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北海道の交通関係
新型コロナウイルスによる北海道内交通機関への影響
2020/04/15
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、「移動」を自粛するよう求めていることもありまして、北海道内の公共交通機関も大きな影響を受けています。
North-tt
新型コロナウイルスはJR北海道の致命傷になりかねない
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=943
前回のこのような記事を書いたのは3月12日ですから、1ヶ月以上前になります。その後も収束どころか、国内での感染拡大がまだ続いている状況であります。
JR北海道
北海道では1月28日に最初の感染者が確認されています。そして2月27日から北海道内の小中学校を休校にするという前例のない事態を発表することになります。北海道で新型コロナウイルス関連の最初の死者が発生したのが2月25日。ちなみに2月22日時点での患者数は16名であって、全国に比較し、北海道の感染者数が多く、知事もJR北海道も早急な対処を始めたと言えるでしょう。
JR北海道 2020.02.25
新型コロナウイルス感染拡大に伴う「流氷物語号」イベント中止のお知らせ
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200225_KO_StopTheRyuhyoEvents.pdf
JR北海道のリリース文の中で「新型コロナウイルス」の文言が出たものはこれが最初かと思います。特に初期の感染者に北見・網走管内が含まれていたこともあり、イベントを中止するという判断になったものと思われます。その後2月27日・28日にはSL冬の湿原号関連のイベントを中止する発表がありました。
JR北海道 2020.03.12
釧網本線冬季観光列車のご利用状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200312_KU_toukikannkouressha%20.pdf
釧網本線の観光列車は流氷物語号が前年比75.3%、SL冬の湿原号が前年比102.1%となりました。既に中国を中心としたインバウンド客の減少がありましたが、この頃はまだ比較的利用があったことが伺えます。
JR北海道 2020.03.11
新型コロナウィルス感染症による影響と対策について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200311_KO_COVID-19.pdf
3月11日には減収予測が47億円の減少と非常に大きく、経営の悪化は避けられないと、特急列車の減便、編成両数の見直しを行うことを発表。接客社員のマスク着用、車内換気、消毒実施、喫煙室使用停止も発表しています。3月27日には連休を含む臨時列車等の運行取りやめ、指定席発売見合わせが行われます。
4月14日には新幹線グランクラスの販売自体を停止(6月30日まで)そして、ゴールデンウイークの列車予約が臨時列車の運休を加味しても予約率ヒトケタという惨状となり、国の非常事態宣言もあり広域移動も地域内移動もほとんど見込めない状態となっています。
JR北海道 2020.04.15
「一時帰休」実施の検討について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200415_KO_temporary%20return.pdf
役員報酬等の自主返納について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200415_KO_Officer%20compensation.pdf
ついに社員の一時帰休も検討するという事態。国の雇用調整助成金を使うことで人件費を圧縮するという形を用いなければ企業の存続すら影響があるという判断になります。
試算では6月までに130億円規模の減収、これは年間の鉄道運輸収入が800億円を割り込む規模であるJR北海道にとっては非常に大きな数字であります。
北海道新聞
JR北海道一時帰休 減収 国の支援乏しく コロナ影響 雇用維持へ苦肉の策
