北海道の交通関係

石北線・宗谷線特急は今後も維持することができるか

2020/06/24
苗穂駅を通りますと、駅北側の自由通路からちょうどJR北海道の苗穂工場を見渡すことができます。ここに、整備の必要な車両が集められているわけですが、役目を終えて解体を待つ車両もここに集められ、目前で解体される様を見ることができます。

石北線・宗谷線特急は今後も維持することができるか
おおぞらで使用されているキハ283系車両

ここ最近解体されている車両が、札幌と釧路を結んでいた特急スーパーおおぞらとして華々しくデビューしたキハ283系車両です。デビューは1997年ですから初期の製造車両は23年ほど経っているということです。鉄道車両は比較的長く使用されるもので北海道内の普通列車として使用されるキハ40の最初期車両は1977年の製造ですから40年以上使用されているものがあります。そんななか、わずか20数年で廃車されるということは、走行距離の面もありますし、2011年には石勝線で脱線火災事故を起こした系列でもありますので、引退を急いでいたという面もありましょう。2013年以降の減速減便ダイヤ後は最高速度が110km/hに制限されています。これは北海道内の特急車両では最も遅いわけで、他の車両に比較して制約が大きい車両と言えます。

石北線・宗谷線特急は今後も維持することができるか
苗穂駅自由通路から見る苗穂工場と解体予定のキハ283系車両

しかし、石北線で使用されているキハ183系車両は最も新しい車両でも1990年の製造です。エンジンの換装などが行われている編成が多いとはいえ30年以上経過しています。この車両の置き換えが急務であることは言うまでもありません。しかし、JR北海道はキハ283系を石北線に転用することを行う気は無いようです。

キハ283系は札幌-函館で使用するスーパー北斗としてデビューしたキハ281系車両をベースにさらに過酷な釧路方面で高速使用する極寒地仕様で設計されています。そのためキハ281系は釧路方面での使用は行えません。逆に言えば、キハ283は北海道内の他の路線でも使用することが可能ではないか?と考えるのは無理も無いことです。

つまり、JR北海道はキハ283は決して他線への転用は行わない。車両が多少余ったところで、これを確実に廃車することを選択したわけです。これは大きな意味があると思うのです。


宗谷線特急の車両は誰のもの?

札幌・旭川-稚内で使用されている宗谷線用キハ261系。スーパー宗谷としてデビューしてちょうど20年が経過しました。キハ261という名称は一緒ではありますが、宗谷線専用の設計であって、函館や釧路方面で使用しているキハ261系とは区分されており、相互の連結もできないとされています。

石北線・宗谷線特急は今後も維持することができるか
宗谷線で使用されているキハ261系車両と石北線で使用されているキハ183系車両

この宗谷線用キハ261系の所有者は「北海道高速鉄道開発」です。この組織は元は根室線の高速化で北海道と沿線市町が出資して地上設備改良工事を実施しJR北海道にその設備を貸し付ける形で高速化したというもので、その後宗谷線旭川-名寄に関しても同様に地上設備改良工事とここではキハ261系車両そのものも北海道高速鉄道開発が所有しJR北海道に貸し付けるという対応が取られました。

 

北海道
関与団体点検調書 北海道高速鉄道開発
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/hdk/grp3/tenken.kousokutetudoukaihatu.pdf


宗谷線用のキハ261系はこのとき12両を北海道高速鉄道開発が導入し、その後JR北海道が単独で2両を増備しています。
北海道高速鉄道開発はJR北海道が50%を出資、北海道が45%、以下釧路市、当別町、帯広市が出資していますが、表には現れていないものの名寄市、士別市も出資しています。

JR北海道にしてみれば、この宗谷線用特急車両の新製費用を負担することなく車両を調達でき、その後の資産償却も行わなくて済むわけですから、大きな負担軽減となります。そして、北海道、特に地元自治体にしてみれば、車両は新車で高速化も行われるわけですから自らの(比較的わずかな)負担で実利を得られるということになります。

ここで、JR北海道が2016年に発表した「当社単独では維持することが困難な線区について」の「当社単独で維持可能な線区」に宗谷線の旭川-名寄が含まれるということを改めて考える必要があるわけです。旭川-名寄・帯広-釧路は「北海道高速鉄道開発関連線区」と別枠で記載している。極端言えば地元が鉄道に出資してくれた線区は、赤字額が大きいが当然維持する必要があるということが明言されるわけです。


では、石北線特急はどうなる?

