北海道の交通関係

日高線2021年3月廃止報道

2020/08/17

苫小牧と日高管内の新ひだか町静内、浦河、様似を結ぶJR日高本線(以下日高線)は2015年の高波被害以降鵡川-様似の運休(一時期は静内-様似を運行していたが)バス代行が続いていましたが、2021年3月いっぱいでの廃止が確定的になったと報道されました。

まず、報道を列挙してみます。

NHK 2020年08月12日
日高線 来月めどに廃止手続きへ
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200812/7000023804.html
JR日高線の鵡川・様似間のバス転換をめぐり、沿線の7つの町の町長が会議を開き、来月をめどにJR北海道と正式に鉄道路線の廃止の手続きを進めていくことを決めました。
去年、JR日高線の鵡川・様似間のバス転換が決まったことを受けて沿線の自治体は新たなバス路線のダイヤなど運行案について協議を続けてきました。
12日は沿線の7つの町の町長と道の幹部らが出席した非公開の会議が開かれ、このなかでJR北海道と正式に鉄道路線の廃止の手続きを進めていくことを決めました。
具体的には、来月をめどに沿線自治体とJRが文書で協定を結ぶほか、来年4月から鉄道に代わる新たなバス路線の運行を始めるため協議を進めていくということです。
会議の取りまとめ役を務める様似町の坂下一幸町長は「来年4月に新たなスタートを切るため、きょうの会議で大きく前進することができた。廃止までの議論が長くなったぶん、これからは議論の速度を早めていきたい」と話していました。


NHK報道では「来月」は正式な廃止手続きの日程で、「来年4月」がバス転換時期ということのようです。

日高報知新聞 2020年08月13日
多数でバス転換に合意
http://www.hokkaido-nl.jp/article/18452
【新ひだか】日高町村会(会長・坂下一幸様似町長)による日高管内臨時町長会議が12日、町公民館で開かれ、運休中のJR日高線鵡川―様似間について、バス転換する方針で合意した。9月までにJR北海道と日高町村会で鉄路廃止の合意に関する協定を結ぶ考えだ。来春のバスのダイヤ改正により、4月からはジェイアール北海道バスと道南バスの運行による、より利便性の高い日高地域の広域公共交通の運用を目指す。
 この日の会議には、管内7町長と道、日高振興局幹部が出席し、JR北海道は出席していない。会議は非公開だった。
 会議後の記者会見で坂下町長は「ダイヤ改正について大きな議論はなかった」。鉄路廃止とバス転換については「異論もあり全会一致ではなかったが、圧倒的多数でバス転換で行くということでまとまった。大きく前進し、ゴールは見えてきた」と説明した。
 ただ、坂下町長は「すべての問題が解決したわけではない」と述べ、JR側が提案しているバス路線運営の20億円、各町関連まちづくりの5億円の計25億円の拠出金の妥当性の検証、18年間の支援方針など「できれば来年3月までに疑問点の解消に当たりたい」としている。
 9月までに予定しているJR側との路線廃止、バス転換の合意協定に向けて、「災害護岸の整備を一緒に進める」と説明。
 また、JR北海道が示した地域づくりの5億円について「使い方は柔軟に考え、我々が考える」と話した。また、「来年からのバスによる新しい広域公共交通が動き出したあとも問題点が出てくることもあり、JR側との協議は永遠に続く」としている。
 日高線の鵡川―様似間の列車運休から5年半以上経過。これまで長く議論してきた路線廃止や全面バス転換については、この日で最終的に決着したことになる。


地元紙日高報知新聞では、今回協議した会が「日高管内臨時町長会議」であり、出席は沿線町長、道庁、日高振興局でJR北海道は含まれないものの、「9月までに」JR北海道と沿線町で合意し、「来春」新たなバスの運行を行うとしています。運行会社はジェイアール北海道バスと道南バスとなるようです。

苫小牧民報 2020年08月13日
日高線来年3月廃止へ 不通から5年7カ月 来年4月バス転換
https://www.tomamin.co.jp/article/news/main/26238/
 JR北海道が廃止・バス転換を打ち出しているJR日高線鵡川―様似間(116キロ)について、日高管内7町は12日、来年3月末の同線区の廃止と同4月からのバス転換に向け、9月にもJR北と協定を締結する方針を固めた。2015年1月に高波被害で不通となって以来5年7カ月が経過し、「住民のための新しい公共交通体系をつくる」と廃線への最終合意を決断した。

 同日、新ひだか町で開かれた非公開の会合には、日高町、平取町、新冠町、新ひだか町、浦河町、様似町、えりも町の首長や日高振興局の北村英則局長らが出席。出席者などによると、JR北が提示している廃線後18年間のバス運行費や地域振興費計25億円の妥当性、転換後のバスの運行案などを議論し、大きな異論はなかったという。

 同線区の不通後、7町は議論を重ね、当初、国やJR北に護岸整備など災害復旧を求めた。だが、16年11月にJR北が単独で維持困難な線区として日高線のバス転換を提案。不通が長期化する中、住民の関心も薄れ、日高、平取、新冠、新ひだか、様似、えりもの6町がバス転換を希望、浦河町が全面復旧を主張し、議論は平行線をたどった。

 19年11月の会合で日高町村会の坂下一幸会長(様似町長)を除いて多数決を行い、JR北と廃線に向けた協議を行う方向性を決定。この日の会合でも「決断する時期に来ている」「まずはバスを動かして、採算が合わない部分は変えていく」などの意見が出された。坂下会長は「異論も出たが、町村会の決定には従うという意思確認をした。大多数の町が話を前に進めようという意見で大きく前進した」と述べた。

