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唐津線踏切事故は「単純な踏切事故」ではない危険さがある
2017/06/13
まず、記事です。
サガテレビ
11日午前、多久市のJR唐津線の踏切で上りの普通列車とトラックが衝突した事故で、衝突により列車のブレーキ制御装置が壊れてすぐに停車できず、そのまま1.5キロほど走行したことが分かりました。11日午前8時半ごろ、多久市東多久町のJR唐津線の踏切で佐賀行きの普通列車がトラックと衝突しました。トラックを運転していた33歳の男性が軽傷を負いましたが、列車の乗客・乗員27人にけがはありませんでした。衝突したことで、列車のブレーキの制御装置が壊れてすぐに停車できず、列車は東多久駅を通過して事故現場から約1.5キロ進んだところで手動ブレーキで停止しました。警察は、トラックの運転手に事情を聞き踏切に進入した経緯を調べることにしています。この事故で、唐津線は久保田駅と多久駅の間の上下線で運転を見合わせましたが、事故から11時間近く経った午後7時12分、運転を再開しました。
佐賀新聞
多久市東多久町別府のJR唐津線の宝蔵寺踏切で、普通列車とトラックが衝突した事故で、運転を見合わせていた久保田~多久駅間は発生から約11時間後の午後7時10分すぎに再開した。
JR九州によると、列車は衝突の影響で列車のブレーキが効かなくなり、走行ができなくなった。別の列車でのけん引が必要になり、復旧に時間がかかっていた。
乗客25人にけがはなく、トラックを運転していた多久市の30代男性は軽傷を負った。事故による影響人員などは調査中。
記事は普通に踏切事故として掲載されていますが、この事故、気になるところがあります。
>列車のブレーキの制御装置が壊れてすぐに停車できず、列車は東多久駅を通過して事故現場から約1.5キロ進んだところで手動ブレーキで停止しました
>列車は衝突の影響で列車のブレーキが効かなくなり、走行ができなくなった。
つまり、当該の列車は踏切事故現場で停車できず、その後も走り続け、東多久駅をも通過して、若干の上り坂になる場所まで走行したことになります。
事故現場の宝蔵寺踏切はここです。
https://goo.gl/maps/PdvaQKEUiQR2
東多久駅
https://goo.gl/maps/oTF5z9bLuyr
列車停車位置は東部中学校付近の踏切付近になります。
https://goo.gl/maps/NopYEkeSk3K2
サガテレビの報道による「手動ブレーキで停止」は現場で停止していない以上、通常のブレーキ操作で停車したとはとても考えられず、列車は「停車させることができず」この位置まで滑走したと考えるのが自然です。
つまり、意図しない形でこの位置まで滑走した以上、通常の運行状況ではありません。
まず、二次災害が発生しなかったかを検証します。
東多久駅前後に2箇所ある踏切の鳴動を考えます。東多久駅手前の踏切は鳴動していたことでしょう。東多久駅の先の踏切は東多久駅構内ですので滑走の関係で一旦鳴動(もしくは通過まで鳴動)となっていたと思いますので、両踏切自体の鳴動はされていたと考えられます。(事故車両が少なくとも踏切鳴動なしで滑走したとは考えにくいのはとても良かったことです)
もう一つ、東多久駅の信号です。当駅は安全側線のない駅ですので、もし、この駅での列車交換があるならば、同時進入しないため、ほぼ間違いなく正面衝突の可能性がありました。
当該列車は当駅で交換がなかったため、信号現示は進行だった可能性はありますが、停止信号だとして安全側線はありませんので、列車を本線に侵入させないことはできません。必然的に「意図しない」列車は東多久駅を通過して本線に進出します。
次に、車両側の問題です。当該列車はキハ47という国鉄時代に製造された気動車2両編成で、ワンマン運行されていました。この当時でもブレーキは常用と非常の2系統設置されていますので、通常万一常用ブレーキが破損しても、非常ブレーキで停止できたはずです。
鉄道車両のブレーキは空気が抜けた場合「ブレーキ」がかかるようになっています。空気溜め側とブレーキシリンダー側の空気圧が釣り合ってる状態が「ブレーキがかかっていない状態」で、ブレーキ管が破損して圧力が不均衡になった場合はブレーキがかかるわけです。
今回踏切事故でトラックと接触したことで、ブレーキ配管が損傷した場合、常識的にはその場で抜けた空気によりブレーキがかかり停車するはずです。
しかし、今回はブレーキを効かすことができず、駅をも通過しています。ワンマン運転士がブレーキがかからないと気がついた後、どのような行動をとったかは報道では一切わかりませんが、気絶などしていない限り、車掌弁(非常系統のブレーキ)を扱うなどの対処を行なったと考えられます。そのような取り扱いをしたにもかかわらず列車が止まらなかったのなら、システム的に問題があった可能性は捨てきれません。
また運転士が正常な状態ではなかったとすれば、ワンマン運転用の保安設備(TE装置)などがあり、少なくとも1分以内に非常ブレーキがかかるはずですが、仮に15km/h以下だとそれもなく走り続ける可能性はあったかもしれません。
過去には1975年の富士急行脱線転覆事故が、直前の踏切事故でブレーキ管を破損し、別系統のブレーキを装備していないことから事故に至った例があります。
また、1992年には関東鉄道取手駅で常用ブレーキ、非常ブレーキともに空気圧力のない状態(直前駅でのブレーキ故障後、復帰操作をせずに発車)で走行し、駅の車止めに突っ込むという事故が起きています。
しかし、今回の事故ではいずれの可能性も低いと思われ、過去に類似の例は非常に低いと思います。
今回の事故での疑問は
・運転士は事故後正常に取り扱える状態だったか?
・2系統のブレーキいずれも使えなくなったのか?その原因は何か?
・そもそも駅を通過し1.6kmも滑走した原因は何か?
です。
解せないのは九州の各マスコミの報道です。今回の事故は通常の踏切事故とはあまりに違う異常な事故です。北海道の一部マスコミがJR北海道の細かい事象にも叩くような状態は決していいとは思いませんが、九州マスコミの「嗅覚のなさ」はそれまた異常です。西日本新聞すら一切この件報道せず、JR九州も一切のコメントを出していないのは問題でしょう。
国土交通省の事故調査委員会案件になればいいのですが。
あなたが乗っている列車が踏切でトラックと衝突した後、いつまでも走り続けて、隣の駅すら通過する事態、あなたならそれが正常な運行状態だと思いますか?私ならあまりの恐ろしさに車掌弁に取り付くでしょうね。もし、富士急行事故のような長い下り坂が続くような路線であったなら、こんな単純な報道で済むような事態にはならないのです。
(コメント追記)
なお、当たり前ですが、本記事はJR九州を批判するものではありません。
当該車両は全国各地で走行しており、同系列を含めれば今も北海道から九州までに数百両存在します。
また、同様のワンマン運転を行う線区は全国のローカル線に広がっています。
同様の事故があった時に二度とこのようなことが起こらないようにするべきですし、各社への注意喚起も必要でしょう。少なくとも、この「滑走」自体がどういう要因で起こったかは明らかにすべきであると思っています。