そこから考えますと、少なくとも旭川方で考えると旭川-名寄の輸送密度は1,336、旭川-上川は1,047。多いとは言いませんがいずれも、他の利用の少ない路線に比較すれば乗っている方の路線です。しかし、旭川-上川は維持困難路線になります。石北線は北海道庁も沿線自治体も残念ながら鉄道高速化に出資することは無く、北見市あたり石北線高速化決議なんかは行っているものの自分達が何か行動を起こすということは残念ながら行われていません。
この状況から考えるとJR北海道は今のキハ183系車両が30年を迎えた今年から数年内に石北線特急の廃止も含めた何らかの打診を行うことは想像に難くないわけです。そのときに釧路で使ってた中古の車両を使えないか?というのは絶対に避けたい(それができたとしても10年以内に同様の車両面の問題も、当然線路設備面の問題も発生する)これがキハ283系の早期廃車の真相ではないか?あくまで私の想像の話しではありますが、そう思うのです。

北海道の鈴木知事は会見内で

 

北海道
知事定例記者会見
・日時/令和元年12月27日(金)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/r1/r11227gpc.htm
(北海道新聞)
 すみません、ちょっと話題が変わるのですけれど、JR北海道の路線見直し問題についてもお聞きします。知事は第4回定例道議会で、持続的な鉄道網の確立に向けて、利用促進以外の地元の財政負担については受け入れられないという考えを表明しました。ただ、国は地元負担を求める姿勢を示していまして、国と道の立場の違いというのが浮き彫りになったのかなと思います。今後、JRの新たな支援の枠組み構築に向けて、国とどういうふうに話し合いを進めていくのか、お聞かせください。

(知事)
 これまで、私をはじめといたしまして、道幹部が直接地域に出向きまして、地域の皆さまのご意見を伺ってまいりました。地域としての協力支援に関しては、その中では、あくまで2年限りであるということなど、本当にさまざまな厳しいご意見をいただきました。
 これまでの地域のご意見や、道議会での議論の現状などを踏まえますと、いわゆる欠損補助、赤字補填や、老朽化した鉄道施設の更新など、利用促進に係るもの以外については、地域に対し負担を求めることは受け入れられるものではないと考えておりまして、こうした認識の下で、国が中心となって、本道の実情を踏まえた支援策を講じていただくように、国に対して強く働き掛けをしていきたいと考えております。
 当然、さまざまな考え方や思いというのは、国は国であるのでしょうが、現時点において、私としては、このような形で取り進めていくことを考えています。


「いわゆる欠損補助、赤字補填や、老朽化した鉄道施設の更新など、利用促進に係るもの以外については、地域に対し負担を求めることは受け入れられるものではない」というのはかなり強い言葉です。赤字補填だけでなく、鉄道施設の更新にも一切北海道と沿線自治体は負担する気は無いという明言です。
これは、北海道高速鉄道開発を経由した車両設備の更新も行わないとする意味かどうかは私にはわかりかねますが、そうであるならば、少なくともJR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区」とした石北線に新車での特急車両を導入することは考えにくく、結果的にキハ183系の老朽引退と同時に石北線の特急は無くなると考えるのが自然ではないかと思うのです。

ちなみに、これは、現時点で20年を経過している宗谷線特急とて10年程度で同様の問題が発生することも意味しています。今年度旭川地域に導入されるであろう新型普通列車車両H100形に関しても維持困難路線に直接的に配備することは同様の理由で難しいとも言えます。つまり、維持困難路線は車両か設備かが耐用年数を超え、安全な運行ができなくなった時点で自動的に廃止されるのであるということが果たして北海道であれ沿線自治体であれ理解の中にあるのか?は疑問な所ではあります。


では国は助けてくれるのか?

先の知事会見でもありましたとおり、北海道の鉄道問題に関して知事は国が中心になった介入を期待しています。それが行われるとすれば、同様に運行に苦しむ本州の鉄道に関しても同様に国が介入して助けることができるか?という状況にあります。経営基盤が小さいJR四国も含め、今後も安定した運行が行えると明言できる鉄道会社は少ないでしょう。本州JRとて地域の支援無しで災害復旧や観光列車を運行できない例も出ていますので、なにも北海道だけが苦しい思いをしているわけでもない以上、どこまで「本道の実情を踏まえた」特別扱いを行ってくれるかは微妙な部分であります。

逆な言い方をすれば、大きな出費にならない車両面の負担だけでも地元が行うならば、少なくとも運行継続という意味では大きな助けになるのではないかとも思うのです。

車両面にフォーカスしましたが、設備面も含めて今後の行方は気になるところです。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道 石北線 宗谷線

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