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JR北海道「線区データ」平成30年度データに更新

2019/10/23

JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」を発表したのは2016年のことです。それから約3年が過ぎて、様々な取り組みが行われています。しかしながら、それがどの程度結びついているのか?というのは輸送実績を見てみなければわかりません。

JR北海道は「当社単独では維持することが困難な線区」について、比較的細かい資料を出しています。そのデータを比較することでどの程度改善されたのか、取り組みが成功したのかがわかるはずです。

JR北海道
地域交通を持続的に維持するために
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/index.html



輸送密度


輸送密度については当サイトでも各路線及びJR東海を除く各社区間でご紹介していますが、ここでは今回発表になりましたJR北海道の資料を元にします。
平成28年(2016年)度は若干調整が入っているようですが、ともかくこのデータから今回発表になった平成30年度のデータと比較してみます。利用を増やしたのは根室線(滝川-富良野)と富良野線だけです。あとは軒並み利用を減らしています。
特に酷いのが根室線の「花咲線」と呼ばれる釧路-根室ですが、これは若干恣意的な感じもいたします。集計方法でインバウンド客が使うフリーきっぷなどの算定方法を変えていますので、インバウンド客があまり利用しない花咲線は言い数字が出なくなっているようにも見えます。逆に言えばもともとこの程度の輸送密度だったのが過去のデータでは「盛られていた」のかもしれません。

駅間通過人員

駅間通過人員で表示されているデータは実際に「きっぷの発売状況に基づき」算出されているデータです。特定の日に乗降調査する駅間別乗車人員や輸送密度よりも「通年で算出」しますのでばらつきの少ない、より実態に近い数字が期待できます。ただし、実際に切符を購入してその区間を利用したかどうかはわかりませんし、区間を指定しないフリーきっぷのような乗車券での利用は(多分)含めません。逆に、定期券のような日常の利用がどれだけあるのかははっきりわかります。
では、先の花咲線を見てみましょう。

ああ、なんということでしょう。はっきり減っています。ちょっと見づらい表になっていますが、合計・定期・定期外が3年度分表示されています。大きく落ちているのは「定期外客」ということがわかりますでしょうか。特に根室駅付近。半分以下になってしまっています。定期客も浜中町内以外は減っています。

2016年のダイヤ改正で花咲線は夜間の根室行きなど、一部の便が減便しており、確かに使いにくくなったのは否めません。しかし、利用数が半分になってしまったというのは非常に大きいことです。年度的には改正後のダイヤですから、どう利用が減ったのか見たいところですね。

列車別乗車人員

あくまで特定日のデータであることには留意が必要ですが、各列車の乗車数を調査したデータも含まれます。これも比較してみましょう。

列車番号や時刻は最新のもので若干当時の時刻とは異なる場合がありますが、概ね同じ時刻の便を見ています。
朝の根室行き通学列車、また、釧路を朝出発する「観光列車」として使える列車については利用が伸びているのがわかります。(とはいえ数人レベルですが)
しかし、釧路からの帰宅列車となる列車はものすごく減っています。同様に釧路への通学列車となる列車利用が減っているように見受けられます。

これは厚岸町が「町内高等学校への通学バス定期券購入助成」をふるさと納税制度を使って行ったことと関連があるのかはちょっとわかりませんが、ここ10年内に始めたという意味では関連があるかもしれません。

また、釧路市内を走る「くしろバス」では定期券の域内フリー化を行っており厚岸、浜中町から釧路町・釧路市内への通学は3ヶ月定期が4万円、その上釧路市内・釧路町内は阿寒バスも含めたバスが乗り放題になるという特典はかなり魅力ではあります。

くしろバス
通学とくとく定期券
http://www.kushirobus.jp/1/tok_tugaku.html


JR北海道の運賃値上げでもこの「とくとく定期券」が触れられており、他の地域では多くの場合JRよりバス定期運賃の方が高額になるなか、釧路管内においてはバスの方が安いという逆転現象が起きています。

JR北海道
運賃改定の申請について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190510_KO_Revision2.pdf




比較してみないとわからない

JR北海道が出す資料。比較的細かい情報も網羅していますが、残念ながら、輸送密度以外は比較できるようになっている資料はあまり多くありません。

当サイトでは、輸送密度・駅別乗車人員・駅間別乗車人員・駅間通過人員について比較できる表を作成してみましたので、活用してみてください。
https://traffic.north-tt.com/txt/20191023.xlsx

これを見る限り、ここ数年で様々な施策を行った(行ってこなかった)ということで、ほとんどの路線は利用客を減らし続け、どんどん存続が難しい状態になっていることが伺えます。JR北海道を残すかどうかよりも、本当に必要だと思うのなら乗ることしか道はないわけです。その結果で国なり手助けしてくれる可能性はあるでしょうが、こんな利用客数ならバスでいいじゃねぇかという言葉に対抗するのは難しそうです。

沿線が本気になって鉄道が必要なんだという外部への意思表示と、本当に必要なんだから利用するよね?という本気の行動が求められるのではないでしょうか。

北海道の交通関係 JR北海道 乗車促進運動

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