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北海道の交通関係
留萌線一部区間廃止受け入れ報道
2020/09/02
お盆も開けた8月18日、NHKが真っ先に報じたのがこの報道でした。留萌線は2016年12月に留萌-増毛の区間廃線が行われ、残る区間に関してもJR北海道は輸送密度が200人未満であることなどを理由にバス転換の方針を固めていました。しかし、沿線自治体とは協議は行われておらず、今までほぼ沿線自治体のみで会議が行われていました。
JR留萌本線沿線自治体会議
今回の「受け入れ」は8月18日に沿線自治体が「JR留萌本線沿線自治体会議」を開き、これを決めたものと思われます。残念ながらこの会議に関してはサイト等に記載が無く、当然のようにどのような会議が行われたのかは公開されていません。この「留萌本線沿線自治体会議」がどのような形で過去行われていたのか報道から拾ってみようと思います。最初の会合は2018年5月9日に行われたと思われます。
北海道新聞 2018年05月10日
留萌線4首長が初会合 存続可能性、一体で探る
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/188010
> 【留萌】JR北海道が廃止・バス転換方針を示している留萌線沿線の留萌市、深川市、空知管内沼田町、秩父別町の首長による初会合が9日、留萌市役所で開かれた。4市町一体となって道や国との協議を進め、路線存続の可能性を探ることを確認した。
深川、沼田、秩父別の3市町は「北空知JR留萌本線問題検討会議」(会長・山下貴史深川市長)で留萌線の利用促進策などを協議してきた。留萌市は「国や道の議論を見ながら判断する」と存廃に対する姿勢を明確にしていなかった。
今回の会合は、3月に就任した中西俊司留萌市長が3市町の首長に呼び掛け、非公開で行われた。 名称は「留萌本線沿線自治体会議」と決め、国や道などの6者協議などの進み具合を見ながら不定期に開催する。 終了後、中西市長は「沿線としてスタートラインにつけた。今後は2市2町で一つずつ(課題を)クリアしていきたい」と述べた。深川市の山下市長は「ようやく沿線自治体の長が意思疎通を図れた。(この会合を)大事にしながら必要な対応を進めていく」と話した。
2回目は2018年8月2日に開催されたものと考えられます。ここでは国交省がJR北海道支援の発表内で5線区である留萌線を財政支援対象外としたことについて協議したようですが、記事内でもその内容はわかりません。
北海道新聞 2018年08月02日
留萌線沿線自治体 JRの説明に応じる方針
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/215008
【沼田】JR留萌線(深川―留萌)沿線2市2町の首長でつくる「JR留萌本線沿線自治体会議」は2日、空知管内沼田町で会合を開き、留萌線の廃止・バス転換を提案したJR北海道が、路線に関する説明の場を求めた際には応じ、現状と課題を検証する方針を決めた。
国土交通省が発表したJRへの財政支援策で、留萌線など5区間が対象外となったことを受け、4市町長が非公開で会合を開いた。道が路線について説明の場を求めた際も応じる方針を決め、今後の対応などを協議した。
留萌市の中西俊司市長は終了後、バス転換や、鉄路を存続させる場合の地方負担について「どのように考えるべきか会議で検討していく必要がある」と説明。その上で「今後も2市2町で鉄路存続の可能性を探ることを確認した」と述べた。
面白いと言っては何ですが、北海道新聞も苛立ちを持ったようなのは3回目の会合が外部に一切告知されなかったことのようです。どうやら3回目の会合は2018年9月27日に行われたようです。これに関する記事は残念ながら道新WEBページには無く、地方面だけの報道だったのかもしれません。ただ、3回目は初めてJR北海道・北海道運輸局・北海道の幹部が出席したというのですから、報道されてしかるべきでは?と思うところです。北海道新聞はJR東日本の五能線の沿線協議の例を出して苦言を呈します。
北海道新聞 2018年11月19日
JR北海道の路線見直し協議会は大半が非公開 五能線は取材受け入れ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/249527
