北海道の交通関係

JR北海道各駅バリアフリー化の現状

2020/01/14
誰もが公共交通機関で移動できるのが当然であって、その制約をすこしでも取り除くことは求められることです。
しかしながらそんな要素がない時代に設計された鉄道駅はこれまでなかなかバリアフリーが進んでいなかったのが現状であります。
1960年代に設計され1971年に開業した札幌市営地下鉄ですら全駅にエレベータが設置されたのは2011年とそれほど昔のことではありません。当然利用の多い駅、用地などの問題が少ない駅が優先されているわけですね。

JR北海道の場合、明治時代から存在する駅も少なくない中、こちらも利用の多い駅からバリアフリー工事が進んでいます。平成5年に施行された「障害基本法」にて事業者の努力義務が明記され、この年に制定されたハートビル法も含めてバリアフリーという言葉が一般的になっていくわけです。平成12年(2000年)には「交通バリアフリー法」が施行。1日当たりの平均的な利用者数が5,000人以上の駅は平成22年までに一定のバリアフリー化を行うことが求められたわけです。

JR北海道は札幌駅高架開業時に改札口を経由せずにエレベータでホームに上がれるよう整備、同時に高架開業した桑園・琴似でエレベータを設置、また、1992年開業の新千歳空港駅は開業時からエレベータを備えます。手稲駅、白石駅などは駅舎新築時に整備し、エレベータ設置が難しく旧駅舎を改良した小樽駅は車椅子対応のエスカレータを整備しています。

この一定の利用規模の駅での整備に一定の目処がついた平成22年からは改正バリアフリー法で3000人以上の駅を対象に同様の整備を求め、平成32年(令和2年)を目処に達成することが求められています。
現在この規模の利用者数の駅で未達となっているのは札幌市内では篠路駅、ここは駅舎の新築高架化が決定しています。また、上野幌駅は今後バリアフリー整備が行われる予定にはなってますが札幌市と北広島市が隣接する箇所でありその負担割合などで今のところ目処が立っていない様子です。

小樽市内では南小樽駅が現在工事中、恵庭市の島松駅が予定とし設計中、南千歳駅は現在エレベータ設置工事中です。札沼線廃止後のバス乗り継ぎ拠点となる当別町の北海道医療大学もスロープ設置工事中となっており、いずれも乗降客数で3000人以上(乗車客1500人程度)でありますので、概ね基準内の駅は一定のバリアフリー工事を行えているように見えます。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
現在のところは未工事の島松駅
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
エレベータ設置工事中の南千歳駅
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
最近エレベータ設置が行われたあいの里公園駅。無人駅でエレベータが設置されるのは珍しい例。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
スロープ工事が進む北海道医療大学駅
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
こちらも工事が進む南小樽駅

しかし、事業者による努力に任せておいても、なかなかバリアフリーな駅構内は進んでいくことはありません。バリアフリーにしたから乗客が増えるわけではありませんし、それを褒める声も特段聞こえもしません。むしろ、エレベータを設置しても使い勝手が悪いだの文句ばかりが報道される事態になるわけで、そういう面は変えていかねばならないでしょう。これだけ整備し、電気代などは事業者が負担しているわけです。


駅バリアフリー費用負担

駅のバリアフリーに関しては国土交通上も補助金を出しています。
●訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業
国1/3・地方自治体1/3・事業者1/3

●鉄道駅総合改善事業
国1/3・地方自治体1/3・事業者1/3

JRが関連するエレベータ等バリアフリーで使えるのはこの2事業かと思います。しかし、先の通りこれを行ったから利用が増えるわけではない以上、なかなか強制的な力が無い中でバリアフリーを進めるのは難しいという面があります。

このような中、いち早くバリアフリー新駅に建て替えた駅があります。1994年に自由通路とともに新築された石狩当別駅です。札沼線は札幌圏が急激に都市化が進むなか直前に「学園都市線」と名称を変更。小さな駅で手狭だったこともあり、自由通路の設置とともに新築されることになりました。このとき一定のバス接続拠点とも位置づけられ、1993年には中央バス当別ターミナルを廃止、駅付近にバス拠点が整備されたことになります。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
1994年と北海道地方部では最初期となる自由通路複合駅舎石狩当別駅