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412796
「国の経済対策は108兆円あるが、私どもが直接的に使えるのは雇用調整助成金。厳しい経営環境の中、こうしたものを使わせてもらいたい」。JRの島田修社長は15日の記者会見で、一時帰休の際に国の助成金を活用して人件費を補う方針を明らかにした。
3月下旬、緊急経済対策策定に向け、政府の集中ヒアリングに鉄道各社の代表として呼ばれた島田社長は、閣僚らを前に固定資産税の減免、通学定期券払い戻しによる減収の穴埋め策、感染拡大終息後の観光需要喚起策を求めた。
しかし、その約2週間後に出された政府の緊急経済対策に盛り込まれたのは、観光需要の喚起策のみだった。6月末までに130億円の減収を見込み、国の支援が頼みの綱のJRにとっては「肩透かしの内容」(鉄道関係者)。JR幹部の間ではこの時から、一時帰休の機運が急速に高まった。
水面下では国にも当面の資金繰りに向けた支援を要請していたが金融機関からの借り入れを提案されるなど、多くの産業が感染拡大で減収に追い込まれる中、国もJRへの特例的な支援に動こうとはしなかった。
これは同様に減収の大きい飲食店などの対応と同じで、貸付金での資金繰りでしか国は面倒を見ることができないということでありますので、赤字会社であれJR北海道に手厚く援助はできないという表れとも言えます。
現在の特急列車等の減便では実際の動力費用などでの収支改善はほとんど意味が無く、もはやJR北海道は存亡の危機という状況になっているのは誰の目にも明らかなことではあります。しかし、かといって特定の業種、企業に支援できない国のジレンマもあると見えます。
ただ、北海道の交通インフラにおいて、特に道内移動においてのJR北海道の必要性は皆無ではありませんので、最低限の運行を支える支援は必要かとは思います。しかし、その最低限の運行は現在運行する全ての便を維持する形にはならないだろうとも思います。
札沼線(北海道医療大学-新十津川)の最終運行
今年5月6日限りでの運行終了が決まっている札沼線の北海道医療大学・新十津川間の営業ですが、4月24日に前倒しされることがJR北海道より発表になりました。JR北海道 2020.04.15
札沼線(北海道医療大学・新十津川間)最終運行について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200415_KO_SassyouLine.pdf
これも新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から車内、車外、また沿線での写真撮影での感染拡大防止を念頭に行われるものです。
なお、札沼線廃止区間の代替バスは既に4月1日より運行を開始しており、現時点でどうしても地元が移動する場合に列車を利用しなければならないということはありません。
このリリースでは、強い言葉での「町外からの来場自粛」が盛り込まれています。「できる限り町外からご乗車、来駅、沿線での写真撮影等をお控えください」という文言は過去に例がなく、感染拡大の懸念にJR北海道が神経をすり減らしていることがわかります。これは、実際に乗客と接する運転士、駅員などへの感染拡大の懸念だけでなく、沿線住民への感染拡大の防止、そして乗客自体への感染拡大防止を考えたものであると思われます。
極端を言えば、何の感染拡大防止もなく5月6日まで運行した場合、その車内や沿線で感染が発生した場合、JR北海道を被告として「感染防止を怠った責任」を問われる可能性も否定できない状況であるともいえます。
北海道は現時点で除外されていますが、緊急事態宣言が都府県に出されており、これらの地域から移動してくる「鉄道マニア」の存在に本来沿線町はもっと危機感を持たなければならないように思います。
北海道新聞 2020年4月15日
札沼線ラストラン前倒し 沿線首長ら「やむを得ない」 「苦渋の決断だったのに」疑問の声も
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412742
新十津川町の熊田義信町長も、町民などへの感染を防ぐための今回の決定に理解を示すが、「5月6日の最終運行は、町が廃線という苦渋の決断をした上で合意したもの。その重さを分かっているのだろうか」と指摘する。
NHK 2020年4月15日
学園都市線 最終運行前倒しへ