JR北海道が廃止・バス転換を提案している留萌線沿線では、沿線4市町でつくるJR留萌本線沿線自治体会議が5月から非公開の会合を重ねる。事務局の留萌市は9月、第3回会合の日程を北海道新聞が確認したところ、「分からない」と答え、明らかにしなかった。同27日に開かれた会合には4市町長に加え、初めてJRや北海道運輸局、道幹部らが出席。留萌市の担当者は、沿線市町間で路線存続への考え方に差があることを念頭に「慎重にやりたかった」と釈明した。
4回目の会合は翌年の6月に行われたようなのですが、残念ながらこちらは記事に見当たらないんですね。北海道新聞の記事検索でも出てきませんし、内容も、出席者もわかりません。この間半年以上開いていますが、2019年1月の報道ではJR北海道が路線維持への試算額を提示したと報道されています。これは11月の第3回会合で提示されたもので、なぜ越年したこのタイミングで報道されたのかがわかりませんが、とかく年間9億円はかかりますよという提示はされたわけです。
北海道新聞 2019年01月30日
留萌線存続なら地元負担年間9億円 JR、4市町に試算提示
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/271583
【留萌】JR北海道が、留萌線(留萌―深川)を存続させる場合、沿線自治体の負担額が年間約9億円に上るという試算を示していたことが分かった。JRは留萌線を廃止・バス転換する方針を示しており、その場合は初期投資費用などを支援するとしている。
JRが昨年11月下旬、空知管内秩父別町で開かれた沿線4市町の担当課長会議で資料を示して説明した。2017年度の留萌線の赤字額は7億3200万円で、それに車両の補修、更新費用などを上乗せした約9億円を、自治体負担額として見積もったとみられる。
JRの資料によると、沿線地域が留萌線の運行主体となり、JRに運行委託する「上下分離方式」を導入する場合も年間9億円程度かかるとしている。深川―沼田間のみを存続させる場合は、年間3億円を超える損失が見込まれるとし、自治体の負担を求めている。
一方、バス転換した場合は初期投資費用のほか、一定期間、自治体負担に対する支援を行うと強調。バスの深川駅前広場への乗り入れや、深川駅の無料駐車場整備を検討する考えを示した。
JR留萌本線沿線自治体会議の事務局を務める留萌市は「相当な判断が必要となる」と慎重に受け止めている。
さて、4回目会合の内容は全く報道に無かったのですが、どうも留萌市と空知側の沼田・秩父別・深川との立場の違いがあって、維持に関する温度が違うようだと判断した模様で、留萌市は単独でJR北海道と協議するとの報道が出ます。
北海道新聞 2019年09月10日
留萌市長「留萌線、JRと個別協議」 支援策提示要請へ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/343077
【留萌】JR北海道が「単独では維持困難」として廃止とバス転換を求めているJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)について、留萌市の中西俊司市長は9日の定例市議会で「JR北海道との個別協議を進め、新たな公共交通体系を市民に示す段階に来た」と述べ、バス転換する場合の経路などについてJR側と直接話し合う考えを示した。
留萌線に関してはこれまで、留萌市や深川市など沿線4市町でつくる「JR留萌本線沿線自治体会議」で協議を進めてきた。バス転換に関する協議は4市町の足並みがそろわず、具体的な話し合いに入れないため、留萌市単独での協議に踏み切る。中西市長は市議会で、留萌線存続の可能性を探る姿勢は変えず、同会議から離脱しない方針を明言した。
留萌市はJRとの個別協議の中で、留萌線を廃止した場合のバス路線の経路や運行経費の補助、地域振興に対するJRからの支援策などの提示を求め、その内容を市民に示して存廃の是非を判断したい考え。
これは留萌市内の通学・通院に留萌線を利用する市民はほぼ皆無であり、通学等日常利用がある空知側に比較して路線維持への熱意が薄いこと、また、バスの減便基調もあり、バスに集約することでのバス路線維持を図りたいこと。そして、バスへ拠出する補助金負担が大きく、その一部をJR側が持つことに大きな意味があることがあるものと思われます。
結果「JR留萌本線沿線自治体会議」自体は全く開かれない中で留萌市は判断を行うことになります。
