北海道の交通関係


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安全確保は大事だが、運休を減らす必要もある

2020/01/09

新しい年も1週間程度経過しまして、すっかりお正月気分が抜けきった頃にJRや航空会社等は年末年始の利用実績を速報します。

JR北海道 2020.01.06
年末年始期間ご利用状況のお知らせ
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190106_KO_LastAndNewYearRepo.pdf



曜日の並び上1週間以上のまとまった休暇を取れる方が多かったこの年末年始は、北海道新幹線が3%程度伸びたものの、在来線特急の利用は各線とも伸び悩み、札幌から旭川・稚内・網走方面は前年の93%と随分落とした印象があります。また、札幌駅・新千歳空港駅の利用者も前年の97%と減少しました。

北海道新聞 2020年01月07日
航空各社利用増、JRは落ち込む 年末年始の道内
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/380880
> JR北海道と航空3社は6日、年末年始(昨年12月27日~1月5日)の利用実績を発表した。航空各社はいずれも前年を上回り好調の一方、JRは主要在来線特急が軒並み落ち込み、2年ぶりに前年を下回った。



鉄道の減少要因としてJRは天候が安定していたことで、クルマ移動の制約が少なかったことを上げていますが、当然10月行われた運賃値上げも無視できないところかなとも思うわけです。しかし、新幹線が若干増やしたこと、航空各社の北海道方面便もJALの106.3%・ANAの110.0%を見る限り長い休みを「北海道」でという利用が多かった、長距離移動に適した暦だったことが伺えます。ただし、各航空会社発表の数字は区間別ではありませんから、道内路線が延びたかどうかはわからないこと、また高速バスなどの利用状況も公開されませんので、JR北海道の在来線列車の利用が減少したことが他の交通機関に移行したためなのかどうかを判断できないという面があります。


年末年始期間中の運行トラブル

さて、JR北海道の年末年始の運行状況ですが、天候が比較的安定していたこともあり、大幅な運行障害は発生しませんでした。残念なのが1月3日に発生した根室線の踏切事故でレンタカーを運転していた外国人観光客も怪我をされ、列車も3時間近く運行できなくなりUターンラッシュの利用客に大きな影響が出ました。

NHK 2020年01月03日
踏切で衝突 香港観光客2人軽傷
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200103/7000016740.html
> また、茨城から北海道を訪れていて帯広に観光に行くという男性は、「せっかくの休みなのに困りました。今からレンタカーで帯広に行くことにしました」と話していました。



ただ、NHKのこの記事、雪に不慣れな外国人観光客も、雪道の運転に慣れていないだろう茨城からの観光客にしても、北海道の冬道を舐めてるなぁという印象は拭えません。

それはさておき、この年末年始の運行ではもうひとつ気になる運休がありました。12月28日の昼頃に突如12月29日夜の石北線臨時快速列車の運休が発表されたわけです。

North-tt
2019年12月28日12時18分現在
【列車への影響について】
12/29に運転予定であった 旭川20時01分発 北見行き 臨時快速列車は、使用する車両に不具合が発生したため運休となります。
https://traffic.north-tt.com/03_jrh_incident.php?ins_date=201912281230



この旭川発北見行き臨時快速列車は2017年4月1日から運行を開始し当初は金曜・土曜・日曜に運行、2019年3月からは金曜・日曜に運行されている、利用の少ない区間に増発した例だったわけです。結果的に2020年2月28日をもって廃止されることが決まりましたが、当然12月の最終運行である29日の運行は帰省客などが予定を組んで利用する可能性はあったようにも思うわけですね。

しかし、突発的な車両トラブルでは無く、前日の昼の段階で運休を決めたわけです。つまり翌日夜までに車両のトラブルが解決できず代替の車両も用意できないということになります。

もちろん、早めに告知してこの列車の利用を諦めて貰うことが大事だという考え方もあります。しかし、前日の昼より前に、車両の不具合がわかってる状態で、この1両編成の臨時快速列車のために代替車両1両を用意することができないというカツカツな車両運用体制というのもまた非常に怖い状況だなとも思うわけです。確かにこの列車に1両使用してしまうと翌日の「特別快速きたみ」に繋いで帰ってくるまで他の用途にも使えないですし、この1本だけ運休すれば他の増結などに回せる可能性や予備車両を確保することができる可能性もあります。それは推測でしかありませんけど。でも、運行を約束していた列車を前日のうちに運休確定してしまうのは「代行もしないから前の特急に乗ってね」と言いたい感もあるわけです。

使用される車両は宗谷線北部や留萌線などでも使用されているキハ54形。確かに他の車両で代替するのは難しいのかもしれません。しかし、帰省ラッシュのピークであろう12月29日に長距離便を運休にしてしまうことを(致し方ない事情はあるのだとは推測せざるを得ませんが)是としてしまうのも、正直寂しいなと感じてしまうわけです。


