北海道の交通関係


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JR北海道の特急車両増備計画

2020/04/24

現状では新型コロナウイルス関連による輸送人員の減少はありますが、JR北海道が計画上では車両や設備の更新に力を入れているのは誰の目にも明らかなことでしょう。

以前一般用普通列車の置き換えについて書きましたが、まだ、その結果ははっきりわかりませんので、その検証前に、また、趣味的に特急用車両の置き換えについて書いていきたいなと思います。

電車特急車両

・特急カムイ・すずらん(札幌-旭川・室蘭)
789系1000番台(2007年製造・6編成30両)


・特急すずらん(札幌-室蘭)
785系(1990年製造、一部2002年製造・2編成10両)


指定席車両のグレードアップとして後年増結された「uシート」785系のものはグリーン車のように顔部分がせり出し周りの視線を遮るシートがついている。

・特急ライラック(札幌-旭川)
789系(2002年製造、一部2011年製造・6編成36両)


グリーン席は革製の落ち着いた重厚感のあるシートがついています。

特急用車両は30年近く経過していた785系車両をほぼ置き換えており、概ね20年以内の車両にて運用しています。北海道新幹線札幌延伸時に特段大きな影響もないことから、それを前に一部の車両を更新することがあっても、多くは、しばらくはこのままかなと思われるところです。青函トンネルを経由して本州と北海道を結んでいた789系車両もライラック転用後は若干冬季の不安定さがありますが、あと10年程度は使用されるかなと思っているところです。機器の更新工事も始まることが発表されています。
むしろ、札幌-旭川、札幌-室蘭の輸送需要は下がっているのも現状なので、一部の本数削減が続き、場合によっては気動車への置き換えなども考えられる部分でもあります。


気動車特急車両

・特急オホーツク・大雪(札幌・旭川-網走)
キハ183系(1986年~1990年製造・約45両)
1980年より運用されているキハ183系車両のうち、現在運用されているのは後期増備車です。とはいえ製造から概ね30年以上たっており、早期の置き換えが求められます。ただ、石北線は維持困難路線であり、高速化事業も行われておらず、乗客の減少も進んでいます。


・特急宗谷・サロベツ(札幌・旭川-稚内)
キハ261-100系(1998年~2001年製造・12両)
スーパー宗谷としてJR北海道と北海道や一部の地元自治体が出資した高速化事業で特急化されたものです。車両の多くは第三セクター北海道高速鉄道開発が所有しており、JRに貸し付けている形です。
製造から年数を経過し不具合等で運休することがまれに見られることもありますが、運行区間が維持困難路線の宗谷線ということもあり、置き換えは進まなさそうに見えます。


・特急北斗(札幌-函館)
キハ281系(1993年製造・27両)

キハ261-1000系(2007年~製造)

「スーパー北斗」として高速化を図った区間です。現在も使用されている281系から261系への置き換えが進んでいます。ただ、振り子機能がなくなりカーブでの減速が必要なため若干所要時間が延びています。北海道新幹線札幌開業後は長万部-東室蘭-苫小牧-札幌のフィーダー特急に使用されることになるかとは思いますので、そう減便されることはないとは思われます。

・特急おおぞら(札幌-釧路)
キハ283系(1996年-2001年・約44両)

キハ261-1000系(2007年~製造)
北海道や地元自治体が出資した高速化事業が行われ、車両はJR所有のまま振り子タイプの新型車両に置き換えられました。しかし、2011年の火災事故、減速減便ダイヤにて最高速度を110km/hに制限され所要時刻が延びています。キハ283系はキハ261系への置き換えが開始され、廃車も発生しています。

・特急とかち(札幌-帯広)
キハ261-1000系(2007年~製造)


基本的に共通運用可能なキハ261-1000ですが、NHK連続テレビ小説「なつぞら」キャンペーン中はとかちの自由席車にラッピング車が限定運用されました。
以前はキハ283系も使われていましたが、現在はキハ261系に統一されています。


さて、JR北海道は2015年に「安全投資と修繕に関する5年間の計画」を発表し、車両面の置き換え計画を発表しました。昨年度までの計画では2014年に711系電車の置き換えを完了、その後キハ183系初期型車両の置き換えを完了しています。
また、2019年に発表された安全計画2023でもその後の計画として車両置き換えを発表しています。

JR北海道
安全投資と修繕に関する5年間の計画
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150325-3.pdf

安全計画2023
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/02_04.html


これによりますと、車両面での老朽取替(183/281/283)として261系特急気動車新製が明記されており、その期間は2022年度までとなっています。つまりはあと数年内に北海道内全ての気動車特急列車はキハ261系に統一されるということになります。

