北海道の交通関係

北海道内7空港民営化開始

2020/01/28
2020年1月15日北海道内の7空港の各空港のターミナルビルの経営が一体運営、民営化されました。今回は7空港のターミナルビルの経営が北海道エアポート社の運営になり、このあと6月に新千歳空港、10月に旭川空港、2021年3月に女満別など残りの5空港の運営が順次委託されて空港設備も含めた完全民営化となります。

北海道地区7空港民営化についての基本的なところは過去記事でも記載しておりますのでご確認ください。

 

North-tt
北海道地区7空港の運営事業優先交渉者決定
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=726


あらためて今回開始される北海道地区7空港をおさらいします。
国管理4空港
・新千歳空港
・釧路空港
・函館空港
・稚内空港
北海道管理1空港
・女満別空港
各自治体管理2空港
・帯広空港
・旭川空港

以上の7空港で、丘珠・中標津・紋別および離島である奥尻・利尻・礼文は含まれません。また、航空自衛隊共用の千歳飛行場(新千歳空港ではない)も含まれません。

また、対象になる施設は
・空港基本施設(滑走路・誘導路・エプロンなど)
・空港航空保安設備(誘導灯など)
・旅客ビル施設
・貨物ビル施設
・空港取付道路
・駐車場
・給油施設(新千歳空港のみ)
・用地管理
・付帯施設(土木・電気・消防など)
と多岐にわたりますので、ほぼ空港の内外一体での運営となるといえましょう。


今回の民営化について、各報道を見てみましょう。

 

日本経済新聞 2019年10月31日
道内7空港民営化で国交省と契約締結、北海道空港など
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51646080R31C19A0L41000/
> 2020年度に予定されている新千歳など北海道内7空港の民営化を巡り、委託先に選定されている北海道空港(HKK、札幌市)などのグループは31日、運営主体として設立した特別目的会社(SPC)が国土交通省などと実施契約を締結したと発表した。

10月31日には正式に契約が行われまして、2010年1月からの民営化が決定しました。

 

北海道新聞 2019年11月09日
社説)7空港民営化 不安残す「ばら色」計画
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/363033
 民営化後は、空港ビルのテナント強化などによって得た収益を原資に着陸料を引き下げ、格安航空会社(LCC)の新規路線開設を目指すが、楽観は禁物だ。
 道外ではこれまで仙台、高松、福岡の各空港が民営化に移行しているが、このうち高松空港は1年半が経過した現在も新規路線の就航が実現していない。
 先行する成功事例と失敗事例を十分に検証し、路線誘致のノウハウを積み上げていく必要がある。
 HKKを中心とする企業連合が運営権取得に当たって支払う対価は2900億円余りに上る。
 路線誘致が進まず、利用者が増えなければ、空港施設の利用料が値上げされるなどして、かえって利便性が悪化する恐れもある。
 こうした悪循環を招かないためにも、民営化に参加する17社が得意分野と役割分担を明確にし、結束して運営に当たってほしい。

北海道新聞は社説で「不安」を書きます。前回の記事でも書いていますが、各地域と一体にならなければ新規就航も難しく、LCCが来ればそれでいいというものでもありません。地理的条件で新規就航のうまみがあまりない高松空港にしてもLCCや既存国際線の増便は行えており、地元との協力による2次交通バスの新設などもあり、2年程度といえば、まぁ、目に見えた変化はあるように感じます。(むしろ、北海道の各空港でも1年半程度では新規路線就航出来ない可能性が高いと思っている。そのときに「こんなはずではと落胆の声」なんて社説や記事を書きかねないなと危惧します)空港民営化が基本30年運営することを考えても長い目で見る必要があります。必ず右肩上がりとはいかないのです。

 