北海道新聞 2019年11月19日
留萌線 出口なお見えず JR「維持困難路線」公表3年 巨額負担、4市町攻め手なく
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/365990
留萌市は留萌線に分断される市街地と、乗客減に伴い寂れる駅前地区の再編をどうするか、留萌線は将来の街づくりの根幹に関わる問題と結びついている。留萌線を廃止して駅周辺一帯を再整備し、駅前に公共施設などを設ける市の構想に、今のところ市民や商工業者から表立った反対の声は聞かれない。
中西俊司市長は「(存廃)判断を決める状況が近づきつつある」としつつ、市民や議会の意向、他の沿線市町への配慮などが絡み、市長にとって大きな政治判断になるのは間違いない。
北海道新聞 2019年11月26日
JR留萌線「国や道の助成、可能性ゼロに近い」 留萌市長、存続難しいとの認識示す
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/368530
【留萌】JR北海道が廃止とバス転換を求めているJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)について、留萌市の中西俊司市長は26日、報道陣に対し、国や道からの助成が期待できないため路線存続は難しいとの認識を示した。
市によると、JRは同線を存続させる場合、留萌―沼田間(約30キロ)の地元負担を年6億円とする試算を示している。中西市長は「国や道からの(存続に向けた)助成の可能性はゼロに近い」と指摘し、「国、道、JRが負担しない限りは、市が負担して運営はできない」と述べた。
同線の沿線4市町による「JR留萌本線沿線自治体会議」は6月の会合で、留萌線維持に向け「存続の可能性を探る」と合意していた。中西市長は同会議を12月中旬にも開く方向で3市町と調整を進めていることも明らかにした。
北海道新聞 2019年11月28日
留萌市長の「留萌線存続困難」発言 他の沿線首長困惑「真意聞きたい」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/368989
JR北海道が廃止とバス転換を求めるJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)について、留萌市の中西俊司市長が26日、国や道からの助成が期待できないため路線存続は難しい、との認識を示したことに対し、「存続の可能性を探る」という点では一致していたはずの北空知の沿線首長から困惑の声が上がった。
空知管内沼田町で24日に開かれたシンポジウムで、留萌線存続への決意をあらためて示していた同町の横山茂町長は「こうした話をするならば、皆で相談して言うことが筋ではないか」といぶかしがった。
中西市長は2市2町の「JR留萌本線沿線自治体会議」を12月中旬に開く方向で調整中であることも明らかにした。同管内秩父別町の渋谷信人町長は「一つの自治体が態度を変えたからすぐに廃線になるわけではない。会議で真意を聞きたい」と語り、深川市の山下貴史市長は「(中西市長発言への)コメントは控えたい。会議は必要な時に開催されると思う」と述べるにとどめた。
一方、中西市長は沿線2市2町の合意を重視する立場は変えておらず、今回の発言は、厳しい現状を踏まえて足踏み状態の議論を進める狙いがあるとみられる。
「JR留萌本線沿線自治体会議」は報道に反して12月に開かれることは無かったようです。その理由は定かではありませんが、留萌市が留萌線の維持に動かないとした以上、4自治体での協議自体にはあまり意味が無いということもありますし、第3回で公開されたというJRからの金額的内容が大きく乖離することもありませんので、北海道や国が支援しないとしたならばできることも多くは無いという判断だったようです。
そんな中での新型コロナウイルスによる脅威もあり、会合というのが非常に難しい状態になり、さらに沿線自治体会議は開けない状態になります。2020年3月には深川留萌自動車道が全通。深川と留萌は秩父別、沼田を経由した留萌線とほぼ同じルートをトレースした形で、なおかつより高規格な形で道路で結ばれることになります。
そして開かれた第5回会合。ただし、この会合はあくまで沿線自治体のみ出席で行われたようです。
NHK 2020年08月18日
