北海道の交通関係


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北海道バス協会主催「バス運転手合同採用説明会inさっぽろ」に参加してみました

2019/11/05

本業はシステムエンジニアとしてサーバー管理やら様々なIT系の業務なんかをやっている当サイト管理者でありますが、単純に「バスを運転できる機会」として参加してみることにしました。

北海道バス協会
「バス運転手合同採用説明会」を開催いたします。
http://www.hokkaido-bus-kyokai.jp/topics/kyoukaitopi.html
<札幌会場> ●日 時 令和元年(2019年) 11月2日(土) 10:00~15:00
●会 場 札幌運転免許試験場 (札幌市手稲区曙5条4丁目1-1)
●主 催 北海道バス協会、 北海道
●後 援 北海道運輸局、 北海道労働局
●協 力 北海道警察本部、 関係市町村
●出展事業者
<ブース出展10社> 北海道中央バス㈱、 ㈱じょうてつ、 ニセコバス㈱、 千歳相互観光バス㈱、 札幌観光バス㈱、 国際観光バス㈱、 札幌第一観光バス㈱、 ジェイ・アール北海道バス㈱、 空知中央バス㈱、 道南バス㈱
<資料展示のみ5社> 北海道バス㈱、 札幌バス㈱、 ㈱ドリーム観光バス、 ㈱AIR、 朝日交通㈱
<就職相談窓口> ハローワーク札幌


バス運転体験は約1ヶ月前の10月1日から申し込みを受け付けていまして、最終的には枠は満席になった模様です。この日に特段の用事が無いことはわかっていましたので、非常に軽い気持ちで申し込んだわけですね。


バスの運転席に座ってみる

当日、指定された時間の約1時間前に受け付け。免許試験場は通常土曜日は閉庁ですので外には人影が見えないのは若干不安です。中には意外とたくさんの人がいらっしゃいます。当然失業状態の方もいらっしゃいますでしょうし、私のような本当にお遊びの人が行くのは心苦しいところではありますが、まぁ、和やかな感じではあります。



順番が来まして3人づつ呼ばれます。用意されたバスは中央バス・じょうてつバス・ジェイアール北海道バスの3社の路線車で、各教習担当の方が乗っておられ、ランダムに3社に振られる形です。

私が乗るのはジェイアール北海道バスの車。まだ新車の香りがするオートマチック車です。
(あくまで就業体験の一環ですので、体験中の写真はありません)
前扉から乗りますと、3人の職員さんが。さすがに「人を乗せて走る」というのは緊張するものであります。どうぞと促されて運転席へ。
運転席からの視界の印象ですが、まず「前だなぁ」という感じ。自分の位置が前輪より前というのはやはり普通乗用車などに比べますと違和感があります。そして、割に視界が広いというところです。ミラーが適切な位置に配置されていますので前方の死角が少なく、また、車内の様子もよく見えます。

一応運転遍歴を聞かれます。私は普段こそ普通乗用車ですが、仕事では4t程度のトラックは何度も運転しています。しかし、それよりも幅は広く、また、運転台高さが低いですね。ノンステップ車ですので普段立って乗る時と高さの視点は変わらないはずですが、運転席からの風景はかなり低く感じます。

今やバスも新車はオートマチック車。ボタンで切り換えるポジションは新鮮です。指示されて一旦バックギアに入れるとバックモニター完備なんですね。国鉄バス-ジェイアールバスといえばよく乗った新札幌-江別路線で江別駅到着時は係員誘導でバックしていたのを思い出します。今も誘導員はいるようですが、バックモニターがあるのはかなり運転者としては気分が楽です。

次にパーキングブレーキ。レバーでリングを押しながら倒すタイプです。これだけ大きな車を留め置くのでプシュとエアの音がしますね。

隣のレーンに入っていた中央バス、そして前に止まっていた「7定山渓温泉」と表示したじょうてつバスが発車していきますと次は私の番です。

ブレーキを踏み、Dボタンを押し、ちょっと間があって表示が「1」になりました(あれ?今思えば「2」じゃないんだね)パーキングブレーキをリリースし、ブレーキを離すと動き出します。

