北海道の交通関係

北海道運輸交通審議会の議事録が公開されました

2020/02/06
北海道が主催する北海道運輸交通審議会は令和2年1月10日に札幌で開催されました。
議事としては
(1)北海道交通政策総合指針等の推進について
(2)持続的な鉄道網の確立について
というのが上げられています。これからの北海道の交通政策について各立場の方で協議していきましょうという会議と認識します。


北海道運輸交通審議会についての報道と知事会見

この会議につきましては報道で見かけたのは次の2つでしょうか。しかし、大きな議題はJR北海道の問題に終始したように思います。もちろんそれは大きな問題ではありますが、鉄道の維持が大事なのか、空港民営化、バス等2次交通問題なんかもふくめて広く協議しようという会だと思っていたのですが、報道はJRばかりです。

 

北海道新聞 2020年01月11日
JR8区間維持 道が「考え方」案 地元負担 溝鮮明に 利用促進策以外拒む 市町村寄りの姿勢強調
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/382313
 JR北海道の路線見直し問題を巡り、道は10日、札幌市内で開いた運輸交通審議会(会長=吉見宏・北大大学院経済学研究院教授)に「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の案を示した。案には、利用促進以外の地元負担には応じない立場を明記し、市町村から歓迎の声が上がった。一方で、地元に一定の負担を求めたいJRや国は「路線が維持できなくなる」と困惑。今後、JR支援の新たな仕組みづくりに影響する可能性もある。
 「利用促進以外について地域に負担を求めることは受け入れられない。国が中心となり支援策を講じるよう求めていく」。JRが地元負担を前提に存続を目指す8区間について、案にはこう明記された。鈴木直道知事が12月の道議会答弁で方針を示していた。

 国がJRを支援する根拠の法律は2020年度末に期限を迎える。道は「基本的な考え方」を基に、国と新たな支援の枠組みを協議する方針で、月内にも成案化し、年度内にまとめる国への提言に反映させる。
 審議会は学識経験者や交通事業者らで構成。道の案に対し、委員の蝦名大也釧路市長は「歓迎すべきだ。支持したい」と賛意を表明し、徳永哲雄・釧路管内弟子屈町長も「大変立派な考え方」と評価した。
 18年度の8区間の赤字額は計133億円に上る。JRは8区間維持に向けた国や道、市町村の支援額を年80億円と想定。国は「地元自治体と同水準の負担」とする方針を示し、単純計算で道と市町村は40億円の負担となる。

 道の考え方はこの大半を拒む形となる。道と市町村は19、20年度に年2億円の利用促進費を負担し、市町村に「これ以上は負担できない。国鉄分割民営化を進めた国が責任を持つべきだ」との声が根強いためだ。
 JRの昨年4~9月期の収支で、8区間の営業収益は前年同期より6500万円増えた。道は地元の利用促進策が一定の役割を果たしているとして、国などに理解を求める構えだ。
 知事にとっては今回の「考え方」で、市町村に寄り添う姿勢を鮮明にする狙いもある。自民党の知事選候補者選びで、大半の市町村長が鈴木氏ではなく、中央官僚を推した経緯から、「首長との信頼関係を強化したかったのでは」(道幹部)との声も漏れる。(内藤景太)

