北海道の交通関係


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釧路のバスは便利になったのだろうか?

2019/10/07

10月1日から釧路市内を走る路線バスの路線短縮、乗換などを伴う大規模な再編を行いました。

これについて北海道運輸局は次のように告知しました。

北海道運輸局 2019-9-26
●釧路市のバスの利便性が大幅に改善します
~道東初の地域公共交通再編実施計画認定(北海道内3例目)~
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/press/presspdf/201909/20190926.pdf
・わかりやすく、効率よく拠点間を連絡するバス路線網への再編
➢釧路のまちづくり計画である立地適正化計画とも連動し、段階的に運行サービ
スを高める路線網の再編
➢STEP1ではイオン昭和店、STEP2ではスーパーアークス鳥取大通店及び
桜ヶ岡通を乗換拠点とし、幹線路線と支線路線による定時制の高い、わかりや
すいバス路線網の整備
➢STEP3での市立病院の乗換拠点化・幹線系路線の新規導入は、建替計画が
ある程度確定した段階で再編実施計画の変更を実施
・乗換拠点の機能充実
➢イオン昭和店・スーパーアークス鳥取大通店の待合環境の整備
・使いやすくわかりやすい運賃体系の構築
➢乗換割引券の導入、乗り換えに配慮したダイヤ編成、キャッシュレス化の推進
・交通不便地域における生活交通の導入
➢阿寒仁々志別線のデマンド型乗合タクシーへの転換



ちなみに地域公共交通再編実施計画認定は北海道内では2016年10月に千歳市・2017年10月に岩見沢市で行われており、バスの再編が行われました。
千歳市の資料によればバス利用者の増加が見られ、概ね成功したと見ています。

千歳市
千歳市路線バス ~再編後の利用状況について~
https://www.city.chitose.lg.jp/fs/4/3/2/2/3/_/shiryou1.pdf


この資料ではJR千歳駅の利用者数も伸びているという結果が報告されています。利便性のアップで一定の公共交通へのシフトが行われたといえるかもしれません。

岩見沢市
公共交通にかかる取組みのお知らせ
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/content/detail/3095588/


岩見沢市に関してはまだ結果のような資料はありませんが、終車延長などが行われたこともあり、利用の伸びがあればいいなとは思っているところです。市もバスマップ作成などを行っています。

さて、今回の釧路市の路線バス再編。STEP1とまだ再編の途中であることもあって、あまりその内容が伝わってきません。特に阿寒バスは10月1日から1週間程度サイト内に一切の時刻表の表示も行わず、現在も再編内容がどのようなものなのかという告知も行われていません。くしろバスもサイト内の路線図は昨年のまま。再編についての掲示もなく、どのような再編が行われたのか北海道運輸局のサイトでも正直よくわかりません。
もっとよくわからないのが釧路市のページ。

釧路市
バス再編・バスの日を記念したイベントを開催します。
https://www.city.kushiro.lg.jp/machi/t_keiei/page00048.html


イベントはわかりますが、ではバスはどう変わったのでしょうか。それ以前に事業者名(くしろバス)を「釧路バス」と表記するなど、最初から全く力が入っていないことを伺わせます。

さて、実際にバスはどのように変わったんでしょうか?

釧路市
広報くしろ2019年10月号
https://www.city.kushiro.lg.jp/common/000142318.pdf



ここから見る限りは
・昭和線 釧路駅前-イオン昭和店-釧路北病院前
の便数を確保し
・イオン鶴野線 イオン昭和店-鶴野ニュータウン入口
・イオンリフレ線(鶴野経由) イオン昭和店-鶴野ニュータウン入口-山花温泉リフレ
・イオンリフレ線(大楽毛経由) イオン昭和店-大楽毛-高専前-山花温泉リフレ
・イオン高専線 イオン昭和店-大楽毛-高専前
の各路線に乗り換えることができるというものです。イオン高専線は新規路線で今までバスの無かった大楽毛南地区を走行します。
対象バスからイオン昭和店下車時に乗換割引券が発行され、乗り継いだバスが200円割引となります。
イオン昭和店にはバス乗換拠点としての待合スペースとバス運行情報モニタが設置されます。
乗り継ぎでの運行時間帯は10時から15時台までとなります。

さて、実際の運行ダイヤを見てみます。

阿寒バス
http://www.akanbus.co.jp/localbu/



今回の再編による路線の変更についての案内(特に乗換割引券制度について)が全く記載されていません。特に「パンフレット版」と称する方は市内中心部側の乗り継ぎが記載されていないので、イオン昭和まで、イオン昭和から先はどうなってるのか、この時刻表だけでは全く使えないわけです。対する釧路市内線時刻表。系統番号が「パンフレット版」と市内時刻表で違うんだけどどっちが正しいの?