深川駅で出発を待つ留萌線のキハ54形

12月30日には網走発の特急大雪2号が車両トラブルで運休。この折返しである大雪1号は苗穂運転所からの代替車両にて運行したため40分遅れで運行。

1月4日には宗谷線でも車両不具合で特急2本を運休しキハ54形3両編成の臨時列車を運行しています。


石北線・宗谷線特急の車両不具合運休

気象条件が厳しく、他の路線に比較すれば古い車両、予備の少ない車両で運行されている宗谷線特急、石北線特急。そしてそのサポートに入る快速列車。単独維持困難路線であることを割り引いて考えても、このような多客期ですら安定して運行できないというのは既に由々しき事態ではないかと思っているところです。

2011年の石勝線特急火災事故以降の一連のJR北海道の不祥事でも2013年の函館線特急火災事故後頻発した配電盤や車軸を要因とする様々な発火事故がありました。この年はまだ入線数年の新車だった現行のキハ261-1000系でも発火事故が発生しており、もう古いから新しいからという状態では無いほど様々な車両から発火事故が発生しているという壊滅的な状況でした。
減速減便ダイヤは車両側のダメージを少なくする効果はありますが、入庫後整備時間は短くなりますし、札幌-稚内や札幌-網走を基本1日1往復していた宗谷線・石北線特急用車両に至っては旭川折返し特急を運行する現状の方が1日の総運行距離が長いという面も抱えています。減速されていない区間は変わらない速度で走っているのです。他の路線に比較して車両のダメージが大きく、トラブルが多くなることが充分に予想された上で、所要車両数の削減を進めなければならず、強行せざるを得なかったのですね。

しかしそれによって、宗谷線、石北線の特急車両はリゾート車などによる代走や運休が頻発しています。車両不具合とはいっても、鹿などの野生生物に遭遇し急停車した際にできる車輪の傷などの問題もあり、この場合も端正するための装置を旭川運転所では所持しておらず、札幌に一旦回送しこれを行うための運休というのもあります。また、甚大な不具合の場合、札幌から応援の車両を回送しこの車両で牽引(とまではいかないまでも、この車両で補いながら)札幌に回送する必要があります。
このような事態が発生した時に、迅速に車両を予備車両に交換するなどのことができるかというと、その予備車両は結局札幌にあるので、これを回送しなければならない。回送するためのダイヤも一定の決まりがあるのでどこでも運転できるわけではないし、運転士を確保する必要があります。結局車両が手配できず「運休」とするのが見えるわけです。

網走駅に到着した特急オホーツク

旭川駅で並ぶ特急宗谷・特急オホーツク
(本来旭川駅で並ぶことのない両特急ですが、どちらも車両不具合で遅延しており、点検中に撮影した一コマ)

時刻表に記載のある列車は利用客との約束ですから、もちろん安易に運休してるとは思いませんが、運休をできるだけ抑える仕掛けを考えなければならないのだと思うのです。その一つの方法が旭川運転所への予備編成の配置になりましょう。宗谷線特急の代走にも使用可能な石北線特急用の1編成を旭川運転所に置いておくことで、車両不具合時に迅速に代走させるということはできるか?というものです。
しかし、現状それを行っていないということは、旭川に車両を配置してまでも「運休」を回避する必要性が無い。という考えもあるのかもしれません。一定の運休が発生することをJR北海道としては許容せざるを得ないという言い方もできるのかもしれません。

極端を言えば、札幌朝6時台の旭川行き、旭川21時ちょうどの札幌行き特急として「日中旭川留置の予備車両」を毎日運行し、旭川運転所内で日中を過ごし、万一の場合代走する。(この車両を代走に使用した場合最終の旭川発札幌行き特急を運休するが、直後に特急宗谷・特急オホーツクがあるので不便は最小限に抑えられる)という方法もあると思う。旭川に予備車両を1本置いておくことで運休本数を劇的に減らすことが可能であると思うのだがいかがだろうか。


年末年始輸送での旭川方面の落ち込みはもちろん人口減などの社会的要因もありますし、バス等の他の交通機関の発達、自動車道延伸によるクルマ利用利便の拡大等考えられる要因を上げればきりがないのですが、その一つの要因に「運休や遅延が多い不安定な運行」というのはあるのではないか?という推測もできるわけです。ここ数年でJR北海道の甚大な内部要因の事故は非常に少なくなり、安全な鉄道が戻ってきたような印象を個人的には受けています。新しい「2020年代」はこれに「安定した」鉄道を取り戻していくことを期待したいなと思うのです。

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