北海道の交通関係

「道民みんなで創る!公共交通ネットワークフォーラム」を聞いてきました

2017/12/18

「道民みんなで創る!公共交通ネットワークフォーラム」は「幅広い道民・関係者の参加のもと、全道的な観点から問題意識を共有するとともに、地域の実情を踏まえた持続可能な公共交通ネットワークの実現に向け、関係者が一体となって取り組む機運を醸成する」というお題目で北海道庁が主催で行われたものです。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/forum291217.htm


1-3 開会-主催者挨拶(北海道知事)-来賓挨拶(北海道運輸局長)

4 基調講演「オール北海道で考える公共交通ネットワークの将来」 北海道大学大学院工学研究院 准教授 岸邦宏氏

5 関係団体からの話題提供
 北海道医師会
 北海道バス協会
 北海道ハイヤー協会(タクシー業界団体)
 札幌エアラインズアソシエーション

6 パネルディスカッション
 北海道知事           高橋 はるみ 氏
 北海道市長会 会長      菊谷 秀吉 氏
 北海道観光振興機構 会長 堰八 義博 氏
 JR北海道 代表取締役社長 島田 修  氏




本件、北海道の公共交通を「オール北海道で考える」という割に、どうしても内容が薄く、中身についても深くないものでした。それでも、一部に活発な意見もありましたし、なにより300人を越える聴衆がいるわけで、各立場としても、あまり「恥ずかしい」ことは言えないはずです。
(録音があまりよくはありませんが)内容をご確認いただき、それぞれがどう話したか、そして報道内容とどう違うのかは是非お聞き頂きたいと思い、今回公開することにしました。

以前より、このような会での発言内容が報道である程度歪められ伝わっているように思いますし、実際に聞いた立場、報道で知った立場、全く興味も無い立場で意思疎通ができていないというジレンマも感じます。

JR北海道問題だけに限らず、本当は人口減少社会の中、どう交通網を利便高く作り替えるのかは事業者だけの問題ではないのです。北海道民自体も使わない理由を声高に事業者を批判し続け、廃止反対などと言う無責任な立場になってはならないのです。


さて、今回、文字起こしする気もあったのですが、少々忙しいので、かいつまんでパネルディスカッションの内容だけ。

●鉄道の可能性(という題目)
・JR北海道社長
鉄道は大量高速輸送機関である。札幌圏では学園都市線では27本->110本に大幅に改善した。空港輸送も空港利用客の7割程度の客を集めている。
都市間では特急の高速化を進めてきたがコストの低いバスとの競合になっている。
地域輸送はほとんどが高校生である

・市長会
住民にJRへの「乗り癖」がついていない。そういう意味では自治体は公共交通を使う方策をやってこなかった。

・観光振興機構
道外からの観光客は600万人、海外からが230万人。交流人口は右肩上がりで増え続けている。
鉄道そのものが観光資源である。

・知事
鉄道は道民の暮らし産業経済を支えるものである。
人口減少のなか(先の基調講演にあった)540万人が4000円JRに使えば200億円となる。関心を持って欲しい。


●地域輸送
・市長会
理屈だけで存廃を議論できない。選挙で選ばれた首長は必ず住民から「代わりに何かせよ」的な忖度を求められる。

・JR北海道社長
札幌圏以外は高校生利用がメイン。ほとんど使われていない。
利用促進は一過性で無く継続的に観光利用以外も取り組む必要がある。
鉄道とそれ以外の交通機関の連携が必要だ。


●広域輸送
・観光振興機構
インバウンドの個人旅行化が進んでいる。道外客の3割、海外客の5割が何らかの区間で鉄道を使っている。
北海道レールパスが28年度9万4000枚発売されている。
稚内への代替車両でリゾート車が配車されたが、快適だった。これをつかっては。

・JR北海道社長
(リゾート車代行を受け)鹿被害が発足時年間50件程度が2000件程度まで増えている。
①北海道新幹線はそれ以前の3000人日-5700人日程度に増えている。
②エアポートの改善を行っている
③着地型観光列車(ノロッコ号)
④インバウンド対策(通訳スタッフ、案内看板、wifi、レールパスなど)
これから新幹線で各都市間も短縮するので観光も変わっていく。
観光列車については発足時にスキーリゾート列車をやっていた。当時は道路事情、峠事情が悪く需要も大きかったが、道路整備でスキーバスに流れ、スキー人口も減った。
その後夏季の富良野で渋滞が酷いということでこの車両を使って特急を作った。また、青函トンネルでのドラえもん列車等も行った。
リゾート車両は寿命であり、安全投資優先の中観光車両投資は難しい。ただ、作るならインバウンドに対応したものなどが必要。今は身の丈に合わせた流氷物語のようなものをやっている。

・知事
四季島のような豪華列車はあとの楽しみにしている。
道南いさりび鉄道のながまれ号、沿線でおもてなしをしており賞も取った。
モニターツアーもやっている。来年度以降も行う。