北海道新聞 2019年12月13日
「道内企業の協力必要」 7空港民営化で日航会長
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/374144
日本航空の植木義晴会長は12日、釧路市内で北海道新聞のインタビューに答え、2020年度からの道内7空港の民営化で乗降客が増加し、地上支援業務など幅広い分野で体制整備を迫られるとした上で、労働力の確保などで「道内企業の協力が必要になる」との考えを示した。
 国内で初めて7空港を一括運営することに関しては、運営会社の「北海道エアポート」(千歳)だけでなく、関係自治体の協力と理解を得ることによって、新千歳や他の6空港の利用客の増加につながるとの認識を示した。

北海道エアポートの構成企業の一つであります日本航空会長の発言です。当然空港会社と航空会社だけで地域を無視した形で運営するわけでもなく、地域の企業が空港に様々な形で関わることが理想でもあります。そしてこの発言にはそれをあまり期待できないかも?という裏返しな面もあるように見えます。

 

北海道新聞 2019年12月20日
46金融機関で3651億円 道内7空港民営化 関連融資で国内最大
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/376501
融資契約を締結した。みずほ銀と三井住友銀は主幹事行として協調融資を取りまとめる。道内からは北洋銀行や北海道銀行、全20信用金庫が参加。道外は福岡銀行や七十七銀行(仙台)などの有力地方銀行が名を連ねた。返済期限は原則30年で、各行の融資額など詳細は非公表。

もちろん「民営化」の前に入札価格を国に支払う必要があります。それを支払っても「儲かる」という言い方は若干雑ですが、そういう面があるからこそ入札するわけですし、各金融機関も回収の見込みがありますので融資するということになります。回収できないものには融資できないわけですね。今回北海道内の信用金庫20行も参加、当然に北海道エアポートの構成企業である北海道銀行、北洋銀行も含め、北海道全体で支えるんだというアピールを行ったともいえましょう。
言い方を変えれば北海道エアポートに何かあったら北海道全体が大変なことになるんだよという「脅し」でもありましょう。地域は協力しなければなりませんし、協力しないなら当然地元金融機関との関係に問題が出るわけです。

 

北海道新聞 2019年12月21日
7空港への集客に意欲 運営会社社長「北海道元気に」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/376946
>「観光の力で北海道を元気にしたい。背水の陣で臨む」

 

NHK 2019年12月20日
空港民営化 各地で協議会設置へ
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20191220/7000016443.html
>「7つの空港についていかに有機的に結びつけて北海道を元気にしていくかを検討していく。地域と関係者、一丸となってやっていかなければならない」と決意を述べました。

会見についての記事はあまり記事にならなかったのですが、とかく言葉としては「地域と一体」です。空港会社がどんなに頑張っても地域が無視すればなんにもならないというのは「言っておかなければならないこと」であったのでしょう。

 

北海道新聞 2020年01月01日
北海道の空、変貌の年 7空港民営化始動 一体で収益増図る
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/379966
> 「ターミナルビルや駐車場、滑走路など縦割りだった空港の運営が一体になれば、民間の資産や知恵を生かした迅速な経営判断ができる」。
>「もうかるところだけに集中投資することはない」(住吉会長)という。
>北海道より先に民営化した空港の歩みは必ずしも順調ではない。18年4月に民営化された高松空港(香川県)の初年度の旅客数は計画比3・8%減の207万8千人。一部の国際便は増えたが、新規就航は実現できず「22年度に260万人という目標達成は困難」(同空港関係者)との見方が出ている。

正月からまた高松空港の例を出して必ずしも民営化はうまくいっていないという記事に仕上げた北海道新聞ではあります。

 

北海道新聞 2020年01月14日
社説)空港民営化始動 札幌一極化是正に期待
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/382811
 道内を発着する航空路線は現状、約8割が新千歳に集中し、人口や経済の札幌圏一極化が進む一因にもなっている。
 北海道エアポートの母体となった北海道空港(HKK)など17社がノウハウを結集して「空」から一極集中を是正し、道民全体に恩恵をもたらすことを期待したい。
 北海道エアポートは、来道客が7空港のどこから出入りをしても同一の往復運賃を適用する「オープンジョー」と呼ばれる仕組みを取り入れるという。
 制度面の整備に加え、多様な観光ルートをつくり、その中で最も利便性の高い空港への就航を促すといった提案型の路線誘致に取り組まなければ、新千歳以外の新規就航を増やすことはできまい。
 自治体や観光組織が協力し、セールスに必要な情報を集約する仕組みづくりが大事だ。
 空港民営化の恩恵を道民全体に広げるためには、民営化対象外の6空港との連携も欠かせない。
 その意味で、HKKが5年後をめどに新航空会社を立ち上げ、地方や離島を含めた路線網を充実させる構想を歓迎したい。