 鉄路の全面復旧を訴える浦河町の池田拓町長は「原点は災害復旧で廃線に異論はある。拠出金などJRに疑問を投げ掛けている段階でなぜ結論を急ぐのか」とする一方で、「日高全体を悪くしようとは思っていない。町村会の協定締結に向け現実的な対応をしていく」と6町の考えを尊重する姿勢を示した。坂下会長は「すべて解決したわけではないが、困っている人に喜んでもらえるような公共交通体系にしたい」と話した。


苫小牧の地元紙苫小牧民報の記事では、各町の立場というか、考えが見て取れます。

北海道新聞 2020年08月13日
日高線、来年3月廃止へ 7町、JRと来月合意方針
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/449907
 【新ひだか】2015年1月の高波被害で不通が続き、JR北海道が廃止・バス転換を求めているJR日高線鵡川―様似間(116キロ)について、日高管内全7町長は12日、同管内新ひだか町で臨時会議を開き、来年3月末で同区間を廃止し、4月から代替バスを運行することで、9月中にJRと最終合意する方針を決めた。
 JR北海道が「単独では維持困難」として廃止・バス転換を求めている赤字路線5区間のうち、廃止が決まれば石勝線夕張―新夕張間、札沼線北海道医療大学―新十津川間に続いて3例目。自然災害で不通となった鉄路を復旧せずに廃止すれば、同社として初めて。
 会議は冒頭を除いて非公開。関係者によると、7町長のうち、日高、平取、新冠、新ひだか、様似、えりもの6町長は、不通から5年半以上となり「利便性や速達性の高い新たな地域公共交通(代替バス)の提供をこれ以上、先延ばしにできない」などとし、日高町村会として最終合意を目指す方針を支持した。
 一方「災害復旧なしで廃止すれば『あしき前例』となる」などとして唯一、全線復旧を主張してきた浦河町の池田拓町長は今回「了承はできないが、町村会として決めた方針には従う」との姿勢を示した。
 また、JR側が6月4日の臨時町長会議で提示した、バス転換後18年間の運行に20億円、駅舎や鉄路など鉄道施設跡地の活用などの地域振興策に5億円の総額25億円の支援金を拠出することについて、異論はなかったという。
 さらに転換後のバスについては、現在、JRバスが同区間の駅間を運行する代行バスに代えて、広域的に地域間を結ぶ新たな公共交通(代替バス)とし、大筋の運行案も了承したという。
 今後は、JRと9月中に廃止・バス転換に関する協定を結び、来春に向け、代替バスの詳細を詰めるという。日高町村会長の坂下一幸・様似町長は、会議後「(鉄路不通で)困っている人々に喜んでもらえるバス転換にしたい」と語った。


北海道新聞 2020年08月13日
沿線7町、苦渋の「合意」 不通5年半、先延ばし「困難」 日高線、来年3月廃止へ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/449911
JR日高線鵡川―様似間が2015年1月の高波被害で不通になって5年半余り。日高管内の7町長は当初、一丸となってJR北海道に災害復旧を求めたが、時間がたつにつれて「廃止か存続か」で意見が割れた。12日の町長会議で、各町のトップは「これ以上、困っている地域住民を放置できない」として最終的に「廃線合意」でまとまった。
 「5年半の歳月は長かった。住民にやっと手を差し伸べることができる」。日高町村会長の坂下一幸・様似町長は会議後の記者会見で安堵(あんど)感を漂わせた。
 7町長は当初、JRに災害復旧を強く求めたが、JRは経営難を理由に道内の赤字区間廃止を打ち出し、日高線についてもバス転換を提案。不通が長期化する中で沿線では目立った存続運動は起きず、やがて高波被害を受けた護岸の早期復旧を求めていた新ひだか、新冠両町などから、廃止容認に転じる動きが出てきた。
 こうした中で浦河町の池田拓町長だけは「災害復旧をするのが当たり前。地域に多様な交通手段を残すべきだ」と「全線復旧」にこだわった。他の6町長との「6対1」の構図となって議論が滞る中、7町長は昨年11月、それまで「亀裂が入る」(坂下町長)と避けてきた多数決で、廃線に向けた協議入りを決定した。
 一方、7町は町長会議の議論と並行して、廃線となった場合の公共交通について、列車代行バスと従来の高速バス・路線バスを再編成して利便性の高いバス路線を実現できるよう、JRなどと協議を重ねた。現在までに5回、案がまとめられ、浦河町を含む全町の納得できる形が整いつつある。
 関係者によると、12日の会議では「もう決断する時期だ」「早期のバス転換を目指すなら、廃線合意を含めスケジュールを決めよう」などの意見が相次いだ。坂下会長は、多数決をすることなく「記者会見で『来年4月のバス転換に向け、廃線合意を目指す』と発表したい」と各町長に確認。池田町長は「全会一致ではなかった」という点を強調するよう念を押した上で、廃線合意を受け入れる姿勢を示したという。


