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中川町は町を維持出来るか
2017/02/14
ここしばらくはJR北海道の各種問題について各自治体から様々な意見が出ています。
そのなかで良く聞くのが「鉄道が無くなれば地域が衰退する」というものです。一見これは正しくきこえてしまうわけですが、実際に鉄道がある自治体と、鉄道が無い自治体がどの程度「衰退度合い」が違うのかというのを考えてみないと、この説が正しいとは言えないわけです。
現実には留萌を挿んでほぼ等距離にある旧羽幌線が1987年に廃止された小平町と昨年廃止された増毛町に人口規模や減少率の差異はほとんどなく、どちらも等しく減少しているという結果があるわけです。つまり鉄道が地域に与える影響は、一頃に比較して非常に小さく、無視出来る程度のものであることがデータから見えてしまうわけです。
さて、その観点から一つの町に注目します。宗谷線北部の中川町です。
駅でいえば天塩中川駅が身寄りです。現在の人口は1600人程度。酪農と畑作がメインで衰退したとはいえ林業も産業としては残っている町です。
人口の内訳として
0-14 150人
15-64 900人
65以上 550人
ざっとこのような構成と思ってください。町の想定では2040年頃に人口が1000人を割るとしていますが、それは出生率改善や移住者増加等が加味されていますので、私の試算ではほぼ700人前後、20年で現在の半分程度まで人口が減ると想定します。
昨年中川在勤のJRの保線職員の撤退に大反対した中川町ではありますが、確かにそれだけで最低でも10人以上人口が減るわけですからそれも含めてゆゆしき事態なわけです。
この町で生活するためには社会的インフラが無ければなりません。この町には
●教育機関
・中央小学校
・中川中学校
(高校は閉校、最寄りは美深高校)
●医療機関
中川町立診療所(内科、小児科、外科、整形外科・常勤医師は外科)
国保歯科診療所
総合病院は美深厚生病院(内科・外科)もしくは名寄市立総合病院
●金融機関
・北星信用金庫中川支店
・北はるか農業協同組合中川支所
・中川郵便局(集配局)
・佐久郵便局
●警察署
・中川駐在所
・佐久駐在所
●消防署
・上川北部消防事務組合 中川消防支署
●スーパー・コンビニ
・タイムリーいとう
・西條Qマート(Aコープ中川町撤退後2016年7月出店)
・セイコーマート天塩中川店
●交通
・天塩中川駅
・佐久駅
・歌内駅
・住民バス(中川-佐久・共和線)
・スクールバス(中川-歌内・国府線)
●ガソリンスタンド
・ホクレン中川
・昭和シェル石油中川
・ENEOS中川
といったインフラが存在しています。
鉄道以外に公共交通で町外に出ることは出来ず、買い物関係は既に中川市街地区以外では出来ません。
町内の人口の85%が中川地域に住み、他の地域は非常に人口が少なく、小中学校は町内に1校ですのでスクールバス通学となります。つまり、最低限車に頼らずに生活をすることができるのは中川市街地地区のみということになりますね。
さて、現状高校が町内に無いため、美深への通学が必要です。(音威子府工芸高校は生徒の住民票を音威子府に移すことが前提のため町外通学生はいない)ただ、鉄道ダイヤ的に現実的な通学は非常に困難であることは否めません。
また、健康であれば全く問題はありませんが、それでも医療機関の貧弱さはなかなかきついものがあります。名寄までの通院となりますと所要時間はともかく、鉄道を使うのはなかなか大変ではありましょう。
買い物に関しては、駅前のAコープ跡地に名寄の地場流通西條のQマートが進出しましたが、それを含めても日常の買い物を出来る店はコンビニ含めて3店舗です。日常的な買い物は困らないとは思われますが、Aコープの撤退を考えても、なかなか難しいものです。
なお、隣町音威子府も全日食チェーンの地場スーパーとセイコーマートの2店のみとなります。通常の薬店は存在せず調剤薬局が1店舗あるのみですので、日常医薬品の購入も困ることになりそうです。