2000年には栗山町が自由通路とともに駅そのものを含め「くりやまカルチャープラザ」として新築、イベントスペースや研修室を有し、食事も取れるスペースまである複合施設としました。このときに自由通路も設置し、無人駅であることもあり、ホーム間の移動をこの自由通路と兼用することで駅利用者のバリアフリーも確保しました。
駅そのものは無人でありますが、簡易委託として路線バスも含めた案内も行われており、バスはコミュニティバスも路線バスも含め駅前から発着しており、地方部の駅・バス複合施設として非常に好ましい形態を取っています。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
栗山駅内の「くりやまカルチャープラザ」から接続する自由通路兼跨線橋、奥にエレベータが見える

美唄駅の現在の駅舎が新築されたのは2002年、美唄市はまちづくりの拠点として駅を中心にし、ここをバスとの乗り継ぎ拠点として整備するという方針を立てました。これは人口が減少する中駅利用客が減っていないこと、つまり人口中心が駅周辺であることを生かしていくという確固たるものを最初に制定したというのがあります。駅前には国道が走り中心街があること、駅裏手の住宅地に対しての移動を担保するための自由通路を作成、そして、駅のどちら側からも利用が便利なバリアフリーの観点も含めた総合的な「まちづくり」を行った結果です。もとより美唄市は炭鉱労働者の疾病対策としての福祉政策に力を入れていたとの話もありますので、駅前の斜陽化とともに危機感が大きかったとも言えましょう。
2002年の段階では北海道内でエレベータを完備した駅は周辺にも少なく、非常に先進的な、そして他の地域から見ても参考になる事例だったのではないでしょうか。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
美唄駅外観とホーム。エレベータの表示も見える。

2000年代は法律面も含め多くの駅にエレベータが設置されました。地方の中核都市でも岩見沢駅、東室蘭駅が2007年新築、旭川駅が2010年新築、滝川駅は2011年に跨線橋エレベータ設置など、利用の多い、特急停車駅を中心に地方でもエレベータ設置が行われています。

そんななか、利用の決して多くない駅でも、地元負担でのバリアフリー構築例がいくつか出ています。2018年には伊達紋別駅の自由通路と改札内跨線橋を一体で整備し、なおかつ一部のエレベータを共用する形で設置、総事業費は約10億円。また、こちらも利用の決して多い方ではない深川駅にもエレベータ、身障者用トイレなどが整備されました。これも2億2000万円のうち2/3は市の負担での設置です。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
伊達紋別駅の跨線橋と新自由通路(手前の跨線橋は撤去された)


しかし、このように負担が決まり設置される例は必ずしも多くはありません。現時点でまともに設置負担どころか「エスカレータがよい」などと意味不明な「ご提案」に留まる富良野市

 

富良野市
http://www.city.furano.hokkaido.jp/docs/2017082800020/files/291113_kekka_yamabe.pdf
【市長】富良野駅には、エレベーターよりエスカレーターの方が
良いと考えている。特に外国の方は荷物の数が多く、エレベータ
ーでは運べない状況である。6月には富良野駅のトイレを改修し
ており、エスカレーターであれば市でもできないことはないと考
えているので、意見として受け止めたい。



何度もJRと費用負担で揉め続け未だに話が進まない登別市

 

室蘭民報
市長会見で登別駅エレベーター設置「やることが前提」【登別】
http://www.hokkaido-nl.jp/article/8854
>市の負担額が1億円以内になると見込んでいたが、今回の調査結果も踏まえて「コストアップの上限はどこか。市民や関係機関にとって、尋常ではないコストアップになった場合には、設置しない可能性もゼロではない」と述べた。

