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北海道の交通関係
JR北海道の運賃改定で他路線・地域との比較
2019/10/04
10月からの消費税率改定およびJR北海道の運賃改定(値上げ)がありましたので、以前当サイトで作成していましたJR北海道と他運輸機関の運賃比較表を新運賃で作成しました。
まず、前回紹介した記事です。
North-tt 2018/06/14
JR北海道運賃値上げ報道
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=292
さて、今回改定でJR北海道は初乗り運賃を30円値上げし200円としました。また、今回の値上げについては「対キロ区間制」を採用しましたので、特に近距離で値上げ幅が大きくなっています。このあたり、意外と北海道新聞が淡々と書いているのが印象的です。
北海道新聞 2019年09月05日
JR北海道の値上げ認可 初乗り200円に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/341728
> 国土交通省は5日、JR北海道の10月1日からの運賃改定を申請通り認可した。消費税増税分を含め、平均11・1%の値上げとなる。経営再建に向けた収支改善が目的で、消費税増税以外の理由による値上げは1996年1月以来23年ぶり。
JRは値上げにより、増税分を除き年40億円規模の増収を見込む。初乗り(3キロ以内)は170円から200円に引き上げる。100キロ以下の近距離の上げ幅が大きく、普通運賃の最大値上げ率は、7~10キロ区間の31・8%。 JRは5月に運賃改定を申請。
北海道新聞 2019年06月03日
JR運賃値上げ「対キロ区間制」って 利用多い札幌圏 高めに設定
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/311375
> JR北海道は10月1日の消費税率引き上げに合わせて、全道平均で11・1%(増税分含む)値上げする運賃改定を実施します。近距離区間(100キロ以下)の運賃算出方法を「キロ制」から「対キロ区間制」に切り替えるのが柱です。
Q 二つの方式は、どう違うのですか。
A 現行の「キロ制」は1キロ当たりの運賃「賃率」を決め、基本的に走行距離に比例して料金を上げる方式です。JR北海道の賃率は、200キロ以下17・85円、201~300キロ16・20円などとなっています。値上げする場合も、全区間ほぼ同じ値上げ率になります。
これに対して「対キロ区間制」は、「4~6キロ」「7~10キロ」など走行区間の距離を細かく分けて、自由に運賃を定めるので、区間ごとの値上げ率に大きな差をつけることができます。
Q 運賃はどう変わるのですか。
A JRは100キロまでの近距離区間で、対キロ区間制を導入する方針です。値上げ率は7~10キロで31・8%、11~15キロで30・8%など、主に20キロまでを高く設定しています。
利用の多い札幌圏でいかに稼ぐかを念頭に検討した結果で、JRの綿貫泰之常務も「札幌市営地下鉄とほぼ同額まで引き上げた」などと説明しています。
Q 100キロ以上の区間はどうなるのですか。
A これまでと同じ「キロ制」を適用します。
ただ賃率は、200キロまでは1割引き上げ、200キロ以上は据え置いています。これにより、遠距離ほど値上げ率が低くなります。特急料金も消費税増税分以外は変わりません。
Q ほかに対キロ区間制を導入している鉄道会社はありますか。
A 需要の高い区間の運賃の値上げ率を上げるなど、柔軟な価格設定が可能なことから、本州などの大手私鉄の大半が導入しています。札幌市営地下鉄の運賃も同じ仕組みです。JRではJR九州だけが1996年の値上げの際に導入しています。
Q 定期券はどうなりますか。
A 通勤、通学で50~70%程度の割引率は据え置きますが、運賃が上がるので、結果的に高くなります。平均で22・4%の値上げです。
Q 特急の指定席往復割引切符「Rきっぷ」や、インターネット割引はどうなりますか。
A 割引切符は、認可された上限価格の範囲内で、路線別、区間別に届け出ることで変更できます。JRは、新運賃の認可後に、割引設定の届け出を行う予定です。割引率は変わらない見通しですが、値上げした運賃から割引になるので、定期券同様、もともとの割引切符よりは高くなります。
個人的にも通勤での利用範囲が10km程度なので、この大幅値上げに当たります。普通運賃は220円から290円に31.8%の値上げ。1ヶ月の通勤定期運賃は6,970円から9,200円へ32%の値上げ、普段購入する6ヶ月定期ですと33,720円から44,470円ですから「随分上がったなぁ」という印象になりますね。
ちなみに本州3社での運賃なら運賃200円、通勤1ヶ月5,940円、通勤3ヶ月28,520円ですから、6ヶ月定期の差額は1万6000円近くという差です。本州で同じ区間を通勤する従業員を採用することを考えると、その差は誰が負担するのか、多少賃金を安く抑えられても・・・となりかねないわけです。
とはいえ、比較表を作ると、札幌市内、近郊の移動で考えても札幌市営地下鉄の定期運賃、バス運賃との差を考えると、JR通勤、通学者は優遇されていたとも言える部分でもあるわけですね。(ただ、やはり移動にかかる金額は少ない方が望ましいのは言うまでもありません)
では、まず、運賃の比較表です。
普通運賃の比較表です。一部のバスが旧運賃です(10円~20円の値上げと考えられる)バスの運賃も他の輸送機関との競合がある区間は運賃を低額に抑える事を行っていますので、同じような距離でも区間によって運賃は様々です。以前も書きましたが35km程度になる札幌-小樽はバス本来の賃率なら1000円を超えていても不意義ではない距離になります。また、バスの利用の多い20km未満はむしろバスの方が高い場合が多いこともわかります。