■JR、消極支援に困惑 国は「地元と同水準」崩さず
 「利用促進以外の費用は当社と国で負担すべきだと受け止められるが、今後どうなるのか。(8区間維持の)仕組みがしっかりできるか懸念がある」。JR北海道の綿貫泰之常務は審議会でこう述べ、道の案への不満をあらわにした。
 JR側には、経営努力には限界があるとして「自治体による赤字補填(ほてん)や施設更新など踏み込んだ支援が必要」(幹部)との声が強い。鈴木知事は夕張市長時代、石勝線夕張支線の廃止を逆提案し、社内に「JRの現状に理解がある」との期待感もあった。それだけに地元負担への消極姿勢に困惑が広がる。幹部は「路線維持に向けた仕組みづくりができなければ、存続は難しくなる」と指摘する。
 2021年度以降のJRへの支援継続の是非を検討する国土交通省内にも「8区間への支援を国が全面的に担うという発想は考えづらい」(幹部)との声がある。
 同省が8区間への支援額について「地元自治体と同水準」との姿勢を崩さないのは、JR四国なども経営が厳しい中、北海道だけ特別扱いできないという事情もある。青函トンネルの維持管理費などJR北海道の経営支援のために19、20年度に総額約400億円を支出する上、21年度以降に地元負担なしに国が補助すれば「過剰な支援だ」との批判が高まりかねない。
 同省はJR支援について「何の制約もなく(国が)支援することはモラルハザード(倫理観の欠如)につながる」(赤羽一嘉国交相)との立場で、道やJRと協議を行い、それぞれに応分の負担を求める考え。負担を避けたい道や自治体との隔たりは大きい。
 北大大学院の岸邦宏准教授は審議会で、「どう財源を確保すべきか、具体的なアイデアを出さなければいけない。(事態が)少しでも前に動くようにみんなで協力すべきだ」と呼び掛けた。

 

朝日新聞 2020年01月14日
道の再建支援策、JR北と国反発
https://www.asahi.com/articles/CMTW2001140100005.html
 北海道が策定を進めるJR北海道への支援策をめぐり関係団体が意見交換する会合が10日あった。道や沿線自治体による財政支援を利用促進策のみにとどめる内容に、JR北や国は反発。北海道は3月までに意見をまとめ国に提言する予定だが、調整は難航しそうだ。
 道はこの日札幌市であった北海道運輸交通審議会で、道議会や市町村の意見をふまえた「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」案を示した。JR北への支援策について「赤字路線の損失補填や老朽化した鉄道施設の更新など、利用促進にかかわるもの以外について地域に負担を求めることは受け入れられない」としている。
 これに対し、道や沿線自治体からの恒久的な支援を求めているJR北の綿貫泰之常務は「利用促進以外は当社と国で負担すべきだということであれば、赤字線区を持続的に維持するための仕組みづくりができるのか懸念がある」と述べた。
 案では「国が中心となり北海道の実情をふまえた支援策を講じる」との記述がある。これには国が反発。北海道運輸局の佐藤徹・交通政策部長は、JR北を支援する根拠となる法律を2021年度以降も継続させる法案を国会に提出する条件として「JR北と地域関係者の取り組みの着実な進展」を挙げた。そのうえで「ぜひJRと地域の関係者により鉄道を持続的に維持する仕組みの検討がなされることを期待している」とくぎを刺した。


この会議の前に北海道知事は議会での答弁でJR北海道への支援は「利用促進以外の地元の財政負担については受け入れられないという考え」を表明しました。それについて会見でのやりとりがありました。

 

北海道庁 2019年12月27日
北海道知事定例記者会見(令和元年12月27日)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/r1/r11227gpc.htm
(北海道新聞)
すみません、ちょっと話題が変わるのですけれど、JR北海道の路線見直し問題についてもお聞きします。知事は第4回定例道議会で、持続的な鉄道網の確立に向けて、利用促進以外の地元の財政負担については受け入れられないという考えを表明しました。ただ、国は地元負担を求める姿勢を示していまして、国と道の立場の違いというのが浮き彫りになったのかなと思います。今後、JRの新たな支援の枠組み構築に向けて、国とどういうふうに話し合いを進めていくのか、お聞かせください。
(知事)
これまで、私をはじめといたしまして、道幹部が直接地域に出向きまして、地域の皆さまのご意見を伺ってまいりました。地域としての協力支援に関しては、その中では、あくまで2年限りであるということなど、本当にさまざまな厳しいご意見をいただきました。
これまでの地域のご意見や、道議会での議論の現状などを踏まえますと、いわゆる欠損補助、赤字補填や、老朽化した鉄道施設の更新など、利用促進に係るもの以外については、地域に対し負担を求めることは受け入れられるものではないと考えておりまして、こうした認識の下で、国が中心となって、本道の実情を踏まえた支援策を講じていただくように、国に対して強く働き掛けをしていきたいと考えております。
当然、さまざまな考え方や思いというのは、国は国であるのでしょうが、現時点において、私としては、このような形で取り進めていくことを考えています。


