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北海道の交通関係
冷房車の少ない北海道の普通列車とH100形
2019/08/19
以前も当サイトでは書いていますが北海道内の普通列車車輌は札幌圏の電車列車を除けば多くが非冷房車での運行になります。
北海道の鉄道車両の「冷房化率」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=275
2019年夏は札幌付近だけでなく普段は涼しい道東でも30度近くまで気温が上昇するというのが見られました。で、このような記事が出てくるわけです。
J-CASTニュース
JR北海道の「非冷房車」は猛暑を耐えられる? 置き換えが難しい事情
https://www.j-cast.com/2019/08/18365184.html
とはいえ、北海道でも夏は何日かはそのような猛暑の日があることは昔から変わっていません。結局はその日数が少なく、冷房稼働日数を考えると必然性が低いという判断があったとも思われる部分です。
特に1970年代に設計された現在のJR北海道の主力普通列車車輌キハ40に関しては、国鉄の財政事情もあり、全国的に非冷房で設計されました。北海道から九州までの各地にクーラーのないほぼ同一の仕様で納入されたわけです。その当時の思想として、寒冷地の凍結、過冷却による装置のトラブル、そして室温低下を避けるために北海道仕様である極寒地形、東北など用の寒冷地形、それ以外の暖地形とは分けられましたが、いずれもクーラーが設置されなかったのです。
民営化後はサービスレベルの確保も含めて各社で冷房化改造が多く行われましたが、東北北部と北海道用の車輌はやはり原形のまま使用される車輌が多かったわけです。それでも後に宗谷線方面の急行で使用される車輌や札幌圏で使用される一部の車輌は冷房改造されました。
では、地方はどうかといいますと、基本的にそのままで使用されることになります。これはその地域事情にもよるかと思います。根室線を新得から釧路にかけて普通列車に乗れば最初は涼しかった車内が帯広付近では暑く、そして釧路に近づくにつれて気温が下がってきます。同じ車輌の運用範囲で寒暖の差が激しいのも北海道の気候であるわけです。
国鉄末期に製造されたキハ54に関しても、北海道仕様はクーラーがない仕様でした。(四国、九州に導入された同様のコンセプト車輌はクーラーつき)当時の国鉄が経営困難が予想された会社にもこのような車輌を導入しなければならなかったことは、もうすこし熟慮があってもよかったように思います。当初より一部車輌は急行として使用することが決まっていたのですし、加工の難しいステンレス車輌ですから、後日に冷房改造するのも難しい車輌でもあるわけです。
結果的に1993年から導入されるキハ150まで地方線区の冷房搭載は見送られる形になります。札幌圏の冷房化すら進んでいなかったことを受けて時期尚早とされたとも思いますが、1990年代から首都圏の中古車を使用した路線バスの冷房化が急速に進んだことも、この判断に繋がったものと思います。
北海道でも盆地気候で夏暑い旭川地区では旭川電気軌道が1987年から新車冷房車の導入を開始、その後1990年代に首都圏から大量の中古車を導入し冷房化を推進しました。札幌市営バスでも冷房車導入は1989年からで、札幌市営バスでは中古車の導入がないことから2000年代でも札幌市内では冷房のないバスが多数運行されていたわけです。これが市営バスの廃止で民間に移譲されましたので、札幌市内のバス完全冷房化は各社が中古車を導入し、非冷房車輌を置き換える2010年頃までかかったことになります。
キハ150形は苫小牧に配置された10両を非冷房車で発注しました。この10両のために図面を引き直して製造していますから、コストダウンにはあまり繋がらなかったとも思いますが、比較的涼しい苫小牧、室蘭周辺での使用ということで、このような仕様になったものと思います。しかし、結果的に現在は倶知安、小樽方面や岩見沢方面に顔を出すようになっていますので、この開口幅の少ない窓と非冷房がこの時期不評ではないかとも思うわけです。
H100形の導入
さて、JR北海道の長期計画では老朽化した普通列車車輌の置き換えにも着手されます。現行稼動するキハ40の最初期車輌は1977年製造で既に40年以上が経過。そして性能も車内設備も冷房も含めて現在のレベルに残してはならない車輌です。2018年に2両製造され、各路線での試験を行っていた新形式車輌H100形は、量産体制に入っており、2020年3月改正から使われるようになるかと思いますが、今のところその導入線区についての言及はありません。