留萌線の一部廃線受け入れへ
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200818/7000023979.html
JR北海道が廃線の意向を示している留萌線について、沿線の自治体による会議が18日開かれ、留萌市と沼田町を結ぶ区間の廃線を受け入れる一方、残りの区間の存続を求めてJR側と協議する方針を確認しました。
JR北海道は、現在、深川・留萌間で運行している留萌線について、赤字などを理由に、全線を廃線する意向を示していて代わりに、沿線の自治体のバス路線を支援するなどの代替策を明らかにしています。
18日、沿線の自治体が今後の方針を話し合う会議が留萌市で開かれ、空知地方と留萌地方の4つの市と町から市長や町長が出席しました。
このなかで、全線の存続を求めるのは厳しいとして、留萌市と沼田町を結ぶ区間の廃線を受け入れることで一致しました。
廃止する駅は、これからJR側と協議するとしています。
一方、残りの沼田町と深川市を結ぶ区間は、住民生活に欠かせないとして、存続を求めて協議する方針を確認しました。
4つの市と町では、18日の会議の結果を踏まえて、来月にも、JR北海道と具体的な協議を始めることにしています。
会議の終了後、留萌市の中西俊司市長は、「沿線の自治体で、今後の方針を協議したことは、一歩、前進だと考えている。住民が困らないよう、JR側と協議していきたい」と述べました。
日本経済新聞 2020年08月19日
北海道・JR留萌線の沿線自治体、一部区間廃止を容認
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62806480Z10C20A8L41000/
JR北海道が利用者減に伴い単独では維持困難とする区間の1つの留萌線(深川―留萌間、50.1キロメートル)の一部区間で、沿線4市町はバス路線への転換を容認することで合意した。ただ、JR北は全区間の廃止・バス転換を求めているため、4市町の合意内容で決着するかはなお不透明だ。
留萌市の中西俊司市長は19日、日本経済新聞の取材に対し、「鉄路の存廃を判断する時期に来ている。4市町の考えを示し、JR北に問わなくてはならない。意見が一致したことは一歩前進。JR北との協議は9月下旬になりそうだ」と話した。
留萌市役所で18日に開いた会合で、同市や秩父別町、深川市、沼田町の4首長が一部区間の廃止で合意した。留萌市と秩父別町は廃止もやむを得ないと判断する一方、深川市と沼田町は鉄道の存続を求めた。具体的な廃止区間については議論していない。4市町は9月中に、JR北との協議入りを目指す。
沼田町の横山茂町長は日経新聞の取材に「利用している町民から残してほしいという声が寄せられている。(自身も携わる)利用促進策の成果も芽が出てきた」と存続を訴える理由を語った。
中西市長は2019年12月のインタビューでも「留萌市立病院や老朽化した公共施設への対応など、税金の使い道には優先順位がある」と指摘。国などによる一層の助成が期待できない中では鉄路存続が難しいとの見方を示していた。
ただ、JR北が一部区間の廃止・バス転換を容認するかは不透明だ。留萌線の20年3月期の営業損益は6億6100万円の赤字(前の期は6億4000万円の赤字)だった。さらに、同社の業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響で厳しさを増している。
北海道新聞 2020年08月19日
沼田―留萌間、廃止・バス転換容認 留萌線沿線会議 深川―沼田間は継続目指す
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/451490
【留萌】JR北海道が廃止とバス転換を求めているJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)について、沿線4市町でつくるJR留萌本線沿線自治体会議は18日、沼田町―留萌市間の廃止・バス転換を容認することで一致した。通学などの利用が多い深川市―空知管内沼田町間は存続を目指す。
留萌市役所で開いた5回目の非公開会合で、4市町長が一致した。
会合後、留萌市の中西俊司市長は、深川市と沼田町は存続を主張した一方、留萌市と同管内秩父別町は廃止もやむを得ないとし、沼田町―留萌市間を廃止することで合意したと説明した。ただ、どの駅以西とするかは議論に上らなかった。