今回比較として中央バス・ジェイアール北海道バスの地方路線を取り上げていますが、鉄道転換路線で賃率を抑えている深名線代替バスと、元からバス単独路線の日勝線では賃率に大きな差があることがわかります。同様に中央バスでも鉄道沿線の江別・千歳方面と単独路線の差が大きくなっています。
通勤定期の比較表です。バスの定期券賃率が比較的高いこともあり、概ね改訂後も鉄道の方が安い結果になります。しかし、札幌市内特殊区間として距離の割に運賃が低額な区間ではバスが安い結果になっています。また、特記すべきは旭川-富良野で、鉄道並行路線のふらのバスラベンダー号の定期代は1ヶ月9,170円の差であり、また、バスの所要時間との差が20分程度であることを踏まえると、選択が変わってくる区間かもしれません。また、札幌-小樽など、便数面でも定期運賃面でもなかなか「微妙な差」かもしれませんね。
高校生用通学定期の比較表です。JRの定期券割引率が通学定期には手厚いことを受けて、概ね改訂後も鉄道の方が安い結果です。前回も思いましたが大手私鉄の通学定期の割引率は非常に大きく、特に長距離通学では本州内のJR定期運賃と比較しても半額程度になるのは親の立場としても羨ましい部分です。通勤定期利用が多いことで比較的比率が少ない学生を優遇できるという面があるのでしょうか。
JR北海道問題では多くの路線が「通学生しか利用しない」わけで、通学定期を割り引く原資が無いわけです。また、路線バスの通学定期は割高であり、鉄道沿線かバスのみかによって親の負担は大幅に変わるとも言えます。
釧路など駅から高校までのバス利用が避けられない地域でのバス定期割引などの施策はあるほか、各自治体独自でバス定期運賃の補助を行っていますが、これが無ければ「通わせられない」となり、これは地方から都市部への子供を持つ世帯の流出という面も見逃せない部分です。
100kmまでの運賃比較表をPDFで作成していますのでご参照ください
https://traffic.north-tt.com/txt/2019fare.pdf
さて、運賃改定後の世間の反応は当然芳しいものではありません。
朝日新聞 2019年09月30日
消費増税、北海道内も家計に負担
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1909300100014.html?rm=268
JR北海道、最大30%超アップ
北海道内の主な公共交通機関は、増税に合わせて運賃を値上げする。
なかでも大幅な値上げに踏み切るのがJR北海道だ。
消費税率の引き上げを大きく超える平均15・7%の運賃値上げに踏み切る。初乗り運賃は170円から200円になる。札幌圏では、札幌―新札幌や札幌―手稲が、いずれも260円から340円となり、値上げ率が30%を超える。
JR北は赤字が続いており、国などから経営改善するよう求められている。JR北は「輸送サービス向上」と「利用者が少ない鉄路維持の仕組みづくり」のためとして利用者への理解を求めるが、消費増税に「便乗」した大幅値上げという見方もあり、乗客離れも懸念される。
札幌市営地下鉄は平均で1・84%値上げになる。初乗り運賃のほか、11キロを超える区間で10円上がる。3~11キロ区間は据え置く。 札幌市電は一律200円の運賃を10月からも据え置く。函館市電は4キロを超える区間が10円の値上げになる。
路線バスは、28社が平均1・29~1・85%の値上げとなる。初乗り運賃は据え置きか10円の値上げになる。飛行機では、エア・ドゥが混雑期を除く各路線の片道普通運賃を600~800円値上げする。
消費税率を超える値上げを「便乗値上げ」と報じたのはいくつかありますが、当然国交省認可を取った正式なものでありますので「便乗」というのは正しくありません。値上げに伴う諸費用を考えれば今回消費税率改定で必ず値上げが発生するわけで、他の時期と分けて行うことのほうが非効率です。
北海道新聞 2019年10月01日
増税初日 JR11%値上げにため息 「500円丼」は550円に「お客さんに申し訳ない」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/350236
> JR北海道は、増税分を含め、運賃を平均11・1%値上げした。JR札幌駅では利用者が、新しくなった運賃表を見上げたり、駅員に運賃を尋ねたりした。出張で旭川駅まで切符を購入した札幌市中央区の会社員浜田洋知さん(43)は「増税だなと思いながら買った。行く回数は減らせないので、払うしかない」。
埼玉県から旅行で訪れ、帰りの新千歳空港駅までの切符を買った会社員石橋正二郎さん(61)は「来た時と同じ額を持って券売機に並んだら値段が変わっていた。増税を実感しました」と苦笑い。
通院のため、札幌―琴似間を利用する千葉邦子さん(78)は、運賃表示が210円から250円に変わった切符を手に「少しずつ出費が増え、年金で生活する身にはじわじわとこたえる」と嘆息した。
札幌市在住のご高齢の方ですと地下鉄、バスで使える敬老パスで非常に安価に地下鉄、バスを使えるのでそうJRを使うのかしら?という疑問はありますが、まぁ、市外在住かもしれませんし。
とはいえ、記事の取り上げ方はこの程度で前回の運賃値上げ時に見かけた運賃上げた!運賃上げた!の大騒ぎを今回あまり見ませんですね。JR北海道の運賃値上げは既定路線とはいえ、実際の利用者に負担させるわけで、「普段鉄道を利用していない」人には正直関係の無い話でもあるわけです。JR北海道問題を単純な「利用客」の問題にして良いのか?という面はもう少し議論されてもいいように思います。