北海道新聞が「地方空港の均等な発展」を願うのはある意味当然なんだけれど、オープンジョーも地域連携も空港会社だけに押しつけるようなものでは無いし、新航空会社の話も、既存道内便との競合や場合によっては丘珠空港の存廃問題にまで発展するわけで、簡単に進むとも考えにくい(日本航空とANAが加わってるという意味があるかも知れないが)空港会社に勝手に期待して、欺されたみたいな社説を書いて欲しくないなと思うし、実際に空港会社が何をする企業なのか北海道新聞は正確に地域住民に知らせる必要がある。まして、北海道エアポートの関わらない離島空港まで押しつける気満々では困る。

 

北海道新聞 2020年01月16日
空港民営化「期待する」9割超 具体的には「観光客分散」 商工会議所会頭調査
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/383571
 北海道商工会議所連合会(道商連)と北海道新聞が全42商工会議所の会頭を対象に行ったアンケートでは、道内7空港の一括民営化に「期待する」との回答が9割超に達し、観光客の全道への分散や2次交通の充実など民営化がもたらす波及効果への期待感の高さが鮮明になった。また、民営化対象外の道内6空港との連携強化や、空港のない地域にも効果が及ぶ取り組みを求める声も相次いだ。

 国や道、空港運営会社の北海道エアポート(千歳)への注文や要望を自由回答で尋ねたところ、空港所在地域の会頭は「他の交通機関とも連携し広域観光需要を創出してほしい」(函館)、「それぞれの地域の特徴を生かす空港運営を」(帯広)と要望。「就航率向上に向け横風対策滑走路の新設を国に要望する」(稚内)との提案もあった。
 空港所在地でない地域の会頭は「空港周辺地域と密着した協議会の設置」(美幌)、「『空港のないまち』をフォーカスするような取り組み」(江別)などを要望。今回の民営化では道内13空港のうち6空港が対象外のため、「他の6空港との連携も視野に入れた活動」(登別)や、「道内13空港の維持・存続」(紋別)を求める声もあった。
 留辺蘂の加藤建一会頭は、「費用対効果のみに着眼することなく、道内全体を見据えて公共性を考慮した運営を」と注文を付けた。

商工会議所が地方会頭へのアンケートであることを割り引いても、各地方が「期待する」の内容が「自分達ができるだけ協力することなく最大の旨みだけください」に見えるきらいがある。「公共性」を出せばJR北海道問題と同じでオラが町が不便になるのはダメだ!になっちゃうわけで、空港とまるで関係ない地域、また、紋別など今回対象になっていない地域まで何でも面倒見させれば良いという観点が見え隠れします。

 

日本経済新聞 2020年01月15日
北海道内の7空港、民営化スタート
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54408420V10C20A1TJ1000/
> 三菱地所や東急など17社が出資する北海道エアポート(北海道千歳市)が15日、新千歳空港(同市)を含めた北海道内の主要7空港の運営を始めた。7空港のターミナルビルが民営化された。6月からは、新千歳で滑走路を含む空港全体の運営も担う。
同社は新千歳以外の地方空港に国際線を呼び込むため、各空港にターミナルビルやホテルも新増設する計画だ。北海道の鈴木直道知事は15日、「道内13空港を一つの空港と見立てた『大北海道空港』の実現を目指していく」とのコメントを出した。