北海道新聞 2020年08月14日
日高線廃止「仕方ない」 7町長合意で地元 「代替バスを便利に」注文も
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/450194
 JR北海道が廃止・バス転換を求めているJR日高線鵡川―様似間(116キロ)について、日高管内7町長が12日、来春の廃止と代替バス運行開始でJRと近く最終合意する方針を決め、地元からは鉄路を惜しむ声や「仕方ない」と諦める声が上がった。高波被害で5年半以上、不通が続いた同区間の廃止により、日高の公共交通の再構築が問われるが、代替バスの詳細はまだ示されておらず、住民は利便性の高い運行を訴えている。
 日高線の始発・終着駅の様似駅。えりも町の実家から路線バスと列車代行バスを乗り継いで浦河町に帰宅途中だった女性(64)は「バスは時間がかかる。静内(新ひだか町)への通院も鉄道の方が便利だった」と惜しんだ。JRが運行する列車代行バスから、沿線自治体や民間バス会社も運営に加わる「代替バス」へと移行する今後に向けて、「えりもと静内を結ぶ便利な直通バスをつくってほしい」と要望した。
 苫小牧への買い物などでバスを頻繁に利用しているという新ひだか町の50代女性会社員は「不通になって長い年月が過ぎ、自分も知人たちも鉄路存続に関心がない。廃線は仕方ないと思っていた」と冷めた見方だ。代替バスについては「今よりも便数が増え、便利になれば」と話した。
 鉄路存続を求める住民団体「JR日高線を守る会」代表の村井直美さん(51)は「急な決定で驚いている。廃線合意の前に、代替バス路線の具体的な姿がどうなるか町民に示してほしかった」と語る。
 一方、将来の人口減を見据え、鉄路の維持は困難とみて早期のバス転換を訴えてきた住民団体「日高の公共交通を考える有志の会」代表の高橋幸二さん(53)は「管内一つになって、人口減少の現実を見据え、将来も維持可能な公共交通をつくるための前向きな議論を進めてほしい」と話した。


最後は北海道新聞です。複数の記事を掲載しています。

当サイトでは、過去にも日高線につきましていくつかの記事を書いておりますが、北海道新聞自体は2015年秋にJR北海道と国土交通省(国)が1/3復旧費用を負担しての復旧交渉を行ったことを記事にされているのですが、そんなことをすっかり忘れたかのように「JRは経営難を理由に道内の赤字区間廃止を打ち出し」ってのは誤報に近い感じもしないでもありません。

North-tt
日高線沿線自治体が行わなければならなかったこと
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=313



ここからJR北海道のニュースリリースから時系列に追ってみましょう。(上記記事の一部を含みます)
●2015年1月13日公開 日高線 厚賀~大狩部間67k506m 付近における盛土流出について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150113-3.pdf
2015年1月8日厚賀-大狩部にて盛土流失が確認されました。前日12時より低気圧の発達により災害が懸念されたため列車の運行は停止しており、人的な被害はありませんでした。
なお、当該区間は2006年度の防災補助金工事で護岸根固めを行った箇所でありましたが今回の災害を止めることはできませんでした。
鵡川-様似はこの時点でバス代行輸送を開始。
・鵡川-静内4往復(うち1便は日高門別-鵡川)
・静内-様似3往復
(休日は鵡川-様似を2往復)

●2015年1月20日公開 日高線 静内~様似間折り返し運転の実施について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150120-1-2.pdf
災害区間を「車両の移送」として車両基地である苫小牧運転所から静内へ移動させ、静内-様似で列車を運行することにしました。災害区間は旅客運行としての運行はできないが、機械扱いとして低速で走行することで車両を移動させることが可能と判断したものです。
・鵡川-静内4往復(バス)
・静内-様似4往復(列車)

●2015年2月27日公開 日高線 静内~様似間におけるバス代行の実施について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150227-1.pdf
2月21日から鵡川-静内のバス代行本数を1本増やし4.5往復としたものの、2月28日午前中の便を最後に静内-様似の列車運行を休止し、バス代行に戻すことを決定します。災害箇所における土砂流出が進んでおり、車両移送ができなくなったことを受けたものです。3月1日からは鵡川以南全線がバス代行となりました。
・鵡川-静内4.5往復(バス)
・静内-様似4往復(バス)

●2015年3月27日公開 日高線運休に伴う列車代行バスの追加運行について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150327-2.pdf
新年度となり、静内-鵡川にバス1便を増便。
・鵡川-静内下り4便/上り6便
・静内-様似4往復
また、4月29日より一部駅で道路上バス停での取り扱いとしました。

●2015年5月14日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻の見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150514-3.pdf
6月1日からのバス増便を発表。地元バス会社への運行委託、また一部駅の道路上バス停の拡充を行いました。
・鵡川-静内7.5往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似6往復(うち1便は浦河-様似)
8月17日から下校時間配慮のため1便の時刻見直し。
9月に発生した台風の影響で更に豊郷-清畠が被災。

●2015年12月11日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151211-2.pdf
1月13日から富川高校下校時刻への対応。増便。東町駅バス停を浦河高校近くに変更しました。
・鵡川-静内7.5往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似6.5往復(うち1便は浦河-様似、うち1便は静内-浦河)

●2016年1月14日公開 平成27年9月に発生した日高線における災害箇所の復旧対策費について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160114-2.pdf

●2016年3月1日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160301-1.pdf
3月26日から増便。西様似等の国道バス停停車化。
・鵡川-静内8往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似下り8便(うち1便は静内-浦河)、上り6便

●2016年12月21日公開 日高線(鵡川・様似間)の復旧断念、並びにバス等への転換に向けた沿線自治体との協議開始のお願いについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161221-4.pdf