まず、前方じょうてつバスが停まっていた1番ポールまで移動。初ブレーキの感想はやはりエアーのブレーキは乗用車感覚ではないですね。踏みすぎればかなり強いブレーキがかかります。

右ウインカーを出して発車。周回コースに入ります。すぐにコース上のポールを停留所に見立てて停車します。左ウインカーを出して少し寄せて停車。さきほどよりはショック無く停められた気がする。

右ウインカーを出して発車。左車線に障害物があり、これを車線変更でかわし、再度左車線に。大きくカーブを描いて直線です。アクセルを踏み込みますと意外と走る走る。オートマチックですから踏めば良いわけですね。一応場内30キロで走ると受付時の紙にはありましたが、周回路の最高速度は50キロ、実際危険は無いので40キロちょっとは出していたと思われます。減速もブレーキだけで勝手にギアダウンしていきますからこのあたりは乗用車と変わりません。

カーブを2回曲がりますともう出発点に到着です。出発と同じように3番のポールに停車。パーキングブレーキを入れ、ギアをニュートラルにしておしまい。そうそう、ドア操作、これやっぱり子供の頃の憧れですよねぇ。

淡々と書いていますが、実際は緊張しました。職員さんは立って乗っていますので、やはり発車、停車時のショックが気になりますし、ミラーも多いということはそれだけ確認する項目も多いわけで。今回は場内をほぼ独占して走っていますが、実際には他車もいるわけで。マニュアル車を運転できる免許で、なおかつトラック運転の経験もあれど、やはりある程度運転操作を簡略化できるオートマチック車に変わっていくのは避けられないことにも思うところです。特にノンステップ車は車内に段差が残りますので、やはり気を使いますね。さらに実際に路線バスを運転するなら運賃、定期の確認もありますし。

就職相談

これだけで帰るのもなんですから、運転席に座らせて頂いたジェイアール北海道バスの説明を聞いていきます。
採用は50歳未満が契約社員(社員登用あり)、50歳以上はアルバイトとなるようです。40歳までは2種免許の取得支援を受けられるそうで、以上ですと入社後自分で受ける形になるようです。
研修は期間の定めを設けずに行い、研修制度は他社より充実しているとの話。
また、新車代替を進めていて現在の平均車令が9年程度、道を間違えやすいところで支援するシステム等を積極的に導入しているとの話です。
高速バス・貸切バスは路線での実績を元に配置ということで、運転手は基本的にはまず札幌市内4営業所での運行を行うということです。
なお、ノベルティとして文房具セットをいただきました。職員募集パンフレットは非常にしっかりしたもので、お金もかかっていますし、それだけ危機感も高いように見えます。

また、道南バスブース(ここはふらふら携帯で記事まとめてたら声かけられた)では、試験、研修は室蘭で、2種免許の取得は苫小牧で行い、業務的な研修は3ヶ月間を基本とのことです。札幌営業所所属の場合基本的に高速バスしかないので、あまり時間を掛けずに高速バスの業務につけるように見えます。
日高の方の客の少ない区間については、やはり客が少なく長距離はキツいという話はしていましたが、逆にそういう区間をやりたいという声もありそうには見えますね。
ドライブレコーダを積極的に導入している話をしていました。
ちなみにノベルティはボックスティッシュとペン、メモ帳。早速我が家の車は道南バスのティッシュが鎮座となりました。


これからもバス運転手を採用し続けられるのか

私の子供の頃は、近所の子もよく親に連れられて路線バスに乗っていましたので、幼少時に「路線バスの運転手になりたい」という子供は少なくなかったと思います。しかし、今や親の世代ほとんどが車を持ち、今就業期にある方々が路線バスに乗ったことが無いということも少なくないと思うわけです。本来街の中を走り身近な存在であるはずの路線バスが、どこか遠い存在になっている方も少なくないように思うのです。

そんななかで、バス運転手という職業を今後選んでもらえるのかどうかというのは、重要なことでもあるように思えます。特にバス運転手は大型2種免許という特殊な免許を必要とします。そして、その免許の取得には最低でも40万円程度はかかると思うわけで、それだけでも非常に敷居が高いと思う部分です。

しかし、乗客を運ぶということを考えると、それを簡略化もできないわけで、本来バス運転手は特殊技能であることを考えた給与体系、取得へのプロセスを提示できなければ今後免許を取ってバス運転手になろうという人を増やすことは難しいようにも思うのです。