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200415/7000020183.html
月形町の上坂隆一町長は、「80年あまりの歴史を誇る学園都市線のラストランを町民みんなで見送る準備をしていましたが、新型コロナウイルスの対応のうえでのJR北海道の判断なので受け入れざるを得ません。廃止以降の月形町のまちづくりが、20年後、30年後の町民の皆さんにとって必ずやよかったと受け入れられるよう、最大限の努力を続けていきたい」というコメントを発表しました。
この2つの町の首長のコメントは、JRの判断を批判(新十津川町長は5月6日まで運行すべきであるという考え、月形町長はJR北海道が判断したから仕方なく=5月6日まで運行するのが是であるという考え)という形でありますが、町民の健康を守るという立場である沿線首長があまりにも考えなく、起こることの想定を低く見積もった発言を行っているのが非常に気がかりです。万が一にも運行最終日に大勢で集まる形を容認するようなことはあってはならないでしょう。
あくまで「お願い」しかできないわけですが、当日現地に行かれる方は最大限の感染対策を。そして、できる限り「行かない」という決断をされることも考えていただきたいとも思います。
ただ、私は前回の記事に「今の状況が続けば、新型コロナウイルスによる死者よりも経済的な死者の方が多数になってしまいかねません。あなたが元気で症状もないなら、気分転換に街へ出て、ちょっとでもお金を使うこと。これが大事だとも思うのです。」と書いたように、混雑しない、他人との接触の少ないであろう近場の訪問自体は必ずしも否定してはならないとも思っています。しかし、少なくとも長時間の混雑が想定される廃止直前の札沼線の列車や駅は私の思う「気分転換」に行く場所ではないと思います。
北海道内公営、民営鉄道、バス会社の対応
札幌市営地下鉄は列車の混雑状況を10分刻みで取得した情報を公開し、混雑した列車への乗車を行わないよう啓蒙しています。また、ホリデー・テーリングのようなイベントの自粛を行っています。札幌市交通局 2020年4月15日
朝ラッシュ車内混雑状況について、よりきめ細かく10分刻みでお知らせします
https://www.city.sapporo.jp/st/konzatsu_jokyo2020.html
上下分離となり札幌市交通事業振興公社の運営となった札幌市電は、車内の換気、消毒などの対応を行っています。
札幌市交通事業振興公社 2020年04月14日
新型コロナウイルス感染拡大防止のための消毒・換気等について
https://www.stsp.or.jp
いずれも運行ダイヤは通常通りで減便などは行っていません。
函館市電は観光列車箱館ハイカラ號の運行開始を延期。道南いさりび鉄道もながまれ海峡号を使用した飲食を伴うイベント列車の運行を中止しています。
北海道内のバス会社のうち、最大手の北海道中央バスと共同運行を行う13事業者は4月18日より高速バスの減便に踏み切ります。また、空港連絡バスの減便も継続します。
北海道中央バス 2020.04.15
都市間高速バスの減便について
https://www.chuo-bus.co.jp
① スターライト釧路号(くしろバス・阿寒バス共同運行)
札幌発 5 便→3 便(▲2 便)、釧路発 5 便→3 便(▲2 便)
② ポテトライナー(帯広)(JRバス・北都交通・十勝バス・拓殖バス共同運行)
平日 :札幌発 10 便→8 便(▲2 便)、帯広発 10 便→8 便(▲2 便)
土日祝:札幌発 12 便→8 便(▲4 便)、帯広発 12 便→8 便(▲4 便)
③ ドリーミントオホーツク号(北見網走)(北見バス・網走バス共同運行)
札幌発 10 便→7 便(▲3 便)、網走(北見)発 10 便→7 便(▲3 便)
④ 高速はこだて号(道南バス・北都交通・函館バス共同運行)
札幌発 8 便→6 便(▲2 便)、函館発 8 便→6 便(▲2 便)
⑤ 高速なよろ号(道北バス共同運行)
平日 :札幌発 4 便、名寄発 4 便(変更なし)
土日祝:札幌発 5 便→4 便(▲1 便)、名寄発 5 便→4 便(▲1 便)
⑥ 高速あさひかわ号(JRバス・道北バス共同運行)
札幌発 40 便→29 便(▲11 便)、旭川発 40 便→29 便(▲11 便)
