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JR北海道の新型気動車H100形に乗ってみました

2020/04/03

JR北海道が現行地方路線で使用しているキハ40形の置き換えを主眼に新型車両の製造を表明したのは2015年3月の「安全投資と修繕に関する 5年間の計画」ではないかとおもいます。ここでは平成29年度(2017年度)から量産先行車2両を導入し走行試験を実施としていました。

JR北海道
安全投資と修繕に関する 5年間の計画
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150325-3.pdf


JR北海道
新型一般気動車の試作車 (量産先行車 )について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170712-2.pdf



平成29年7月にはプレスリリースで、その新型車両がH100形を名乗り、ディーゼルエンジンで発電機を回し、その電力で走行する「電気式気動車」であること。また、JR東日本に導入されるGV-E400形と基本仕様を共通化することを伝えています。

JR北海道
H100形電気式気動車(DECMO)試作車(量産先行車)の今後の予定について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180215-4.pdf



平成30年(2018年)2月には量産先行車2両が到着し、走行試験を開始しています。

北海道新聞 2018年08月04日
JR北海道、普通列車用気動車の更新見送り 資金確保見通せず
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/215441



その間地元メディアは資金状況で普通列車用気動車の更新見送りなどという報道が出ましたが、当然今回平成31年度には運行開始する分の車両はそれ以前から発注されているわけですから、若干内容に疑念がある記事でした。

JR北海道
H100 形電気式気動車(DECMO)の投入線区について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190911_KO_DECMO.pdf



JR北海道は結果的に2シーズンの走行試験を元に導入線区を発表しました。

北海道新聞 2019年09月12日
JR北海道、新型気動車量産へ まず小樽-長万部に13両
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/343859



結果的になぜか「更新見送り」と報道されたはずのH100形は2010年3月から運行開始となることになりました。

NHK 2020年03月14日
JR新ダイヤ 空港の特別快速も
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200314/7000019116.html
【新型車両の愛称「DECMO」もお目見え】
ダイヤ改正に伴い、JR函館線の小樽ー長万部間には、ディーゼルエンジンで発電しモーターを回す新型車両がお目見えしました。
導入されたのは「H100形」と呼ばれる新型車両、愛称「DECMO」です。
ディーゼルエンジンで発電した電気を使ってモーターを回す仕組みで、車内はバリアフリーに対応しているほか、外国人旅行客にもわかるよう次の停車駅などの情報を英語でも表示します。
きょうから函館線の小樽ー長万部間で運行を開始し、長万部駅には14日8時前、倶知安駅発の一番列車が到着しました。



新型コロナウイルスの感染拡大等の問題があり、ダイヤ改正の記事はほとんど触れられない中今回の新型気動車のデビューはほとんどの報道機関が無視し私の確認した限りはNHKと交通新聞くらいしか記事を見つけられませんでした。


H100形の特徴

これからJR北海道の地方線区をくまなく走り回るであろうH100形はこれまでのキハ40形などに比べて様々な利点があります。

・冷房の搭載
札幌圏・旭川圏で使用されている一部の車両以外には導入されていなかった冷房が搭載されました。今や北海道でもエアコン設置はあたりまえともいえますので、次代を担う新型車両に冷房の搭載は必然ではありました。また、開放できる窓も少なく、その開口幅も抑えられています。窓からの転落や顔や手などを出す事故を避ける意味でも今後このような仕様が当然となっていくでしょう。

・バリアフリー推進
ステップの段差を最小限に抑えた上で通路幅を確保し、トイレの拡大、洋式化、また、車椅子スペースの設置など障害者、高齢者へ配慮されています。これも今や必須の機能です。また、運賃表示器を次駅案内、行き先案内など多目的に使うこと、また、英語自動放送、英語案内なども含めた配慮がなされています。

・機器削減と事故防止
従来のディーゼル車はエンジンからの回転を車軸に伝えるための連結棒(シャフト)が避けられず、高速回転し、振動が避けられないこのシャフトの脱落による事故がまれに起きていました。エンジンで発電し、電気的に車軸のモーターに配線する電気式気動車は高速回転する部分を限ることで整備性と安全性が高まることが期待されます。
・2軸駆動による空転・遅延防止
キハ40形車両では一部を除き駆動軸は1軸で、落ち葉などを踏み空転した場合、再起動に時間がかかり遅延する例もありました。これは機関の出力が上がると顕著になります。H100形は2軸に2台のモーターを設置しており、空転に強いとされています。