給与面で言えばジェイアール北海道バスでも
>給与:当社規定による(月給149,300円)※51歳以上の方は時給910円
となります。乗務手当がつきますので、まぁ、最低でも約20万円程度からスタートとは思いますが、正直言いますとボーナス合わせて年収300万円程度からということになりますので、家族を持った生活は難しいわけですね。しかし通常は毎年昇級するので、若年者の就職先としては悪くない選択だとも思いますが。

そういう意味では若年者に免許取得費用を肩代わりさせて入社を促す方法は良いことだと思います。しかし、ここに落とし穴があるわけです。本当の若年者はバスの運転者になれないんですね。大型二種免許の取得は普通免許を取得して3年以上を経過してなければできませんので最年少は21歳となります。バス会社が高校に求人を出しても3年は大型免許さえ取得できませんから、その間バス会社は彼らを運転手以外の職種で雇用するしかないわけです。4年制大学卒業者を採用するには初任給であってもバス会社の給与面はそれほど大きくなく、採用から溢れてしまう。

結果的にバス運転者は中途採用するしかなく、最初からバスの運転をしたかった若年層を受け入れる土壌に乏しい状態になるというわけです。仮に高卒、大卒で就職した人が5年後、10年後に転職を検討する時に、バス会社の給与は自分の経歴に対して見合うのか?という面でバス運転手の不足が説明できるところでもあります。

ハード面では少なくとも都市部のバスは随分充実してきています。先のジェイアール北海道バスですと、札幌圏の最新型車輌ならオートマチック車で、方向幕やアナウンス設定は「行路」設定で自動で行われ、例えば発車時刻も早発が無いように自動的に知らせてくれ、なおかつ交差点右左折なども機械的に教える機能があります。運賃箱も今や自動両替どころか投入金を自動計数し不足も教えてくれる。目視で確認が必要な定期券は今年度以降SAPICA定期券のみになりますので、身障者手帳などの確認のみになりそうです。運転手がより運転に集中できる環境が進んできているのは非常に良いことです。また、少なくとも札幌市内では洗車、車内清掃も運転手の仕事では無いそうです。

しかし、ソフト面というか、例えば車内事故に関して6丸の車内、車外ドライブレコーダは設置しており、確実に車内の乗客の過失があると認定されても、事故は事故ですから運転手に違反点数を課すわけです。こんな制度を放置していてはならないわけです。これは過剰な歩行者保護を課している対歩行者事故にも言えます。

また、運転免許取得についてもです。鉄道会社が運転士の免許(これも国家資格だ)を取得させるのは当然に自社教習所で自社負担で行います。なにより電車の免許である動力車操縦者運転免許は15歳以上という年齢制限であり、事業者紐付けの免許になるため(書き換えは可能)最も若い運転士は入社2年程度の20歳あたりではないかと思われます。乗客を乗せるという意味では同等な電車の運転士とバスの運転士で免許の取得可能年齢が異なるというのは法令の問題でもありますので改めることもできるわけです。

同等に「乗客を運ぶ」バスと鉄道に差を付けている現状を少しでも改める方法としては、新卒を採用し2年研修、他の仕事をさせる(バス運転手は早ければ3ヶ月程度の研修しかされないわけで)ことを各社だけでなく、一定の基準を決めて一定の施設で行うような制度を考えなければならないように思います。
これは各社支出し、道など路線維持を必要とするところでも出資し、JR北海道や北海道開発局等の研修センターも使った「総合的な運輸・道路輸送」の知識を持ったプロフェッショナルを育成する形で、新卒からキャリアを見通せる形での研修を考えられないか?というものです。

少なくとも現状の免許を持った中途採用を安く受け入れるのはもう無理で、免許取得支援制度にしても、それではもう足りないところに来ているような状態です。そうしますと都市部では連接バスのような定員の多い車輌の運行も視野に入りますし、それにより運転手の生産性向上と給与の確保をしていくしか無いわけです。
そして、地方部のバスは免許制度を変え、普通2種、大型1種で一定の旅客営業を行える仕掛けも考えなければならないのではないかともおもうわけです。

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