なぜエレベータ設置で市が1億円以内で負担が終わるなどと夢見てたのかさっぱり意味がわからないが、先の伊達紋別の例を見るまでも無く跨線橋の立て替えを伴う(非常に老朽化した跨線橋である)エレベータ設置がそんなはした金で作れるわけが無く、最初から積算技術も交渉術も持っていないということで、残念を通り越して最初からやる気が無かったと言われても反論できまい。何年もこんな感じで「協議」していたのなら話は進むわけがない。自分が出したくないというのを前面に押し出しているのだ。


そして新たに判明したのが砂川駅です。

 

プレス空知 2020年01月10日
☆砂川駅東に新しい改札口構想
http://www.websorachi.com/sub10.html
>砂川駅東改札の新設構想を描いていることを明かした。「今後、商工会議所をはじめ経済界、市民の総意で期成会を作って要望し、JR北海道を動かしていきたい」と話した。


記事は一部しか見えませんが、砂川市長の選挙公約の1つに砂川駅の橋上駅化等バリアフリーを掲げていて、市が負担してでもこれを推進するとしていました。常識的に考えれば市が負担するというのですから橋上駅化は簡単に進むはずです。しかし、JRから色よい返事がもらえていない様子なんですね。

 

砂川市
1月7日 砂川市新年交礼会
https://www.city.sunagawa.hokkaido.jp/mayor/shichoudousei/2020-/1/2020-0109-1118-25.html
>残念ながら砂川駅のバリアフリー化については実現できていない。今、JRは廃線問題や新幹線札幌延長に伴う札幌駅の再開発に取り組んでいて、かつ退職する職員が昨年に続き今年も140名に達するかもしれないとの報道があり、現状の方式ではいつ実施になるか分からない。


市長はこのように述べているのだが、先の話通りエレベータ設置などはここ数年でも複数の町で行われている。そんななかJRが人材の不足を要因に「金を出す」としている町の要請を断るのはにわかに信じられないことでもある。
では市の要望をJRは無碍に断っているのかと言えば、ホーム上の待合室設置は市の負担で建設されている。(これも設備の大きさなどで市とJRの協議が長引いたことが遅れた要因である)

 

砂川市
7月23日 JR砂川駅ホーム待合室設置
https://www.city.sunagawa.hokkaido.jp/mayor/shichoudousei/2019/7/2019-0724-1004-25.html



また、議員氏のページでは一定の具体的な図面や金額も公表されています。

 

砂川議会議員小黒弘
JR砂川駅のバリアフリー化等について
http://oguro-sunagawa.com/?p=7547
現在分かる限りで良いのでと言うことで「事業費」も聞きました。この金額が独り歩きをしても困るのですが、超々概算で4億円+αはかかるとのことでした。


このブログ記事は2017年のもので、この数年で全く話が進まず、今度は東口設置だのと話をコロコロ変えている砂川市の姿勢を思うと、最初からちゃんとJRと協議して話を進めるというプロセスに大きな問題があるのではないか?と疑念するところです。JR北海道側は職員数などで拒否しているのでは無く、市との正常な協議が行えていないから話が進んでいないのでは無いか、もっといえば金を出すと言いながら、本当に出すのか怪しいという観点があるのではないか?
なので、待合室は設置するのは、あくまでも話がちゃんとできている項目については設置できるということで、市の能力の問題なのでは?という印象を持つのです。

いくらJRはやってくれないと言いながらも、今年度は白老駅のバリアフリー化が完成、工事中の各駅が終われば、次はどこという話になってくる。早く動くに越したことは無いと思うのだが、この分だと砂川市はかなり後になって仕舞いかねないなとも思うわけです。次が砂川ではなく他の駅のバリアフリー施工なら「人手の問題」としている「市長のウソ」がバレてしまうんですよ。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
砂川駅の古い跨線橋は電化開業時にかさ上げした年季の入っているもの。
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
隣には立派な自由通路がある。

参考:JR北海道利用者数(2017年・一部は2014年)とバリアフリー工事対応一覧
(エ:エレベータ・ス:エスカレータ・昇:車椅子階段昇降機)
JR北海道各駅バリアフリー化の現状

カテゴリ: 北海道の交通関係 バリアフリー JR北海道

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