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北海道の交通関係
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根室線事故による運休と「廃線」
2019/11/28
11月21日の早朝、根室線の野花南-富良野にある架道橋に重機を積載したトレーラートラックが衝突し、橋の一部が破損したため芦別-東鹿越の区間を運休しています。少なくとも11月28日現在復旧の目処は立っていません。
根室線は現在東鹿越-新得(上落合信号場)が2016年8月の台風10号による大雨の影響により大規模な損傷を受け、現在もバス代行が続いています。この区間は利用の少ない区間であり、被災以前から輸送密度は150程度、とても鉄道で残すには難しい区間ではあります。この区間も含めた富良野-新得(上落合信号場)はJR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」のうち「バス等への転換」を求めている5区間に含まれます。
その5区間のうち、石勝線新夕張-夕張は廃止、札沼線北海道医療大学-新十津川は来年(2020年)5月に廃止が決まっており、日高線鵡川-様似も地元自治体の廃線容認が報道されているところです。残る留萌線と、根室線のこの区間については今のところ方向は見いだせておらずJR北海道と地元自治体の公式的な協議は行われていない模様です。
根室線列車(富良野)
根室線代替バス(幾寅駅)
さて、この件について朝日新聞はこんな記事を配信しました
朝日新聞 2019年11月27日
岐路の鉄路)根室線廃線なし崩し、警戒
https://www.asahi.com/articles/CMTW1911270100004.html
JR北海道が廃止する方針を固めている根室線(富良野―新得間)で、線路の事故に伴う運休が続いている。JRは運転を再開させるというが、路線存続をめざす沿線住民は「存続をあきらめるのを待っているかのような状況は許されない」と神経をとがらせている。
(中沢滋人、井上潜、長崎潤一郎)
事故が起きたのは21日早朝。根室線富良野―野花南(のかなん)の国道をまたぐ橋をくぐろうとしたショベルカーのアーム部分が接触し、橋げたの鉄筋が一部むき出しになった。復旧には少なくとも数週間かかる見通しだ。
JR北海道は同日から、この区間を含む富良野―芦別に加え、直通運転している富良野―東鹿越(しかごえ)も運行を見合わせている。富良野―東鹿越は運行に支障はないが、列車の手配が難しいという。
富良野―東鹿越を含む根室線富良野―新得は、JR北海道が廃止する方針の5線区の一つ。東鹿越―新得は2016年夏の台風被害で運休が続いており、富良野―東鹿越の運転見合わせで全区間が不通になった。
関係者の頭によぎるのは、今月12日に廃止・バス転換が事実上決まった日高線(鵡川〈むかわ〉―様似)だ。15年1月の高波被害で不通が続き、結局、運転を再開することなく沿線自治体が廃止容認に追い込まれた。
JR北海道は橋の復旧に先立ち、旭川と富良野を結ぶ富良野線を経由して富良野―東鹿越の運転を再開する検討をしている。だが日高線の前例があるだけに、「なし崩し的な廃線」への不安を関係者は抱いている。
沿線自治体の担当者は、これまでも国や北海道に存続を訴えてきたが、前向きな反応がないといい、「(JR北海道が廃止する方針の)5線区のうち3線区で方向性が決まった。周りから(廃止の方向に)固められている雰囲気がする」と嘆く。
根室線は、滝川から富良野を抜けて釧路、根室へと東西443・8キロを結ぶ。ただ、人口減少や高速道路整備に伴う利用者の落ち込みは深刻で、JR北海道は滝川―富良野(54・6キロ)、富良野―新得(81・7キロ)、釧路―根室(135・4キロ)の3区間を「単独では維持困難」と位置づける。このうち滝川―富良野、釧路―根室は、国や道、沿線自治体の支援を前提に存続させるとしている。
早期復旧求め、住民らが集会/新得
JR根室線の早期復旧や路線維持などを求める集会が26日夜、北海道新得町で開かれ、約50人が参加した。「根室本線の災害復旧と存続を求める会」(平良則代表)の主催。
平代表は冒頭、災害を機に不通となった東鹿越―新得間が3年超も放置されていることについて、「この区間の災害復旧がなぜ出来ないのか」とJR北海道などの対応に疑問を呈した。
集会に出席した同町の金田將副町長は「町のスタンスはあくまで早期復旧・鉄路存続の立場。北海道が主体的にこの問題を解決に進めてほしい」と述べた。
意見交換では、旭川―道東(帯広・釧路)間の都市間輸送の重要性を強調し、帯広や釧路などと協力して運動を行う必要性を訴える声なども出た。最後に、「国の責任で災害復旧をすべき」「『バス転換加速』を危惧する」などとする、「災害復旧と存続を求めるアピール」を採択した。
まず、台風での運休と、今回の橋損傷による運休は分けて考える必要があります。原因が天災ではなく、トラック側の過失であることが確定している。原因企業がはっきりしている橋の破損は、当然その復旧費等は原因を作った側が負担すべきものですので、これを要因に廃線を行うというのは考えられません。
仮に廃止が決定していた区間であっても、その復旧に関しては原因を作った側が負う必要があり、路線を復旧させることでしょう(あす廃線ですといった場合はわかりませんが)
また、日高線は「結局、運転を再開することなく」ということはなく、被災区間を「機械」として回送した上で静内-様似を運行していた時期があります。この区間を含め運行できなくなったのは、被災区間の崩壊が進み、機械扱いとしても車輌を移動できなくなったからに他なりません。