●2018年3月13日公開 日高線 鵡川駅~様似駅間 バス代行輸送 運行時刻等の変更について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180313-2.pdf
一部駅の通過と通学時間帯の様似発静内行き便に続行便を運行し交互停車による速達化を図りました。
・鵡川-静内8往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似下り8便(うち1便は静内-浦河)、上り7便
(ここまで上記「日高線沿線自治体が行わなければならなかったこと」記事から再録)

●2018年7月20日公開 浦河~新千歳空港直通バスを運行します JR日高線沿線地域と南千歳駅・新千歳空港を直結します
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20180720_KO_Hidaka%20yusyunngou.pdf
浦河と新千歳空港を日高自動車道経由で運行する「ひだが優駿号」を地元自治体・道南バスと協議で運行。これにより浦河から新千歳空港が3時間程度で結ばれることになりました。しかし、これまで浦河から苫小牧へ直行し、さらに新千歳空港を結んでいた「特急うらかわ号」は廃止となった。

●2018年7月25日公開 日高線 鵡川駅~様似駅間 バス代行輸送 運行時刻等の変更について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20180725_KO_hidakasen.pdf
9月1日から一部便を汐見駅に経由させないことにより代行バスのスピードアップを図ることになりました。また、余裕時間の見直しなどで汐見経由便も数分スピードアップしています。汐見通過は下り1便、上り4便。
なお、プレスリリースには記載されませんでしたが、9月1日からはバス車内に「きっぷ・運賃受箱」を設置し、代行バス運転手が一切の運賃収受を行わないようになりました。また、新冠町内の大狩部駅から離れた場所に「大狩部(高台)」バス停が新設されています。これは公式サイトの時刻表には掲載されず、現地の時刻表には掲載される非公式なものです。

●2018年10月3日公開 日高線 勇払・浜厚真間 厚真川橋りょうの復旧について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181003_KO_Hidakasen%20Hukkyu.pdf
●2018年11月14日公開 日高線(苫小牧~鵡川間)運転再開について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181114_KO_Hidaka%20saikai.pdf
●2018年12月12日公開 日高線 富川・日高門別間 沙流川橋りょうの被災状況等について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181212_KO_Hidaka%20Rusa.pdf
●2019年8月1日公開 地震による室蘭線及び日高線の徐行運転の解除について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190801_KO_muroranhidakajokou.pdf
2018年9月6日の北海道胆振東部地震により苫小牧-鵡川も運休を余儀なくされており、特に被害の大きかった厚真川橋梁の復旧方針および復旧が行われました。この地震では、今まで大きな設備の問題が無いとされた日高門別までの区間でも鉄橋のズレなどが確認されており、鵡川以南の復旧の可能性が大きく損なわれたと考えられます。

日高線の代行バス区間は2018年9月1日以降大きな変更はなく運行されています。また、この年の胆振東部地震では全道的な停電での運行不能のほか、さらに線路設備の損傷があり、復旧が困難になっていく様を見せつけました。逆に言えば、その時点で運行されている区間は直し、運行再開にこぎ着けたことすら批判する新聞記事が見られたのは残念な限りであります。


この間、2018年4月には日高自動車道が日高門別-厚賀が開通。また、新ひだか町長も現職が破れ新人の大野氏が当選しています。
これを北海道新聞は

北海道新聞 2018年04月17日
バス転換流れ加速か 新ひだか町長選、現職酒井氏が大敗
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/180907
【新ひだか】15日投開票の日高管内新ひだか町長選は、元道農政部競馬事業室長の新人大野克之氏(59)が初当選し、不通が3年続くJR日高線の存続を主張してきた現職酒井芳秀氏(73)が大敗した。鉄路維持の急先鋒(せんぽう)が敗れたことで、バス転換への流れが進む可能性が出てきた。
大野、酒井両氏とも選挙戦では、町民の賛否が割れる日高線の存廃について、あえて議論を避けてきた。大野氏は当選後も「1町では解決できない。沿線自治体で考えるべきだ」と表向きは慎重姿勢を崩していないが、大野氏の支援者はバス容認派が多い。



と日高線と絡めて報じています。

北海道新聞 2018年06月18日
「一方的」地元反発 国への支援要請対象外5区間 JR6者協議
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/200357
 JRが支援要請の対象外としたのは、札沼線北海道医療大学―新十津川間、根室線富良野―新得間、留萌線、日高線鵡川―様似間、石勝線夕張支線。夕張支線は、夕張市とJRが既に廃止・バス転換で合意した。  根室線富良野―新得間は2016年夏の連続台風で被災し、一部区間の不通が続く。



JR北海道としてもこの区間は国への支援要請対象外として、廃線前提となったわけで、この2018年(度)は様々な意味で日高線不通区間の復旧は「絶対にない」という強い姿勢を感じるところであります。これを受けて北海道新聞は政府とJR北海道を批判する社説を掲載します。