北海道の「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」

この知事の考えを元に、今回の北海道運輸交通審議会では「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方【案】」が委員に配布され、公開もされています。26ページほどの資料で北海道がJR北海道と北海道内交通網をどのように考えるかという資料ですので、本件ご興味の方は目を通しておいて頂きたいなと思っております。

 

北海道
令和元年度 北海道運輸交通審議会
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/council_r0201singikai.htm
・資料3 持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方【案】
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/R1_siryou3.pdf
(見えない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20200206_01.pdf

さて、その内容です。

・国に求める事項

「JR北海道の人件費について経営努力が見られる」とし、それでも経営が安定しないことから経営的には「経営安定基金の下支え」を求め、修繕費・構造物・耐震補強の支援、貨物列車走行負担・本州との物流網の支援、青函トンネルの維持管理、そして北海道新幹線の整備促進という、要はJR北海道の全て、JR貨物の北海道地区走行経費全てについて国が責任を持って維持し管理し、修繕し、新設せよという内容になります。さらには「他の交通事業者との連携」・新千歳空港アクセス・都市間輸送の基盤・都市間輸送用車両までも「国が負担して行うべきだ」という姿勢を書いています。ここまで読む限り過去に北海道高速鉄道開発事案で地元も負担して宗谷線や根室線高速化を行った先進的な事例もなきことになってるようにすら見えます。

・JR北海道の経営姿勢

JR北海道については何かを求める以前の「経営姿勢」を持ってきました。根底にJR北海道について「自助努力」「信頼関係」「真摯な姿勢」「丁寧な対応」「利用者利便」「快適性向上」「情報提供」これらのワードを出し、要は全てできていないと酷評したともいえます。「地域及び利用者との確かな信頼関係の構築」という言葉を使っています。
では、それが確認できたら北海道・地域としてどのような協力・支援を行うのか。

・地域としての協力・支援の考え方

「JR北海道の徹底した経営努力を前提に、国の実効ある支援とともに、地域においても可能な限りの協力・支援を行うこと」としていますが、「路線の経常的な損失を直接補填する「欠損補助」や老朽化した鉄道施設の更新など、利用促進に係るもの以外について、地域に対し負担を求めることは、受け入れられるものではない」とし、また、「バス等への転換を図るという苦渋の決断」も受け入れ真摯に向き合っているのも負担。そして、「地域が検討するために必要な情報が未だ十分でない」として引き続き協議するとしています。


いやぁ。すごい!ここまで自分達が負担しないことをどう正当化するかを苦心した文章を書くのはかなり骨が折れたことでしょう。そして、いまも必要な情報がないからという以前に自分達には負担が大きいと言うわけです。つまりどれだけ詳細な資料を出そうが結局は「負担が大きい」なわけですね。

もちろん財政基盤上北海道や沿線地域が全て負担して鉄道網を維持できるとは私個人も思っていませんし、当然に一定の「国」の負担を引き出したいという気持ちも理解できるわけです。しかし、この文章見ちゃうと、本気で「オレたち何もしないもんね」に見えかねない、これ、本州の方が、自分達の支払った税金の一部が北海道の鉄道網に回ることを納得させることが可能な文章なんですかね?そういう視点で見ると、既に国は新千歳空港アクセス、北海道新幹線(青函トンネル含む)について一定の負担を行い事業を行うというのも含めて、なんでも本州に押しつけてるのでは?という印象を受けてしまいかねない。地域分断的な危険さを感じるわけです。「国」は北海道も含めた「国」なのではありませんか。


