北海道の交通関係


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キハ40イベント兼用車輌「山明」号とH100形増備計画

2019/09/12

2019年の苗穂工場公開では目玉として完成したばかりの観光・イベント車輌「山明」号の展示が行われました。

この山明号は普通列車用の気動車キハ40を改造したもので、車輌の外装は「広大な大地や山林をイメージした深い緑色」、車内は落ち着いた木材をふんだんに取り入れた木目が目に優しい内装になっています。座席には脱着可能なテーブルが設置されています。



山明のロゴ

キハ401790が改造されています。

車内のロールカーテンもデザインされています。

デッキ部分は基本的に変更はありません。通常は普通列車として運用されるためワンマン機器なども存置。


テーブルが着くボックス席

ロングシート部

実際の車内の印象は車内灯が点いていなかったこともありますが、暗めになっています。以前改造された「北海道の恵み」シリーズでは車内の化粧板までの張り替えは行われませんでしたが、山明号では木目の化粧板に交換されています。

車内全景

床とシート
シートのデザインも一新、手すりやつり革に木を使っています。網棚も木製になっているように見えます。

網棚部分

比較として2018年8月撮影の「北海道の恵み・道央 花の恵み」の写真も掲載します。営業運転中の写真で室内灯が点灯しているのもありますが、やはり車内が明るめに感じるのは化粧板の差でしょうね。座席の表地は733系などと同じものに見えます。






H100形導入報道


北海道の地方路線では長らくこのキハ40が多く使われており、今も100両以上が道内各地を走っているわけですが、この置き換えを目的にした新型気動車H100形の投入が発表されました。

JR北海道 2019年9月11日
H100 形電気式気動車(DECMO)の投入線区について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190911_KO_DECMO.pdf




なお、H100の運用予想を過去記事で書いていましたが全く大外れで恥ずかしい限りですのでもう一度晒しておきます。
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=888


北海道新聞 2018年02月18日
新型気動車19日から走行試験 JR北海道 安定性、ブレーキ性能確認
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/165288
> JR北海道は19日から、新型の電気式気動車「H100系」の走行試験を実施する。老朽化した気動車の後継車両として、ローカル線への導入を検討。試験は試作車2両を使って2018年度末まで行い、19年度以降の営業運転と量産化を目指す。


H100形は2018年2月に先行2両が到着、2冬試験を行い2019年度から営業運転するとしていました。

北海道新聞 2018年04月07日
新型気動車、座席ゆったり JR北海道、来年度以降導入
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/178422
>JR北海道は6日、札幌市東区の同社苗穂運転所で、ローカル線への導入を検討している新型の電気式気動車「H100系」を報道陣に公開した。車内の座席数を減らすことで、乗客がゆったり座れるような座席間隔を確保したほか、車いす用のスペースを設けた。


そして4月6日には報道公開が行われています。

北海道新聞 2018年08月04日
JR北海道、普通列車用気動車の更新見送り 資金確保見通せず
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/215441
> JR北海道は、普通列車として使用する一般気動車の更新を当面見送る方針を固めた。国の支援がJRの想定を下回る2019、20年度の2年間で400億円台となり、長期的な資金確保が見通せないため。使用開始から30年以上の更新期にある車両は、8割にあたる約160両。劣化が激しく、車両故障による運休や廃車、減便も懸念される。
 JRによると、車両の寿命は使用開始から約30年。エンジンを搭載する一般気動車205両のうち、旧国鉄時代に造られ30年以上たつのは164両で、ローカル線主力の「キハ40形」が126両を占める。
 JRはキハ40形の後継車両として、新型の電気式気動車「H100形」を開発。試作車2両で今年2月に走行試験を始め、19年度以降、数年かけて70両ほどの更新を計画していた。
 更新費用は1両当たり約2億~3億円。新型車両への更新が進めば燃費向上や整備・修繕費用の抑制など、経営改善につながる。そのためJRは国に、車両更新費用も含め30年度まで、年300億円の支援を求めたが認められなかった。
 JRによると、車両の更新は発注から納入まで通常3年かかる。今回の国の2年間の支援では、3年後の納入時に支払う購入資金の裏付けがなく、メーカーへの発注ができないという。