北海道新聞 2018年06月21日
JR道内路線 「廃止ありき」は通らぬ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/201344
沿線自治体との十分な議論もなく、鉄路の廃止がなし崩しに進んでしまわないか、心配だ。
 国、道、JR北海道などによる6者協議で、JR単独では維持困難とする10路線13区間のうち、JRが廃線とバス転換を求めていた5区間は、国の財政支援の対象外となることが固まった。
 JRの島田修社長は記者会見で地元負担を求めて維持を図る8区間についても、収支が改善しない場合の廃線の可能性に言及した。
 結局、島田社長は高橋はるみ知事に陳謝したが、当事者が鉄道を含む交通体系のあり方を検討しているさなか、廃線を持ち出すのは信頼関係を損なう行為だ。
 JRと道には、十分な説明と丁寧な議論を重ねるよう求めたい。
 6者協議でJRが示した経営再生の見通し案で、5区間は国に支援を求める対象としなかった。
 5区間のうち石勝線夕張支線は夕張市とバス転換で合意済みだ。
 札沼線北海道医療大学―新十津川間でも、空知管内月形町の上坂隆一町長はバス転換容認を表明、現状より高い利便性が見込めるとしている。地元が納得する形の廃線であれば、やむを得まい。
 残る日高線鵡川―様似間、根室線富良野―新得間、留萌線深川―留萌間のうち、日高線と根室線の一部は台風などの自然災害で不通が続いている。そのまま廃線にするとしたら、無責任ではないか。
 利用拡大や支援によって存続の可能性を探る沿線自治体が反発するのは当然だ。関係者で議論を尽くしてもらいたい。
 島田社長が廃線の可能性にふれた8区間は、道の交通政策総合指針で維持に努めるとされている。
 知事との会談で島田社長は「真意が伝わらなかった」と述べたが、JRは沿線自治体の立場を尊重しなければならない。
 道議会5会派は島田社長の参考人招致で合意した。地域の実情を踏まえた議論を深め、交通体系の将来像に反映させてもらいたい。
 政府は、この夏にもJR北海道の支援策の大枠を示す。
 忘れてならないのは、国の責任の重さである。
 JRの経営危機は、国鉄分割民営化当時の枠組みが通用しなくなった点が大きい。
 低金利政策の下で経営安定基金の運用益は低迷し、JR貨物がJR北海道に払う線路使用料も安く抑えられている。
 廃線を誘導するようなことは避け、政府は、JR発足以来の根本的な問題に向き合うべきだ。



朝日新聞は日高線の廃止について国・道は容認したという記事を掲載。

朝日新聞 2018年07月22日
経営難のJR北、赤字5路線5区間廃止へ 国・道は容認
https://digital.asahi.com/articles/ASL7P5HWBL7PIIPE023.html?rm=375
国と北海道は廃止を容認しており、JR北海道は早ければ年内にも廃止を決めたい考えだが、一部自治体との協議はまとまっておらず、同意を得られるかが焦点だ。
 対象は留萌線、石勝(せきしょう)線夕張支線の全線と、札沼(さっしょう)線の北海道医療大学―新十津川駅間、根室線の富良野―新得駅間、日高線の鵡川(むかわ)―様似駅間。1列車あたりの平均乗車人数が10人前後と少なく、島田修社長は「国や地域に負担を求めて鉄道を残すより、バスに転換した方が利便性が高まる」としている。



鵡川-日高門別の復旧に関してはJR北海道も折り返し設備の信号等の整備で1億円程度の費用で復旧できることは事前に伝えてあったはずで、それを呑まなかったのは他の沿線町の「日高町(門別)だけずるい」という観点があったものとは考えられます。

北海道新聞 2018年07月28日
「日高線復旧の論拠だ」 苫小牧-日高門別輸送密度462人 バス転換の目安上回る
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/213087
 【日高】JR日高線鵡川―様似間が高波被害の影響で3年半もの間不通が続いている問題で、同区間が運休する前の同線苫小牧―日高門別間の輸送密度(1キロ当たりの1日平均輸送人員)がJR北海道がバス転換の対象とする「200人未満」を上回る462人だったことが明らかになった。「復旧に向けた交渉につながる」と歓迎する声も上がるが、経営難のJR北海道が区間の見直しに応じるか不透明だ。
 「日高線復旧につながる有力な論拠だ」。同線廃止に反対する住民団体「安全問題研究会」の地脇聖孝代表はこう指摘し「輸送密度200人以上2千人未満の8線区と同じ土俵で今後交渉できる」と語る。鵡川―日高門別間の線路は壊れておらず、「法的に休止も廃止もせず、運行をしない姿勢はおかしい。JRはきちんと責任を果たすべきだ」と訴える。



最終的には代替案を全線復旧、日高門別復旧、全線バス転換と絞り協議することとしました。

北海道建設新聞 2018年07月31日
バス転換含め3つに JR日高線代替案、最終判断11月にも
https://e-kensin.net/news/107485.html
JR日高線(鵡川―様似間)沿線地域の公共交通に関する調査・検討協議会は7月30日、新ひだか町公民館で5回目の会合を開いた。以前から訴えてきた日高線全線復旧のほか、代替案として鵡川―日高門別間の鉄道運行再開と日高門別―様似間のバス転換、鵡川―様似間のバス転換を加えた3案に絞り込んだ。



そしてJR北海道もバス転換の支援策を発表します。

日本経済新聞 2018年08月20日
JR北、日高線廃線へ支援案 地元負担を18年間補填
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34357150Q8A820C1L41000/




2018年9月6日日高地方も大きな揺れに見舞われました。胆振東部地震では全道で停電も発生し、鉄道、道路に大規模な輸送障害が発生しました。その中でも、比較的新しく、災害を避けたルートを構築した日高自動車道は真っ先に復旧することになります。翌9日には全線で復旧します。

NHK 2018年09月08日
日高道 厚真ー鵡川間の通行再開
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20180908/0003258.html
日高自動車道は、路面に被害が出たため厚真インターチェンジと日高厚賀インターチェンジと間で上下線で通行止めとなっていましたが、復旧工事の結果、8日午前8時に厚真インターチェンジと鵡川インターチェンジの間で上下線とも通行が再開されました。
鵡川インターチェンジと日高厚賀インターチェンジの間は引き続き通行止めとなっていて、北海道開発局は9日午前中には全線で通行を再開させたいとしています。