【共通乗車路線】 ※便数は 2 社合計
⑦ 高速むろらん号(道南バス交互運行)
札幌発 14 便→13 便(▲1 便)、室蘭発 14 便→13 便(▲1 便)
【自社単独路線】
⑧ 高速いわみざわ号
平日 :札幌発 55 便→44 便(▲11 便)、岩見沢発 57 便→46 便(▲11 便)
土日祝:札幌発 54 便→43 便(▲11 便)、岩見沢発 55 便→44 便(▲11 便)
⑨ 高速たきかわ号
札幌発 12 便→9 便(▲3 便)、滝川発 12 便→9 便(▲3 便)
⑩ 高速るもい号
札幌発 8 便→7 便(▲1 便)、留萌発 8 便→7 便(▲1 便)
⑪ 高速ふらの号
札幌発 10 便→8 便(▲2 便)、富良野発 10 便→8 便(▲2 便)
北海道バス、ジェイ・アール北海道バス、道南バス、沿岸バスの単独による都市間バスも一部を減便しています。
残念ながら都市間バスの運休の全容を知るのは各社のサイトから見るしか無く、一覧として提供している公式的な情報がないのが利用者には困ると思われます。北海道・北海道バス協会などが音頭を取って、今どうしても移動しなければならない方への情報提供を行って欲しいと切に思います。
また、一般路線バスの減便もすこしづつ出てきています。観光路線と一般路線の兼用のような系統である北海道中央バスのサッポロビール園・アリオ線は4月13日から全便運休。また、通学路線なども学校休校による対応等で運休が行われています。
バス会社の直接的な経営情報は店頭公開企業である北海道中央バスでもまだ出てきていませんが、学校休校による通学利用の減少、また、地方都市から札幌への移動自粛も含め少なくない経営問題が考えられるところです。規模の小さな事業者が多い北海道では、今後経営問題が生じるバス会社は少なくないものと思われます。既に団体旅行や学校での遠足やスポーツ遠征などが中止になった煽りで貸切専業事業者の解散もいくつか報じられています。
収束が全く見えない以上、短期的な資金繰りだけでなく、長期的な資金繰りに影響のある事業者も少なくないと思われ、事業支援の貸付だけでは長期的に返済できない規模に膨らむことも予想されます。このままでは北海道内の公共交通は壊滅的な痛手を被ることになります。
ともかく、収束が全く見通せない以上、公共交通を利用すること自体が行われなくなっていること、また、他者との接触を嫌うための個人で自家用車で移動ということが増えているのも痛手であろうかと思います。現状国、北海道は鉄道・バス等運輸事業者への特段の支援は表明していませんので、一般的な企業への支援と同じ枠での申請となろうかと思います。しかしながら、社会インフラを担う企業に対しての支援が遅れ、運行の休止、廃止等が行われれば、あまりに影響は大きい。これを避けなければなりません。
既に個人が「乗って応援しよう」というレベルではありませんし、実際乗って応援などできるような社会情勢ではありません。しかし、公共交通機関は減便こそすれど完全に停止するのは影響が大きすぎます。早急な支援が必要と個人的には思うところです。
4月16日追記・北海道への緊急事態宣言発令を受けて急遽札沼線廃止区間は4月17日の数便を運行し休止、廃線となることを発表しました
JR北海道 2020年4月16日
札沼線(北海道医療大学・新十津川間)最終運行について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20200416_KO_Sassyouline.pdf
4月16日20時に発表になった札沼線廃止予定区間の最終運行のお知らせは唐突なものでした。
しかし、最終運行に鉄道マニアが一定殺到すること、沿線の撮影などで予想だにしない場所への立ち入りなども考えられることなどを考えると、感染拡大の懸念、そして首都圏や関西圏などの感染者数の多い地域からの来訪を抑えるためにはこの方法しかないと考えたのでしょう。
もちろん国緊急事態宣言の発令は、それだけの意味もあることです。
この時間に発表したことにより、関東などに住む人が今出発しても現地にたどり着くことは非常に困難であり、平日であることもあり、札幌のマニアも集まりにくいだろうという判断もありましょう。それほどにまで喫緊な問題だった。そういうことなのでしょう。
とかく、新十津川10時ちょうど発の5426Dを最後に札沼線の北海道医療大学-新十津川の列車運行は終了となります。