しかし2018年8月には車輌更新見送り報道が出ています。
元々70両程度の発注は視野に入っており、実際の発注数はわかりませんが、今回納入される13両は既にこのタイミングでは発注されていたものとは思います。追加分の発注を中止していたのならその後の納入の遅れも理解できるところです。JR東日本のGV-E400形と基本的に同一車種ですので、仮に発注流れになってもJR東日本に流れる可能性はあったかもしれません。それにしてもこのような感じでは車輌メーカーもおいそれとJR北海道からの発注を受けられないわけで、綱渡り的な発注だったのかもしれません(報道の裏付けが難しいのでどの程度これが正しいのかはわかりませんが、というのも記事にあるとおり発注から納車までの期間はある程度かかるというのもあります)

交通新聞 2018年12月05日
JR北海道 H100形電気式気動車 5年間で40両規模投入
http://news.kotsu.co.jp/Search/20181205/1d84d7a4-ef5e-4fe7-8d62-8f64524b7f57
>JR北海道は、ローカル線の普通列車として使用する、老朽化の激しい気動車の置き換え用に、H100形電気式気動車(愛称・DECMO)を新年度から5年間で40両規模投入する。 H100形は、今年2月に試作車2両を導入し、走行試験を続けている。


12月になって交通新聞だけで配信された記事ですが、5年で40両という具体的な数字が出ました。「購入資金の裏付け」ができたために発注できたという話なのかもしれません。当然この段階では今回納車になる13両は既に製造に入っていたはずですので、翌年度以降の納車となる両数を表しているのかもしれません。

北海道建設新聞 2019年04月01日
JR北海道の19年度設備投資額は377億円
https://e-kensin.net/news/115475.html
>車両には117億円を措置。261系特急気動車やH100形電気式気動車を新製するほか、電車・気動車の重要機器を取り換える。


今年度に入りまして出てきた記事で、車輌に117億円の投資を行うという発表です。全てを車輌新製に使うとして60両程度、そのうち20両程度は特急車両と思われますので、H100形は約40両という計算となりそうです。

北海道新聞 2019年04月25日
<JR「自立」への道筋 中長期計画を読む>3 コスト削減 50億円目標
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/299827
>  エンジンで発電した電気で車輪を回す、新型の電気式気動車「H100形」導入も進める。エンジンの動力で車輪を動かす現行の一般気動車より構造が単純で整備費を抑制できる。国の支援を想定し、本年度に13両、23年度までに100両程度導入する予定。


また、北海道新聞では本年度13両、23年度までの100両程度という具体的な数字を紹介しています。

北海道新聞 2019年09月12日
JR北海道、新型気動車量産へ まず小樽-長万部に13両
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/343859
> JR北海道は11日、普通列車として使用している一般気動車の老朽車両に代わり新型の電気式気動車「H100形」(定員99人)を量産し、年度内に函館線(小樽―長万部間)に13両を導入すると発表した。2021年度までに計75両を導入する計画で、約210億円の費用を見込んでいる。
 H100形は製造から35年以上たった「キハ40形」(同103人)の後継車両にする。冷暖房を備えているほか、車いすにも対応する洋式トイレなどを設ける。走行試験用にすでに2両を製造したほか、今年9月に6両、来年1月に7両を投入。20~21年度に残る60両を造る。
 JRは19、20年度の国の支援が想定を下回り長期的な資金確保が見通せなくなったため、いったんは車両更新を見送る方針を固めた。しかし、コスト削減などの経営努力に加え、国からも一定程度の支援が期待できるとして、新型車両を量産することにした。


そして今回先行車を含めた15両を函館本線小樽-長万部に2020年3月改正から投入することを発表。また2021年度までに60両を導入することも発表しています。


では改めて投入線区についておさらいです。函館本線の長万部-小樽は特急や貨物列車の走らない典型的な地域交通路線ではありますが、沿線にニセコなど観光地を抱えており、外国人観光客も多く利用している姿を見かけています。
現在の使用車両はキハ40とキハ150で、キハ150の一部以外は冷房すら搭載しておらず、また非力な車輌ということもあって沿線に高速道路が延伸する中鈍足という面もあります。
なお、車内案内放送に英語は追加されていますが、札幌圏のような放送とは異なり、若干の意味不明さがあるので、これが改善されることも期待されますね。
2030年を予定している北海道新幹線札幌開業では沿線の長万部、倶知安、新小樽に駅が設置され、この区間は並行在来線としてJR北海道から分離されることも決まっています。その後は第三セクター鉄道として地元が運営するのか、バス転換となるのかはまだ決まっていません。

H100形は現在キハ201系で運行されている2往復を除く全ての車輌を置き換え、1本だけの札幌始発列車にも使用されるとのことです。(小樽発の夜間の札幌・苗穂行きは回送となる)これにより、この区間からキハ40とキハ150は一掃されます。