キハ261系とは言いましたが、宗谷線特急のキハ261-100系に関してはアナウンスがありません。こちらは所有者がJR北海道ではない(2両のみJR北海道の所有)ことから、引き続き使用されるものとは思われます。ただ、観光列車と定期列車を兼用するなど多目的な用途に兼用できる車両の製造(キハ261-5000)がアナウンスされており、これにより予備車両の増加と安定稼働を図るように思われます。

ここから現在運用されている「旧型車両」がどのような形で置き換えられていくのかを検討していきます。


●キハ183系

キハ183系は大きく分けて1980年~製造された初期タイプ、1986年から製造された最高速度が120km/hになったNタイプ、そして民営化後に製造され、強馬力エンジンとブレーキを装着した最高速度130km/hに対応したNNタイプがありました。キハ261系の函館方面への投入で、函館方面で高速化された路線で使われたNNタイプを「オホーツク」に転用し、それまで使用していた初期型車両を一掃。現在はN・NNタイプのみで運用されています。
ただ、当初N・NNタイプの混結はできなかったため、現在は混結できるように改造しています。しかしながら、比較的新しいNNタイプでも車内外の陳腐化は否めません。


初期型のキハ183系。晩年は特急オホーツクで使用された。

現在北海道内の特急車両で最も古い車両での運行であることもあって、早急な置き換えが期待されますが、運用地域が単独維持困難路線であり、北海道も沿線自治体も「利用促進」以外の拠出は行わないとしていますので、積極的な投資は乏しいと考えられます。(とはいえ、車両共通化で予備車の削減、取り扱い均一化などの恩恵はあるので、意味はあると思います)2023年頃までにはキハ183系は全て姿を消すと考えられます。
曲面加工の窓ガラスに少し高い場所からの展望ができるハイデッカーグリーン車も、ここ数年で見納めでしょう。もう一度くらい乗っておきたいですね。

後期タイプのキハ183系車両の車内。若干の古めかしさを感じる。

ハイデッカーグリーン車

●キハ281系

JR北海道の中期経営計画2023で明記しているのが2022年度予定の特急北斗のオール261系化です。自ずとキハ281系の引退が2022年度いっぱいであることは間違いなさそうです。
スーパー北斗として鮮烈なデビューをしたキハ281系は制御付き振り子車両ということで乗り心地とスピードアップを両立するよう設計されました。製造数27両と少なく、予備車も非常に少ない状況で走っていたものの、大きなトラブルもなく約30年走り続けたことになります。安定した運行ができるようであれば、しばらく(新幹線札幌開業までの間くらい?)は現在キハ183系で運用されている臨時列車や修学旅行などの用途で使用されるかもしれません。


あまり目立たないが、北海道の特急列車の座席レベルアップにも貢献したキハ281系。

●キハ283系

スーパーおおぞらとしてデビューし、北斗系統で函館にも顔を出していたキハ283系ですが、他の130km/h対応車両が120km/hへの減速を行っているのに比較し110km/hと大幅な減速を行っているのは軽量化と高速長距離運用での車両のダメージが大きいと判断されたものと思われます。結果2020年3月改正で一部の「おおぞら」に非振り子車両のキハ261系が導入されても、ほぼ所要時間の差がなく、むしろ早くなっている列車まであります。
千歳線等の過密路線を走る都合上、できるだけ最高速度などの性能はそろえたいと考えるでしょう。また、整備面や乗務員の教育面で他の路線への転用も難しいと思われます。こちらも臨時列車や修学旅行などの用途で使用される車両はあるとは思いますが、あまり数は多くないかもしれません。


キハ283の旧タイプの行先表示機。発車時はタンチョウが舞うギミックがあった。

指定席に使用される車両は枕部分が可動する新タイプのシートに交換されている。


●キハ261-1000系

さて、北海道内の全気動車特急は全てこの車両に置き換えられる訳ですが、現在使用する全ての車両を置き換えると北海道新幹線開業後車両が若干余るかもしれません。しかし、長万部-東室蘭-札幌の特急列車本数や必要両数、また、臨時列車での運用などを考えるとその時点で必要となる両数を考えて製造されると思うところです。

現在129両(4両編成で19編成+中間増結車両53両)が運用されています。2019年度到着分は20両(4両編成3編成+中間増結車両8両)が既に運用しており、2020年度は多目的車両5000番台10両も含めた増備が行われ、最終的にはあと6編成+中間増結車の増備が行われるものと思われます。(はっきりした両数はプレスリリースにはないので当サイトの憶測になります)



最後にですが、当然このような車輌製造計画は、発注してすぐに納車されるわけではありませんので、計画的に行われているかとは思います。しかしながら、新型コロナウイルスによる需要の減少は大きく、JR北海道自体がどのような形で今後経過するのかはわからない部分であります。

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