もちろん町には良いところも多々あるわけですが、この町に定住させる、もしくは人口減を自然減に押さえようとすると並大抵の努力では難しいことも確かなわけです。そもそも国鉄末期の1985年は3200人の人口のあった町なわけです。それから30年で人口が半分になった。それは決して鉄道が残った町が「衰退しなかった」と言える状態では無いわけです。
■中川町が生き残るには
宗谷北線の沿線自治体で、札幌・旭川などへの鉄道以外の交通機関を持たないのはこの町だけです。音威子府・美深は北見枝幸からの札幌・旭川への都市間バスがありますし、同様に幌延・豊富もそうなります。
中川-音威子府の音威子府バイパスは2018年度内の開通を予定していますが、バスの運行される可能性は非常に低いと思われます。
仮に鉄道を失うならば、何らかの代替交通は作られるであろうとは想定しますが、残念ながらそれはそれほど便利なものにはならないでしょう。ただし、通学、通院の利便は鉄道よりは格段に上がるとは思われますが。
そして、町の人口が半分になると、ほぼ流通網が維持出来なくなります。
極端には現在ほぼ近くにある町役場、町立診療所、歯科診療所と郵便局と公設スーパーなどを複合し、流通を一括にするなどを行わないと「無医村」どころか「無店舗」地帯になりかねません。
個人的に「1セイコーマート」が最小限の人が住める単位という観点がありまして、中川町は既にその状況です。町を維持出来るかどうかは住民が生きていける環境を最低限残せるか否かが問われます。そこには町費を支出するのは致し方ありません。
現時点でほぼ最小限のインフラで維持しているこの町が、これを維持出来るのか。これが問われるわけです。
ところで、中川町には産業は無いのでしょうか。林業と農業と酪農が紹介されていますが、他の仕事は無いのかというと、残念ながら移住者を呼べるような産業は無い。かといってそれらが「特産」としてアピール出来るのかというのもそれは見つからない。
町の農業産出額が15億円程度で、ほとんどが飲用乳でありますので、ここで人を要することが難しいわけですね。それは外部からの移住者を呼ぶには非常に辛いわけです。
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商工会のブログ。悲しいくらい対外的な商品が無いのです。
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道の駅の食肉加工品はやっていけてるのか。物産展情報が去年で止まってるのが切ない。
■鉄道が本当に町のために必要なのか
それは、かなりな疑問。そして、それより、町が維持出来るのか。その方が私には疑問。
きっと町の基幹産業である農業は生き残る。しかし、そのために「鉄道」はおろか「町」がどの程度必要なのかという観点はある。
食品の買い出し、代金決済の関係での金融機関は必要だが、町の機能はそれほど必要では無いのかもしれない。
一次産業以外のサービスを提供する「街」を形成することが必要では無くなる。そんな未来が見えるのです。
小さな町が、これからどのようになっていくのか。私個人は鉄道の未来より気になっているところだったりするのです。
(コメント追記)
中川町の中学生の進学先については、留萌管内天塩町の天塩高校から通学バスが出ている旨のご指摘をいただいております。
たしかに天塩町の雄信内地区を経由するルートは鉄道で美深・名寄方面に通学するより利便が高いようです。
なお、中川町出身のラッシャー木村氏は高校時代は幌延に下宿していて天塩高校に通学していたようです。
また、名寄出身の50代の方に聞きますと、高校時代中川から通学していた生徒がいたとのことです。
現状、名寄への通学はできず、美深への通学も帰宅時間の関係からすくないものと思われます。
なお、美深高校も現状学年1クラスを維持していますが、定員に満たない状態が続いていますので、将来的に維持できるかはかなり危険な状態になります。中川で高校が維持できなくなったように、近隣でも同様の事態が今も進んでいるということです。
子供の数が減っていることもそうですが、高校に通えないことが町を衰退させる要因のひとつにはなりますね。