さて、この区間にH100形を投入する意味ですが、まず大前提になるのが新幹線延伸開業まで今後10年は間違いなくJR北海道として運営される区間であるということです。単独での維持困難とされている他の路線では、その支援の内容によっては普通列車の廃止、路線の廃止も考えられ、また、新型車輌の導入は当然現場の研修などが必要ですし、他の車輌との併結は基本的にできませんので、運用の効率面でも避けたいと考えているように思います。
その点苗穂運転所はH100形試運転の基地でもあったという面、そして、今までキハ40での運行では非力のため冬期を中心に苫小牧運転所のキハ150を借りての運用なども行われていたこと、そして案内放送や液晶パネルでの多言語案内などの必要があり、その設備を有している面も含めて、最初の投入に適していると判断されたものとおもいます。
現状11両程度が通常運用されていると思われますので、15両の導入ですと、次回導入地区での研修も行える両数と考えられます。


以前の日記でバッサリ導入線区を外してしまったので、改めての次回導入路線予測ですが、60両と大量の導入ですので、1区所を全て置き換えることも可能になります。その中で導入の可能性が高いのは旭川運転所管内かなとも思うところです。

キハ40で運用される宗谷線旭川-名寄、石北線旭川-網走は勾配もあり、キハ40の性能ではあえぎあえぎ登るような路線になります。キハ40は32両、キハ54は14両、キハ150が10両ありますので、50両程度を置き換えることで全線でH100形での運行ができるようになります。これにより富良野線の観光需要(多言語案内)と宗谷線快速列車等の体質改善、石北線上川以東の急勾配区間の改善が期待できましょうか。
旭川を全置き換えする理由は旭川運転所には車輌の車輪を外さずに削る在姿旋盤がありませんので、必ず札幌に回送して行っていることです。結果札幌-旭川の普通列車に繋げての回送を行っており、この列車をキハ40で運用する理由になっています。旭川が全てH100になれば、当然この列車もH100でいいわけですね。なにより夏暑い旭川地区での冷房車導入は喜ばれるでしょう。

ただ「単独での維持困難」路線での新車導入を是とするかという面もあります。現在のキハ54運用はある程度分離されていますので、キハ54とキハ150により維持困難路線区間を運用するという考え方もあります。この場合旭川運転所と釧路運輸車両所に30両ずつ配備することによってキハ54・キハ150とH100形で運用を分けて運行する方法は考えられなくもありません。ただし、両車が連結運転できないのはかなりネックになるようにも思いますし、エンジン形式が多岐にわたることを考えるとあまり得策では無いようにも思います。

もう一つは今回の導入箇所と同様の新幹線延伸で分離される函館運転所への導入です。函館運転所で現在使用中のキハ40は15両。これを全て置き換えることで新幹線アクセスも含めた体質改善が可能です。ただ、将来的に道南いさりび鉄道のキハ40をどうするのか、H100を導入するのかにかかってきますね。新幹線延伸後道南いさりび鉄道と一体化で第三セクター鉄道として運行されることを考えると車輌を統一したいところです。
(この観点からしますと非冷房車が残る嫌いもありますが、27両あるキハ150を全て函館運転所に持っていくという考え方もあると思っています。キハ150はコマツ製エンジンを積んでいますので、同様のコマツ製エンジンを使用したキハ281系を整備していた函館運転所という意味もあります。ただし新幹線開業時の車令が40年近くになるのであまり現実的ではないでしょう)

本命は今後も気動車を運行する必要がある苫小牧運転所ですが、ここは予定されている2両運転可能な電車が導入されるかどうかで導入両数が大きく変わるとも言えます。日高線・室蘭線苫小牧-岩見沢をキハ150で運行し、2両ワンマン電車を苫小牧-室蘭で運用するならばH100の投入線区は長万部-東室蘭と苫小牧への入出庫だけですので、あまり両数は多くなくてもいいことになります。これは現在苫小牧運転所の車輌を一部使っている岩見沢-滝川の列車にも言えます、また石勝線の普通列車も今の状況をいつまで維持できるのかはなんとも言えません。

新聞報道や運賃値上げ関連のJR発表文のようにH100形を2023年度までに100両導入することが本当に進むならキハ40、キハ54も含めたほとんどの車輌はH100に置き換えられますので、導入線区は早いか遅いかだけの話になります。あとは新幹線開業時の第三セクター如何によりその両数が多少前後するだけとも言えます。

いずれにしてもキハ40やキハ54での「窓を開けた旅」を楽しむならもうそれほど時間は残っていないとも言えそうです。

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