このH100形は既存車輌との連結運用はできませんので、ある程度固定された運用になろうかと思います。この車輌がまず、どこに導入されるかです。第1弾として仮に当初10両程度の導入としますと、直通を行う広域的な運用を行う路線には導入しにくいとも思うわけです。
あくまで個人的な想いではありますが、導入を富良野線にすることで、現在もキハ150での運用で車輌運用がほぼ完全に分かれていることから、そのまま導入しやすい面がありそうです。
H100形を富良野線に導入すれば、結果現行富良野線専用車キハ150形10両を苗穂運転所に転属し、小樽-倶知安-長万部、札幌-旭川で使用しているキハ40のうち札沼線用2両を除く11両を置き換えることができます。(苗穂運転所の気動車普通列車は他所の回送車輌の連結などもあるので、従来型が連結できる仕様であるのが望ましいと思われる。また、苗穂運転所の1両運用気動車はキハ150で統一できるのでエンジンの統一が可能で、また、予備車1両分を捻出できると思われる)
苗穂運転所のキハ40のうち、5両が機関換装形ですので、これを函館運輸所に転属し、特に古い1977年製造のキハ40初期車輌4両と原形エンジン車1両を置き換えることができましょう。函館では混雑対策で3列シートの限定運用がありますので、3列シートを備えた苗穂の車輌をそのまま使用できそうです。これにより使用するエンジンの統一化とキハ401700番台限定でダイヤを組むことができますので多少のスピードアップも可能になるかと思います。特急の待避が避けられない函館線函館-長万部で少しでも改善が進むと良いのですが。
また、2020年5月には札沼線北部の廃線でキハ40の強馬力改造車2両が余剰となりますので、これとあわせ機関換装形キハ40を旭川運転所に転属することで、留萌線で使用するキハ54を一部キハ40運用と置き換えることが可能になりそうです。
現在夏季でも小樽-倶知安-長万部で使用している苫小牧運転所の非冷房キハ150はすべて苫小牧・室蘭地区での運用に戻せますので、キハ40を3両捻出できれば、釧路運輸車両所に転属させ、釧路に3両だけ残っている機関未換装車輌3両を置き換えることができます。釧路運輸車両所もキハ40のエンジンが統一されることになります。ここも強馬力機関統一で普通列車のスピードアップが可能になるでしょうか。
機関未更新のキハ40が全て旭川に集まっている状況ですが、さらに10両程度H100形を導入できれば、これも基本的に限定運用になっているキハ54使用列車の置き換えを進め、このキハ54でキハ40の初期車輌、機関未更新車輌を置き換えていきます。石北線北見-網走で釧路運転所の車輌との連結運用があるので、石北線は基本的にキハ54での運用ができるようになるのが理想でしょう。これにより宗谷線、石北線とも一定のスピードアップ、秋期の車輪空転によるダイヤ乱れの解消を行いたいところです。キハ40に比較し2軸駆動になるキハ54は空転に強い面があります。
なお、2両ワンマン対応普通列車用電車が導入されることが発表されましたので、これにより旭川と苫小牧のキハ40、キハ143を置き換えることで、キハ40の初期車輌、機関未更新車輌を置き換えることを検討しているように思われます。キハ143がもう少し延命できれば旭川-名寄の快速や富良野付近での増発列車などでの使用もできそうに思われます。
また、キハ54に関しては28両しかありませんので、最終的には釧路運転所に(冷房無しを許容できる環境、2エンジンの強馬力仕様が求められることから、これに、新幹線開業後のキハ150非冷房車の転属で38両程度で賄う)しかし、それを考えてもH100を少なくとも計100両程度は製造しないと現行の列車本数の維持は難しくなります。ましてキハ54やキハ150もあっというまに車令30年となりますので、最終的には全て置き換えざるを得ません。なお、運賃値上げの資料にはH100形は127両製造との記載がありますが、最終的には非電化区間の普通・快速列車はこれで置き換えるということでしょうね。(現行の旭川・釧路プラス苫小牧の一部とすれば納得できる数字ではあります)
それまでにいくつの路線が維持できるのか、また、維持できないのかも含めて検討しなければならないのです。
キハ40826(1977年2月に製造されたキハ40のトップナンバー車輌を改造したもの。ほぼ車内は当時から変わっていない)


現状の北海道内一般型気動車両数
●函館運輸所 15両・キハ40 15両(うち初期車4両、機関未換装車1両)
●苫小牧運転所 46両
・キハ150 10両
・キハ143 10両
・キハ40 26両(全車機関更新済)