今回の橋損傷による運休でもJR北海道は手配ができたとのことで12月3日から富良野-東鹿越の鉄道での運行を再開すると発表しました。車輌の運行計画は事前に取り決めているものと思いますので、急な運休区間ではなかなかすぐに対処が難しい部分でもありましょう。乗務員をどこの区所で担当するかなども含め、1週間で形を作り12月3日から富良野-東鹿越は復旧というのは、まぁ、早くはないけど頑張ったかなとも思うところです。
そういう意味では、朝日新聞の記事の根拠無く、単なる反論してこないJR北海道への叩き記事としてこの記事を配信しているということになります。
さて、鉄道の災害復旧に関しては今年の台風19号による被災鉄道に関して国は手厚い支援を行うことを示唆しています。
河北新報 2019年11月27日
鉄道復旧費、国が97.5%支援 三陸鉄道など念頭に特例措置
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201911/20191127_31025.html
国土交通省は26日、台風19号で被災した鉄道事業者の災害復旧費を実質97.5%支援する方針を決めた。国による現行の補助は25%で、手厚い特例支援となる。一部区間が不通となった第三セクター三陸鉄道(岩手県宮古市)などを念頭に、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な地方鉄道が被害に遭ったことを考慮。早期復旧へ強力な支援策が必要と判断した。
同日の衆院東日本大震災復興特別委員会で示された。特例支援は国と地方自治体がそれぞれ半額を負担。国が交付税措置で地方分を工面することで、地方負担を実質2.5%に抑えた。事業者の負担は生じない。
こちらについては、上下分離で地元自治体が一定の鉄道への支援を行っていることを条件にするという記事も出ています。
信濃毎日新聞 2019年11月27日
被災鉄道 国が97・5%支援検討 「上下分離」要件の可能性
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20191127/KT191126ATI090016000.php
台風19号で被災した各地の地域鉄道事業者に対し、国が復旧費用を実質的に97・5%負担する支援策を検討していることが26日、分かった。県内では、千曲川に架かる鉄橋の一部が崩落した上田電鉄(上田市)が、支援対象に含まれる見通し。ただ、国が手厚い支援の引き換えに、自治体側が鉄路や駅などの鉄道施設を保有する「上下分離」方式の導入を要件にする可能性もあり、その場合は地元自治体に長期的に施設維持などの負担が生じる。
国交省の地方鉄道への支援を見ていますと、直接的な赤字補助への支援はなく、基本的には災害復旧やサービスアップに関する補助がほとんどになっています。結局は地域が一切の負担無く事業者と国だけで赤字鉄道を面倒見るという形には絶対にしないという強い決意が伺えるわけです。
ですので、上下分離など一定の地域の「決意」と「負担」をしても鉄道を残したいという、これまた「強い意志」を持つ路線以外は補助できないということになります。
ですので、単純に地域が経営に参画している第三セクター鉄道ですらこの復旧費用の負担措置は行われないことが濃厚ですし、同じく被災したしなの鉄道は黒字を理由に対象に含まれないことになりそうです。
これは、国が災害復旧費用を負担したものの10年程度で廃線になった島原鉄道(これは事業者側に固定資産としての負担が増えたことも要因の一つではあるが)などの例もあり、「国費を投入する以上は長期にわたり運行を続けてほしい」という国交省の説明は当然とも言えましょう。
これは県などの補助にも言えまして、JR西日本の三江線も2006年、2014年被災で島根県は億単位の復旧費用を補助していますが、結果的に廃線になっています。
北海道で長期運休になっている日高線、根室線に関して言えば、北海道も沿線自治体も上下分離どころか赤字補助すら負担はできないという話でありますので、国が復旧費用の積み増しに頷くとは思えない部分ではあります。何度か当サイトで取り上げていますが、日高線は少なくとも2015年秋の段階で国とJR北海道が1/3負担での復旧を地元に打診して鉄道復旧に前向きだったわけですね。ここで話を蹴ってしまったことで、その後他線も含めた災害鉄道の復旧そのものの事業に暗雲があったともいえます。そして今回、地元の負担を前提にする復旧費用の「ほぼ全額国負担」というのは、地域に本当に意味で鉄道の必要性を考えろと突きつけているように思えます。結局は必要なら金は出せるはず、必要だと思わないから出せないんでしょ?という選択を迫ってるわけです。(これが必ずしもいいこととは思いませんよ私も)
JR北海道問題は留萌線も動きが出てきていますし、第三者委員会に取り組みの遅さを指摘されたJR北海道にとっても、廃線問題はもう避けられない訳ですし、地元もいつまでも協議拒否でいられるほど甘くもありません。そもそも第三者委員会に入っているANAホールディングスの片野坂真哉社長を考えても「1便ルール」縛りはあれど赤字なら基本的に撤退する航空の観点と同様なスピード感での撤退戦を検討しているわけですね。JR北海道がというより国がですが。
もう、いくばくもなく、北海道の鉄道は致命的にネットワークを失うことはわかっていますし、それに抗う声も、知恵も出てきていない、そして、北海道知事をはじめ道内選出議員も声を上げないところを見ると、そういう方向で進んで行っているんだということです。