●これから取り組まなければならないこと
・市長会
2次交通、3次交通が整備されていくことによって、沿線では無い自治体にも観光面でワンチャンスあるのでは無いか。
駅前は生活がしずらくなっている。地方では民間の投資が無いので自治体自らが投資して整備を行わなければならない。

・JR北海道社長
力を貸して欲しい。
自助努力と言われているが車両投資は1両3億かかる。安全コストもかかる。
持続可能な交通網にするには利用促進が必要。

・観光振興機構
JR北海道は瀕死の重傷であり、きれい事を言っている時間は無い。先ず出血を止めないと観光列車だの夢を語るのはそのあと。
JR北海道の運輸収入は900億、JR東日本は2兆規模が違う。貨物会社からの受け取りも20億、実際150億経費がかかってる。道が中心となって国に訴える必要がある。
自治体はいますぐ議論に着くべきだ。

・知事
道の基本的な考え方として
・JRの自助努力、JR九州のような不動産開発
・国の実行ある支援
・地域の実情に応じた方策

国に対し
JR他社と比較し、貨物列車の割合が高い
老朽土木構造物対策
増収策への支援(エアポート増便など)
資金繰りの改善
鉄道運輸機構の「特例業務勘定」の活用

地域の実情に応じた方策として
地域づくりと一体となった公共交通ネットワークのあり方検討
まちづくり、観光施策と連携した取り組みの推進

北海道の支援策
検討内容イメージ
安全運行の確保に向けた設備の更新
利便性、快適性向上に向けた車両更新
地域による利用促進
駅舎などを活用した地域振興
北海道高速鉄道開発の活用


なお、質疑応答などはありませんでした
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北海道知事を批判する意図はありませんが、毎度言ってるJR北海道の自助努力というものが何を指しているのか、全くもって理解できません。
JR北海道が不動産などの関連事業を行っているのはちょっと決算書や資料を見れば誰でもわかるように書いてありますし、それが「足りない」というなら、どのレベルまで達していれば知事が納得できるかも含めもっと直接的な「努力目標」などを出すべきです。

JR九州の鉄道事業の赤字額が少ないことが関連事業収益で「赤字を解消」できている理由であり、そのJR九州ですら減便、駅無人化、特急すらワンマン化するという状況が発生しています。その事実すらちゃんと理解せずにJR九州を見習えとは、これを持って国に掛け合うなど「恥ずかしいから辞めてくれ」レベルです。

そもそも決算書上JR北海道が「自助努力」できるとすれば路線廃止、冬期運休などもう鉄道自体を縮小することでしかできないというのも事実な訳です。この期に及んでまだこれを言う知事も、観光振興機構会長の話ではありませんが、未だに「綺麗事」を言うJR北海道にしても、解決する気が無いだろうという印象すら受けます。

また、市長会の会長が言う「理屈だけ」についても、今までJRの説明が足りないと言っていれば報道は擁護してくれましたが、市町村に出している資料と同じものが一般にも公開されて、これ見ても理解できないなら市町村はまともに解決する気が無いといわれてももう反論できません。

時間がかかる、調整しなければならないはわからないでもない。しかし、あきらかな数字を出されてごね続ける姿勢は「調整」ではないわけです。

未だに国の動きが見えないと自分達は動かないでは自主的な考えは無いのですねと下に見られるわけです。必要なら自分達でどんどん発言しなければなりません。JRに対しても今までダイヤ改善の要求すらしたことがないような自治体が「鉄道が不便だから」などと言うのは許されません。

それにしても、今回のフォーラム。知事のひとり舞台で、アリバイ的にやりましたなんですかね。聞けた内容に意味はありましたが、最後の知事の独演会はうんざりでした。



(コメント追記)
多くの鉄道ファンは「鉄道さえ残ればそれでいい」わけではないですし、自分達の子供、孫のことを考えればろくに改善されない、危険を伴うような老朽設備の鉄道を残される方が困ることです。

私たちの世代で、いい加減に中途半端に鉄道を残しても必ずや子供、孫の世代にとんでもない負担を押しつけるわけです。本当に残すなら「新線」にするくらいの大幅な改良をしなければなりません。特に石北線、宗谷線などは「残れば良い」レベルの議論ではダメなのです。

そういう意味で、事業者であるJRも、国も、道も、沿線市町村も、「学者」も含め、落としどころが全く見えないのが問題です。多分落としどころとして中途半端に残して基金積み増し程度でお茶を濁す形になる可能性が高いと思っていますが、10年後、20年後必ずまた存廃問題が起きるわけです。

私たちの世代が必ず「解決する」気概と、本当の意味でのスクラップ&ビルド的な観点から拠出する必要があります。

今回のフォーラムでバスは「バスの改善点」をいくつか出しました。その全ては国、道、自治体の補助金案件です。同じ事をJRがやれば「自助努力」です。同じ土俵にすら立てていないものです。

私は誰の味方になる気もありませんが。最も困っている本当に使っている人をないがしろに各地で行われている講演会やフォーラムの内容はどれも「ろくなもんじゃない」です。誰も利用客を考えた意見をだしていない。それがフォーラムの議論にも、Twitterなどの議論にも足りていません。

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