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北海道の交通関係
今から考えておきたい北海道新幹線並行在来線問題
2019/08/16
2030年度末に開業を予定している北海道新幹線の新函館北斗-札幌に関しては、これを開通させるための工事の大前提として並行在来線のJR北海道からの切り離しがあります。
今いちど整備新幹線の整備要件を見てみましょう
国土交通省
整備新幹線について
https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000041.html
整備新幹線を整備するに当たっては、平成21年12月24日の「整備新幹線の整備に関する基本方針」(整備新幹線問題検討会議決定)に基づき、以下の基本的な5つの条件を満たしていることを確認した上で、着工することとしております。
1.安定的な財源見通しの確保
2.収支採算性
3.投資効果
4.営業主体であるJRの同意
5.並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意
北海道新幹線の事業採算性とか投資効果に疑問を持つ方は少なくないですが、もとよりこの5要件が満たされなければ工事は行われません。少なくとも札幌までの延伸で採算性があり投資効果が認められ、それを運営者であるJR北海道が受け入れたということになります。部分開業時点では赤字となる北海道新幹線も全通の暁には採算に乗るという試算がされ、当のJR北海道も受け入れているということになります。
さて、その要件の中で大事なのが「並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意」です。江差線が第三セクター道南いさりび鉄道になったのも地元がこの要件を受け入れたことによるものですし、新函館北斗以北に関しても沿線地元が在来線部分のJR北海道からの分離を認めたことによって工事が行われているわけです。
北海道新幹線並行在来線対策協議会
北海道
北海道新幹線並行在来線対策協議会
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hkz_dou-heikouzai.htm (リンク切れ)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/heizai.html
このような協議会を設けて並行在来線について協議しています。2030年という「先の話」だった札幌開業ですが、車両や設備の発注、人員の確保なども含めますと約10年前である今、ある程度の方向性を決めておく必要がありましょう。2012年(平成24年)から行われています。
本会議は議事録が公開されていますので、どのような議論が行われたかがわかるようになっています。当初2035年開業を予定していた札幌開業は2030年に前倒しされています。そして並行在来線に関わる決定は5年前とされていますが、その後5年前では遅いのではないかということで、早急に路線の将来を決定するとしています。
函館-小樽という長大な区間の並行在来線は過去に例がなく、また、振興局(本州で言えば県に相当する)が異なる区間ではあまり流動が多くないこともあり、渡島振興局管内である函館-長万部と後志振興局管内である長万部-小樽を分けて議論することになります。この2区間は路線の性格も利用数も大きく異なることもあります。
北海道新幹線並行在来線対策協議会で提示された区間別・駅別の乗車人員表です。利用のある区間が限られる事がわかります。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/ob01_resume1.pdf
(リンク切れ)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/2/3/4/6/2/6/6/_/ob01_resume1.pdf
これを元に今後協議が進むことになります。
函館-長万部
道南いさりび鉄道と接続する五稜郭-長万部は貨物列車が通過する区間です。勾配を避けるために七飯-大沼-森は8の字に線路が引かれており、いずれの線路も貨物列車が通過する区間です。貨物列車通過区間であることから道南いさりび鉄道同様貨物調整金の制度を利用して、収入の多くを貨物調整金が占める形になるかと思う区間です。
長万部-小樽
貨物列車・特急列車が走らない区間です。貨物調整金についてはこちら側では基本的に対象になりません。ただし、北陸新幹線関係で代替ルートとして貨物列車の走らない区間にも貨物調整金が支払われている区間もあります。倶知安・余市の利用客はある程度利用がありますが、長万部-蘭越など本数も少なく利用も多くない区間です。
いずれの区間も普通列車自体の利用者は通学の高校生が主であります。その中で函館-七飯・余市-小樽は通勤輸送も一定存在し、実際の利用動向を見ても2両から3両の「列車」としての輸送力が必要ではと感じる区間になります。もちろん函館-新函館北斗は今後も鉄道による新幹線アクセス輸送が必要になる区間です。
北海道建設新聞
倶知安町が道新幹線駅周辺の整備構想案をまとめる
https://e-kensin.net/news/114968.html
倶知安駅は当初の地平構造から高架構造に変更になりました。この結果線路を渡る高架道路での整備を地平での整備に変更する必要が出ました。しかし、そうなると在来線には踏切が必要になるわけで、踏切の新設は難しいことから、路線廃止を前提にした駅付近の整備プランも作らざるを得なくなっています。
これは後志道倶知安ICへの高規格自動車専用道の工事が進んでおり、ICから市街地地域へはどこかで線路を横断する必要がありますので、このアクセス道路について考えなければならないわけですね。
しかし、新幹線が直接関与せず、在来線利用が比較的多い余市町は最後までこのJRからの経営分離に反対し、一時期は新幹線延伸工事開始が危ぶまれた時期もありました。これは函館もそうで、最後まで函館-新函館北斗の分離に反対していました。これは現状の利用を考えれば当然でもあります。しかし、先の通りこの区間も含めた並行在来線の経営分離に押印しなければ北海道新幹線の工事ができないわけです。
この並行在来線問題に関しては本州の事例でも鉄道のネットワーク性を壊し、利用客に高額な運賃を課す形になることも含めて地方への押しつけという部分もあります。しかし、逆にJRに関係なく自前で様々な施策ができることも「地域の鉄道」という面では良い部分でもあります。
鉄道は装置産業であって、設備を全て自前で維持し、なおかつ大量輸送機関として高度な運行管理が求められます。他の交通機関のように設備を保有せず、多少の遅れは当たり前という運行管理ではないわけです。ということはそれを維持するためには莫大な経費と多数の人員が必要になります。しかし、それがあるからこそ高速大量輸送ができるのです。
そういう意味で1両で数人の客を乗せて走るようなローカル鉄道は残すことが難しいというのもおわかりいただける部分です。しかし、今回の区間、ネットワークとして維持されていなければ意味が無い区間も多いのです。森-長万部は利用が少ないからバスにしますとしても貨物列車用に線路の維持は必要です。長万部-倶知安はバスにしますとしても、この区間を直通するバスが現状無く、所要時間も多くかかることでしょう。しかも明治時代に完成した鉄道施設は各所で老朽化していますので、これの取替は急務。
特に長万部-小樽の車輌は現状苗穂から回送されていますので、これを自前の車両基地を建設して維持できるのか?という部分も大きくありましょう。まして自動車道が延びている区間でもあるわけです。
開業5年前を待たずして早く結論を出そうという観点は大事だと思います。結論を出さなければ動きようがないですし、一部政府関係者には北海道新幹線のさらなる前倒し開業を期待する声も上がっています。これは札幌のオリンピック招致などにも関連する話です。