また、同会議は存続させ、今後も4市町でJR側との協議を進めることも確認。協議は9月上旬にも始める予定という。
中西市長は取材に対し「留萌市としては運行継続の経費を負担するのは困難。年内をめどにJR側と(西側の)廃止の結論を出したい」と話した。ただ、西側のみの廃止でJR側の運行経費の大きな節減につながることはないともされ、JR側が一部のみの廃止を容認するかは不透明だ。
ここで、留萌市と秩父別町は廃止もやむを得ないという考えであるとしました。この会合では西側の終点をどこにするのかは議論していないということのようです。
これは、留萌-深川の国道道路(路線バスルート)の経由地に沼田町市街地が含まれないため、単に留萌-秩父別-深川は現在のバスルートで代替が可能と考えている留萌市と秩父別町に対して、深川-沼田のバスおよび、町営バスによる沼田-恵比島-ほろしん温泉の2ルートが路線代替に必要な沼田町との温度差があるようにも思われます。
路線短縮での維持は可能か
留萌線の区間廃止による一部区間維持について、JRは先の新聞記事では「深川―沼田間のみを存続させる場合は、年間3億円を超える損失」と伝えているようですので、これを負担することが可能なのか?ということになりましょう。線路設備的には2つのトンネルは「廃止区間」側になりますが、ワーレントラスの比較的長い雨竜川橋梁の維持管理には相当な額がかかりそうに見えます。
この橋梁は1978年に架け替えられた比較的新しい橋梁ではありますが、それでも、将来の問題になるであろうものです。
そして、仮に深川-石狩沼田だけの存続として、沼田町は1駅分となりますが、秩父別町は2駅、深川市は1駅の維持となります。実利の乏しい秩父別町の負担が大きくなる可能性があり、これも秩父別町が廃止も「やむを得ない」とする理由に見えます。仮に赤字額3億円の維持と考えても各自治体1億円の負担は大きく、かといって北海道の支援は得られそうにありません。
信号設備こそ単純な1閉塞ですが、除雪などの問題がありJR側は終点側2線の維持を主張するものとも思われます。その設備負担も少なくありません。

そして、肝心の利用客ですが、留萌までの維持で利用があった定期外客を全て失うと考えれば、定期券の発行枚数である90人程度の利用以上は難しいともいえます。JR北海道資料では、石狩沼田までの駅間通過人員は200人を超えますが、逆にそれ以遠の定期外の駅間通過人員を引いてしまうと150程度まで落ちてしまいます。つまり、通学定期客さえバス2台で運んでしまえば、あとは「マイクロバス」「ハイエース」レベルの乗客しか望めないということになります。
実際青春18きっぷなどの使えない時期の日中の留萌線、本当に数えるほどしか乗っていません。
JR北海道
留萌線(深川・留萌間) 線区データ
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/index.html
これでは区間を切った存続案もかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。むしろ、深川-沼田の空知中央バスが新型コロナウイルスによる需要減で現状休日ダイヤで運行しているのも含めて、本当に利用が少ないということを表してしまっています。バスすら撤退の危機にあることを認識しなければなりません。
恵比島-峠下間の廃道のような草藪の道路を行くと存在する「第9旭川留萌線踏切」こんなところにも遮断機、警報器を完備した第1種踏切として整備する必要があります。
留萌線の今後
私個人も少なからず思い入れのある留萌線は、できれば存続して欲しいと思っています。しかし、現状の利用では区間を区切っても残すことが難しいこと、そして、各沿線にとっては交通機関がなくなることが最も避けたいこと。特に深川-秩父別は沿岸バス・道北バスの共同運行2社と空知中央バスの計3社のバスとJRが併走します。定期券が共通で使えない結果同じような時間に並行して各社の便が走る非常にもったいない状況になっています。バスは国と北海道、地元自治体による補助が入っています。国の補助は足切りがあって、利用客数が少なければ補助の廃止=路線の廃止になりかねない状況が目の前に迫っているとも言えます。
そんななかで、鉄道路線を自前で維持していくことが本当に必要なのか、本当に住民のためになるのか。そういう観点で言うと、正直鉄道が残る可能性は皆無としか思えません。