地震からの復旧方針についても沿線自治体からは辛辣な声が上がったようではあります。「同じ災害」ではありませんし、もし厚真川橋梁が落橋していたら復旧は難しかったとも思われます。

北海道新聞 2018年10月10日
鵡川-様似の今後 JRの姿勢に疑問 日高線沿線7町長会議
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/236503
胆振東部地震の影響で不通となった苫小牧―鵡川間が12月にも復旧する見通しが示された一方、同じ災害で不通が続く鵡川―様似間との落差に疑問を示す町長もいたが、JRから納得のいく回答はなかったという。



「復旧してもわが町にメリットはない」だから日高門別復旧は反対。結局バス転換しか選択を無くしてしまったのもまた沿線自治体ではあります。

苫小牧民報 2018年10月26日
JR日高線鵡川―日高門別間 復旧案への考えに温度差-日高管内7町
http://www.hokkaido-nl.jp/article/8325
高波被害で不通が続くJR日高線鵡川―様似間(116キロ)の廃線・バス転換方針をJR北海道が打ち出している問題で、被害が軽微な鵡川―日高門別間(20・8キロ)の運行再開を日高管内の一部自治体が求めていることに対し、管内各町の考えに温度差が出ている。復旧を望む地元日高町などの意見を踏まえ、各町が今後の日高線の在り方について協議を重ね、JR北も沿線自治体の費用負担を条件に再開の話し合いに応じるとしているが、「復旧してもわが町にメリットはない」と本音を漏らす町長も。管内7町は11月にも日高線の方向性に関する地元意見をまとめる考えだが、同区間の運行再開についてどう判断するか注目される。



条件闘争の体をなした感じでもありますが、バス転換要望が3町。で、JRから条件を引き出すことができるとも理解したわけですね。

NHK 2018年10月30日
日高線 沿線町長とJRの会議
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20181030/0005262.html
JR日高線について、沿線の7つの町の町長とJR北海道が話し合う会合が開かれ、3つの町には早期のバス転換を望む声があることなどが報告されました。
新ひだか町公民館で開かれた会合には、沿線自治体の7人の町長とJR北海道や道の幹部が出席しました。
会合では、今月に入ってこれまで7つの町がJRと個別に話し合った内容について報告し、情報を共有しました。
そのなかでは、3つの町ではJRとの話し合いの中で早期のバス転換を望む意見が出たことなどが報告されました。
また、バス転換した場合、これまで18年としていたJRが地元自治体に行う財政支援の期間を20年に伸ばすことも検討する可能性があることが報告されました。



そしてこんな記事が出てきます。

北海道新聞 2018年11月18日
日高門別―様似、廃止容認 JR日高線 地元7町長合意
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/249366
 【新冠】JR北海道が「単独では維持困難」として廃止・バス転換を提案しているJR日高線鵡川―様似間(116キロ)について、日高管内の7町長は17日、新冠町で開いた臨時会議で日高門別―様似間(95・2キロ)の鉄路復旧を断念し、廃止を受け入れる方針で合意した。今後は鵡川―日高門別間(20・8キロ)の鉄路復旧・存続か、全線バス転換容認の2案を検討し、12月25日開催予定の会議で最終結論を出す見通し。



ちょっと道新社説は雑であります。

北海道新聞 2018年11月20日
(社説)日高線一部廃止 重い決断、対策で応えよ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/249840
鵡川―様似間は2015年1月に不通となり、それ以降、バスによる代行輸送が続く。
 この間、JRは運転再開の条件として、沿線自治体に年間13億円余りの負担を求め、それが拒否されると、廃止を提案した。
 同区間の復旧費は86億円に上るとされる。慢性的な資金不足に陥ったJRが、大幅な赤字路線である日高線の再開に、巨費を投じられない事情はあるだろう。
 とはいえ、復旧への努力もないまま被災箇所が放置されてきたのも事実だ。地元から、自然災害を口実に、不採算路線を切り捨てる不誠実な対応と批判されても仕方あるまい。



これはあくまで鵡川-日高門別の復旧に関して。日高町以外の町は特段メリットが無いとみていて負担しないという考えのよう。(あくまで個人的には、日高門別を拠点にすることで国道、自動車道アクセスも含めたバス、鉄道乗換拠点としてのメリットはあるとみていましたが、そんな意見は当然少数派ではありましょう)このあと同様に新冠町長も経費負担を拒否します。結果的に全線バス転換以外の選択肢がなくなったとも言えます。

北海道新聞 2018年11月30日
日高線復旧「地元負担の考えない」 新ひだか町長明言
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/253173
 【新ひだか】不通が続くJR日高線鵡川―様似間(116キロ)を巡り、日高管内新ひだか町の大野克之町長は29日の町議会全員協議会で、鵡川―日高門別間(20・8キロ)の復旧案について「(財政的な)負担をする考えはない」と明言した。同区間の復旧の可能性を模索する沿線7町長の中で、財政負担について公の場で言及したのは初めて。



また、胆振東部地震での沙流川橋梁の復旧にも費用がかかることも発表。これでは日高門別復旧はかなり難しくなります。

苫小牧民報 2018年12月13日
JR日高線の橋梁、地震で損傷 復旧の場合は工期2年、費用5億円-富川―日高門別間
https://www.tomamin.co.jp/news/main/15278/