もう一つはくしろバスの66昭和線・77イオン昭和線への言及が無いこと。ということは今回の再編はくしろバスは変更が無く、この「乗換割引券」の対象では無いということで良いのだろうか?実際見てみると一部便ではくしろバスの方が乗り換え時間の少ない便がある。そして本数の多い77イオン昭和線に乗り継げるなら短時間での乗り継ぎが可能な便もある。しかし「乗換割引券」は阿寒バスが対象となっている以上、阿寒バスの66昭和線に乗り継ぐ必要がある。釧路は一定両バス会社が一定の協力体制を敷いているように見えるが、この件に関してはくしろバスは何の対象にもならない。

そもそも阿寒バスは釧路市内路線図のリンクをくしろバスに向けている以上、くしろバスは本再編に合わせた路線図の更新を行わなければならないとも思うわけです。


あまりにも系統がわかりにくかったんで、手製の時刻表を作ってみました。くしろバスと阿寒バスの釧路駅-鶴野ニュータウン・大楽毛・山花温泉リフレ方面の直通便も含めた時刻表です。赤色を付けたセルが乗り継ぎ対象便になりますが、見ての通り、近隣の停留所からの乗り継ぎが可能であれば、直通できるバスが並行していたりしますので、本当に必要な人が利便良くなったのかは微妙かなぁという印象です。せめてくしろバスへの乗り継ぎも可となると選択肢も増えるのですが。
なお、本時刻表をPDFで全日分(平日のみ)置いておきます。
https://tuesdayosmanthus.f5.si/txt//201910kushiro.pdf

私は地元民では無いのであくまでも時刻表と地図での印象(イオン昭和店現地は1度行ったことがあるのみ)でしかないのですが、本当に北海道運輸局の言う「利便性が大幅に改善します」は少なくとも今回のSTEP1では達成できていないように思います。そもそも本数が全く増えていませんので、単純に乗換不便になったというだけになってるように見えるのです。

今回の再編は釧路郊外のイオンショッピングセンターの集客が大きく、釧路駅方面の都心部への流入が少ないことから、ここを拠点としてバスの効率化を図ろうという観点は間違っていないと思います。これは問題点はあったと思いますが新潟BRTでも行われた手法ですし、バスの乗務員不足、利用客の減少も大きく、そして釧路で行われているイオン発行のICカード「WAON」での乗車が可能など、イオングループとの思惑もあってのことと思います。イオン側はバス待合所を提供することでの集客も図れますし、乗り換え待ち時間での買い物などの利用もあるでしょうから、歓迎するでしょう。しかし、都心部の店舗を使用していた方、JR等他の交通機関を利用するという観点ではやはり不便な運行方法では無いかとも思うのです。

なお、当のイオン昭和店のサイトではアクセス案内が更新されておらず、旧ダイヤである2018年10月改正ダイヤが表示されています。この時刻表で利用するとちょっと困ることになりそう。そういう点も含めて、北海道運輸局の鼻息だけが荒く、バス会社も民間も全くそれに踊ることも、何かをやる気も無く「上に言われたから」レベルでやってるようにも見えます。事業者と利用者そして施設提供者がリンクして初めて使いやすい交通機関ができるのだと思うのですが。

イオンモール昭和
バスのご案内
https://www.aeon.jp/sc/kushiroshowa/access/public-traffic.html




今後これを拡大するにあたっての2社の乗り継ぎなども含めた方策も含めて、次回のスーパーアークス鳥取大通店乗り継ぎ便設定の際は、もう少しダイヤ面も含めた最適化を考えたいものです。

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