●苗穂運転所 32両(事業用などに使用するキハ40 6両除く)
・キハ201 12両
・キハ150 7両
・キハ40 13両(うち機関未換装車6両)
●旭川運転所 56両
・キハ150 10両
・キハ54 14両
・キハ40 32両(うち初期車8両、機関未換装車8両)
●釧路運輸車両所 43両
・キハ54 14両
・キハ40 29両(うち機関未換装車3両)
現行のJR北海道一般気動車のエンジン形式
・キハ40初期車・機関未更新車DMF15HSA(220PS/1,600rpm)
・キハ40機関更新車(1700番台)
N-DMF13HZI (330PS/2,000rpm)ニイガタ製
・キハ40機関更新車(札沼線用400番台)
N-DMF13HZD (450PS/2,000rpm)ニイガタ製
・キハ40機関更新車(日高線用350番台・旧札沼線用、現事業用300番台)
N-DMF13HZB (330PS/2,000rpm)ニイガタ製
・キハ40機関更新車(旧宗谷急行用、現事業用330番台)
DMF13HZ (330PS/2,000rpm)ニイガタ製
・キハ143(旧札沼線用、客車改造車。現室蘭線普通列車用)
N-DMF13HZD (450PS/2,000rpm)ニイガタ製
・キハ150(富良野線・函館線長万部-小樽等用)
N-KDMF15HZ (450ps/2,000rpm)コマツ製
・キハ54(宗谷北線・花咲線・釧網線等用)
DMF13HS (250PS/1,900rpm)ニイガタ製
・キハ201
N-DMF13HZE (450PS/2,100rpm)ニイガタ製
なお、特急用車両では
・宗谷線特急用
N-DMF13HZH (460ps/2,100rpm)ニイガタ製
・函館線・根室線特急用(261系1000番台)
N-DMF13HZJ (460ps/2100rpm)ニイガタ製
・函館線特急・根室線特急用(281/283系)
N-DMF11HZA (355ps/2,100rpm)コマツ製
・出火事故を起こしたキハ183の更新エンジン
N-DMF13HZK(460ps/2100rpm)ニイガタ製
2019/9/10追記:
H100型は量産車13両が苗穂運転所に配置されることになったようで、一部が新製到着しています。先行試作車と合わせて15両が苗穂運転所に配属されますので、ほぼ長万部-小樽のキハ40・キハ150を置き換えることができるものと思われます。
ただ、函館本線で使用する分までは若干足りないのと、記事内にある通り札幌-旭川の気動車列車は各所の苗穂工場・札幌運転所などへの回送の必要がありますので今しばらくはキハ40での運行となりそうです。イベント列車兼用となる「山明」も苗穂運転所の所属となります。
このため、キハ150については苫小牧運転所へ転属させ、苫小牧所のキハ40を他区の初期車・低出力車置き換えに使用するという状況が考えられますか。もう少しH100の両数が増えないと各所の置き換えまではなかなか回らないのでもあります。
何れにせよ正式な発表が待たれますね。
2019/9/11追記:
JR北海道 2019年9月11日
H100 形電気式気動車(DECMO)の投入線区について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190911_KO_DECMO.pdf
2020年3月改正より函館本線長万部-小樽のキハ201で運行される列車以外をH100形に置き換える旨の発表がありました。また、2021年度末までにさらに60両を導入するとしています。
こうなりますと55両程度を要する旭川運転所の全気動車車両(富良野線だけで使用するキハ150も含め)を置き換えることが可能になるかとも思います。やはり現行の他系列との連結使用ができないというのはかなりなネックで、一定の範囲への集中投入は致し方ないとも思うところです。
キハ150はあと10年程度(新幹線札幌開業まで)使うと想定しますと札幌と旭川で使用していたものを函館に転属し、冷房化等の体質改善を行うこと。また、2エンジンのキハ54を比較的涼しい釧路に集めることも可能かと思います。
いずれにせよ、今後の維持困難路線のサポートによってはローカル用気動車のH100統一も当然想定していると思われます127両の導入ということが本当に行われれば、一部気動車列車の電車への変更で単行運行可能な気動車をすべてH100で運用できるわけです。
結果的には「北海道の恵み」や「山紫水明」のようなイベント兼用キハ40に関しては定期列車よりもイベントそのものへの使用のほうが多くなるかもしれませんね。あまり定期列車利用は長くないかもです。