北海道運輸交通審議会出席者と議事録

会議から約1ヶ月が経ちまして、やっと本会議の議事録が公開されました。

 

北海道
令和元年度 北海道運輸交通審議会
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/council_r0201singikai.htm
・議事録
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/file.jsp?id=1264563
(見えない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20200206_02.pdf

まず、出席者をおさらいします。
●委員
石塚祐江 環境カウンセラー
伊東ミツ子 (一社)北海道身体障害者福祉協会副会長
今井一彦 (一社)北海道ハイヤー協会会長
蝦名大也 釧路市長
奥谷直子 (公社)札幌消費者協会副会長
岸邦宏 北海道大学大学院工学研究院准教授
紺野則仁 北海道地方交通運輸産業労働組合協議会議長
忠地宣忠 北海道船主協会連合会会長
出口治康 (一社)北海道バス協会理事
德永哲雄 弟子屈町長
野村佳史 (公社)北海道トラック協会理事
山崎賢太郎 札幌エアラインズアソシエーション会長
山本光子 (株)ぐるなび LIVE JAPAN事業部アドバイザー
吉見宏 北海道大学大学院経済学研究院 教授
綿貫泰之 北海道旅客鉄道(株) 常務取締役
●参与
安藤保彦 経済産業省北海道経済産業局長
 代理:北海道経済産業局総務企画部企画調査課長 辻純朗
大髙豪太 国土交通省北海道運輸局長
 代理:北海道運輸局交通政策部部長 佐藤徹
後藤貞二 国土交通省北海道開発局長
 代理:北海道開発局開発監理部次長 石塚宗司
山田修 国土交通省東京航空局新千歳空港事務所 新千歳空港長
依田淳一 (独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局長
田中直樹 東日本高速道路(株) 執行役員北海道支社長
柏井省吾 日本貨物鉄道(株) 執行役員北海道支社長
堰八義博 (公社)北海道観光振興機構会長 (欠席)
真弓明彦 北海道経済連合会会長
 代理:北海道経済連合会地域政策グループ総括部長 柴山英明
岩田圭剛 (一社)北海道商工会議所連合会会頭
 代理:北海道商工会議所連合会政策企画部長 福井邦幸

北海道の交通・運輸関係を司るであろう方が集結したといっていいでしょう。

では、議事録を見てみます。会は時間制限の中出席者が多いこともありますので、議論と言うよりは各委員が発言したという会になります。そのなかでもいくつか興味深い発言がありましたのでピックします。

まず、馬場鉄道交通担当課長による「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の説明です。この「考え方」が「オール北海道」として国に訴えるということになります。これだけの利用促進運動を行ったんだから、国は面倒を見るべきだってことですね。そのアクションプランの取り組み内容、逆にいままでなんでやってなかったの?ってものばかりに見えますが、これをやるから「国が中心的な役割」でJR問題を解決しろって、やっぱり他力本願感がありません?
その「利用促進の取組の成果」本当に前向きな内容なのかしら?

岸准教授が最初に「これがそのまま国に対して「お願いします。」と渡る文書じゃないということは、誤解のないように理解しておいた方が良いかなと思います」と最初に発言したのは、私の思ってることにもしかすると近い気持ちがあったのかもしれません。2016年の鉄道ワーキングチームのときとは似て異なるというのも触れていますが、そうしないと「3年、4年前の議論に戻るんですか?」と思われるという心配はその通りで、私も議事録公開前のこの内容を見てあのワーキングチーム報告書よりさらに「国」「国」と書いてある以上、これを国に出したら正直一蹴されるんじゃないの?という印象を持ちました。「また国に押し付けるだけですか。」これは私も思った最悪の内容に見えます。
いやいや、そうじゃない。自分達も応分の負担(利用促進)をするんだ、でもオレたち金ないからさ、国がなんとかしてよって、しかも「えらい人はなかなか読まない」なんてのも含めて「国」はどう読むのかな?
もう一つ岸氏は「国」って誰だ?という根本の話をします。いままで私もこの記事中で「国」と書いていますが、それは一体何に対して、国交省なのかその中の鉄道局なのか、そうではない、法律として制定するために国会で議論するんだ、でもいいんだけど、その対象である「国」がなんなのかずっと出てこない。
たとえば鉄道の老朽対策なんかも国交省のメニューにあって、それは地元の負担や鉄道会社の負担も明記されているが、それを一切地元が出さないで国交省の費用だけでやれとするなら、そのメニューを改める交渉をしなければならないし、いままでそのメニューを使用して改良してきた他の都府県に対して「北海道だけ特別に金出さなくて良いメニューを作れ」なのか、鉄道は国交省が全て面倒見るような国家予算にしろと言うのか。岸氏の危機感が発言から伝わってくる気がします。