前後しましたが1月15日にまず、ターミナルビルが民営化されたことになります。具体的な目標値などは北海道エアポートのサイトにもあります。あたりまえですが、鈴木知事のいう13空港に北海道エアポートの関わらない6空港に関する内容は北海道エアポートの与り知らない場所でありますので、それを言われても・・・という面はありましょうか。

 

北海道エアポート
提案概要
https://www.hokkaido-airports.co.jp/pdf/outline.pdf
北海道内7空港民営化開始
(見えない場合 https://traffic.north-tt.com/txt/20200128_01.pdf )

数値目標、各空港の投資額などが記載があります。どの空港にどのように投資し、何を狙っているか。この情報は先に読んでおかなければならないでしょう。


 

稚内プレス
時の話題 「空港一括民営化」 2020/1/15
http://wakkanaipress.com/2020/01/15/43351
>新千歳、稚内など道内にある7空港を一括経営する北海道エアポート㈱の蒲生猛社長(63)の特別講演が過日開かれた稚内商工会議所主催の新春経済懇談会であり、空港ビル建て替えなど稚内空港整備に137億円もの巨費が投じられることが明らかにされた。
>137億円投資もさることながら「先ず私ども(エアポート)が儲けるというよりは稚内含めた地域の人達に喜んでもらえるような事業展開をして行きたい」という言葉にリップサービスでないものを感じた。
更に蒲生さんは「私どもは飛行機だけに注力するだけでなくタクシーやバス、鉄路など二次交通の充実も企図し稚内など北宗谷、網走、北見などオホーツク海沿い地域の発展も見据えている」などとの件には役人らしからぬ複眼意識を持った御仁との印象を持った。

危険だなぁと思ったのが稚内の地元紙稚内プレスのコラム的記事。北海道エアポートの蒲生社長が実際にどのような発言をしたのかは他の記事からも読み取れないのだが、プレスの主筆は北海道エアポートが自費で空港の改修を行い、空港での儲けは考えず、二次交通の充実までやり「稚内など北宗谷、網走、北見などオホーツク海沿い地域の発展も見据えている」と思ったってことですよね。

空港民営化は「民営」ですから投資を回収して初めて民間企業として生きていけるんです。こんなあたりまえのことすらリップサービスなのか聞き間違えなのか知りませんが、なんでも北海道エアポート社がやってくれる!と思い込んで記事にするというのは、あまりにも常軌を外れたものではないかと思うのですね。

二次交通はどうまかり間違えても北海道エアポート単独ではできません。つまり、できないことを言ってきたのか、できないことがわかっていて、地元の協力をという意味で言ったのをプレス主筆が勝手に思ったのか。

同様に「地域の発展」というのはなにか?地域が発展するというのがその町に来る観光客の充実であるならば、空港会社と航空会社ができることはあろうかとおもいますが、実際に地域の人口増や設備投資という意味での「発展」であってもやはり空港会社は空港にしか投資できないわけです。オホーツク海沿いの観光キャンペーン的なものはできても直接投資できない。

大事なのは空港を中心に観光客を必要なところに移動できるようにすることや、就航会社、地域を増やすために地域と一体でのキャンペーン、二次交通も「市内」だけではない充実を考えることなんかも空港会社だけではなかなか難しい案件です。

このような、他力本願的な観点が過去にはも民営化したJR北海道ともあったわけで、おらが町に便利な列車が無いのはJRの怠慢と言ってたわけです。地元でろくに歓迎策もなく、タダ連れてこい、連れてきたらバス出して観光客もてなせ!では無理なんですね。

これは記事が極端だったことで稚内をネタに書いていますが、他の地域でもどこか空港会社にお任せしておけば良いという一歩引いたような態度が見え隠れしている地域が見えます。
今や飛行機で来たから新幹線で来たから、フェリーで来たから関係なく来た人に利便を提供し、各所からの交通を提供する、そして宿泊場所を提供する。これだけでも全くその地域の印象が変わります。

見えもしない「地域の発展」を他者に委ねてはならないのではないでしょうか。

カテゴリ: 北海道の交通関係 空港民営化 航空 LCC 観光

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