石狩沼田駅は現在列車のすれ違いができないが、過去にすれ違いができた頃のホームだけが線路無く整備されている。
留萌線沿線は今までJR北海道との協議は廃線に繋がると、協議を拒否していましたが、もう、それは難しい状況です。留萌市は駅の用地を駅裏の道の駅の拡張も含めたまちづくりに生かしたいと考えていますし、函館本線の沿線である深川市は、深川駅の維持は基本的に確約されており、留萌線の北一已駅付近の北星地区への循環バス運行を開始。上記の通り秩父別は3社のバスでほぼ交通は維持できています。結果、深川市の廃止反対意見も、乗り換え駅で無くなることへの拒否感にも見えますし、残念ながら今後の協議で廃線に向けた形になっていくものと考えられます。

深川駅に並ぶ留萌線車両。この短い区間であっても複数の車両を使用している。
9月上旬にJRとの協議が開始されるということですので、推移を気にしながら見守りたいと思います。
2020年9月3日追記
留萌市の資料も参照してください。JR北海道から留萌市への提案内容も記載されています留萌市
JR留萌本線の今後とまちづくり
2019.11.24 市政懇談会
https://www.e-rumoi.jp/content/000052305.pdf
(参照できない場合はこちら)
2020年9月30日追記
沼田町は町議会で町長が「恵比島駅を残す方向で協議を進めたい」と答弁したとの報道がありました。
なお、記事タイトルに見る「存続」という言葉は若干語弊があるように感じます。
北海道新聞 留萌・宗谷面 9月29日
「廃線」56%、「存続」37% JR留萌線 市民団体アンケート 地元負担6億円重く
(WEB配信なし)
また、留萌の市民団体「留萌本線にまだ乗り隊?」が行った住民アンケートの結果についても報道されました。これによると廃線を容認する意見が56%、存続を希望する意見が37%としますが、新聞購読者に6000部配布で回答が451件と8%にも満たず、留萌市の世帯数1万1千に比較しても集められた意見は多くないように思われます。極端を言うと、市民の関心事では無いとも言えてしまうのかもしれません。なお、市民団体のサイト等は見つからず、細かい内容はわかりませんでした。
2020年11月24日追記
北海道新聞 2020年10月02日
留萌線存廃論議に道筋 沿線自治体会議 留萌市長「個別協議も」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/466267
【沼田】沿線4市町でつくるJR留萌本線沿線自治体会議が1日に空知管内沼田町内で開かれ、沼田―留萌間の廃止・バス転換方針を受けたJR側が「(深川―沼田間を)部分存続した場合、地元負担は年間約3億円」との見解を示したことで、膠着(こうちゃく)していた留萌線の存廃論議が動きそうだ。留萌市にとっては駅前開発計画の前提となる存廃論議が前進したともいえ、市政策調整課は「意義のある会合だった」と評価する。
JR北海道からは綿貫泰之副社長が出席。廃線容認の姿勢を貫いた中西俊司留萌市長は会議後、北海道新聞の取材に「代替交通の議論に向け、JRとの個別協議に入れるよう3首長に考えを示したい」と話した。
今月下旬には市民らの声を集める「市公共施設整備検討会議」を設置し、来年秋までに基本構想をまとめる方針。中西市長は「廃線が決まってからでは遅い。並行して協議を進めたい」と意欲を語った。
あくまでも他の3市町と「足並みをそろえる」とする留萌市だが、実質的には鉄路の議論からバス転換に向けたJRとの協議を進めたい考え。代替交通の議論が進めば、バスなどの運行ダイヤを検討する必要があるため、事務局は今後も留萌市に置かれる。
深川―沼田間の部分存続に向けてはJR側から示された地元負担額約3億円について深川、秩父別、沼田の3市町は「検討が必要」と、合意を持ち越した。
「意義のある会合」とはされていますが、残念ながら道筋が立ったとも見えていません。
北海道新聞 空知面 2020年10月02日
留萌線自治体会議 バス転換か部分存続か JRと首長 議論進まず 沼田町「恵比島まで」
(WEB配信無し)
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また、沼田町は200人という「基準」を達成できるとして「恵比島まで」を主張した模様です。