一定の鵡川-様似バス転換が見えましたが浦河町は全線復旧を求めて反発。結論が得られないままに越年することになります。

北海道新聞 2018年12月25日
日高線の町長会議 最終結論持ち越し
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/261988
 【新ひだか】不通が続く日高線鵡川―様似間の将来を検討している沿線7町長らの会議が25日、日高管内新ひだか町で開かれた。各町の考え方をあらためて確認し、池田拓浦河町長だけが全線復旧を主張し、ほかの6町長と意見が異なった。最終結論に向けた議論は長引く可能性が出てきた。
 7町長は11月の会議で、全線復旧を諦め、《1》鵡川―日高門別間を鉄路で復旧、残りをバス転換《2》全線バス転換―の2案に絞って協議を継続することを決めた。だが、池田浦河町長は13日の町議会全員協議会で全線復旧を求める考えを表明。非公開で行われたこの日の会議でも池田町長は全線復旧を掲げ、ほか6町長は2案への集約に議会の承認も得られたと説明した。



さらにJR北海道は廃線合意を条件に約40億円で鉄道護岸の復旧を行う旨も提示することになります。鉄道廃止後は護岸整備を誰が行うのか?という問題があり、当然地元自治体である北海道の持ち出しも考えられる中、このような提示があったのは、JR側がそれだけ日高線の運行を行いたくないという表れでもあります。

苫小牧民報 2019年01月29日
JR北、護岸復旧の意向 日高線鵡川―様似間の廃止合意条件に-沿線7町会合
https://www.tomamin.co.jp/news/main/15565/
 JR北海道が廃線・バス転換を打ち出しているJR日高線鵡川―様似間(116キロ)をめぐり、日高管内の沿線7町による会合が28日、新ひだか町で開かれた。この中で、7町が同線区の廃止に合意することを条件に、JR北が被災した鉄道護岸の復旧を進める考えを持っていると、道が会合で伝えた。
 同線区の鉄道護岸は、2015年1月の高波や16年8月の台風などで被災。線路を支える路盤の土砂流出で漁業への影響が懸念されており、地域から復旧を求める声が上がっている。海岸法で鉄道護岸は鉄道事業者が維持管理を行うこととなっているが、経営難を理由にJR北は応急的な処置にとどめていた。
 会合にJR北は出席しなかったが、7町(日高、平取、新冠、新ひだか、浦河、様似、えりも)の各町長に道は、線区廃止の合意と引き替えに護岸復旧に着手するとした同社の意向を説明。現時点の護岸復旧費用は約40億円と試算し、線区の廃止時期が遅れると費用もかさむため、道は各町長に早期の決断を促した。



このあとは全線復旧に最後まで拘った浦河町と、6町の対立構造になっていきます。決議は先送りされ、最終的には多数決で決定ということになります。

苫小牧民報 2019年07月23日
9月にも方向性決定 鵡川―様似間、沿線7町が合意-JR日高線
https://www.tomamin.co.jp/news/main/16781/


日本経済新聞 2019年09月24日
JR日高線の鵡川―様似はバス転換へ、10月に決定
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50149530U9A920C1L41000/


hbcnews 2019年11月12日
結論は「バス転換」 高波被害で不通続くJR日高線 沿線7町長採決“6対1” 浦河町最後まで反対 北海道
http://news.hbc.co.jp/ce94cc3a8304d39b96b77024c3debfef.html



結果的に「方向性」ということでバス転換が決定します。

北海道庁 2019年11月13日
JR日高線に係る方向性の決定についてのコメント
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/gcomment/r1/r011112.htm
日高町村会の皆様におかれては、本日、日高線(鵡川~様似間)の今後のあり方について、バスを中心とする新たな公共交通体系を構築していくとの方向性を決定されました。
7町の皆様にとりましては、大変厳しい苦渋の選択であり、これまでのご労苦とその決断に心から敬意を表します。
道としては、引き続き、地域の皆様はもとより観光客の方々が安心して利用できる交通体系の確立に向け、交通事業者をはじめとする関係者との連携を図りながら、全力で取り組むとともに、護岸の復旧などについて、関係者間における調整を急ぎます。


北海道庁はあくまでも沿線町が決めたことを追認すると言うことで、最後まで自主的に方向性を決めることは(実際は廃線前提だったとはいえ)行いませんでした。


方向性が決まったものの、今度はバス運行について地元バス会社との協議も必要です。そんななか、日高(旧日高町)-平取-富川-鵡川-札幌を結ぶ「高速ひだか号」を廃止するとの道南バスの決定も波紋を呼びました。(苫小牧発着の特急ひだか号は存置)

北海道新聞 2019年11月22日
道南バス「ひだか号」廃止方針 唐突な通告「あまりに急」「不便で不安」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/367132
日高町日高と札幌を結ぶ長距離バス、高速ひだか号が、来月20日の運行を最後に廃止するとの方針が明らかになり、地元に衝撃が走った。住民への事前説明がないまま、唐突な通告に各町は戸惑いを隠せず、病院通いなどで定期的にバスを使っている町民からも不安の声が漏れた。
 高速ひだか号は日高町日高の日高ターミナルを発着拠点に平取、むかわなどを経由し、1日1往復している。道南バスは9月以降、バスが走る平取と日高、厚真、むかわの4町に路線の廃止を打診。納得がいかない各町は今月14日、4町連名で路線廃止の撤回を求める要望書を提出した。