JR北海道の綿貫氏。当然この「基本的な考え方」にJR北海道の意見は一切無いわけですが、その中で「経営姿勢に対する不信感」というものが「実際の地元自治体との対話のなかでの印象」と違うという想いがあるように見えました。
「アクションプランの策定、実行に当たりまして、全道の自治体の皆さんのところに足しげく通うなど、私どもとしては丁寧な説明に努めてきたつもりでありましたが、こういうご指摘を未だにいただいているということに、極めて残念に思いますが、こういったご指摘を私どもとしては真摯に受けとめて、今後とも、丁寧な説明、そして地域の皆様の声に耳を傾ける姿勢で臨みながら、地域の皆様、そしてご利用の皆様と確かな信頼関係を築くことができるように努めてまいりたいというふうに考えております。」 現在、JR北海道の経営情報に関して路線の状況、利用者数、定期券の発売枚数も公開されていますが、それで不足というなら、一体何を公開が必要なのかは当然自治体側から依頼すべきものだとおもいます。単純に言えば、「どうすれば路線維持できるか?」という単純な質問に対して回答がない!というなら、回答できるわけがないですし、「どういう利用促進が考えられるか」という質問も「その自治体が何をするか」わからなければ回答できない。そういう意味で対話ができていないというなら単純な地元自治体の勉強不足でしかありません。それ以前にJR北海道からの誰でも見ることができる公開情報読んでるの?という印象も持ちます。
もう一つは「国」「国」と書いているこの「基本的な考え方」。裏を返すと「利用促進以外の費用は、当社(JR)と国で負担すべき」ってことになるわけです。一応表向きに民間企業であるJRに負担を強制することが可能なのか?という問題でもあります。不採算事業からの撤退を認めないと民間企業にいえるのか?という根本的な問題を棚上げしてはいけないのです。

つづいて「歓迎すべきだ。支持したい」と賛意を表明したとされます釧路市長蝦名氏。ただ、それだけを言ったわけでは無く、「JR は今まで何とかしようと行ってきたのではないのかと、もし、この同じ環境の中で、誰か黒字にできるような人がいるのであれば、誰かができるのだったら、それは「ごめんなさい」と皆で謝るよねと。でも、誰もできないじゃないか」つまりは、民間企業として経営は難しいという認識を示しているわけです。ただ、これも裏を返せば国鉄だったら廃止されなかったわけではなく、当時の基準なら多くの路線は既に無いはずです。

「大変立派な考え方」と評価したとされる弟子屈町長德永氏。「できれば各自治体も含めて地域の中で、しっかりと自分たちもこの鉄道網の経営をやるような形で、経営的な考えをしっかりと押し出しながら協力をしていかなければ、単にJRだけにということにはならないのではないかと思います。」この考えは、あくまで金銭的な負担はなく、経営には参画するってことなのかなぁ。真意がよくわからない。

商工会議所福井氏「北海道を支えていくという視点のほかにも、全国に貢献しているという視点をしっかり書いておく必要があります」つまり、北海道の鉄道を守るという意味は北海道が全国に対して貢献しているのだから当然優遇されるべきであるって考えなんだよね。