・その他
車体はステンレスを用いて腐食を防止しています。出入口扉は押しボタン式による半自動式となり、乗降客がいなければドアが開かないことで車内の温度低下を防ぎます。そのため車内も出入口との仕切りが無く、ドア周りを広く使えるようになっています。
細かいところでは2両以上の連結時に中間となる運転席、貫通路を仕切る扉が設置されていますので、貫通扉からの寒気を防ぐ構造になっています。

外観


前面は警戒色となる黄色とコーポレートカラーの萌黄色を配しています。灯火類は全てLEDによるもので、前照灯4灯、尾灯2灯となります。3色LEDによる行き先表示が設置されています。


写真は量産先行車ですが、側面にも行き先表示器が設置されています。ドア脇に種別表示差しがありワンマン運転である旨を表示しています。上部には号車差しがありますが、これは量産先行車だけの装備です。
車両のロゴも先行車と量産車では異なっています。この大きなロゴ部分がトイレ設置部分になります。

反対側のロゴは窓の無い部分が少ない為窓上になります。

側面の行き先表示器もLEDによるローマ字併用のものが設置されています。

量産車には号車差しはありません。

量産車の運転席周りです。

車内

車内は4人掛けクロスシート3ボックス、2人掛けクロスシート3ボックスと車端部にロングシートという構成です。

右側に見えるスペースは機器室で、この部分に消火器、非常灯が設置されています。

・車端部

後部運転席は仕切ることが可能です。これまでの気動車のように「助手席」部分は解放されておらず完全に仕切られています。

運賃表は液晶式で、ひらがなや英語での表示、扉の開く方向なども示します。

運賃箱は特段以前のものと変更はありませんが、助手席側にスライドして収納できるようになっています。(キハ40などは運賃箱で運転席を仕切る形だった)

客用ドアの内側は萌黄色です

ドアボタンは外が開ける専用、内側が開ける閉める2ボタンです。

・座席


4人掛け座席です。座席は方持ち式で通路側に足の無いタイプです。暖房機も座席に吊り下げられているようです。

2人掛け座席です。いずれもシートピッチは広く、快適性が上がっています。


ロングシート部です。比較的硬めの座席で形状も今までのJR北海道の車両には無いものです。

優先座席の色は明るいオレンジ系の色で区分されています。

・機器室・車椅子スペース・トイレ


客室内に出っ張るように機器室が鎮座しています。このスペースが無ければ3席ほど座席が増やせただろうとは思いますが、致し方ない機器が入ってるのでしょう。ここに消火器と非常灯も設置されています

車椅子スペースはトイレの前になります。トイレ前ということもあり若干狭い感じもあります。トイレへの車椅子利用での使用を考慮しているとも思われます。


トイレは引き戸になり、出入口を客室側に設置しています。扉に対面した座席を設けないのは以前から電車などでも見られた配置ですね。


トイレ内は非常に縦に広くなっています。

・窓・網棚


量産先行車では基本的に全て開口できる窓ですが、量産車では一部が固定窓になっています。ポリカーボネートを中に挿む形で断熱とガラスの割れを防止していると思われます。カーテンはありません。

開口できる窓はキハ150-100等と同様に内側に開く窓のようです。

網棚はパイプによるものです。


走行音・座席の座り心地など

走行音ですが、今までの気動車の音とは少し違って、モーター音などもありますので、しばらくは違和感を感じそうです。起動時の加速はそれほど感じませんが、中速域や登坂時の性能は良さそうに感じます。
エンジン音自体は、少し耳障りなビリビリというかピチピチといった音が混じっていて、あまり好きな音ではありません。

座席はクロスシートとロングシートで座り心地が異なるように感じます。個人的には硬めのロングシートの方が快適に感じましたが、クロスシートも悪くは無いと思います。少なくとも今までのキハ40などに比べれば相当に快適ではあります。

ただ、座席は少ないのが、どのような影響があるのか気になるところです。私の利用時は比較的空いておりましたが、夏季のハイシーズンは気になるところです。また、大きな荷物のスペースを車椅子スペースや機器室前などを使うという観点もあるのかもしれません。


さいごに

新機構もふくめて今までの印象をがらりと変えた新型車両。私としては思ったより「安物感」がなくて良い車に感じます。押ボタン式のドアなど地方部では今でもすぐに実現して欲しいほどですし、地元客もまだ数日なのに慣れた感じ(これは札幌圏車両が既に札幌駅など長時間停車駅で押ボタン式を採用しているための慣れもあろうか)でした。
これから他の地域にも導入されると思いますが、長く愛される車両でいて欲しいなと思っています。また、今回ほとんど実現しませんでしたが、ある程度車両性能改善を使ったスピードアップ等も行われることを期待します。

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