さて、方向性は決まったとはいえ、まだバス転換そのものの運行関連はなかなか決まらない上に、議論は非開示なので、最終的にどのようなバス運行がされるのか、地元の人も私たちのような興味があるものにも伝わりません。

北海道新聞 2020年01月07日
日高線代替バス 内陸方面への接続場所で難航 国道?駅?費用負担は?依然定まらず
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/381150
これに対し、7町が昨年11月、鉄路廃止後を見据え、代行バスに代わる交通手段としてまとめた広域地域交通(代替バス)案では、鉄道のなかったえりも町から苫小牧、新千歳空港、札幌の3方向に直通バス1本で行ける長距離線を設けた。新ひだか町静内地区と日高町富川地区の2カ所を交通結節点とし、中・短距離線のバスや内陸部に向かうバスとも接続させる方針。ただ、廃線の容認から2カ月近い現在も詳細な運行案は詰め切れていない。



新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点もあって正式な合意はずれ込むことになりました。

北海道新聞 2020年03月17日
JR日高線の廃止 3月末の合意断念 日高管内7町
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/402970
JR日高線鵡川―様似間(116キロ)の廃止・バス転換に向けてJR北海道と協議する日高管内7町は16日、3月末の最終合意を断念した。協議が難航していたのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で会議が開催できないため。



まだかかるかな?と思っていた中、ここに来て合意できたのは、ここまで各町とJR北海道がこのような流れで一段ずつ積み上げていった結果であるとは言えましょう。まだ正式な合意調印というわけではありませんが、いろんな感情がある中で決定した事に関しては見守っていきたいと思っています。




最後に北海道新聞の社説です。「あしき前例」という言葉を使ってJR北海道を批判しました。当然その先の同様にバス代行区間である根室線の廃線の可能性を考えた事であろうかと思います。しかしながら、北海道新聞は護岸整備の費用についても触れておらず(廃線合意で40億円で護岸整備し北海道に引き渡すということは北海道新聞では報じられていない)今までの自社の報道でどのような形で合意形成していったかということすら認識していないように感じるわけです。

北海道新聞 2020年08月14日
社説)日高線来春廃止 将来展望ある交通網に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/450266
 JR北海道が廃止・バス転換を求めた日高線の一部、鵡川―様似間について、日高管内の全7町長が来年3月末廃止で受け入れる方針を決めた。
 同区間は、2015年1月の高波被害で不通になり、5年半が過ぎた。廃止すれば、JRが「単独では維持困難」でバス転換を表明した5区間のうち3例目となる。
 転換後のバス路線は単なる鉄路の代替ではなく、広域的に地域間を結ぶ新たな公共交通と位置づけるという。
 JRは18年間の運行に20億円、鉄道施設跡地活用など地域振興策に5億円拠出する。
 沿線自治体にとって苦渋の決断だが、廃線が地域衰退の引き金になってはならない。JRと行政は利便性が高く、将来展望の持てる地域交通モデルを示してほしい。
 海沿いを走る日高線は、不通後も度重なる台風や高波で被害を受け、地元はJRに復旧工事を要求してきた。
 復旧もなく廃線になればJR北海道で初めてとなる。同じ維持困難区間では、根室線富良野―新得間が台風被害で一部不通のままだ。あしき前例にしてはならない。
 日高線では現在、各駅に停車する列車代行バスを運行している。廃線後はこれに従来の高速バス、中・短距離の路線バスも加えて路線網を再編する方向だ。
 鉄道のなかったえりも町と苫小牧、新千歳空港などを結ぶ路線も検討しているという。
 苫小牧が起点の日高線は、ノーベル賞受賞者、鈴木章北大名誉教授や直木賞作家、馳星周(はせせいしゅう)さんも高校時代に通学で利用してきた。日高管内から苫小牧の拠点病院への通院の足にもなっていた。
 東胆振・日高地域圏の形成を支えてきたといえる。その機能を引き継がなければならない。
 バスの利便性のみを追求すれば、札幌圏直結が重視されかねない。札幌一極集中を進め、地域を分断してしまう。配慮が必要だ。
 昨年4月にバス転換した石勝線夕張支線では、運行本数が鉄道の倍に増え、利用も好調という。
 ただ、夕張市のみで延長16キロの同支線と違い、日高線の廃止対象は116キロと長大だ。バス路線調整には道の関与も不可欠だ。
 そもそも道内のバス業界は不振が続き、乗務員不足も深刻化する。先行きが明るいとはいえない。
 住民との対話を通じ、路線や運行方法を弾力的に見直しながら、持続可能な公共交通を構築してほしい。



どれだけ「偉い人」が乗ってたかも関係ありませんし、本来は今利用している人、そして将来使う人の利便が本当に高い方法は何なのか?そしてそこにインフラとしての鉄道網を維持する必要があるのか?をもっと主筆としての考えを表明していくべきだと思います。その結果が廃線反対でも良いですし、バスの方がずっと利便がよい、もしくは長く維持が可能という観点でもいい。

本当に必要なのは、「現状維持、過去への郷愁」ではないのですね。日高線は何度も残すことが可能で、そのための筋道を立てることも可能だったし、日高門別折返しだって可能だったと思う。現にJR北海道は最初から廃止を提案したわけではないし、国交省も国費拠出を伝えているわけです。それに乗ること無く、一切の拠出を行わないとした結果「バス転換以外の選択肢を全て潰した」としか言いようがないとも思うのです。


鵡川駅構内踏切から日高門別駅方面。この先の線路に列車が行くことはもうありません。

北海道の交通関係 日高線 路線バス

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