JR貨物にしてみれば、今回の「基本的な考え方」はJR貨物(結果的に北海道から発送する荷主)の負担軽減も含め線路使用料も軽減させるような形になっていますので「JR 貨物の柏井でございます。このような立派な考え方をまとめていただいて、大変ありがたく思っております」という感想になりましょう。

さて、「国側の人」であります運輸局佐藤氏。「利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区、いわゆる黄色線区でございますけども、これについては、JR 北海道と地域の関係者により、あるべき交通体系について徹底的に検討していただくよう求めているというところになってございます。」国側にしてみれば、アクションプランなど前進はあったにしても、「徹底的な検討」にはほど遠いという認識はあるものと思います。

航空・バス・トラック・タクシーについても興味深いのですが、ちょっと長くなってきたので割愛して、まとめの岸氏、吉見氏の発言です。

岸氏が言う「特に宗谷線、石北線の維持なんていうのは地域公共交通活性化再生法の枠組みでは到底無理だと私は思っています」これは納得です。もう少し分割した「地域交通」としての普通列車網と都市間輸送の特急列車網を一緒くたにして赤字額、そういうものを出してもあまり意味が無い。それこそ上下分離的に線路設備を地元自治体、普通列車を地域バス会社などが出資した3セク、特急列車をJR北海道って考えもあるかもしれませんし、それこそオープンアクセス的な考えもできるかもしれません。しかし、石北線についてJRと地元が根詰めて話したようには私には見えません。この、できる路線、できない路線、あと、廃止を検討する路線をトリアージ的に対処するって考えもどこか必要なものだと思います。

吉見氏のまとめでも「国」は何を指すのか、そして、「オール北海道」は何を指すのかという指摘があります。つまり、誰が誰に対して何を依頼するのか?そういう面をどう案に入れて、「国」に認めて貰うのかが北海道の今後の課題ですし、鉄道だけ金が入るのか?も含めて各産業人手不足、交通の連携が必要と言われてる中で誰が何をするのか?



道議会北海道地方路線問題調査特別委員会

2月5日に行われた北海道議会の地方路線問題調査特別委員会で、この「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の修正案が示された模様です。公開されている「案」からどの程度の変化があったかはわかりませんが、記事を見る限りは概ねこの案が踏襲されたものとおもわれます。

 

朝日新聞 2020年02月06日
岐路の鉄路)道「利用促進のみ」
https://www.asahi.com/articles/CMTW2002060100006.html?iref=com_footer
JR北へ財政支援の修正案
 北海道は5日、経営難のJR北海道を支援する「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の修正案を、同日あった道議会北海道地方路線問題調査特別委員会で示した。道や沿線自治体によるJR北への財政支援を利用促進策のみとすることが固まった。

赤字補填など再び否定
 修正案は、同委員会や道運輸交通審議会での議論をふまえた内容。JR北や国が求めている、赤字補填(ほてん)や施設維持にかかる支援については「地域に負担を求めることは受けいれられるものではない」との考え方を改めて示した。
 修正案では国の責任についても「国鉄改革の趣旨をふまえ、引き続き中心的な役割を担うことが不可欠」と指摘。その上で道や沿線自治体が「可能な限りの協力・支援を行う」とした。
 また、1月から順次始まった道内7空港一括民営化をふまえ、新千歳空港駅の抜本的改良も盛り込んだ。観光客の利便性や道内鉄道のアクセス強化に向け、盲腸線となっている同駅をスルー化し、千歳線、室蘭線、石勝線に直接乗り入れられるような改良工事に取り組むよう、国に求める。
 道は27日開会予定の道議会定例会での議論を経て、3月までに修正案を元にした国への提言書をとりまとめる方針。


この「基本的な考え方」を元に作られる提言書を国はどのように考え、調整するのか。JR北海道問題は今年大きな転換点を迎えるように思います。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道

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