアナウンスがありましたら必ず手すりなどに掴まりましょうね。
(ちなみにバスなどの車内転倒事故は運転手の過失認定となりますが、警告したのに手すりに掴まらないなどは免責される判例もいくつかあります)
毎日新聞が何をいいたいのかはわかりませんが、ルールに則って、報道対応しているように見受けられますし、勝手にスクープとして報じるのは自由ですが、なんか棘のある書き方ですねぇ。
毎日新聞2016年4月6日 11時14分
新幹線緊急停止…1日、青函トンネルで 公表せず
https://mainichi.jp/articles/20160406/k00/00e/040/211000c
北海道新幹線(新青森−新函館北斗)が青函トンネル走行中に緊急停止していたことが6日、JR北海道への取材で分かった。緊急停止は3月26日の開業後初めて。自動列車制御装置(ATC)の停止信号を受信したことが原因で、停止信号が解除された約1分後に運転を再開した。このトラブルで、乗客約350人のうち1人が首に異常を訴えたという。
(コメント追記)
あくまで鉄道の法律は明治時代のものが基本線で、これをなおし直ししているところがありますので、実際の車両性能に合っていないというのがあります。
現実に電車の場合非常での停止(空気ブレーキのみ)よりも通常の最大制動(電気ブレーキ有り)のほうが早く止まったりしますので(これは結果論で電気的な支援が受けられない区間や停電時の作用も想定しているので不思議なことではない)特に路面電車など軌道関係の法律はもうすこし現実に合わせて見直した方がいいように感じます。
減速度の規程があるわけじゃないのですが、軌道の最高速度が40km/hに制限されているのは当時の車両の減速度の問題ですね。昨今の5km/h/s程度の車両は自動車並みとなりますからね。
そう思いますと、新幹線の「緊急制動」では制動距離はかなり伸びるとも考えられます。電気ブレーキが使用可能な状況ではないとき、つまり、本当に空制だけで320km/hから停止しようとするんですからね。そういう試験は行っているとは思いますが、とても常用できるようなものではないはずです。これは速度が高い状態で制動子による摩擦係数は低く、速度が低下すると増大するわけですから、特に高速域での減速度が低いことですね。
今回の新幹線のATCブレーキ0信号での停車は電気ブレーキ併用ですから、こちらは逆に高速度でよく効き、低速では効きにくいため空制と併用されます。当然これは「常用」の範囲内なんですよね。
多分マスコミは「非常ブレーキ」の定義が曖昧なのだと思うんですよねぇ。ですので今回の案件はJRにとっては通常ブレーキの範囲での何ら問題無い停車があったという事象でしかないわけで(原因はまた別の話ですが)このあたりが温度差な気がします。
(これが私が思う、怪我するような減速度ではないの根拠でもありますが)